‘会見メモ’ カテゴリーのアーカイブ

「AIは万能ではない」

カテゴリー: 会見メモ, 科学/技術/イノベーション

2019/05/27  15:37


 

新井紀子国立情報学研究所教授

 

ゲスト:新井紀子(国立情報学研究所社会共有知研究センター長・教授)
一般社団法人 教育のための科学研究所理事長・所長
テーマ:日本記者クラブ総会記念講演会
2019年5月27日@日本記者クラブ

 

国立情報学研究所の新井紀子教授(1962年10月~)は27日、日本記者クラブで講演した。新井教授は「ロボットは東大に入れるか」プロジェクト(東ロボくん)を指揮する一方、幅広い年齢層を対象に読解力を調べる「リーディングスキルテスト」を主導した。

これらの経験をもとにした著書『AIvs教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社、2018)で示された子どもたちの読解力とAI開発の現状は話題を呼んだ。

また近著『日本を殺すのは、誰よ!』(新井紀子、ぐっちーさん、2019、東邦出版)ではAIの台頭でホワイトカラーの半分が機械代替される時代になりつつある日本の課題とその処方せんについて聞いた。

新井教授は日本の数学者。一橋大学法学部に入学したものの、数学の面白さに目覚め、4年の時に数学基礎論の研究が盛んだった米イリノイ大学数学科に留学し、竹内外史教授に師事。1年でイリノイ大学数学科を1年で卒業し、奨学金を受けて、修士課程に進学。1990年に修士号を取得し、帰国した。

AI学者は物理学者に多いが、新井教授は数学者。東大理学部物理学科卒業のサイエンス作家、竹内薫氏によると、「数学と物理学とは小説とノンフィクションの差」があるという。

・2010年に『コンピュータが仕事を奪う』(日経出版社)を出したが、売れなかった。出版が早すぎたんだと思う。当時は検索しても人工知能やAIという言葉は1回も出てこなかった。13年くらいに『AIが仕事を奪う』と書けば、ベストセラーになっていたはずだ。10年にAIブームが始まると思っている日本人はいなかった。

・コンピュータと書いたが、実際はディープラーニングを含めた機械学習。この機械学習とデジタリゼーションがホワイトカラーの仕事を半分奪うというのが『コンピュータが仕事を奪う』の結論だ。今も変わらない思いだ。

・AIに対する危機感が日本人は薄い。この危機感を共有してもらえるかと考えた。これが11年に「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトを立ち上げた理由だ。

・AIは人間と同じように考えられるニューラルネットワーク(神経網)とどの記者も書いたが、これは間違いだ。人間がどのように考えるかという数字モデルを使ったことでしかない。AIは万能ではない。

・AIはソフトウエアにすぎない。関数の一部に計算可能関数(数字)があって、その一部にAIと呼ばれている関数が含まれている。

・機械翻訳の場合は、日本語の文字列というセットから英語の文字列というセットへの転換だ。言葉がどんな確率分布に従っているかはだれも知らない。

・機械学習においては正解は人間が作る。それを100%正しいと信じているので正解データの誤りをデータは越えられない。AIが人間の誤りを直すことはできない。人間を越えるシンギュラリティ(技術的特異点=AIが人類の知能を越える転換点)を越えることはあり得ない。

・AIと言えども、Siri (Appleの開発したAIアシスタント)もAlexa(Amazonの開発したAIアシスタント)もペッパーくん(ソフトバンクの開発したヒューマノイドロボット)も東ロボくん(国立情報学研究所の開発したAI)はどれも日本語も英語も全く分からないし理解できない。このことをきちんと書いた記者が過去4年間いなかったのは非常に残念だ。仕組みを分からずに記事を書くことが問題点でもあったことを意味している。

・素敵な手品には必ずタネと仕掛けがある。あばいてこそがメディアなのにこの4年間それをしてこなかった。大変残念なことだ。

・人類の歴史上、どんなにお金を積まれてもすぐできないことがあって、それは数学だ。双子素数。3と5、11と13、17と19などだ。無限にあるか。古代ギリシャのときから問われてきたが、いまでもどうやって解いたらいいのかとっかかりすら分からない。2000年経っても分からない。数学は金を積まれても無理なものは無理。

・GAFA(Google,Apple,Facebook,Amazon)がどんなに金を積んでも無理なものは無理。

・変なホテルのロボットが激減している。太郎は男の子か女の子か聞くと、分からない。AIは意味を考えていない。われわれがどんなにAIに踊らされてきたか。

・統計が分厚いところと薄いところ。みんなが言いそうなことなら言える。

・AIに関心のある記者ならこれくらいの根性がないとだめだ。本当のことに迫ることはできない。機械翻訳というのは日本語の文を英語の文に訳するのではなくて、日本の文字列を英語の文字列に変換する。文と非文の境が分からないから。でも結構正しい。なので、ホワイトカラーのすべては代替されないしシンギュラリティはこないけれども、それでもホワイトカラーの多くは代替される。

