【会見】「第9波のピークはこれからで感染はまだしばらく続く」見通しの中、尾身茂氏ら専門家がコロナ対策の3年半を総括

会見する尾身氏ら(日本記者クラブ)

 

ゲスト:コロナ対策医療専門家有志
テーマ:専門家としてのコロナ対策の総括
9月14日@日本記者クラブ9階会見場@伊藤雅之企画委員(NHK)

 

■100年に一度の危機

 

3年半にわたり新型コロナウイルス対策を検討してきた尾身茂・公益財団法人結核予防会理事長、岡部信彦・川崎市健康安全研究所所長、武藤香織・東京大学医科学研究所公共政策研究分野教授が、これまでの専門家としての活動を総括した。この日の会見は日本記者クラブからの要請に基づいて行われた。

尾身氏は2020年の新型コロナの国内流通以降、新型コロナウイルス感染症対策分科会の会長を務め、政府に対策を助言してきた。尾身氏は3年半の活動について「100年に一度といえる危機だった。感染症対策の経験を持つ人間が言うべきことを言わないと、歴史の審判に堪えられないと思った」と述べた。

尾身氏はコロナ対策の成果として、欧米よりも死亡者数を低く抑えることができたと強調。その上で「新しい課題もあぶり出され、感染症が社会や経済全てを巻き込むことが分かった」と語った。

専門家有志はこれまで100以上の提言を政府に提出。尾身氏は専門家同士の意見をまとめる苦労を「それぞれの立場や意見が異なり1つの正解を見つけることが困難だった。科学的な根拠となるデータが不足していたことが最も強いフラストレーションだった」と振り返った。

現在の流行第9波については「全国的にまだピークに達していない」と言及。「感染はしばらく続くので、社会を回しながら高齢者の感染を防ぐバランスが必要」と訴えた。

 

■政府と専門家の橋渡し役担う

 

政府は9月に新たな感染症対策の司令塔として、内閣感染症危機管理統括庁を発足させた。統括庁は厚労省とも連携し、国民生活に重大な影響を及ぼす感染症に対し、高度制限や医療体制整備といった対応方針を示した「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」の改定作業に着手。来年夏の取りまとめを目指している。

尾身氏は新型コロナウイルス感染症対策分科会の会長を務め、さらに「新型インフルエンザ等対策推進会議」議長も務めていた。

同氏は安倍、菅、岸田の3政権で政府と感染症専門家の橋渡し役を務め、記者会見などで感染拡大防止に向けた行動制限の必要性などを説明してきた。

 

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