【サンマ】今年のサンマは細くて高くてなかなか手が出ない=「水温上昇で魚の回遊ルートが変わったため」とさかなクン!
■痩せたサンマでも価格はかつての1.5倍
10月21日、今年初めて新サンマを食べた。いつもの年なら9月下旬にはもう食べていたはずだが、今年は例年より遅い。サンマ漁は大体7月初旬に解禁され、その後各地の卸売市場で競りにかけられる。
日経(2022年7月14日付共同電)によると、今年は昨年よりも1カ月早い7月14日に北海道釧路市の卸売市場で初競りが行われ、1キロ当たり約6万7000円のご祝儀値が付いた。まだ量が希少で、近くの鮮魚店では過去最高額となる1尾1万円で販売されたという。
名古屋テレビ(メーテレ)ニュース(2022年9月21日付)によれば、今年の新サンマは「小さいな~。細いな~。この仕事を42年やっているが初めて」という声が名古屋市中央卸売市場の仲買業者の口から出てきたという。
「以前は200グラムから180グラムが主体だったが、だいぶ小さくはなっている。スタート当初は100グラムが一番大きかったが、いまの中心サイズは110グラムから100グラム。(かつては)加工品や冷凍、輸出などに出回っていたサイズ」らしい。
そう思って、自分の食べたサンマをよくよく眺めてみたら、やはり「細っていた」。メーテレによると、9月21日時点の時期で1匹240円。例年の1.5倍だという。「例年だと1尾100円か150円くらいだと思う」。お客さんは「200円切ってほしいですね。ちょっと手が出ない」らしい。
■高値のまま今年は終わりか
練馬区光が丘IMAの専門店街には「魚力」が入っている。10月29日に魚力をのぞいたら、1尾250円(税込270円)で売られていた。どうみても体重は100グラムか110グラム程度。脂は乗っていそうだが、とても太っているとは言えない。
5尾買うと、1尾当たり単価は237円と安くなるが、老人夫婦では無理。2尾しか要らない。庶民の手が届く100円とはまだ大きな開きがある。
サンマ漁の漁期はせいぜいあと1カ月程度。今後どれだけ下がるのか不透明だ。いつの間にか「高級魚」になってしまったサンマである。
どうやら高値のまま今年の漁期も終わりそうな気配である。
■気候変動でさらなる行動を
気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative=JCI)は10月14日に「気候変動アクション日本サミット2022」(JCAS)を開催した。
今年4月に発表されたIPCC第3作業部会の第6次評価報告書は、現在の政策では世界の気温上昇が3.2℃に達すると警告。また気温上昇を1.5℃に抑えるためには、遅くとも2025年までに温室効果ガスの排出をピークアウトさせ、2030年までに43%削減(2019年比)することが不可欠としている。
今年5年目を迎えた今年のJCASは、気候変動が深刻化する中、あらゆるアクターが一体となって気候変動対策を加速していかなければならないと指摘している。集まったアクターに気候変動でのさらなる行動を起こすことを求めている。
日本サミットの特別講演に登場したのが東京海洋大学客員教授と公益財団法人世界自然保護基金(WWFジャパン)親善大使・顧問を務めるさかなクン。気候変動が及ぼす海の生き物への影響について話した。
サンマの棲息に向く海域の適温は14℃とされているが、近年日本近海のサンマ漁場の水温は20℃ほどまで上昇しており、それが不漁につながっているとみられる。
さかなクンも最近のサンマの漁獲量減少について、「海水温度の上昇がサンマなどの冷水を好む魚種の回遊ルートの変更につながっていることが理由」と話した。
■サンマの漁獲量は減少傾向
・水温の変化によって魚の世界でどんなことが起こっているか。秋と言えばサンマ。日本の秋の味覚の代表と言っていい魚。しかし近年、このサンマの漁獲量が減少傾向にある。
・サンマは比較的冷たい水温(15℃~18℃)を好むが、近年水温上昇によって、魚が旅していた回遊ルートが大きく変わっているのが原因ではないか。
・サンマと同じくとてもおいしい身近な魚が食卓になかなか上がらなくなっている。サンマの体調は30センチから大きくて40センチ。同じく秋の代表であるサケも近年減少している。80センチから1メートルくらい。スケトウダラも同様だ。
・夏においしい旬を迎えるアイナメも近年減少傾向にある。魚ではないが、スルメイカも同じ。冷水を好む特徴がある。近年の水温上昇がダイレクトに漁獲量の減少につながっている。
