【九州ドライブ旅行①】初めての尾道は「千光寺山」が全山観光資源化されているのにびっくり=「ロープウェイ」「坂のある町」「猫の細道」など観光客が喜ぶものがてんこ盛りの港町
■九州ドライブ旅行の初泊地は滋賀・多賀SA
九州ドライブ旅行を計画・実行した。長崎までの北部九州は修学旅行を含めてこれまで行ったことがあるので、今回は九州南部を巡る旅にした。とりわけ宮崎、鹿児島両県はどちらも初めてだ。
東京からだと空路で飛び、現地でレンタカーを借りるのが普通だが、今回は全行程車にした。7月で78歳。恐らくこれほどの距離を走るのはもう二度とないと考えた。
全体は11泊。最後はフェリーにしたが、10日間は車で走ることになる。やはり無理は禁物で、安全運転が重要だ。
総合的に考慮し初泊地は高速道路上に宿泊施設がある多賀SA(名神高速)に決めた。東京からだと走行距離は約450キロ。練馬の自宅からだと500キロ近くもある。
■多賀大社で旅の無事を祈願
名神高速道路の多賀SA(滋賀県犬上郡多賀町)は高速を下りることなく自由に周辺観光地を訪れることのできる数少ないSAの1つで、2014年にもそれを利用して多賀大社を訪れている。
古くから「お多賀さん」の名で親しまれる滋賀県第一の大社。生命(いのち)の神様だとか。御祭神は伊邪那岐大神(いざなぎのおおかみ)と伊邪那美大神(いざなみのおおかみ)の2つ。
古事記によると、この2柱の大神は神代の昔に初めて夫婦の道を始められ、日本の国土、続いて天照大神をはじめとする八百万(やおよろず)の神々をお産みになられたという。
古く「延命長寿・縁結び・厄除け」の神様として信仰を集め、鎌倉時代から江戸時代にかけては武家や民衆にも信仰が広まり、多賀大社の分祀社は全国239社を数えるという。

