【花見】三寒四温を繰り返しながらようやく迎えた満開の桜=見頃の桜は人を集めるが、いずれは樹勢も衰え更新対象に
■エキゾチックなバイモ
草花にとって3月は忙しい。あっという間に咲くバイモ(貝母)みたいな花もある一方、暮れから春先にかけて結構長期にわたって咲くクリスマスローズのような花もある。
黄緑色の釣り鐘姿のバイモは可憐そのものだ。ユリ科の植物で、「編み笠百合」と称されているとか。
なかなかエキゾチックな花姿で、普通の花壇では容易に見掛けない。家人が友人からもらってきたもので、それがもう10年以上も咲いている。
わが家の花壇は猫の額みたいに狭いながら、次から次へと新しい草花が加わっており、地面の下では壮絶な陣地合戦が展開されているようだ。
どの花もそれなりに自己主張が強く、茎を伸ばして自分の好きな場所を目指して動く。勝手に首を伸ばして地上に顔を出すのだ。あんなところに植えた覚えはないのに・・・と思うことも少なくない。
■三寒四温が続いて東京は積雪も
特に2月~3月にかけて、寒い日が3日続くと、そのあと4日ほどは温暖な日が続き、また寒くなるというように7日周期で寒暖が繰り返される天候のことを三寒四温という。
歳時記などでは冬の季語として扱われているが、最近では冬の終わりから春先にかけて使われることが多い。春の長雨のことを言う「菜種梅雨」も同じこと。
東京都心では3月19日午前9時の気温が1.8℃で「みぞれ」を観測。午前10時には「1センチの積雪」を記録した。3月4日にも1センチの積雪を見ており、今年は2回積雪があった。
それでも豪雪地帯に比べると、雪が降ったと言っても東京の積雪は大したことがない。それでも普段ほとんど降らない東京が雪景色になるのが珍しく、メディアが大騒ぎするだけである。
■意外と素朴なスイセン
「スイセンはチューリップに先駆け、早春の光と風の中にまばゆい黄金色の花びらを揺らし、春の庭にはなくてはならない花」(サカタのタネの運営する園芸通信)。
黄色や白色の花色が主体で、チューリップやヒアシンスなど多彩な花色の楽しめる花に比べると、地味目。下向きに咲く花は控えめで、なんともはかなげだ。
わが家では垣根で囲った内庭の外側で自己主張するわけでもなく、ひっそりと咲いている。
スイセンの歴史は極めて古く、紀元前800年にはホメロスにより詩に詠まれ、栽培も古くから行われていたらしい。
また改良の歴史も100年を超え、2万を超える品種が作られているという。原産地は地中海沿岸、特にスペイン、ポルトガルに多く、約35種類の原種が知られている。
■太陽の光が好きな黒法師
わが家の玄関先に置いてある黒法師(クロホウシ)。どこで買ってきたのか忘れてしまったが、鉢に入れて水をやっていたらこんなになってしまった。
ボタニカルライフについて情報発信しているLOVEGREENによると、黒法師は冬型の多肉植物の代表とも言えるアエオニウムの中でも最もポピュラーな品種。冬に成長し、夏は休眠する。
面白いのは茎の上部に、ロゼット状(葉が放射状に広がる様子)の葉っぱを付け、まるでお花が咲いているような株立ちで上に伸びていく黒紫の葉の形状。よく見たら途中から枝が3本分かれ.同じような顔を作っていた。三ツ目小僧のようである。
春と秋は土が乾いたら鉢底穴から流れるくらいたっぷりと水やりする。冬は乾燥気味に。夏は月に数回程度でほぼ断水するほど。
■山桜と染井吉野のコントラストが絶妙
今年も桜の季節が巡ってきた。雨の上がった3月30日(日)、石神井川沿いを歩いた。
歩き始めは目白通りの上新田橋。桜並木と言えばここからの景色が一番好きだ。まだ7分咲きくらいだが、花びらの量が少ない。5年前に見たときはもっと川の水が見えないくらいだった。
それが水面もしっかり見える。見えすぎる。それでもやや緑混じりのヤマザクラとピンク色のソメイヨシノのコントラストが鮮やかだった。
そこから西武池袋線練馬高野台駅までの約2キロ、さらに石神井公園までの約2キロ、その先早稲田高等学院までの約2キロと桜並木は川沿いに伸びている。
