【メタバース】日本最大のメタバース空間「クラスター」を運営する会社トップが語る「コンピュータが創り出すVR空間で生活する人もいる」世界とは!
■クラスター社長が「メタバース」について講演
第12回おおた研究・開発フェア研究開発フェアで、クラスター株式会社の加藤直人社長が「メタバースが実現する未来」と題して特別講演した。会場は羽田イノベーションシティ。
羽田イノベーションシティは羽田空港第3ターミナルから1駅の「天空橋」駅に直結する敷地面積5.9ha、延べ床面積13万㎡を超える大規模複合施設。
これまでの研究・開発フェアは蒲田駅近くの大田区産業振興協会の施設で行われていたが、羽田イノベーションシティ内のコングレススクエアに移された。初めてなので羽田空港の見学も兼ねた。
加藤氏は京都大学理学部で宇宙論と量子コンピュータを研究。同大学院を中退後、約3年間のひきこもり生活を送ったのち2015年にVR技術を駆使したスタートアップ「クラスター」を起業。
2017年、大規模バーチャルイベントを開催することのできるVRプラットフォーム「cluster」を公開。現在はイベントだけでなく、アバターやアバターでオンラインゲームを楽しめるメタバースプラットフォームへと進化している。
2018年、経済誌『Forbes JAPAN』の「世界を変える30歳未満の日本人」にも選出されている。
■「楽しく引きこもっていた」
・3年間、ひきこもり生活を過ごしていたが、どう引きこもっていたか。「楽しく引きこもっていた」。インターネットにどっぽり浸かる生活をしていたら、気付いたら3年間あまり家から出ていなかった。人と交わることもほとんどなかった。そういう生活をしておりました。コロナ前の話だ。
・どういう生活だったか。欲しいものがあればすぐに家に届くし、食べたいものもすぐ届く。SNSで外の世界といくらでも繋がれる。家から出る必要はないなという感じだったが、そういう話を他人にしたら「いいな」と言われた。でも実際に「引きこもるのは体力がいるんだ」と答えると、簡単に信じてもらえなかった。
・最近はコロナによって「引きこもらざるをえなくなって、引きこもるのはむしろ普通」。ようやく僕の姿を理解してもらえるようになったなと嬉しく思っている。
■「メタバースを目指す会社になる」
・大学ではピュアな物理学をやっていた。大学院は量子コンピュータをやった。引きこもっている最中にVRや技術と出会って、これは面白いと思って、会社を作った。会社は今180人くらいで、国内で一番大きなメタバースの会社をなっている。
・最近はメタバースという言葉で言われるようになったが、ゲームとか3CDの空間について詳しい人がなかなかいないというこ『メタバースさよならアトムの時代』を書いた。今日はこの本のエッセンスを注ぎ込んだ1時間にしたい。
・「メタバース」という言葉は完全にちょうど1年前くらいに検索数がパーンと跳ね上がった。きっかけは旧フェイスブックのマーク・ザッカーバークCEOが「フェイスブックはこれからメタバースを目指す会社になる」と述べたこと。
・「メタバース」という言葉自体は前からあった。メタバーストレンドは2回目。1回目は15年前の2007年。セカンドライフというサービスがすごくバズった。アクティビストは1000万人以上いた。
・すごく盛り上がって一瞬にしてすたれた。概念自体は古くからある。「バーチャル空間の中で生活する」という意味で最初に使われたのはアメリカのSF作家・ニール・スティーヴンスンが1992年に発表した小説『スノウ・クラッシュ』に出てくる。
■「コンピュータが創り出した世界で生活する時代がやってくる」
・コンピュータが描く世界やゲームが描く世界の中に人間が入り込むSF作品は結構あって1980年代には『トロン』という映画があった。ゲーム空間の中に主人公が入っていって敵を倒す映像作品だ。
・それ以降、ゲーム文脈でメタバースっぽいプロダクツが増えてきた。グローバルのトップ企業が続々とメタバースに参入してきている。グーグルやフェイスブックなど。これだけ連呼し始めると、「メタバースって何なのだ」と思い始める頃だ。
・識者100人に聞くと100人100様の答えが返ってきて混乱する。定義がないからだ。どちらかと言うと、イデオロギーに近い。こんな生活スタイルを人類は目指すべきだという方向性だけは何となくコンセンサスがある。
・コンピュータが創り出した世界で生活する時代がこれからやってくる。コンピュータが描いた世界の中に人間が入り込んで生活するんだという方向性だけは小説で書かれてきたが、それが大分現実味を帯びてきたというのが昨今の情勢ではないか。
■「クラスター」に住んでいる人もいる
・弊社は「クラスター」というサービスをやっている。メタバースという言葉を聞いたときに想像するようなCG(コンピュータ・グラフィック)のバーチャル空間をど真ん中から作っている会社だ。
・現時点でどんなことができるのか。どんな人がどんなふうに使っているのか。どんな風なビジネスモデルなのか。どんなふうに発展してきたのか。どんなふうに作ってきたのか。
・「クラスター」に住んでいる人たちがいる。アップロードして、その中でゲームもできるしイベントもできる。何でもかんでもできる。重要なのは僕たちがゲームを作って提供しているわけではなくて、自分たちで作って自分たちで遊んでいることが肝だ。
・国内で最大のプラットフォームを作っている。VRというデバイスが2016年にすごく盛り上がった。今も伸びている。VRだけでなくスマートフォンからでも入れる。パソコンでも入れる。