【ホームセンター業界】コロナ禍で激変した業界事情=「カインズ」「ニトリ」「アイリスオーヤマ」の3国時代か

 

 

第11回農業Week会場風景

 

ダイヤモンド・ホームセンター編集部の高浦佑介編集長は10月14日、第11回農業Weekのガーデン・ツールセミナーで「コロナ禍で激変したホームセンター業界のトレンドと各社の戦略」と題して話した。主な内容は以下の通り。

 

■1年間で激変したホームセンター業界

 

・ダイヤモンド・ホームセンターは国内で唯一残っているホームセンター向けの業界紙の記者3年。それまでは流通の業界を担当していた。ダイヤモンド社の100%子会社。ホームセンターを見ている人はめちゃめちゃ少ない。業界紙がうちしかなく、決算説明会も証券アナリストが少ない。

・コロナ禍でホームセンター業界の変化と業界再編、最新店舗はどうなっているのか。3点について話したい。

・この1年間でホームセンター業界は激変した。1つは一般の人からの注目が集まるようになったほか、ビジネス関係者からの注目も集まっている。

・長期トレンド。1972年に国内で初めて店舗ができた。埼玉県のドイト。1980年代、90年代と成長し続けてきたが、2000年代に入って成長が止まった。1999年から成長の鈍化が始まっていて、「4兆円」目前で10年間止まった。理由は同業同士の競争激化。いい場所がなくなってきてオーバーストア。

・もう1つは他業態との競争激化。特に出てくるのはドラッグストア。日用品、トイレットペーパーなど。ドラッグストアのほうが近場にあって便利な上に価格安い。ここでバッティングしてパイを取られていく。加えてニトリ、無印といったSPA(製造から小売りまで自社で行う)が出てきて、勝てなくなってきた。

・他はアマゾン、モノタロウといったECに勝てなくなってきた。ボーダーレス化とオーバーストアの2つによってなかなか成長ができていない状況が続いている。「同一アフォア」と表現している。ホームセンターの売り場はどこへ行っても同じ売り場。違いが分からない。メーカー、サプライヤー主導で売り場づくりがされてきた。扱っている商品が一緒。そうなると価格でしか差別化できない。粗利低下。悪循環になってきた。

・2000年以降の成長が止まってきてからのテーマが「同一フロア」からどうやって抜け出すのか。低迷が続いてきて2020年だけがぴょこっと上がっている。コロナ禍で注目を浴びている。

・実は店舗数は増え続けている。この⑳年間売り上げは横ばいだったにもかかわらず店舗数は増え続けている。1店舗当たりの売上高はどんどん落ちているが、坪効率も落ち込んでいる。ただ店舗出店の鈍化は若干あるとみている。

・もう1つ注目すべきは企業数。2011年(214社)から2020年には134社まで減少。カインズの土屋会長は「まだ140社もある」。ニトリの似鳥会長は「1業態は1社しか残らない。1社も残らない業態もある」。業界の寡占化は進みそう。

 

■小売り業界で最も伸びたのがホームセンター業界

 

・ホームセンターに来たことのない客層が増えた。新規客数を見ると分かりやすいが、客数の数字が伸びている。コロナ前と比較すると2ケタ増が続いている。新規来店者が定着しつつあるのでは。

・50代以上のおじさんたちがメーンの客層。ファミリー層、女性層の取り込みが苦手だったが、どういう方々が来るようになった。巣ごもり需要。ホームセンターしか買えない商品にも注目が集まっている。5大カテゴリー。DIY、園芸、インテリア、アウトドア、ペット用品。

・ビジネス界で注目されたのはコロナ禍で最も追い風を受けた業界の1つ。スーパーマーケット、ドラッグストア、コンビニエンスストア、百貨店と小売り業界たくさんあるが、最も伸びたのがホームセンター業界だった。食品がそれに続いた。ドラッグストアは意外と伸びていない。伸びているところとそうでないところで差が出ている。インバウンドが落ちているのと化粧品が結構厳しい。

・コンビニは都市部に多いので厳しい。

・ニトリが業界に参入したことで注目を浴びた。アナリストも集まり影響力大きい。

・投資ファンドが注目している。島忠には投資ファンドが入っていた。コーナンにも旧村上ファンドが大株主として登場してきている。ファンドにも注目されなかったが、ここへきて注目されている。

 

■DIY、園芸、ペット、アウトドアが焦点

 