・10年に東ロボくんプロジェクトで相談に行った。私は今のAIは東大に入れないことは分かっている。AIブームが来る。アメリカの検索などのサービス系からくる。どこまでがAIができてどこからができないのか。誰かがその限界を確定する必要がある。そのリスクはAI学者はとれない。AI学者は長くブームが続くことを祈るだけ。そうでなければ修士の学生を食べさせていけない。口が腐ってもAIに限界があるとは言えない。これを言えるのは金を必要としていない数学者だけだ。

・数学、特に数理論理学はAIを作った張本人だ。コンピューターとAIという概念をもともと作ったのはうちの分野。私には責任がある。

・東ロボくんプロジェクトは16年に関関同立に入れる。しかし、東大には絶対入れない。日本の70%の大学で合格可能性が80%以上という成績を取っている。

・GAFAはすばらしいテクノロジーを無償で提供すると言っているが、恐ろしい。そのことを通じて結局はデータとお金がGAFAに集積している。各地域から一番頭の良い人がどんどんGAFAに取られている。グーグルCEOのサンダー・ピチャイだってグーグルに行った。奨学金をもらってシリコンバレーに行った。

・どんどんローカルコミュニティーは疲弊して富の再分配なんてできない。これはどうするんですか?バージン諸島に隠し口座を持っていて国際的な富の再分配に寄与しない。インスタグラムなんかすごい悪い会社だ。1000人も雇用していないのに価値が高すぎる。

・日本の会社は生産性が低いとメディアは叩くが、雇用をしてくれるのは最大の社会貢献だ。大して金ももらっていなくても雇用を守ってくれている。文句を言わないでほしい。

「米のベネズエラ政権転覆策は失敗」-駐日大使

カテゴリー: 会見メモ, 政治/外交/国際/軍事

2019/05/10  23:33


 

セイコウ・イシカワ駐日ベネズエラ大使

 

セイコウ・イシカワ駐日ベネズエラ大使が日本記者クラブで10日会見し、米国がグアイド国会議長を押し立てて強引に行ってきたマドゥロ政権転覆策が失敗に終わったとの見方を示した。

イシカワ大使は日系2世。2005年に32歳の若さで駐日大使として着任。14年間にわたって大使を務めている。

・日本では改元行事のただ中にベネズエラではクーデタのニュースが入ってきた。それを引き起こしたのは民主主義を標榜し、大統領選挙を求めていたグアイド国会議長だった。

・しかし、24時間以内に事態は収束した。その背景が分かってきた。2つの疑問に答えたい。4月30日に一体何があったのか。それとベネズエラの政治情勢に及ぼす影響について話したい。

・バランスのとれた報道があった。一方で、空軍基地の中でクーデタを呼びかけたと報じる新聞もあった。以下タイムラインに従って事実を述べる。

・4月29日18時に、ベネズエラ情報局にいた兵士たち100人ほどに「刑務所で暴動発生、それを鎮圧するから出動用意との上官から指示」

・4月30日の午前3時にバスがきて乗せられて空港近くの高速道路で下ろされた。

・午前5時前、兵士たちは初めて「君たちはベネズエラの歴史をつくるのだ」とクーデタであることを知らされる。

・その直後から兵士たちは騙されたことを知り、離脱し始める。

・5時すぎ、グアイド氏はビデオを通して「自由のための作戦だ」と演説。しかし、このとき、その背後には20名ほどの首謀者グループしかいなかった。

・6時18分 ベネズエラ政府のツイッターでクーデタの企てを防ぎ始めたと発表。国民に冷静に対応するよう促す。

・7時すぎに一部市民500人ほどが基地に入ろうとして混乱するが、事態は沈静化に向かう。

・首謀者の一人ロペス氏(グアイド氏と同じ党に所属する議員)はチリ大使館に逃亡。グアイド氏は行方をくらまし拘束を逃れたものの、司法の裁きを受けることになるのは時間の問題だ。

・兵士たちが下ろされたのはアルタミラ・インターチェンジ。カラカスに向かう重要な交通の要所。つまり兵士らは空港基地の外にいた。

・別のビデオによると、ロペス氏は落ち着かない様子で、兵士の規律もバラバラだった。1人の兵士の証言によると、「騙されて現地に連れて行かれた」ことが分かる。

・なぜ今回のクーデタ未遂事件が世界を駆け巡る大事件になったのか。市民の参加も少なく重要性に欠けるのになぜ大事件になったのか。ベネズエラの政治的方向性を見せる事件だったから。

・グアイド氏は遂に実像を見せた。同氏はこれまで表面的にしろ民主主義を標榜し選挙を求めてきたが、実際武器をとり、暴力に訴え権力を手に入れる用意があることを暴露した。嘘やだましを軍隊に対して働くことまですることも分かった。

