【森林公園】ポカポカ陽気の中、多彩な花のバリエーション豊かな「クリスマスローズ」や約120品種・500本の梅林を楽しんだ国営武蔵丘陵森林公園
■翌年も咲かせるために
2月になると春の到来が待ち遠しい。梅の花がまず咲き、そのうち水仙も顔をほころばす。
しばらく花が咲かなかったわが家の水仙が去年に続いて今年も咲いた。しばらく咲かなかった。
それだけに花が咲いたとなると嬉しさも格別だ。植えている場所はそれなりに日光もあり、なぜ咲かなかったのか不思議だ。
水仙の花が咲かないのは日当たり不足、肥料不足が2大理由だ。
水仙は肥料がなくても自力で咲く力を球根にためているようだが、植えっぱなしだったり、植えた球根が痩せていたのでは花を咲かせないという。
咲き終わっても枯れても葉はそのままにしていくことがお薦めだとか。葉が光合成をして球根に翌年花を咲かせるためのエネルギーを蓄えるのだという。
ただ、花が終わったら葉っぱではなく、花茎(花だけをつける茎のこと)を切っておくと、効率良く球根へエネルギーを蓄えさせることができるらしい。
■これがクリスマスローズ
もう10年以上前からわが家の庭に植わっているクリスマスローズ。確かに庭に花の少ない冬から春にかけて花を付けるクリスマスローズは嬉しいものだ。
ただ、クリスマスロースの花はどれもうつむき加減、下向き加減。手を添えてやらないと中が見えない。それが嫌いで、どうも邪険にしてきた。
それがいつのまにか、「クリスマスローズ」「クリスマスローズ」と手のひらを返したような扱いをしている。なぜだか自分でもよく分からない。
少し前まで「バラ」「バラ」と明けても暮れてもバラに恋していた自分を思い出す。何とも勝手なものだ。
■陽気に誘われ森林公園にドライブ
あんまりポカポカ陽気なので3月初日の1日(土)、ドライブに出掛けた。行き先はクリスマスローズが植栽されている国営武蔵丘陵森林公園(埼玉県比企郡滑川町山田)。
森林公園は明治百年記念事業の一環として埼玉県比企郡滑川町と熊谷市にまたがる304ヘクタールの広大な丘陵地に整備された全国初めての国営公園。
とにかくばかでかい。東京ドーム約65個分の広さを誇る。昨年7月23日には開園50周年を迎えた。東京・練馬の自宅から車で50キロ、高速道路を使っても1時間だ。
■レンタサイクルや園内バスも運行
中央口から徒歩約15分の公園・庭園樹園の一角ではクリスマスローズが次々とつぼみを開き、まもなく最盛期を迎えようとしていた。
公園・庭園樹園には約1000株のクリスマスローズが植栽されており、小径から白や紫などの花を近くに見ることができる。
関東地方は今年、ことのほか好天気が続き、この日もポカポカ陽気。広大な敷地内には全長17キロのサイクリングコースも整備され、歩くと結構疲れる道もレンタサイクル(有料)を借りればすいすい回れる。
8カ所の停留所に停まる園内バス(有料)も運行中。南口、西口、中央口の各ゲート間をおよそ20分で結んでいる。
自分の万歩計を見ると、1万4818歩を刻んでいた。レンタサイクルも良いが、とにかく広い園内の一部を歩いた。やはり疲れる。
■英国での呼称「クリスマスローズ」をパクッと取り入れた日本
植物園展示棟前では企画展「早春を彩るクリスマスローズ」を開催中。それによると、クリスマスローズは「ローズ」と名乗るものの、バラ科の植物ではなく、キンポウゲ科ヘレボレス属の植物。
原種は主にヨーロッパに自生し、寒さに強く、寒冷地でも丈夫に育つという特徴を持つ。
英国ではクリスマスの頃に「ヘレボレス・ニゲル」という種が咲き、その姿が白バラのように見えることから、ニゲルのことを指して「クリスマスローズ」と呼ぶようになったという。
日本ではニゲルだけでなく、ヘレボレシ属を総称してクリスマスローズと呼んでいるのだとか。
■深紅の鹿児島紅がきれい
3月初旬である。桜にはまだ早いが、ちょうど梅の季節でもある。そんなことを考えながら歩いていたら、確かに梅林があった。
南口から徒歩10分くらいのところに約100品種400本の梅が開花していた。梅も実に様々な色合いがあって、見分けるのが難しい。
坂をかなり下ったところに鹿児島紅(かごしまこう)を見つけた。これほど深紅の梅は初めてだ。
■黄色いクリスマスローズを選ぶ
森林公園に展示されていたクリスマスローズは同公園からほど近い加藤農園(埼玉県東松山市)の作品だった。
クリスマスローズを中心に育種・販売を行っている生産者。日本中のクリスマスローズが集まる「クリスマスローズの世界展」における新花コンテストで最優秀賞を受賞したこともあるという。
公園からそんなに遠くないので立ち寄ることにした。所狭しと並んでいて圧巻。その中から選んだのがこれ。3000円。一番欲しかったのは光沢があり、「グロッシー」という品種らしい。8000円と高価で諦めた。
「一期一会」だと断念するべきではなかったと思うが、残念ながらこちら側に目利きの能力がなかった。クリスマスローズは植物の中では高価。バラと同じくらいか、もっと高いものもある。
■花の形や模様など希少性が人気に
クリスマスローズもいつの間にかよく分からない存在になっている。花の形もシングルのほかに、セミダブル、ダブル、丸弁、剣弁、カップ咲と多種多彩なものに変貌しているのだ。
模様だって、ブロッチ、アイ、ベイン、ダークネクタリー、スポット、ピコティなどとまるで歯をかみそう。複雑怪奇、意味不鮮明である。誰がこんな名前を付けたのか。
珍しい種類や有名育種家の交配、原生地採種の原種や血統のよいものなど、希少性があるとプレミアムがつくらしい。
色や形のよい花ほど値段も高く、レベルの高い花だと数万円の高値が付くこともあるという。
何でもマニアがいるらしい。マニアは欲しいと思ったら価格は気にしないから困る。
茨木県小美玉市の八進緑産株式会社の運営する「グリーンロケット」によると、「クリスマスローズは発芽から開花するまでに、約3年かかる宿根草」。一期一会的なものらしい。何でも奥が深そうだ。