【南海トラフ地震】8月8日に日向灘で起きた地震に初の臨時情報「南海トラフ巨大地震注意」を発表=想定死者最悪32万人・被災者6100万人と影響がとにかく大きい
■とにかく南海トラフは影響が大きい
「南海トラフ地震対策と臨時情報」について名古屋大学名誉教授の福和伸夫氏が日本記者クラブで9月5日に話をした。
南海トラフ地震についてなぜ他の地震と比べて異なる対策が必要なのか。福和教授は影響の大きさが他の地震に比べ比較にならないほど大きいからと答えた。
福和氏は名古屋大学出身。名古屋が好きでたまらないようだ。「日本は産業のほとんどが中部圏にあるので、ここがこけたら終わり。名古屋人としては中部を守ることが一番重要だ」と強調した。
■トラフとは「舟状海盆」のこと
南海トラフについて書こうとしたら最初からつまずいた。トラフという言葉自体を正確に知らなかったから。政府や学者が使い始めたが、何となく分かったようで本当はよく分かっていない。
ネットで調べたらトラフとは英語で「Trough」。細長い海底盆地のことで深さが6000mより浅いものを言う。舟状海盆とも。6000mより深いものは海溝と呼ぶらしい。
それにしてもなぜこんなにもカタカナ語が多様されるのか。最近出会ったのはラテン語で光を表す「ルクス」+英語の伝説「レジェンド」を併せた「ルジェンド」(今年3月にオープンした軽井沢のフランス料理店の名前)。そんなに目くじらを立てることもないが、もう滅茶滅茶である。
■「表現をあいまいにし、柔らかくする」カタカナ語
役所がカタカナ語好きでやたらめったり使うし、言葉を使うのが商売のマスコミも火カタカナ語が好きだ。英語やカタカナ語で書くと「かっこいい」との響きがあるのかもしれない。
大東文化大学の学生の研究によると、新しい概念を日本に取り入れる場合、日本語に訳しにくい場合は専門家の使っているカタカナ語をそのまま導入する場合も増えている。
確かに「表現をあいまいにし、柔らかくする」ためにもカタカナ語のほうが便利である。日本語だと意味が定まっており、イメージは固まりやすい。
しかしカタカナ語に置きかえるとイメージが広がり、メッセージをあいまいな形で伝達できる。
有名なのが「リストラ」。「再構築」という意味だが、日本ではむしろ「人員整理」という意味で使われている。「解雇された」と言うより「リストラされた」と言った方が日本語で直接的に言うより柔らかく聞こえる。
歌の歌詞でもカタカナ語や英語だとイメージが広がり、いろいろと連想できる。そんな日本人独特の感性がカタカナ語を使用させるのはないだろうか。
カタカナ語は日本語化された和製英語である。しかも短く短縮したりして勝手に自由に使っている。英米人と話しても全く通じないのは当然だ。
■8月8日の日向灘地震で「南海トラフ巨大地震注意」発表
8月8日午後4時43分頃、宮崎県で最大震度6弱を観測する地震があった。震源は日向灘で、震源の深さは約30キロ、地震の規模はマグニチュード(M)推定7.1。
気象庁は今回の地震が南海トラフ地震の想定震源域内のプレート境界において、「M7.0以上、M8.0未満の地震が発生した場合」と評価し、「巨大地震注意」の南海トラフ地震臨時情報を今回初めて出した。一部がずれ動くことから「一部割れ」とも呼ぶ。
この南海トラフ地震臨時情報は巨大地震の東日本大震災を予知できなかったことをきっかけに2017年11月に導入された。防災対応が分かりやすいよう「巨大地震警戒」(M8.0以上)や「巨大地震注意」(M7.0以上M8.0未満)などのキーワードを付けて発表することになった。
観測された異常な現象が南海トラフ沿いの大規模な地震と関連するかどうか調査を開始した場合、または調査を継続している場合は「調査中」、いずれにも当てはまらない現象と評価した場合は「調査終了」が発表される。
■1週間めどに備えを再確認する注意
臨時情報には防災対応に応じて①警戒②注意③調査終了ーの3パターンがある。今回発表されたのは注意で、1週間を基本として、避難経路の確認など備えを再確認する必要を求めた。対象は茨城から沖縄までの29都府県707市町村。
今回の震源地は南海トラフ地震の想定震源域に位置しており、気象庁はまず南海トラフ地震臨時情報(調査中)を発表し、専門家らによる検討会を開催。巨大地震発生の可能性が高まったかどうかを調査した。
今回の地震では九州を中心に広範囲で揺れを感じ、宮崎県日南市で震度6弱、宮崎市と鹿児島県大崎町などで震度5強を観測した。建物の高層階を大きく揺らす「長周期地震動」も発生した。
高知、愛媛、大分、宮崎、鹿児島の各県に津波注意報を発表。気象庁は海岸から離れるよう呼び掛けた。宮崎市の宮崎港では50センチの津波を観測した。