・アメリカとともにグアイド氏を後押ししてきた南米諸国に変化が生じてきている。米国の支持するリマグループ会議はベネズエラの政権交代を求めているが、同グループでさえ、5月3日に開かれた会議で姿勢を少し変化させた。いくつかの国はグアイド氏から離れる行為を示した。

・米国の介入主義は続いている。ポンぺオ米国務長官は4月30日、「本日、グアイド暫定大統領が自由作戦を発表した。米政府はベネズエラの人々が自由と民主主義を求めることを全力で支持する」と述べた。

・グアイド氏はこれまでたびたびデモを呼び掛けてきたが、参加者は減少している。

・ベネズエラは現在非常に複雑で難しい状況にある。国民の多くは不満を抱え不便な状況の中で生きており、なかにはデモに出た人もいる。こうした人たちは失望している。グアイド氏が暴力を使ってでも権力を得たいという真実の目的を知って失望している。

・米国の支持を受けたグアイド氏の真の目的が明らかになった。民主主義を抱えているにもかかわらず暴力に訴えて権力を取ろうとしている。

・米国の意図に対する反感はベネズエラ国内のみならず国際社会にも広がりつつある。米経済学者ジェフリー・サックス氏は「ベネズエラに対する米国の経済制裁によって4万人が命を落としている」と述べた。

「世界経済も鈍化すれど、景気後退には陥るまい」門間一夫氏

カテゴリー: 会見メモ, 経済/デリバティブ

2019/01/15  23:21


 

今年最初に登壇した門間みずほ総研エグゼクティブエコノミスト(ピンボケですみません)

 

ゲスト:門間一夫みずほ総合研究所エグゼクティブエコノミスト
テーマ:2019年の経済展望
2019年1月15日@日本記者クラブ

 

門間一夫みずほ総合研究所エグゼクティブエコノミストが1月15日、「2019年の経済展望」と題して日本記者クラブで話した。同氏は日銀の元調査統計局長、理事。

・世界経済は2017年が非常に良かった。実質GDPで1.9%成長。18年は反動で0.9%成長(みずほ総研予測値)にとどまった。19年は普通の状態に戻る。あわてないこと、あまり悲観的になる必要はない。

・18年の世界経済の調整色は強まり、この先もう一段強まっていく可能性は高いものの、景気後退など深い調整までは至らない可能性のほうが高い。

・米国は難しい判断にきている。利上げするかしないのか米連邦準備制度理事会(FRB)は白紙だと思う。白紙の状態を出しながら、それをどう表現するかは実にチャレンジングだ。

・パウエルFRB総裁はFOMC(FRB幹部と地区連銀総裁からなる金融政策を決める委員会)で毎回会見を開く。昨年は8回中4回だった。ノイズとなるかどうか。物価だけみて政策を運営していいのか。金融面での不均衡も注目する必要がある。

・ユーロ圏の成長率は17年は予想を上回る好調ぶりを示したが、18年は反動もあって減速。イタリアではポピュリスト政権の下で財政支出の増大圧力が強く、市場金利の上昇要因となっている。フランスも最近ややそうした動き。

・コア・インフレ率は1%近辺で横ばい圏内にあり、インフレ目標である「2%近く」まで着実に上がるかどうか不確実性は大きい。欧州中央銀行(ECB)は19年夏まで現状の政策金利を据え置く姿勢を明確にしているが、その後利上げを実現できるかどうかは物価情勢次第の面が大きい。

・中国経済は減速傾向が次第にはっきりしてきている。減速の背景は①企業の過剰債務への政策的な取り組み②米国との摩擦-などでもう少し悪化しそう。最近目立つのは自動車販売で、18年は28年ぶりにマイナスとなった。米中対立の激化に伴う消費者コンフィデンスの低下を反映している。

・中国の企業債務はGDP比で200%を超える水準だ。この水準に達した国(日本、スペイン)はその後バブルが崩壊した。国家資本主義だから、面子もある。中国政府も急速に落とすのではなく、さじ加減が難しい。危機感を持って取り組んでいる。債務の調整が進めば当面の成長には鈍化要因になるが、成長の持続性にはプラス。

・世界2位の国で18~23年は5.7%成長。これはすごいが、人口も減少過程に入っていくし、産業構造の変換も大変だ。「安くて低賃金」で稼ぐのではなく、世界最先端の技術で稼ぐと「製造2025」でうたったが、これが米国の逆鱗に触れている。産業変革の重要性を認識しているものの、米国から「それをやるな」と言われ、板挟みになっている。債務以外にも重要な問題が多い。

・日本は16年半ばから17年にかけてが非常に良かった。中国の投資需要、半導体関連の需要急増などを中心に輸出・生産とも力強く伸びていたが、18年入り後は一服。反動がきている。世界とつながっており、中国向け輸出が減速している。

