【病院】眼科を受診したまたまのぞいた糖尿病教室で「高血糖が続くと歯周病も悪化する」ことを知った病院通いの1日

東京山手メディカルセンター(新宿区百人町)

 

■合併症の怖い糖尿病

 

潰瘍性大腸炎を発症し、大腸を全摘手術したのが2014年9月25日。このときは34日間入院し、ストーマを設けた。15年1月にはストーマを閉鎖する手術を行い25日間入院した。

いずれにせよもうすぐ10年になる。早いものだ。いまでも3カ月に1回の割合で診察と薬をもらっている。ときには診察も受けるが、大体は問診だけで薬をもらって帰るだけだ。

2016年には糖尿病を発症した。居住している練馬区の健康診断でHbA1cが9.1と判定され、あまりにも高くびっくりした。肛門科の受診の際、それを言ったら糖尿内科に回された。以降糖尿科も受診しており、HbA1cも現在は6.5前後で安定している。「7」が合併症の分かれ道だ。

糖尿病はインスリンの不足により血糖値が上昇する病気で、高血糖状態が長く続くと、網膜の血管が弱くなって、全身に小さな出血やむくみなどの合併症が出てくる。

「網膜症」、「神経障害」、「腎症」が3大合併症といわれ、多く見られる合併症。合併症が進行すると深刻な状態に陥ってしまうこともある。

糖尿病が進行すると、硝子体(しょうしたい=水晶体と網膜の間を満たすゼリー状の組織、ガラス体ともいう)に出血したり、網膜剥離を起こすなどして視力が低下し、ついには失明にまで至る。

網膜症は糖尿病になって何年も経ってから発症する。網膜症の初期には自覚症状がほとんどないので、安心できない。前回から2年目で受診し、糖尿病関係で異常は認められないと言われた。

今回も大丈夫だった。早くから定期的に眼底検査を受けて、初期から自分の網膜の状態を知っておくことが大切だ。できれば年1回、定期検診を受ける必要があると自覚した。

 

3階大会議室へ

 

 

■糖尿病教室に参加

 

この日(7月14日)は糖尿病関連で定期検診を受けたが、待っている間に「糖尿病教室」開催のお知らせが館内アナウンスメントであった。そう言えば昔入院しているときにも大腸炎関連の講義があって参加したことを覚えている。

眼科検診が終わったら、日本記者クラブの試写会まで予定がなくどうしようかと悩んでいた。新大久保のコリアンタウンをぶらつくか、新宿歌舞伎町の東急歌舞伎町タワーを見物するか。

しかし考えてみれば、この日は眼科を受検したが、その目的も糖尿病の合併症検査。夜になると目が見えにくくなっており、歯も毎月1回歯科医のクリーニングに通っている。

しかもこの日のテーマは「歯周病と糖尿病」。自分の身体には打って付けのテーマではないか。新型コロナ感染のため一時休止されていたが、2022年10月より再開されていた。午後2時半から4時。3階大会議室。この日の講師は歯科・口腔外科部長の中野雅昭医師だった。

ホームページでスケジュールを確認すると、今年度の第1回「血糖値を知る」は現在は6カ月に1回受診している山下医師が講師だった。残念だが、終わっていた。

 

噛むことの効用「ひみこの歯がいーぜ」

 

■健康は口腔から

 

小さい時は健康は当たり前。当たり前だから有り難さも感じないし、当然だと思う。深くは考えないのだ。多くの人にとって健康は失ってからその重要性を感じるものだ。人は愚かだが、私もそうだった。

健康は口腔から。食べ物の入口であると同時に呼吸の入口でもあって、口を健康にすることに全身の健康につながる。または噛むことによってその刺激が脳に伝わって歯との活性化や認知症の予防、ちょっと歯を合わせることによって転倒防止などにも役立つ。

噛むことの効用は1口30回噛むこと(目標)。8020(ハチマルニイマル=永久歯28本のうち80歳で20本)推進財団。20本以上あればほとんどの食べ物をかみ砕くことだでき味を楽しみながら食べることができる。

唾液は出すことはすごく大事で、1日に1リットルから1.5リットル分泌されている。洗い流す作用、溶解凝縮作用(食べ物を溶かして味を感じたり飲み込みやすくする作用)、消化作用、再石灰化作用(唾液の中にカルシウムやリンが含まれていて自然に修復する)、潤滑作用(滑舌良くしゃべる)、抗菌作用(ケガしたらつばつけろ)などを持っている。

唾液はリズム。朝起きて出始めて寝ている間は出づらくなる。体はそういうふうにできている。唾液の恩恵を受けられるのは起きている間。歯磨きは寝る前にきちんとやっておかないと、寝ている間に歯周病が進みやすい。

食べたら磨く生活習慣を確立する。歯ぎしり、食いしばりなど歯周病の原因となることをしないよう注意する。食事時以外は上下の歯を接触させず、肩の力を抜き、リラックスする(TCHのコントロール)。

 

■歯を失う原因の1位は歯周病

 

歯を失う原因は何か。若い時は虫歯で歯を失うケースが多いが、40代半ばからは歯周病で失うことが多くなる。3番目の「破折」も増えてくる。ご飯を食べるときはしっかり噛むのが大事だが、それ以外のときはなるべくリラックスしましょう。

