【映画】ドラマ版から5年をへて尾花夏樹(木村拓哉)がパリで三つ星に挑む『グランメゾン・パリ』
監督:塚原あゆ子
脚本:黒岩勉
キャスト:尾花夏樹(木村拓哉)=シェフ
早見倫子(鈴木京香)=スーシェフ
京野陸太郎(沢村一樹)=ホール責任者
相沢瓶人(及川光博)=部門シェフ
リック・ユアン(オク・テギョン)=パティシエ
ルイ・ブランカン=29年連続で三つ星を獲り続けているレス
トラン「ブランカン」のシェフ
パスカル・ブランカン=ルイの一人息子
リンダ・真知子・リシャール(富永愛)=フードインフルエン
サー
■キムタクが主演
キムタク(木村拓哉)主演の映画『グランメゾン・パリ』を観賞した。料理番組なのだが、それはフランス料理。リアリティーも感じられて立派に観賞に堪えうる作品に仕上がっていた。
今やキムタクで通じる。たかがアイドルとは言えない。主役を張ったテレビドラマ作品も多く、映画もほぼ定期的に発表している。芸能界の大物である。
個性を発揮する作品に仕上げるためには主役が重要だが、それを期待通りに勤め上げるのだ。それはもう本人の力量としか思えない。
■パリを舞台に三つ星に挑む
映画『グランメゾン・パリ』はテレビドラマ『グランメゾン・東京』(全10話)を受け、さらに「スペシャル」版(2話)を挟んだ上で撮られた作品だ。
キムタクが『グランメゾン・東京』で演じたのはフランス料理のスーシェフ。早見倫子に世界最高の三つ星レストランを作り上げることを目標に奮闘する話。
『グランメゾン・東京』のシェフの早見倫子は尾花のバックアップもあって見事三つ星の獲得したが、その後、『スペシャル』版では新型コロナウイルスには勝てず悪戦苦闘していた。
『グランメゾン・東京』は2019年秋、TBS系列日曜劇場で放送された。それなりに面白かった。
■小林シェフの存在
料理の世界では世界最高峰といわれるフランス料理の本場・パリ。目標はミシュランガイドでアジア人初となる最高の三つ星を獲得することだ。
映画『グランメゾン・東京』では早見倫子(鈴木京香)がアジア人初のシェフとなったが、『グランメゾン・パリ』では倫子はスーシェフ。
倫子は料理の素材と調理工程がわかるという絶対の味覚の持ち主であり、三つ星獲得にはそれが大いに寄与したが、『グランメゾン・パリ』では尾花夏樹(木村拓哉)に三つ星を獲らせようと頑張る。
映画で三つ星獲得に尽力し、リアリテイーを添えたのは実際にパリで三つ星を取り続けている小林圭というシェフの存在だ。彼を抜きにして本作品の完成は無理だった。
■アジア人初の三つ星を獲得
パンフレットは映画に主演した木村拓哉氏と料理監修を務めた小林圭氏がお互いの仕事との向き合い方について話し合った内容を掲載している。
小林氏は仕事に対する「熱量は尾花と一緒だと思う。彼の『三つ星を獲るんだ』という思いも、お客さまに出す料理のアイディアをどうやって捻りだそうか、と考えて考えて・・・『これなら召し上がっていただける』というところまで突き詰める熱量は、自分も同じだと感じる」と語っている。
また同氏は料理について「自分では厳しい状況だとは思っていない。かといって楽しんでいるわけでもない。むしろ98%が苦しさで、2%がうれしさです」と指摘。「楽しさは一切ない」と述べる。
小林圭氏は1977年、長野県生まれ。19歳で上京し、1998年に渡仏。星付きレストランで修業し、2003年からアラン・デュカスが手掛けるパリの三つ星レストラン「プラザ・アテネ」に勤務。
2011年、パリに「レストランKEI」をオープン。2012年に一つ星、2017年二つ星、2020年にアジア人初の三つ星を獲得し、2024年まで5年連続で星を守り続けている伝説のフレンチシェフ。