・中国向け輸出は17年が絶好調だった。工作機械の受注は倍増していた。18年はその反動が出ており、前年比のマイナス幅が拡大してきている。これが起こるのはある意味でしようがない。

・半導体はデータセンターや自動車向けなどの新市場拡大もあり、第4次半導体革命。スーパーサイクルとか景気のよい言葉がはびこった。長期的な見通しは引き続き良好ながら、足下は減速。メモリーやフラットパネルのための設備投資も世界的に一服してきたため、製造装置の販売は高水準ながら頭打ち感が出ている。

・東京エレクトロンは冬のボーナスだけで280万円。今年はアゲインストになってくる。世界経済はいろんなことが起きていて、トランプだけが悪いわけではない。

・景気拡大の期間は19年1月で戦後最長となる。「実感がない」とおっしゃるが、当たり前で「低空飛行」。いざなぎ景気のときも実感がないといわれてきた。それより低い。潜在成長率の対比でいうと、日本は相当頑張っている。これで実感がないんだったら、実感のある景気はもう日本にはこない。

・「景気」という言葉はもう使わないほうがいい。「景気が良い」というと、それに合う実感のときはもうないわけですから、世の中にないことにいつまでも拘っていてもしようがない。「景気が良い」とか「景気が悪い」とかもう言わない。

「知ってはいけない」

カテゴリー: 会見メモ, 政治/外交/国際/軍事, Books

2018/12/19  23:59


 

登壇したノンフィクション作家の矢部宏治氏

 

ゲスト:矢部宏治(ノンフィクション作家)
テーマ:隠された日本支配の構造
2018年12月19日@日本記者クラブ

 

日本のあらゆる制度や仕組みは偏向していると思ってきた。日本の外交もおかしいと感じてきた。米国は大国でありながら、日本は一体何を理由に米国に対して卑屈でなければならないのかとも考えてきた。日米関係には両国が引きずってきた「闇」の部分を持っているのではないか。

私だけではない。怖い物見たさに「闇」をのぞきたい気持ちが国内的にも強まっている。ノンフィクション作家の矢部宏治氏の近著『知ってはいけない』『知ってはいけない2』(いずれも講談社現代新書)がベストセラーとなっているのはその証拠だ。

いくら河野太郎外相が独自の外交論を展開しようが、これを知れば理想的な裸の外交論は吹っ飛んでしまう。闇はそれだけの爆弾を抱えている。悲しいことだが、国民はこのことを隠されてきた。知らなかった。知らないほうが良かった。これが悲しい現実である。

日本の空は、すべて米軍に支配されている

 

「オールジャパンの外交」訴え-河野太郎外相

カテゴリー: 会見メモ, 政治/外交/国際/軍事

  22:53


 

日本外交について語る河野太郎外相

 

ゲスト:河野太郎外相
テーマ:日本外交について
2018年12月19日@日本記者クラブ

河野太郎外相が日本外交について30分間語り、記者の質問に答えた。読売新聞政治部の 梁田真樹子記者は同クラブの会見リポートに「オールジャパンの外交」訴えと題し、以下のように書いた。

「就任から1年半弱で約60か国を歴訪した河野外相は会見の冒頭、外相として感じ取った日本の厳しい現実を突きつけた。

まず「国際会議などの場で主張が通りにくい」という。強く記憶しているのは、就任早々の東南アジア諸国連合(ASEAN)関連外相国際会議で、南シナ海問題をめぐって議論が紛糾したことだ。さらに、国内の統制と対外的な圧力を強める中国の台頭などを念頭に、「戦後日本が恩恵を受けてきたリベラルな国際秩序が挑戦を受けている現実がある」と問題意識を説明した。

その上で河野氏が挙げた外交課題は多岐にわたる。人工知能(AI)を搭載した自律型新兵器システムへの対応、情報技術の進歩とビッグデータの活用、持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた官民連携――。いずれも新たなルール作りが求められるものばかりだ。

「日本は軍事力を背景とした外交はやらない。政府開発援助(ODA)はピーク時と比べて半減。裸の外交力をいかに高めていくかが大事だ」。日本が国際社会で存在感を保ちながら、こうした新たな課題でも民主主義などの基本的価値観を反映したルール作りを主導するための「裸の外交力」として河野氏が訴えたのが、「オールジャパンの外交展開」だ。外務省だけでなく、個人個人が、企業活動や援助、観光、研究などを通して海外と関わることが、日本の外交力につながるという。

今や個人の生活のどこをとっても海外と結びつかないことはない。誰もが外交の担い手たり得るという認識は、先駆的な動きに敏感な河野氏らしい主張だといえる。

だが、それを進めるのであれば、外相には国民に対して、積極的に海外と関わろうとさせるだけの、日本の展望を説明する力が求められる。会見では、問題意識を越えた「展望」については言葉不足だった感が否めない。発信力には定評がある河野氏だ。21世紀型の日本外交の道筋を浸透させられるか、注視したい。」

