東京オリンピック、初の無観客で開幕=逆境の祭典はいかに
■初の無観客で
第32回夏季オリンピック東京大会が7月23日夜、開幕した。国立競技場(東京・新宿)での開会式は新型コロナウイルスの影響で近代五輪史上、初めて無観客で行われた。
五輪開会式には205カ国・地域と難民選手団の約6000人が参加した。6万8000人収容可能な会場に観客の姿はなく、出席は大会関係者約900人に絞られた。
大会名誉総裁の天皇陛下のほか、菅義偉首相、マクロン仏大統領、ジル・バイデン米大統領夫人らが出席した。
開会式は共感を通じた連帯を示す「United by Emotion」がコンセプト。演出では新型コロナウイルス禍で離れていても感動を生み、世界中の人々をつなぐスポーツの力を表現した。
■希望を取り戻し、世界を1つに
大会組織委員会の橋本聖子会長はあいさつで「今こそ、アスリートとスポーツの力を見せるとき。その力こそが、人々に再び希望を取り戻し、世界を1つにすることができると信じている」と述べた。
国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は「今日という日は希望の瞬間。この一体感こそがパンデミックの暗いトンネルの先の光だ」と話した。
3月に福島県をスタートし、公道での走行中止が相次ぎながら121日間続いた聖火リレーは終了。最終ランナーはテニス女子の大坂なおみ選手が務め、国立競技場の聖火台に点火した。
■安全かつ円滑な運営がカギ
東京での五輪開催は高度経済成長期の1964年以来。史上最多の33競技339種目が実施され、選手約1万1090人が参加した。コロナ禍で大半の会場は無観客となった。
本来は2020年7月に開催予定だったが、世界的な感染拡大で1年延期された。
感染拡大のため選手たちは大会期間中に検査を毎日受ける。行動範囲は宿泊先と競技会場、練習場に制限されるなど厳しい条件下で競技に臨む。既に選手11人の感染が明らかになっており、今後は選手村などでクラスター(感染者集団)を発生させないためには、早期の発見と隔離が欠かせない。
大会は8月8日の閉会式まで続き、これまでに新型コロナ下で開催されたスポーツイベントとしては最大規模。安全で円滑な大会を運営できるかが最大の課題だ。