【ドキュメンタリー】自分の生き残りのためだけに戦争を続ける権力者の一端を浮き彫りにした『ネタニヤフ調書 汚職と戦争』

パンフレット

 

題名:『ネタニヤフ調書 汚職と戦争』
製作総指揮:アレックス・ギブニー
監督・製作:アレクシス・ブルーム
製作:ラヴィヴ・ドゥルッカー(兼・出演)、カラ・エルヴァーソン、デヴィッド・ラーツ
撮影:アヴネル・シャハフ
編集:アンディ・グリーヴ、ハリル・エフラト、グレイム・バトラー
音楽:ウィル・ベイツ
映画観賞日:4月22日@シアター・イメージフォーラム

 

■中東2戦争の中心にいるネタニヤフ首相

 

中東で戦争が続いている。1つはイスラエルによるパレスチナ攻撃。2023年10月7日にイスラム原理主義組織ハマスのイスラエル奇襲を受け、イスラエルがガザへの大規模空爆・地上侵攻を実施。イスラム教シーア派組織ヒズボラが拠点とするレバノンをも越境攻撃している。

もう1つはイスラエルと米国が2026年2月28日に行ったイラン戦争だ。制空権を握った両国はイランの軍事関連施設を空爆で破壊し、一時停戦と言いながらもさらに民間の社会インフラの破壊も辞さない構えだ。

特に米国を巻き込む形でイランを徹底的に破壊しようとしているのがこの攻撃を主導しているイスラエルである。そしてこのイスラエルの最高指導者がベンヤミン・ネタニヤフ首相だ。

 

■ネタニヤフ首相取り調べ動画のリークがきっかけ

 

この映画の素材は2023年夏、製作総指揮のアレックス・ギブミー氏に「情報源」からリークされたネタニヤフ首相や彼の家族、関係者などの約1000時間以上にわたる取り調べ動画。

ギブニー氏は米アカデミー賞、エミー賞など多数の賞を受賞している「現代で最も重要なドキュメンタリー作家」(1933年創刊の米男性誌エスクァイア)と称されるなど世界では有名なドキュメンタリー映画監督・プロデューサー。

代表作は『「闇」へ』(2008年、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞)、『GONZO~ならず者ジャーナリスト、ハンター・S・トンプソンのすべて~』(2008年、サンダンス映画祭ドキュメンタリー部門グランプリ)、『エンロン巨大企業はいかにして崩壊したのか』(2006年アカデミー賞等辺ドキュメンタリー賞ノミネート)など。

情報源からの接触を受けたギブニー氏は一緒に働いたことのあるアレクシス・ブルーム氏に連絡をとり、彼女に監督を依頼した。「すべての始まりはSignal(シグナル)で届いた一通のテキストメッセージからだった」。

 

■在任中に刑事起訴されたネタニヤフ首相

 

ネタニヤフ首相に対する刑事捜査は2016年12月に正式に開始されている。容疑は贈収賄、詐欺、背任で、首相本人や直系家族、側近や友人など数十名が警察の取り調べを受けた。

パンフレットに記載されたクロノロジーによると、警察は2019年2月13日、十分な証拠があると結論づけ、刑事起訴を勧告。同年11月21日、マンデルブリット司法長官は詐欺および背任、贈収賄でネタニヤフ氏を起訴した。

ネタニヤフ氏は在任中に刑事起訴された初のイスラエル首相となった。

 

■3つの事件で起訴

 

映画のパンフレットによると、ネタニヤフ氏は3つの事件で起訴されている。

ケース1000では「ネタニヤフは、映画プロデューサーのアーノン・ミルチャンや豪州の大富豪ジェームズ・パッカーから、葉巻やシャンパンなど総額約30万ドル相当の個人的贈り物を受け取ったとされている。見返りとして、ミルチャンに有利な税法改正を推進したり、米国ビザの件で便宜を図った疑いがある」(詐欺および背任)

ケース2000では「ネタニヤフは大手イスラエル紙『イェディオット・アハロノット』発行人アーノン・モーゼスと、競合紙の流通を制限する代わりに好意的報道を受けるという取引を画策したとされる」(詐欺および背任)

ケース4000では「通信大手ベゼック社のオーナー、シャウル・エロヴィッチが所有するニュースサイト『ウラ(Walla!)』の報道内容や人事に、ネタニヤフと家族が不当な影響力を行使したとされている。その見返りに、ベゼックの巨額取引を政府規制で承認し、エロヴィッチに最大5億ドルの利益をもたらした疑いがある」(詐欺、背任、贈収賄)

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