「貿易でも米国につぶされた30年」斉藤惇氏

カテゴリー: 会見メモ, 経済/デリバティブ

2018/12/04  19:38


 

日本は確実に貧しくなったと語る斉藤惇CEO

 

ゲスト:斉藤惇元日本取引所グループCEO
テーマ:平成とは何だったのか⑭「バブルの崩壊と再生」
2018年12月4日@日本記者クラブ

斉藤惇(さいとう・あつし)元日本取引所グループCEOが「バブルの崩壊と再生」について語った。

・日本はバブルを作らされ、破壊されたあとも立ち直ることができない。デザインができない。

・規制緩和。市場が莫大に広がっていく。構造的インフレに入った。債券の先物とかオプション導入の張本人が私だ。あらゆる流動性のないモノを証券化して販売する。逆に言うと流動性を付ける。金や石油、最も流動性のない不動産などを証券化することによって流動性を付ける。

・そのバックはそこに正しい理論価格を付けることだった。米国にいたときに盛んにそれを教えられ、ディスカウントバリューの作り方、現在価値の計算、不動産のバリュエーション。不動産を借りている人が払う家賃を金利とする債券を作ったが、日本ではそういう理論が普及していなかった。あそこの土地がいくらだから、ここの土地はいくらだ、という路線価格ベースだった。

・日本のジャブジャブのお金が結果的にできたわけだが、それをジャブジャブに持っていたのは日本の生保。ザ生保が世界に通じた。東証の時価総額を並べられると、トップから30番目くらいまで日本の金融機関がずらり並んだ。世界を全く席巻する姿が見えた。

・いま同じような表を眺めると、27番目のほうにトヨタが1社ポンとあるだけで、日本の日も出てこない。ほとんどがアメリカ、ちょっと中国、スイス、韓国というのが時価総額トップ30の姿だ。

・英シティーではジャパンマネーが世界を席巻してしまうと恐怖感を持って語られ、米ウォール街でも「お前らの最終ターゲットは何だ。世界を支配したいのか」という質問をしていた。私は米国野村證券にいたが、一支店が1400億円も利益を出すことに、彼らは「何をこいつら(日本の金融機関は)やっているんだ」と日本を大変怖がっていた。

・メリル・リンチ本社ビルとかCMEビル(シカゴ)とかエクソンモービルなども証券化したし、東ドイツでさえホテルとして買うほど。「ジャパンマネー」一色だった。ロンドンのウオーターフロントは兆円単位の開発だったが、「日本のマネーが1兆円ほどほしい」といわれ、いい気になっていた。

・振り返って見ると、米国からの内需喚起政策、強烈な貿易規制、クリントン大統領を中心に数量規制をやり始めた。構造協議の前は自動車が160万台から230万になっていたのを再び180万台に規制された。これ以上輸出したらだめだと言われ、日本政府はこれを呑んだ。トヨタは賢いリアクションをやって、アメリカにでかい工場をどんどん作り、うまく対応した。

・日本から輸出しようとするものはみんなブロックされた。半導体も64Kビット当たりで米半導体業界がダンピングしていると言い出した。強烈な半導体交渉を始めた。NECや富士通が拠点になると勢いだったが、20%以上の輸出はだめ。その間に米半導体業界は日本で20%、30%とシェアを上げていく。ブッシュが使ったのはスーパー301条だから似てる。

・トランプが米国ファーストと言うと、「ひどい大統領だ」と言われるが、私は米大統領は初代からずっと米ファーストだと思う。米ファーストじゃないと思う方がおかしい。米国に立ち向かったら、真剣になってたたき潰しにくる。日本はその歴史を戦争に次いで今度は貿易で徹底的にあった。これが平成だと思う。

・海部首相が10年間で430兆円の投資計画を作ってこれがバブルスタートとなった。1994年に村山内閣が社会資本整備費として200兆円を積み上げた。10年と言えども、630兆円というとんでもない金額の内需喚起予算を立てて、これがジャブジャブこの辺に出てきた。これが平成の後半の結果になる。

・米国は輸入規制で米消費者を犠牲にして米メーカーを守った。しかし、GM以外は守ったために強くなれなかった。米半導体協会(SIA)が政府に訴えて日米半導体協定を結んだ。これが日本の今日のAI時代というか半導体時代

・東芝没落は経営ミスだが、フラッシュメモリを1984年に発明したのは東芝社員の舛岡富士夫氏。彼は「フラッシュメモリは将来のためである」と言ったが、彼を逆に左遷し東北大学に追いやった。その時に近づいたのがサムスンとインテルで「フラッシュメモリはすごい」。巨額の設備投資が必要だった。サムスンの大戦略商品になった。

・リチウムイオン二次電池も旭化成の吉野彰氏が開発されたものですし、QRコードはデンソーの原昌宏氏が開発したものだ。非常に残念なのは世界を席巻する商品はほとんどが日本人が開発したものだ。リチウムもパナソニックも頑張っているものの、中国に抜かれた。