・空前のDIYブームが起こっている。DCMもDIYリフォームを作っていたり、DIY初心者向け商品を強化している。プロショップを作っているが、そこに一般のユーザーが買いに来ている現象が起こっている。コーナンPRO。

・ウッドショップ。いまだに価格高騰が続いている。米は既に落ち着いている。プロショップの躍進。力を入れている。ホームセンター一個所出すとかなり土地が必要だが、プロショップなら小柄な場所でできる。

・園芸。20年振りに需要が上向いたと聞いている。2002年がピークだったが、トレンドとしては大きい。2000年代の園芸ブームと今回は違う。手間がかからものが人気だ。果肉植物などで水ほぼほぼやらなくていい。観葉植物でも大物や珍しいものが人気。栽培キットなど初心者向け商品。肥料と苗がセットになっている。これさえ買えば、自分たちでも育てられる。初心者向けに情報発信するのも戦略だ。

・ペット。生体が相当売れている。犬猫もそうだが、鳥とか小動物が人気。犬猫の単価が急騰している。頭数不足。数年前までは20~30万だったのが、50万、60万。観賞魚も人気だ。ドラッグストアと差別化できる。アクア置いているところが増えている。

犬猫では猫が人気。飼育者、飼育頭数が頭打ち。ペットフード・用品も好調だが、特に高級志向が続いている。専門店にしか卸さないプレミアムフードなどが注目を浴びている。お父さんには昼ご飯牛丼だけなのに、ワンちゃんに高級フードを提供している家が多い。犬猫用の冷凍食品も売り場に進出し健康にいい商品も増えている。

・アウトドア。来年はガーデンアウトドアエクスポになるという。アウトドアはブーム。第2次キャンプブームの到来といわれている。一次ブームは30年前。園芸よりも遡る。バブルが弾けてお金の掛からない趣味としてはやった。ファミリーが主流だったが、今回はソローキャンプが人気。sns映えする商品。こんなにキャンプに要らないでしょうという商品が実は凄く売れている。

・アウトドア専門店はどこも絶好調。ホームセンター企業でいうと、栃木県で展開しているカンセキではワイルドワン。利益の7~8割を占めている。静岡のエンチョウがスエンを開いている。スキーのアルペン・アウトドアもかなり数字が良いと聞いている。

・ビバホームがキャンプ専門店を作った。コーナンがキャンプデポという専門店を作っていて4店舗、5店舗と積極出店している。

 

■PB戦略の強化

 

・ホームセンターを捉えるポイント3つ。各社が何に取り組んでいるのか。PB強化だ。脱”同質飽和”の武器としてはここにきてしか買えない商品がある。SPA企業はどこも圧倒的な収益力を誇っている。代表的な3社はニトリ、無印、ユニクロ。どこも収益力は高い。

・ホームセンターもそれに続けとなっている。PBを強化している。ホームセンター業界の中ではカインズが先陣を切った。2000年代からSPA宣言を出して海外から商品を仕入れ始めている。コメリ、コーナンも早期からこの取り組みを始めている。SPA企業に比べるとPB比率はまだまだ低い。

・ニトリが90%、カインズ、コメリが40%、コーナン30%、DCMとビバホーム(埼玉県さいたま市浦和区)が20%台。取り扱っているアイテム数が全然違うのでホームセンターが90%になることはあり得ない。高くても50%ぐらいか。

・もう1つのトレンドはプロの強化。ドラッグストアは都市部の利便性の高い場所にあって価格でもきついとなったときにソフトラインだけだとどうしてもバッティングするので厳しい。それ以外のところを強化する。プロがそれに当たる。

・工具、資材といったハードラインの強化。このトレンドはなぜかというと、街の金物屋さんや工具屋さんがものすごい勢いでなくなっている。収益性もあるが、跡継ぎ問題とかなかなかチェーン化されていないところが多い。プロにとって仕事道具を調達できる場所がどんどん無くなっている。これをホームセンターのプロショップが取って代わっているのが今の現状だ。

・資材売り場を大きくすること。ビバホームは売場面積の半分を資材館とした。アークランドサカモトに完全子会社化され、見直しが行われている。コメリも農業資材、建築資材を核カテゴリーに据えている会社なので資材をどんどん強化している。