・サケの子ども達は4年間海を回遊している時に、水温が上昇しているのでサバ類が増えてサバの食べ物としてサケの稚魚が食べられてしまっていることもサケの漁獲減少につながっているのではないか。
・アイナメは回遊魚ではなく、底に暮らす底魚。ワカメや昆布が茂る海の森の中で暮らしている。その海藻類が減ったことで食べ物や産卵場所の減少が考えられる。
・スルメイカに関しても水温上昇が回遊ルートが変わっている。産卵場の変化も一因だと言われている。
■一方、サワラやアイゴなどは増えている
・逆に増えている魚類も見られる。西京漬けや刺し身がおいしい刺し身の王様といわれることもあるサワラ。瀬戸内海で「春を告げる魚」として知られていた。魚偏に春と書いて鰆と呼ぶ。瀬戸内海など西日本で多く水揚げされる魚だった。ところが近年は漁獲があまりなかった三陸あるいは日本海側でたくさん獲れるようになった。
・サワラはカツオなどと同じサバの仲間。典型的な回遊魚だ。水温が上がってしまったのがサバの回遊ルートを変えてしまったことにつながっている。サワラはおいしい高級魚だ。たくさん獲れることは喜ばしいこと。サワラが獲れたけど、どのくらいの値段を付ければいいのか。どういう風に流通してどういう風に食べればいいのか。最初は利用法が確立されていなかった。
・アイゴという魚は30センチから40センチほどの丸みのある魚だが、毒のトゲがある。非常にあぶない魚としてトゲに刺さらないように気を付けようと言われている魚。だが厄介な魚として注目されてもいる。主に海藻を食べている。
・従来は暖かい海域に暮らす魚だったが、水温上昇によって本州の至る所で見られるようになった。岩場から海藻がどんどん減少している磯焼け減少をさらに引き起こす魚として厄介モノ扱いされている。
・しかし食べて見るとすごくおいしい。特に西日本では煮付けて食べると皿までなめちゃいたくなるほど美味しい魚。特に徳島県では愛されている。
・私も房総半島・館山の海で暮らしているが、ここ10年くらい定置網に入ってきている。房総半島では市場価値はゼロ。とれても1匹1円にもならない。廃棄できないので肥料として利用されることがほとんど。
■シイラも増加傾向
・全国的に増加傾向がある魚として注目されているのはシイラ。魚屋さんでもそうなかなか並ぶ魚ではないが、「シイラ知ってる?知らない」という人が多いが、知る人ぞ知る白身のとってもおいしい魚。ハワイでは通称「マヒマヒ」という人気のある魚として知られている。
・近年の水温上昇によって日本の各地、これまでほとんど獲れることのなかった北海道でも水揚げが増えている。世界の暖海に暮らす魚だった。北海道でも普通に獲れる魚になった。1m~2m。
・活用できればすばらしい魚だ。館山の定置網でも1度の漁獲で10トン獲れることもある。トラックで運ばれていったが、どこへ行ったのと聞いたら、「あれ(学校)給食!」。シイラでは出さないよ。「白身魚」として流通している。シイラという名前を覚えて欲しい。
・メイチダイも従来は西日本で水揚げされる魚だった。非常においしい高級魚。しかし近年水温上昇の影響か房総半島でもたくさん獲れるようになった。生きたまま水槽で運ばれる活魚。高級寿司店で流通している。高級魚も増えているのは嬉しい。
・魚というのは厄介な魚だとか、高級な魚とかどうしてもランクを付けたがる傾向があると思うが、その魚に合った食べ方で食べてみると実においしいなと思う。
・タカサゴ。沖縄では「グルクン」という名前でお馴染み。沖縄県の県魚となっている。タカサゴの仲間が東京湾で目にすることが多くなってきた。10センチから大きければ30センチ。小さくても唐揚げで食べると実に美味しいし、大きければ刺し身でも美味しい。タカサゴも暖海の仲間だ。暖水を好む魚たち。
■水面温度上昇で大変な状況に
・冷水を好む魚は減少傾向が問題になっている一方で、暖水を好む魚は各地で見られるようになりむしろ増加傾向にある。
・沖縄県もサンゴが水温上昇によって減ってしまったり、元気のいいサンゴも元気がなくなってしまうと体の中に棲みついている褐虫藻(かっちゅうそう)と呼ばれる植物がサンゴから出てしまってサンゴの骨格がすき通って見えて白く見える「白化現象」が問題となっている。
・沖縄県は台風によって海水がかき回されることによってサンゴをはじめ多くの生き物が暮らしやすい快適な水温にしてくれていた。台風の進路が変わることによって、海水温が上昇しサンゴの元気がなくなったり、そこに卵を生む魚や餌類も減ってしまう。
・ウニ、特にムラサキウニ。高級食材として大切なウニだったが、近年は厄介物として扱われている。各地から海藻が減少し磯焼けを引き起こしてしまう。ウニは人類よりはるか前から海藻を食べていたのではないか。