・政治、経済、技術をベースにした世界的な渦が巻いて、最終的には政府間交渉が来るのだが、やむを得ない場面もあるんだが、ほとんど米国の主張を受け入れた。結果的に日本の技術をベースにする産業が育たなくて自らだんだん戦略を喪失していったのが平成の印象がある。

・米国はガルブレイスが予想した通りリーマン危機が起こったが、不正会計をやった。邦銀は相対的にひどい状況ではなかった。

・産業再生機構は国ではないが、「国だ」とすぐ折れる。「しようがないですね」。これをみて怖いなと思った。この切れ味を覚えると人間がだめになる。ひれ伏す。使命感がないと国のお金を易々と民間に使ってはならない。5年の時限立法。

・1兆円のクレジットを設定する。どこよりも低金利でうちから借りてくれと銀行は競争していた。それを投資してやった。利益が800億円程度出た。クレジットは使ったが、現金は使わなかった。国の機関としてこれほど利益が出たのは初めて。これは危ないなと思った。変な集まりの集団に変わってしまう。

・私の平成というもののイメージは世界を股にかけて激しい仕事をした。日本の位置づけがぐんぐん上がっていったが、背景は本当は地政学的な動きから出てきたオーバーフローしたキャッシュの行き所の処理であって、それが日本の銀行をヒットして幾つもの銀行は去らざるを得なくなった。その辺をしっかり読みながら次の政策を打てた企業とそうでない企業、あるいは日本自体がどういう構造の国にするかとデザインできていなかった。

・AIは大きく落ちるし、ロボットもドイツ、中国、アメリカに技術的にも抜かれ始めている。どういう時代が来るからどういう人材をどう育てるか。人口動態も誰でも分かっていた。アタリ氏が朝食会で「Japanese is foolish」と言った。日本の問題は何かと聞いたら人口問題だ。みんな言う。対策は言ったら、女性の担当大臣を作った。どういう政策があるのか。

・フランスには人口というのは力だというのがものすごくある。国力減退の第一歩。教育機会とか援助。子どもを促進するための税制度を作っている。3人作れば、所得税払わなくていい。結婚をしなくても同棲をして3人くらい子ども育てる。そういう人がたくさんいる。バースレートは2ぐらい。正式結婚で子ども3人は意外に少ない。30年から40年かかる。そういう計画が日本にはない。常にパッチワークだ。保育園作っても子どもは増えないぞ。深読みの大きな政策が欠けた平成であったかな。

・70歳定年でも30年あるいは35年の年金生活。危ない。将来をキャリーオーバーした平成だったかなという感想。

・野村はかなり積極的にグローバル展開した。ny支店も20人くらいの日本人が2000人の米国人を雇っていた。ああいうことがなかりせば、ひょっとしたらひょっとしたかな。ウォール街で相当の位置づけになったかもしれない。ゴールドマンといい勝負していた。互角勝負。別の事件で縮小せざるを得なかったが、世界に旗を立てるのが野村の夢だった。失敗した。誇れるものはほとんどない。再生機構の社員は気持ち良かった。ピカピカの人材が必死で働く。「ここで日本が沈んだら日本はおしまいだ」が使命だった。不良債権が8%あったが、これを1%に減らそうという使命感だった。

・日本が取り組むべきだったのはやはり人口問題。フラットにするということと教育の形。縦割り的な大学ではとても勝てない。グループとして国家として勝てない。アジアの優秀な生徒は東京に来る魅力ある制度が必要だった。ハーバード大学の教授は卒業生が20%程度。世界から良い先生を引っ張ってくる。大学のレベルを上げる競争をしている。ハーバード大を出ているから同大の先生に自動的にはなれない。日本の一流の大学はほとんどが卒業生で、しかも縦割りだ。横の連絡がない。これでは勝てない。リベラル、オープンにする。

・純粋に日本人だけでやるのもいいが、自分を守ってくれるのはパスポートだけ。私を守ってくれるのは菊の旅券しかない。どの国だってそうだ。現実を知って、深い発想をしないと言葉で遊んでいることがこの国は今も多い。痛みの伴う、しかし将来は改革になるかもしれない政策は非常に不人気だ。本当の意味での国家計画を立てていかなければならないと思う。

・利益性がない。何を比べても米国に追いつかない。大分良くなってきたが、企業経営を何のためにやっているのか。社会のためという経営者が多く、リスペクトされるが、社会のためなら利益を出さなければだめだ。税金もたくさん納め、人もたくさん採用するのが社会のため。企業を経営する人の倫理だ。利益もあまり、銀行からお金を借りてリスクマネーかノンリスクマネーかも分からない状況でマーケットシェアだけ取りに行くロープロフィットマージンの経営が結局株も上げなかった。あれは株高は株屋がやるものだとリンケージが切れている。