「破折」で歯を失うのは非常にもったいない。虫歯も歯周病もない人が力が強すぎるのがゆえに自分の力で歯を壊してしまう。根っこが壊れると抜くしかなくなる。抜糸に至る。

中野医師は本日のテーマから離れるので「破折」の説明はしなかったが、エド日本橋歯科では「歯が割れる、歯根の破折」について解説を行っている。

「歯を失う原因の割合は歯周病が42%、虫歯32%、その他13%、歯根破折11%、矯正1%という報告がある。つまり歯周病、虫歯のリスクがない方、歯は健康でなんでも噛める方にとっては歯根破折が一番のリスクとなる」と指摘している。

歯が割れる、歯根破折に対する治療は現在の歯科医療において確立された方法はなく、どうやら「抜歯するしかない」というのが一般的な方法らしい。ただ歯の破折は理論的に感染源を除去して、再感染しないように歯科材料で破折部を接着などで密閉し続けることができれば治る。こうした治療を続けている歯科もあるようなので、決してあきらめないで欲しいと訴えている。

 

 

 

 

■歯周病

 

・歯周病とは、細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患で、歯の周りの歯ぐき(歯肉)や歯を支える骨などが破壊され溶けてしまう病気。歯ぐきに絡むものは歯肉炎、それ以上進むと歯周炎という。

・ほとんどの場合、口腔細菌=歯周病菌による炎症である。ほかに歯のぐらつきなどが悪化して歯周病になる場合もある。

日本臨床歯周病学会によると、口の中には約400~700種類の細菌が住んでいる。これらは普段あまり悪いことをしないが、ブラッシングが十分でなかったり、砂糖を過剰に摂取すると細菌がネバネバした物質を作り出し、歯の表面にくっつく。これを歯垢(プラーク)と言い、粘着性が強くうがいをした程度では落ちない。

この歯垢1mgの中には約10億個の細菌が住みついていると言われ、虫歯や歯周病を引き起こす。その中でも歯周病を引き起こす細菌が多く存在していると言われる。

この歯垢の中の細菌によって歯肉に炎症を引き起こし、やがては歯を支えている骨を溶かしていく病気になるという。

  1. 歯垢は取り除かなければ硬くなり、歯石と言われる物質に変化し歯の表面に強固に付着する。ブラッシングだけでは取り除けない。この歯石の中や周囲に細菌が入り込み、歯周病を進行させる毒素を出し続ける。歯垢を取り除くことが重要だ。プラークコントロール。

・ギネスブックに認定されていて、全世界で最も患者の多い病気は歯周病である。いかに歯垢を減らすか。

 

歯周炎の模式図

 

 

 

■歯周病の治療

 

・歯周病の治療で一番大事なのは歯垢(プラーク)に付いた細菌を取り除くこと。歯垢は関東に言うと細菌のかたまりだ。歯の表面に付着した白いネバネバした汚れであり、歯磨きやフロスで落とすことができる。毎食後のブラッシングが重要なわけである。

・この歯垢(プラーク)が石灰化して歯磨きでは取れなくなったものが歯石だ。歯石は歯科医院で超音波振動や器具を使って取り除く。

・深い歯周スポットをなくす。ポケットの歯面をなめらかにしたり、歯肉を切ったりする。噛み合わせの調整や抗生剤を服用する場合もある。

・かかり付け歯科医を持つ。定期検診を行うことだ。

・生活を改善する。食べたら磨く生活習慣を確立する。細菌に抵抗力のある健康な体づくり。口呼吸や歯ぎしり、食いしばりの習慣をなくす(TCH=上下歯列接触癖=のコントロール)

 

高血糖が続くと歯周病も悪化する

 

■高血糖が続くと歯周病も悪化する

 

・口臭の原因は歯周病と舌苔(ぜったい)。舌苔とは舌に付く細菌のかたまりのことを言う。食べかすや唾液の成分、口の中の粘膜が剥がれたもの、さまざまな細菌、白血球、色素などからなっている。

・歯磨きの場合、虫歯予防の場合はフッ素、歯周病予防の場合は抗菌剤。フッ素が入っている場合、あんまりゆすらない。軽くゆする程度にする。基本は歯磨き、抗菌剤も併用する。

・クリーニングのメンテナンスは3カ月に1回。短く来て欲しいと言われる場合もある。

・歯周病菌は口の中にとどまっているばかりでなく、移動できる。いろんなところと関わりがある。昔はここまで分かっていなかったが、最近分かってきた。

・糖尿病患者1000万人。予備軍を含めると2000万人。糖尿病とは血糖値の高い状態が続いて血管が傷付くと全身のさまざまな器官に異常が現れる。膵臓から分泌されるインスリンが深く関与している。9割はⅡ型で中年以降に多く発症する。

・糖尿病の人は、糖尿病でない人に比べて、中等度あるいは高度の詩風病になる頻度が2~3倍高い。歯周病が進行しやすく、治りにくい。

・糖尿病のある人は血糖値が高い。血管に中に糖がたくさんできる。タンパクと結び付いて糖化タンパクとなり、糖化タンパクがマクロファージを刺激して歯周病を悪化する物質(サイトカイン)を出してしまう。

・歯周病の人は糖尿病が重症化しやすい。歯周病治療で糖尿病(HbA1c)が改善する。0.2~0.6下がる。とにかく下がる効果がある。

 

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