石神井公園まではいつも歩いているものの、その先は歩いたことがなかった。どこまで桜が植わっているのかと思ったが、BrilliaCity石神井公園ATLAS(上石神井3)という高層マンションまでは確認できた。
それにしても川沿いと言いながら、どこまでも桜、桜、桜並木の連続だった。日本人はこれほど桜が好きだったのかと思った。
早稲田高等学院近くのバス停「あたご橋」から成増町行きのバスに乗って返ることにした。谷原3丁目で降りて、そこからわが家までは歩いて10分ほど。
最近は散歩も行きは歩き、帰りはバスが普通だ。
■光が丘公園は桜の名所
光が丘公園は花見の名所としては地元民には結構よく知られているが、東京全区で有名というほどではない。東京西部では関脇か前頭筆頭くらいか。
しかし芝生があって、ござを敷いて満開の巨木の下で花見もできる格好の場所でもある。昔、公園に接した板橋区の団地に住んでいた頃、花見をしたことを思い出す。
まだ規制が緩くてのんびりしていた時代。仲間内でテーブルを持ち込んで結構豪華な花見だった。最近はご無沙汰している。
■花見の”群衆”を再現
ところが4月5日(土)、友人とランチのため光が丘に行っていた家人から「花見客で公園が埋め尽くされている」との連絡があった。
この前晴れた3月30日は石神井川添いを歩いたので光が丘公園へは行かなかった。しかもよく雨が降った。4月4日(金)こそ晴れたが、日本語教室対応で花見どころではなかった。
家人からの連絡は渡りに船。日曜はまた雨予報が出ており、晴れてかつ満開の桜を見るのは5日(土)しかないグッドタイミング。
慌てて自転車に飛び乗り、現場に向かった。到着は午後3時頃。自分の目で確認したのがこの光景だ。
明日は雨の予報が出ている。今日のうちに花見をしておかないと今年はもう見られないかもしれないと思う人たちが押し寄せた格好だ。
■桜にも限界がある
練馬区内の桜の名所も数々あれど、やはり自宅周辺の桜が一番いい。高松小学校の裏門にも3本の老木が咲いている。
今年も咲いた。しかし、老木はいつかは伐採される運命にある。花を開花させるだけの力が弱まっているのだ。
悲しいが、どんなものにも限界がある。寿命がある。いつまでも永遠に咲き続けることはない。
練馬区は石神井川沿いの桜並木を健全に育成し、美しい桜並木の景観を将来にわたり引き継いでいく方針を決めている。
その方針に基づき、樹木医による桜の健全度診断を行い、その結果桜の更新工事を行っている。令和7年度の対象は15本で、秋から冬頃に実施の予定だ。
この春に咲いた桜は住民が見ることのできる最後の花。若い桜は木目も若々しく花付きも見事。樹勢が旺盛だが、これが衰えていく。これも宿命かもしれない。
■桜も終わりに
日本人は本当に桜が大好きだ。どこでも植えられている。何かと言えば植えるのは桜だである。
今年は咲き始めたと思ったら急に温度が急低下した。風も吹いたが、花も散らずに済んだ。おかげで10日間ほど桜を見ることができた。
■珍しい「御衣黄」も
やはり長く花見をできるのは嬉しいものだ。桜だけでなく、モクレンやこぶしも咲いている。いろんな植物が春を謳歌し始めた。
ソメイヨシノも悪くはないが、私のひいきは緑の桜「御衣黄」(ぎょいこう)。
緑色と黄色が混ざった花で、満開になるにしたがって紅色の線が現れてくる。江戸時代初期に品種改良で生まれた八重桜の一種で、貴族が好んだもえぎ色の気品ある衣をイメージし、この名前が付いたと紹介されている。
花の色が地味なせいかあまり普及せず、それが逆に全国的にも本数が少なく、珍しい桜となっている。
ソメイヨシノが散り始める頃に、入れ替わるように咲き始める。開花時には萌黄色濃いため、葉と間違われやすいものの、開花が進むにつれて緑色が淡くなる。
花が成熟すると中心部に紅をひいたような条線が浮かび上がり、日に日に赤みを増していくため、見る時期ごとに色の変化も楽しめる。