【軽井沢】窓ガラスに激突した小鳥を手当てし「トリュフ塩」について考察=豪雨のなかでお茶するのも味わい深い老舗珈琲館
■鳥が窓ガラスに激突!
軽井沢は涼しい。平均海抜1000mの高原地帯で、何と言っても昼間でもクーラーをかける必要がないのは嬉しい。うだるような暑さの東京から高原の軽井沢にやってきて5日間だけその恩恵を受けた。
7日の月曜日。この日は予定もなく、午前中からまったりとすごしていた。どこの家もそうだが、朝食は大体7時すぎ。我々は「お客さん」ではなく、同居人。家事もなるべく一緒にすることを条件にしているが、私は本来の怠け者。どうも付いていけないのだ。
食事も終わってのんびりしていたら、「ドーン」という音がした。ビックリして音のする方を見たら、小鳥が窓ガラスにぶつかって下にうずくまっていた。脳しんとうを起こしていたようだ。
以前、留守中(友人夫婦は普段は名古屋に住んでいる)、小鳥2匹が窓の外で死んでいたという。田舎センセイによる田舎暮らしでの悩み解決情報サイトによると、晴れていて見通しの良い日中にもかかわらず、鳥が窓ガラスに激突してしまう理由は「窓ガラスの鏡面効果(ミラーリング)」が主な原因だという。
■原因は鏡面効果か
「窓ガラスが鏡のように周りの風景を写し込み、鳥にとっては空が続いているかのように見えてしまい激突してしまう」のだという。特に都会では、中をのぞきにくい「ミラーガラス」を使っている家が多く、外からのぞき込む角度にかかわらず鏡面効果を発揮するのでぶつかるケースがほとんどだという。
鳥の衝突を防ぐためには、鷹やフクロウなど猛禽類を模したステッカーのようなバードセーバーを窓ガラスに貼るなり、レースのカーテンを閉めておくなどの対策も必要なようだ。
いずれにしても、鳥が窓にぶつかった場合、死んでしまうのは約半数で、残りはしばらく気絶したのちに復活し、飛び去っていくらしい。1匹目の激突で騒いでいるうちに2匹目も衝突、こちらも何とか回復して飛び去ったようだ。優雅に見える避暑地でもいろんなことがあるものだ。
■塩も自然塩から「人工塩」主体に
今やすべての物が細分化されている。例えば、パンでも実に様々なパンが出現している。単なる食パンが今やハード系、ソフト系、菓子パンも無数のジャンルに枝分かれしている。
塩もそうである。作り方で主に2つに分類される。塩田で作られるものが自然塩(天然塩)。海水の中のミネラルが多く含まれており、甘みや苦みを感じられる。
昔はそれが塩だと教えられた。ほかにも塩があるなどと考えたこともなかった。しかし今や自然塩はむしろ珍しく、人間は自然でない人工塩を口にしているのが普通である。そんなこと全く意識しないままに。
自然塩(天日、平釜)に比べ、人工塩は精製塩(食塩、食卓塩とも)と言われている。電気分解によってナトリウムイオンを抽出し、煮詰めることで塩の結晶を作る。値段も手頃であり、スーパーに並んでいるものの多くが精製塩である。
精製塩と自然塩のほかに、もうひとつ中間的な「再製加工塩」(再製自然塩とも)というのがあるらしい。いったん塩になったものに「にがり」(広辞苑によると、海水を煮詰めて精製した後に残る母液)を加えて作る。再加工を行うことで、比較的手頃な価格で、精製塩にはないミネラルバランスを実現できるという。
原材料は主に3種類。海塩、岩塩、湖塩。海に囲まれた日本人は「塩と言えば海水から作られる」というイメージを持っているが、海塩を食べるのは世界人口の約2割。湖塩はごくわずか。その他の多くの人たちは岩塩を食べているといわれる。
■一振りで贅沢感を味わえる「トリュフ塩」
軽井沢の食事の際に出てきたのが「トリュフ塩」。世界3大珍味のひとつであるトリュフをフリーズドライし、海塩と合わせたインパクトのある調味料のこと。常備しておきいつもの料理にパラリとかけるだけで気軽に贅沢気分が味わえると、キナリノ(2021.3.30)は「今話題になっている」とか。
値段も手頃で、ディーンアンドデルーカ(D&D)のトリュフ塩だけでなく、最近はカルディが「ソルトファクトリートリュフ塩」を発売するなど取り扱うお店も増えているという。要は昔の「味の素」のように、食事からデザートまで何にでも使える万能調味料なのだとか。
一振りで手軽にレストランの味を楽しめるので、自宅に常備しておくのはもちろん、ちょっとしたギフトにもお薦めだという。
とは言うものの悲しいかな、どう使っていいのか分からない。わが家にもブレストフーズジャパン(販売業者)の黒トリュフがあるにはあった。600円ほどで買ったらしいが、最初は香りもあったものの、時間がたつにつれて香りも抜けたらしい。
カレーライスにウスターソースをかけて「おいしい」と思う味覚音痴の人間には、どんなうまいものを食べさせても土台通じない。無理なのかもしれない。料理する側に申し訳ない。
■統一された英チューダー様式
7日(月)午後はいつ雨が降り出すかも知れない空模様だった。運動不足もあって折りたたみ傘を手に歩いていけるカフェに行くことにした。
友人宅から20分ほど歩くとその店はあった。店の名前は「カフェ ル・プティ・ニ・トロワ」(小さな鳥の巣)となっていた。ネット上では最近まで「珈琲歌劇」(カフェオペラ)で掲載されていた。オーナーが変わったのかもしれない。事情は分からない。
店内はネットで紹介されているのとあまり変わらない。創業は1982年(昭和57年)の老舗喫茶店。旧軽銀座通りの中心地にありながら、1歩店内に入ると中世チューダー王朝時代(1485~1603)にタイムスリップしたようなノスタルジックな世界が広がっている。
星野リゾートみちくさガイド(2018.7.24)によると、「高級住宅街、芦屋の住居を移築した重厚な店内は、中世イギリスのチューダー様式をイメージして建てられたもの。一枚板のカウンター、建物の梁や床など木材はすべて松の木が使われている」という。
「ステンドガラスをはじめ、調度品はほとんどがアンティーク。ブルーのテーブルクロスもオープン当初から使用したもので、レトロ感たっぷり。最近なかなか経験できなくなった本物の重厚感を堪能できる」
■頂いたオリジナルコーヒー
メニューには「ル・プティ・ニの珈琲は、出窓のある焙煎室でスペシャルティコーヒーを自家焙煎したオリジナルの珈琲です」と書かれている。
「生の豆から厳選し、ル・プティ・ニ契約農園のスペシャルティコーヒー豆を提供しています。お客さまに、より楽しんでいただけるものを。そして、より良いものだけを」
「この想いから、自分たちで手作りできるものは、できるだけ手作りしています。あくまでも手作りの一環としての自家焙煎なのです」と極めてこだわっている。
ゆったりとソファーに座って珈琲やケーキを楽しみくつろいでいるうちに雨が激しく降り出した。雨宿りも兼ねたような夕刻の一時間だった。
営業時間は12~17時。定休日は火曜、水曜、木曜日。帰る時刻には雨が小降りになっていた。そのうちいつの間にか雨も降り止んでいた。雨の軽井沢も悪くはない。
翌日朝、テラスでお茶を飲んだ。最後の朝だった。あっという間の5日間だった。いつの間にか空は晴れ、雨上がりの空気はきれいだった。