・プロショップはどんどん出てきている。業界トップはコーナンPRO。それに続くのがホダカ。この2社が断トツ。コーナンは木材も扱っている。短い時間でパッと買える。ホダカは木材なし。農耕具・金物のみ。時間かけてゆっくり選んでもらう売り場。コメリがPROという業態を作っているのとカインズが建築プロの新拠点C’zPRO(シーズプロ)を1店舗開設している。エイトプロはダイユーエイト(福島県を中心に69店舗を展開)も1店舗。ホームセンターがどんどんプロショップを増設している。

・3つ目のトレンドはデジタルシフト。小売り業全般で出遅れている。労働集約産業ということで人が動くのでなかなかできない。経営陣のリテラシーが低い。特にホームセンターは遅れていたと感じている。今までは使ってこなくても何とかなった。本来モノタロウがやっていることはホームセンターがやるべきことだったが、それもとられてしまった。

・コロナ禍で業績も好調で、利益をどこに向けるのかというと、デジタルに向ける企業が一気に増えている。出店もしにくくなっているので投資をどこにするのか。デジタルだ。この①年間で急に増えた。業界の中ではカインズとグッディ(九州)の2社が圧倒的だ。

・カインズはインドのIT企業・タタ社と業務提携を発表。普通ITベンダーにお任せだが、自社でエンジニアを抱えて自社でそれを変えていこうとしているのはカインズのみ。

 

■業界再編で様変わり

 

・業界再編について。売上高ランキング(2019年度)。1位はカインズ。10何年ぶり。DCMホールディングス(東京都品川区)がこれまでずっとトップだった。合併なしにオーガニックの成長を続けて1番になった。

・コーナンが買収で順位を上げた。20年度はニトリと島忠が合併し、アークランドサカモトがビバホームと合併。順位の変動はなかなかないものだが、この2年続々と起こった。一気に動いている。

・島忠買収合戦があった。創業家が株を売却し、旧村上ファンドが大株主になった。1~2年前の話。新経営陣が改革をやろうとしたが、なかなか数字に結びつかず苦戦していた。都内の一等地を自社で保有するところが多かった。そこに目を付けられ投資ファンドから注目された。

・DCMと合併話が浮上。合意も成立していた。その後にニトリが待ったをかけた。より高いTOB価格を提示してさらった。金融業界の話を聞くと、こういう例はほとんどなかった。異様な買収劇。

 

■ニトリが島忠買収に成功

 

・島忠とニトリの共通点は家具。島忠はホームセンターと家具の販売もしていた。家具の売り場でニトリの商品を売る。ニトリのPB(安くて良い物)。ナショナルブランドで高級なものが多い。ニトリのPBを入れることで価格に幅を持たせる。

・ニトリのホームファッション(寝具や枕、お皿などの雑貨)なども入れていく。ニトリからみても家具の比率は下げている。家具は日本では構造不況。新しく家具を買う人が減ってきている。

・独自のPB商品を開発する。島忠はホームセンターのPBを持っていないのでPBを開発する方針を発表していた。1から開発していくのかホームセンターのPBを持っている会社とくっつくのか。ニトリ、島忠側の戦略はありそう。

・ニトリホールディングスは、ニトリと島忠の初の融合型店舗「島忠・ホームズ宮原店」(さいたま市北区)を改装した「ニトリホームズ宮原店」を2021年6月11日にオープン。1階がホームセンター。2階はニトリと島忠相互の家具・ホームファッションを展開し、ニトリと島忠のほぼ全ての商品を取り扱う。改装としては大成功を収めている。

・キーマンは島忠会長の須藤さん。島忠で店舗開発をしていた。関西島忠の社長を勤められて次期島忠社長候補だった。島忠を辞めてニトリに転職され副社長。今回島忠の会長として改革に乗り込んでいる。ニトリと島忠の両方を知っている人物。

 

■アークランドはヤマダと提携を発表

 

・ビバホームとアークランドサカモト。アークランドサカモトは飲食店の「かつや」を経営。今年4月に衝撃の人事があった。店舗開発を除くビワホームの役員がそう取っ替えされ、アークランドの役員がビバの役員をやっている。

・アークランドとくっつくとこうなっちゃうと事例として出た。シナジーをより早く出すためにこういう人事を行ったと発表を行っている。

・ビバホームの旧経営陣の方針が急速に変わっている。資材館も半分以上増やしていたが、大阪で新店舗を出したが、生活感を出す店舗づくり。方針が変わった。集客する商品の品揃えを強化している。キャンプもしばらく出さない方針だ。ビバホームの良さを残せるのかが課題。

・アークランドはPB活動ほぼしていないのでどうなるのか?

