【九州ドライブ旅行⑦】フェリーを乗り継ぎ天草半島に上陸=カトリック﨑津教会や大江教会を見学しキリシタンについて考えた1日
■ドライブインで休憩
鹿児島市を出たのが9時半頃。薩摩川内市から海沿いを走り、ドライブインでトイレ休憩した。その名前の分からないドライブインで出会ったのが鹿児島県に委嘱された調査員氏。
九州で東京・練馬ナンバーは珍しかったのだろう。観光客を対象としたアンケート調査への協力を求められた。こちらも地元の情報を欲しかったので応諾した。
■人形岩の絶景
そこで紹介されたのが人形岩。国道3号沿いの西方海岸にある奇岩で、人形岩の向こうに夕日が沈む様は絶景だとか。
この岩は子どもを抱えた母子の姿に見えることから、漁から帰らぬ夫の無事を祈り続けたまま息絶えた母子を不憫に思った海底の守り神が、岩の塊に変えてしまったという伝説が語り継がれているという。
どれが人形岩か判然しなかったが、たまたま居合わせた釣り人に聞くと丁寧に教えてくれた。これから天草に行くのだと言うと「ぜひ﨑津教会を訪ねてみてほしい」と言われた。
■のんびりした風が吹き渡る
いよいよ熊本県・天草に上陸だ。三和商船が蔵之元港(くらのもとこう)から牛深港(うしぶかこう)まで1日10往復運行している。
乗船開始は出発の10分前から。所要時間は約30分と短かった。あんまり短いのでドライバーは車から下りない。乗ったまま運ばれる。
とにかくびっくりするくらいのんびりしている。その中で透き通った海と初夏の風が心地よく吹き渡る。
■静かに佇む﨑津教会
牛深港から島原半島を北上し、熊本県天草市の﨑津(さきつ)集落を訪ねた。同集落には弾圧された潜伏キリシタンが居住し、約250年の弾圧後に信徒らによって建てられた「﨑津教会」(天草市河浦町﨑津)がおごそかに立地している。
私は個人的には仏教徒(曹洞宗派)。それをこれまで深く意識したこともないが、いつの間にか檀徒に組み込まれ、そういうふうになっている。実際は無宗教といったほうが正しい。宗教心は極めて希薄だ。
キリシタン(禁教時代の日本人カトリック教徒)については知識だけは多少持っているものの、一家言あるわけではない。
キリシタンはイエズス会宣教師フランシスコ・ザビエルが1549年に日本に伝え、一時はキリシタン大名も生み発展したものの、1637~38年の島原・天草一揆の後、江戸幕府によりキリスト教が約250年にわたって禁じられた。
信教の自由を奪った江戸幕府の決定は許せないと思うものの、今は歴史の一コマとしてとらえることしかできない。おそらくたいていの日本人は私のような無宗教ではないかと想像する。
■世界遺産に登録
初めて見た教会はかつてキリスト教禁教時期に「絵踏み」が行われた庄屋役宅の跡地に1934年に長崎の建築家・鉄川与助によって建てられており、潜伏キリシタンの苦難と信仰復活の歴史を伝えているという。
﨑津教会は2018年にユネスコ世界文化遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の1つ。ゴシック様式のシンボル的な教会だ。
内部は国内でも大変珍しい畳敷きの礼拝堂になっており、穏やかな羊角湾のそばにあることから「海の天主堂」とも呼ばれているらしい。
■当日限りのレアな﨑津名産「杉ようかん」
教会近くのお店で﨑津名産「杉ようかん」を買った。1790年に琉球王国の使節団を乗せた船が難破し﨑津に漂着した際、村人に救助された御礼に作り方を伝授したようかん。
「杉ようかん」というが、実際はこし餡をうるち米のお餅で包んで蒸し上げた、しっとりもっちりした口当たりの伝統的な郷土菓子。表面に赤いラインが引かれ、殺菌や保水効果のある杉の葉が乗せられているのが特徴で、おいしくいただいた。
集落の入口にある旧網元岩下家。現在は、当時使用していた家財具や漁具を展示し、休憩所としても利用できる。
邸宅裏には魚の水揚げ、干物干しなど、漁師の生業の場として利用された「カケ」もあり、「﨑津・今富の文化的景観」をつくる世界遺産の重要な構成要素の一つとなっている。
■最も早く復活した大江教会
﨑津地区以外にも今富地区や大江地区には潜伏キリシタンの関連遺産が点在している。天草ロザリオ館や天草コレジョ館などがそれだ。
大江地区も潜伏キリシタンの里の1つで、この地には大江教会が建ちキリシタン復活の中心地なっている。
大江教会は、キリスト教解禁後、天草で最も早く造られた教会で、現在の建物は1933(昭和8)年ガルニエ神父が地元信者と協力して建立した。﨑津教会と同じく鈴川与助が設計・施工を行った。
半円アーチの窓やドーム型の塔を持つロマネスク様式が特徴の教会で、周囲にはソテツやヤシなど南国の木々や草花が植えられている。
■目指すは長崎・稲佐山温泉
鬼池港から口之津港までは島鉄フェリーを利用した。30分間。硫黄の匂いが沸き立つ雲仙市街を目をつぶって走り抜け、諫早市を通過。長崎の夜景を望める稲佐山温泉ホテルアマンディを目指した。
周囲を山々に囲まれ、すり鉢状になっている長崎独特の地形が生み出す夜景はまるでイルミネーションが爆発したみたい。とにかくまばゆいばかりだ。
るるぶ九州によると、長崎の夜景は北九州、札幌と並ぶ日本新三大夜景だとか。神戸や函館の夜景も気になるが、とにかく長崎と言えば伊佐山公園展望台から眺める夜景が一番らしい。
稲佐山温泉ホテルアマンディは夜景を眺めながら天然温泉を楽しめるホテル。
■長崎の夜景
泊まったホテルは今回の旅では2番目に高いホテルだった。長崎和牛や長崎名物「卓袱料理」もさることながら、とにかく部屋もとても良かった。
ツイン+書斎+リビングの87㎡。コーナールームのため、煌めく夜景が2面の窓から望むことができる。夜景を最も美しく眺めるため、照明はデザイナーによるものだという。
さらに書斎や有名デザイナーのチェアなども用意され、なかなか工夫され楽しめた。願わくば、もう1泊できれば最高だった。
ちなみに「るるぶ」によると、ホテルから近い稲佐山公園展望台は標高333mにある県内屈指のビューポイント。山肌に立ち並ぶ家々の明かりと、その下に広がるきらびやかな街の明かりによる立体的で美しい夜景を観賞できるという。