絵馬ならぬ杓文字がずらっつと・・・

門前の「多賀や」さんに飾られた大きなしゃもじ
元正天皇の病気に際し、当社の神主が強飯を炊き、イヌシデやアカシデ、クマシデなどの落葉高木のシデの木で作った杓子(しゃくし)を献上。手の脳波たちまち治癒されたと伝えられている。
杓子は汁物や米をすくったり盛ったりする道具(しゃもじやお玉)の総称。現在ではご飯用うぃ「しゃもじ」、汁用を「お玉杓子」と区別するところが多い。多賀大社では杓子を「お多賀杓子」と呼んで有名だ。
また天正16年、太閤秀吉は米1万石を事納し、母大政所の病気平癒を祈った。太鼓橋や奥書院庭園はその奉納によって築造されたと伝えられている。
多賀は今回、素泊まり。チェックインして多賀大社周辺を散策したのは午後5時ごろ。広大な境内はまだ明るく、人もほとんどいなかった。厳かな雰囲気に満ち、旅の無事を祈った。
夕食はSA内に単独店舗を構えている「餃子の王将」(京都発祥)で済ませた。全国500店舗を超える業界トップの中華レストラン。1967年に創業。「より美味しく、より安く、スピーディーに」の信条で高速道路初出店の店だ。
■ロープウェーで山頂へ
多賀の次に目指したのは広島県尾道市。午前8時に出発し、昼頃到着した。JR尾道駅前の公共駐車場に車を駐め、向かったのは千光寺頂上展望台PEAK。
尾道は坂の上の寺社やレトロな路地などが融合した人気スポット。とにかく坂の上から見下ろす景色が絶景とかで、標高144mの山頂を目掛けた。
どうやら我々夫婦は自分の興味のあるもの、関心のあるもの、初めてのものには目がないのだ。疲れていることを忘れてついそのことに没頭する。
それで旅が終わって病気を発病させたりする。悪い癖だが、これが抜けきれない。今回もそれがないことを祈っておこう。
■気になった「観光目当てばかり」
ところで山頂までは千光寺ロープウェーを利用するのが便利とか。山麓駅から山頂駅まではものの3分。15分間隔で運転され、あっという間に山頂にたどり着いた。
便利というか、あまりにもあっさりしていて拍子抜けした。ここまで街自体が観光資源化していたら、逆にあきられるのではないかと心配した。
神戸のように同じ山に這いつくばった街でも、規模がもっと大きいとか、もっとほかのものがあるとか、人の興味をそそる別の物があってもよさそうだが、どうもそれがない。どれもこれも観光目当てばかり。それがちょっと気になった。こんなこと高齢者が気になっても大勢に影響はないか!!
■絶景を楽しんだあとは・・・
待っていたのは2022年3月にリニューアルオープンした展望台「PEAK」(ピーク)。長さ63mの展望デッキからは尾道水道や日本遺産の街並みを大パノラマで楽しむことができた。これほどの眺望はなかなか手に入らない。
この日も真夏日のような陽光が差し込み、風がなければ木陰に逃げ込みたくなるような午後の日差しだった。
展望デッキ「PEAK」からは「絶景」と呼ぶしかない景色が広がっている。前面にしまなみ海道を眺めながら風に吹かれていればこの世のものとも思えない。
絶景を楽しんだあとは千光寺山をのんびり下ってくるのだが、山頂から中腹にかけて広がる展望スポットが千光寺公園になっている。公園内には安藤忠雄氏設計による市立美術館もあって立ち寄りたいスポットだ。
眼下には尾道水道や瀬戸内海に浮かぶさまざまな島々が浮かんでいる。しばし休んでそれを楽しんでも良し。「文学のこみち」など用意されている。
途中に千光寺があった。806年創建といわれる断崖絶壁に建つ尾道のシンボル的なお寺である。
■「猫の細道」があるらしい
近年ではさらに「猫の町」としても知られている。漁港があり、坂道や小さな路地も多いため、昔から猫も多くいたが、そう呼ばれるようになったのは芸術家・園山春二氏の企画「猫の細道」の力が大きいようだ。
頂上から下りてきて、尾道で一番古い「艮神社」(うしとらじんじゃ)があり、その近くに左右に200mほどの細い路地が走っており、その路地を「猫の細道」と呼ぶという。
野良猫など昔はどこにでもいたものだが、最近は猫好きが可愛がって「保護猫」という名前を付けて大層可愛がり。猫カフェも増えている。
■犬猫を買うのは今や富裕層
どうやら今では猫や犬を買えるのは富裕層に限られるようだ。1匹20万円、30万円というのは普通で、食べるものも上質のドッグフード。
さらには高額なのがクリニック代。狂犬病だけかと思っていたら最近は人間様も罹る糖尿病や心臓病などにかかる犬猫も多いという。
猫や犬が好きなのはよいが、最近の犬猫繁盛記は既に一般レベルを軽く超えている。それでも自分の食べ物を減らしても犬猫に給餌する富裕層はいるようだ。
犬猫にそんなに愛情を注げない人間も逆に一定程度いることも考えてほしい。いくら愛情を注ぐ対象だとしても、何事も行き過ぎはよろしくない。人間はやはり欲深である。
■ボタン寺でもある天寧寺
千光寺山をかなり下りてきて天寧寺があった。「自由にお参りください」と書かれていたので中に入った。
畳の上に座っていると、自分が檀家である兵庫県丹波市の円成寺と雰囲気がよく似ていたことに気付いた。よく寺内を観察すると何と同じ曹洞宗の寺院だった。
お参り帳がおいてあったので、これもまた縁。その旨を記した。庭が広く、ボタンが植わっていた。どうやらボタン寺でもあるらしい。
自宅に戻って調べたら「五百羅漢」が寺宝らしい。それらしきものがあるところに行ったものの、見ないまま引き返した。惜しいことをした。その代わりに「さすり仏さん」をしっかりさすってお祈りした。
天寧寺は1367年創建。本尊は釈迦牟尼仏。創建当時は東西3町にわたる七堂伽藍を配した臨済宗の大寺院だったが、元禄年間に現在の曹洞宗に転宗したといわれる。転宗とは聞き慣れない言葉だが、そういうこともあったのだろう。
本通りをぶらぶら歩いていたら、この建物にぶつかった。1923年(大正12年)に建設されたものを、平成18年(2006年)当時のように復元改修したものだという。
当時としては最先端の鉄筋コンクリート造りで、外観も洋風建築様式を取り入れ、2階と3階は吹き抜けの階段状議場となっている。
大正ロマン漂うこの建物は、商業会議所として建築された鉄筋の建築物としては現存する日本最古のものであり、2004年に尾道市重要文化財に指定されている。
■触感がたまらない「あさりの唐揚げ」
「尾道ラーメン」は小魚(いりこ)の出汁と背脂が効いた醤油スープが特徴のご当地ラーメンで、通りを歩いていたら何軒も暖簾がかかっていた。
食べたのはあさりの唐揚げ。サクサクの触感と、あさりの旨味が口の中に広がる感覚が確かに病みつきになるような気がする。
1つ食べ終わると、次がまた欲しくなる。ビールがあれば最高だと思った。あっという間に食べ終わった。
レモンを搾ってざっと振りかける。そのレモン汁が何ともうまいのだ。たまらない。
■ドッグやクレーンのある造船業の街
「尾道駅前桟橋」(尾道港)エリアは港町・尾道を思い浮かばせる。高速を下りて尾道市に向かう車からは尾道造船などのドックやクレーンが目に入ってくる。
独立系の中堅造船メーカーの尾道造船は兵庫県神戸市に本社を置きつつも、ケミカル船やタンカー、ばら積み船などの建造する造船所は尾道に持っている。
向島(むかいしま)へ渡るフェリーや観光船が頻繁に行き交う尾道らしい風情あふれる港湾風景が塩の匂いととも広がっている。






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