・アークランドとヤマダホールディングスが提携を発表。③年間で6店舗共同出店。ヤマダは”脱家電”を推進中。リフォームなどホームマーケット取りにきている。どうなるか分からないが、今後資本提携にまで発展する可能性も。

・どうなるニトリとコーナン。関係性の深い会社。2016年5月からコーナンの社外取締役に似鳥昭雄会長が就任している。共同物流の配送も開始している。コーナンには村上ファンドが入っている。コーナンが再編の対象になる可能性もあるのではとみているのでは?

・ニトリからみれば家具のPBがあってホームファッションのPBがあってホームセンターのPBがない。ホームセンターのPBを持っているところとくっつくのが効率的にはいいかな。これは憶測にすぎない。

 

■カインズ、ニトリ、アイリスオーヤマの3国時代

 

・業界再編については3つ軸があると思っている。1つはカインズ。圧倒的に集客力があり、あそこが何をしているのかを注目している。元々は28社で構成する流通企業グループのベイシアグループの一員だったが、ショッピングセンターのベイシア、ホームセンターのカインズ、専門店のワークマンなども含む。3社合わせると1兆円企業になる。外せない軸だ。

・ニトリがどう動くのか。ニトリと島忠で8000億円企業。ホームセンターがもう1社くっつけばこれも1兆円を一気に超えることになる。営業利益ベースで見るとホームセンターとは違う。圧倒的に稼いでいる企業で買収する体力は残っている。ニトリが他のホームセンターを食っていくのはあり得る。

・アイリスオーヤマもキーになってくるのかな。PB以外ではかなりシェアが高い。家電や園芸用品などホームセンターに商品を卸している。メーカーベンダーとして活躍されている。かなりのホームセンターの大株主でもある。その他ホームセンター連合的存在だ。

・カインズ、ニトリ、アイリスオーヤマの3国時代。ヤマダも出てきている。家電量販とホームセンターとの垣根がどんどん減っている。家電もアマゾンになかなか勝てず成長が見込めない中で新しいところ(リフォームや住宅関係)でバッテイングしていくのではないか。

 

■デジタル化に焦点を当てた「カインズ朝霞店」

 

・デジタルを軸にした店舗に焦点を絞りたい。デジタル化に焦点が当たった。

・カインズの朝霞店。ストアーズイアー企画。1位に輝いたインパクトのある店舗。2020年11月オープン。デジタル活用したこれまでの集大成。汲み街モールの中の1店舗として出ている。カフェ&ガーデンを展開している。自社カフェの「カフェブリック」を設けている。マフィンおいしい。市販で売っているマフィンと全然違う。作り置きすると固くなる。そこで作り置きしても固くならない粉をメーカーに独自に発注している。商品の研究開発が進んでいる。

・DIYワークショップ。作っても使われないのが悩みだったが、カインズのDIYは使われている。中身もいいしおしゃれ。ただの作業スペースではなくて、インテリア性があって若い人が楽しんで使えそうな雰囲気な場所になっている。

・売り場に初めてロボットを投入した。システムの部分をカインズの社員が作っている。こういうことができる小売り業はいままでなかった。自社でエンジニアを抱えてここまでできるようになっている。これがカインズの強み。

・ペット売り場。タッチパネル使って犬種などを検索できるようになっている。「この商品どこにありますか」が店員の聞かれる8割以上の仕事。これを解決するのがロボット導入だ。

・ピックアップロッカーにも力を入れている。ネットで購入した商品を店舗で受け取れるサービス。送料がかからないのが客側のメリット。店舗数増やしている。コメリが1店舗実験で入れている。カインズのみ。

・海外では当たり前になっている。米ホーム・デポや2番手のローズ。コロナ禍で1年間、車で行ってそのまま受け取れるピックアップの仕組みが進められている。その流れが日本に来るのではないかと力を入れている。

・カインズのC’zPRO。2020年8月オープン。小売り業ではなく会員制卸売り業。デジタルをコンセプトにして作った店舗。ピックアップロッカーを店舗の外に設置し24時間受け取り可能。

・当初はどんどん出店していく方針だったが、今は1店舗のみにとどまっている。試行錯誤しながら、職人さんがデジタルになれるということはなかった。このスタイルになれれば一気に広がる可能性もある。

・DCMホーマック鳥取大通店(北海道釧路市)。2位店舗。屋号を統一する方針を発表でDCMホーマックとしての出店は最後の店。鳥取県出身者が入植して作った場所。デジタルを駆使したスマートホームセンター。

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