・株というのはインディケーター。完全に指数なんで長期的にみたら企業の利益の正しい姿を表していく。ですから我々が舞い上がったときは3万8000円、総額600兆円。ny証券市場は470兆円。今相手は3000兆円。日本はまだ700兆円。この差だ。これだけ日本は相対的に米国あるいは世界に対して貧しくなっている。決して豊かになっていない。貧しさという点では本当にみんな思うほど豊かではない。若者の給料が200万円、300万円だが、米国ではちょっとした人でも大学を卒業しただけで1000万円単位。そういう時代になっているのに、利益を出すことを卑下する感覚が強かった。配当を上げる。結果的に利益が出ないから賃金も上がらない。

・マクロ的にどーんと伸びていくときにはグループでうまくいった。ある程度まで達して個別利益の段階に入ったときに幹をなくしてしまった。皮肉なことに米国の工場の生産性改善の理論はトヨタだ。トヨタの看板方式を理論化している。大学や識者がそう言っている。アマゾンのビジネスモデルは典型的な日本が昔やったシェア主義。ものすごい借金をしてもうからなくてもシェアを取りに行く。非常に計画的にやったために競争相手が競争できないくらいまでシェアを抑えた。

・工業技術と同じように経営技術も意外と日本にもあった。アメリカの場合はビジネススクールの教授とかコンサルタントファームやプライベートファンドあたりが一緒になって理論化して普遍化する。トヨタの看板方式は自動車生産だけでなくリテールや国の経営などありとあらゆるところに使われている。これがアメリカの工場の生産性を上げている。

・一番普遍化しているのは日本ではトヨタしかなくて、アメリカは日本から学ぶものはないという言い方をしている。オリジナルはそういうこと。非常に残念。国内景気的に見ると、もっと利益を追わないといけないと思う。

・安倍さんは現実的な政治という点では非常にポイントを突いた政策を出している。しかし既得権益勢力に打ち返されて忸怩たるものがあるだろう。医療全体では上がる。そのために設計が必要だ。

・日本人はコンピューターとかAIとか言っているが、一番向かないじゃないか。例えば住所。東京都中央区内幸町1丁目1番地を1-1-1と書いたりしている。こんな国はない。外国から見ると、非常に非効率国民だ。不可思議に思う。数字だけでなくローマ字や漢字が入る。機械のスピードが違う。交通信号もずっと青信号。日本はガチャガチャと詰まる。これで交通事故がないんだよ。走れないようにすることで交通事故を減らす。交通事故のない警察官の点数は高い。どうやって車をガンガン走らせないか。これが警察官のアイデア。ジグザグジグザグ。ものすごく不経済だ。

・シカゴの高速では詰まる。何をやるかと言うと、こっちへこいと側道を走らせる。日本はおまわりさんは隠れて捕まえる。こういうことなんですよ。これがいろんなことにある。日本の制度、行政、考え方。既得権益にそういうものが出てくる。全体を大きくするためにはどうしたらいいか。論議してプランを作っておく。それぞれに任せると縦割りがひどい。おまわりさんは中央区の点数。そうじゃない。何時から何時までは車が混むので道を流してやることをきちっと決める。そういうことをやっていく。

・AIの時代だ。数字で決まっている。0-1,0-1の数字でカクカク。この数字に乗らないと非常に不合理だ。それが経営なんかにも現れている。

・M&Aは日本人がトップじゃなければいけないという考え方。これ無理ですよ。マーケット自体が落ちている中で、大きくなろうとすれば世界しかない。そうしたら世界に通用する会社を作らないといけない。日本の会社に入ったら日本ファンになるから日本の文化はあっていいが、経営者のラショナル(理にかなった)な能力というのは正直いうと、彼らが勝っている。人員整理を行った場合、マスコミは大騒ぎする。9000人の整理をしなかったらあの会社は潰れている。潰れていたら何万人と失業している。9000人を整理してあと何万人と採用している。その効果をなぜ評価しないのか。感覚がおかしい。

・M&Aに対するバリュエーションが全然違う。ちゃんと教えないとだめだと思う。優秀な経営者はたくさんいるが、グローバルに出て行った場合、株主からみればCEOも使用人。優秀な連中を使えばいい。こちら株主で。プライドを持ってしっかりやれ。やれなかったらお前は首だと使っていけばいい。

・もっと早い段階で人口対策や教育対策をやっていれば別だが、やっていない。セカンドベストをやるしかない。グローバルM&A。そして世界の人材を持ってきて会社をプロフィタブルな組織に変えると社会にもいい面がスピルオーバーするはずだ。

 

 

消費税を巡る諸問題

カテゴリー: 会見メモ

2018/11/16  22:07


 

語る森信氏

 