・岩手県広野町にウニ牧場がある。ウニを保護する海域がある。海藻をたくさん食べさせている。ウニは冬期、熊の冬眠同様、寒さにじっと耐えている。ところが水温が上がってしまったために冬も海藻をいっぱい食べなくっちゃと食べることによってさらに海藻が減っていく。
・厄介物扱いされている魚たちも実は大変な状況に置かれている。水温が上がってしまったがために今までの暮らしがガラッと変わってしまって、よし頑張って食べて生きていかなければとなる。それが実は海の様々な海藻の減少などにつながっていることを知った。
■「目黒のさんま祭り」は事前申し込み制で何とか開催
東京目黒区では、落語の「目黒のさんま」にちなんで、秋のサンマが美味しい時期に「目黒のさんま祭り」が行われている。
例年3万人を超える人出でにぎわう秋の恒例イベントで、2019年は岩手県宮古市のサンマ7000尾、徳島県神山町からすだち1万個、栃木県那須塩原市の大根500本が提供され、和歌山県みなべ町の備長炭で焼き上げた旬のサンマが振る舞われたものだ。
サンマの勢いを止めたのが新型コロナウイルス感染対策。「目黒のさんま祭り」は2020,21年は2年続きで中止。22年は10月9日に開催された「目黒区民祭り」の中の1イベントして復活した。
今年は焼きサンマの申し込みの提供は事前申し込み制で、提供時間も10時~14時30分まで。対象は目黒区内在住者に限られ、定員は1000名。
「目黒のさんま祭り」は区民祭りのメインイベント。友好都市である宮城県気仙沼市から送られた新鮮なさんまを提供しており、多くの来場者で賑わった。
余りにも「さんま祭り」が有名になったため「区民祭り」の影は薄くなっているが、「ふるさと物産展」なども開かれ、様々な地域の特産物が販売された。
■各区で「区民祭」開催
目黒区は「さんま祭り」が有名になってしまったが、東京都特別区23区では現在、ほとんどの区で「区民祭り」が開催されているようだ。
ちなみに自分の住む練馬区でも練馬を代表する最大級の祭りとして「練馬まつり」が昭和53年(1978)からずっと開催されている。以前はとしまえん全体を会場にして行われ、2019年の第42回練馬まつりには3万5000人が来場し盛り上がったという。
「練馬まつり」は区全体の祭り。区内各地区でもミニ版の区民祭の開催機運が盛り上がり、現在はそれぞれの地域で地区祭実行委員会を結成して運営されている。
実行委員会は青少年育成地区委員会、町会・自治会、商店会などを主体に構成されている。地域行事などに合わせて7月~12月の主に土曜・日曜に開催されている。
■びっくりしたその盛大さ
練馬に家を建てた頃に、1度自治会から参加の要請があったものの、その当時はあまりに忙しくて参加できなかった。その後はほとんど縁がないままできているが、近所でお付き合いしている人の縁で旭町南地区区民館の「館まつり」(やかたまつり)をのぞいた。
びっくりしたのはその盛大さだ。作品展示会が10月22日(土)~24日(月)に開催され、中日の23日(日)にはコーラス発表会やお茶会が催された。
次いで29日(土)は芸能大会。第Ⅰ部はカラオケや踊り、オカリナ独奏、民謡などに12組が出演。第2部は1993年デビューの演歌歌手、真木ことみさんの歌謡ショーである。
さらに30日(日)は芸能大会。それも司会者がしっかり付いている本格的なものだ。午前10時から午後1時30分まで和太鼓、カラオケ、チアリーディング、よさこい、フラダンス、ダンスなどの演目が行われた。
■坂村親民氏の詩
会場には絵手紙、篆刻、七宝工芸、書道、手工芸、アレンジメント、折り紙、ビーズ工作などが展示されていた。やはり関心がある活字系のものに目が向くのは仕方がない。
その中で目に止まったのが上の掛け軸の文句。仏教詩人の故坂村真民(さかむら・しんみん)氏の詩集『念ずれば花ひらく』の一節だという。癒やしの詩人と言われている。
サラリと 流してゆかん 川の如く
サラリと 忘れてゆかん 風の如く
サラリと 生きてゆかん 雲の如く
坂村氏は2006年(平成18)12月11日永眠。満97歳だった。
■警句にびっくらポン!
川柳コーナーにはたくさんの句が展示されていた。丸で自分のことを言われているような気がするからだ。もうびっくらポンである。
・万歩計半分以上探し物
・立ち上がり用事忘れてまた座る
・カード増え暗証番号裏に書き
・無農薬こだわりながら薬漬
・日帰りで行ってみたいな天国へ
・深刻は情報漏れより尿の漏れ
・何回も話したはずだが「初耳だ」
・起きたけど寝るまで特に用もなし
・これ大事あれも大事とゴミの部屋