ゲスト:森信茂樹東京財団政策研究所研究主幹/中央大学法科大学院特任教授
テーマ:消費税これまで・これから②
2018年11月15日@日本記者クラブ

財務省OBの森信茂樹東京財団政策研究所研究主幹が消費税をめぐる諸問題について語った。日本の政治家が国民に対し、説明すべきことをきちんと説明していないことを痛感させられた会見だった。

近ザラ時代の社会保障改革

カテゴリー: 会見メモ, 政治/外交/国際/軍事

2018/11/07  23:39


 

野田佳彦前首相

 

ゲスト:野田佳彦(のだ・よしひこ)氏(前首相)
テーマ:消費税これまで・これから①
2018年11月7日@日本記者クラブ

野田佳彦前首相が2012年の3党合意当時を振り返り、消費税についての考え方、財政再建へ向けての思いを語った。期間は2011年9月2日~12年1月13日。

・消費税に取り組む必要性を強く感じたのは2010年の参院選前後だった。自分は財務大臣で、菅直人首相(当時)が消費増税について言及した。ギリシャの信用不安を始め南欧を含め欧州全体に債務危機が広がっていた状況があった。

・国際会議に出ると、財政の健全化と経済の成長をどう両立させるかがテーマだった。どちらかというと、財政の健全化に軸足を置いて、経済成長をチェックする雰囲気だった。

・消費税は真剣に向き合っていかなければいけないとの思いがあった。財政運営戦略(2011年6月)をつくった。閣議決定もした。プライマリー・バランス(基礎的財政収支=入ってくる税収の範囲内で経費を賄って新しい借金をしない)の黒字化を2020年度までに果たす。15年度までに赤字を半分にする。

・他国はもっと厳しい内容だった。13年までに財政収支(国債費を含んで収支をとんとんにもっていく)の赤字を半減し、16年度には黒字化する。

・コミュニケで「日本はユニークで」と特出しされた。このユニークを削ってくれと言う交渉を水面下でやった。日本の交渉についても「Welcome」という言葉を入れて欲しいという交渉を行った。日本だけサーチライトを当てられると大変だという危機感があった。

・英エコノミストに日本の特集記事が出た。タイトルは「日本化する欧米」。日本化というのは「先送りをする」こと。やるべきことをやらない。これ以上先送りをできないテーマは財政の問題ではないかと思った。民主党代表選挙(2011年8月29日)でもこれを意識しながら、決選投票で小沢一郎グループの支持を受けた海江田万里経産相に逆転勝利した。

・野田内閣は「社会保障と税の一体改革」を最優先した。意味するところは社会保障の充実安定と財政再建を同時に達成するのが目標だ。超高齢社会にどう対応するのかと少子化への対応だ。

・高齢化には50年ほど前の昭和30年代にできた国民皆保険で対応してきたが、国民皆保険は超高齢化社会に対応できなくなった。平均寿命70歳弱の時代だったが、今は100歳時代。昔は古希という言葉にリアリティーがあった。団塊世代が2022年に後期高齢者に入る。団塊世代はもう古希ではない。近年ざらになった。「近ザラ」と言っている。

・少子化が進んでいて、支える側が少なくなっている。9人か10人くらいの働き盛りが1人のお年寄りを支える胴上げの社会。今は3人で1人を支える騎馬戦の時代。まもなく避けて通れないのが1人が1人を支える肩車の時代。支える側の社会保障も考えなければならない。人生前半の社会保障と言っている。

・安倍晋三首相は全世代型社会保障と言っているが、子育て支援を含めて前半の社会保障を手厚くすることが社会保障の本質だと思う。

・これらをやっていくことはただではできない。オールジャパンでやっていくためには消費税を充てるしかない。財政健全化も達成する。

・昭和20年は敗戦の年。財政の国際的比較は公的残高の対GDP比で行われる。経済の規模に対してどれだけ借金を背負っているか。200%だった。相当悪かった。ここから日本の戦後は始まった。高度成長を遂げ日本の財政も好転してきた。歳入と歳出が一番近づいたのは1990年。歳出は70兆円、歳入は60兆円。

・90年の歳出は70兆円。それから右肩上がりとなり、2000年は80兆円、10年は90兆円、いまは100兆円に届く時代になった。歳入はピークの90年が60兆円だったのが00年は50兆円、10年は40兆円。出る方は右肩上がり、入る方は右肩下がり。「ワニの口」と財務省は言っている。公的債務残高の対GDP比は今年度中に240%に達する。終戦のときが200%。73年かけて結局悪くなっている。

・防衛費は5%程度。一番支出の中に占めているのは少子高齢化に伴う社会保障関係費が急増していて昔の軍事費に当たるぐらいの批准を占めている。この静かなる有事にどう対応するか。これが日本にとって一番大きな課題だと思う。この課題にするために消費税引き上げを決めた。これは3党合意の根幹に関わる状況だ。

・そこで決まったのが3党合意(2012年)。野田民主党政権は当時の消費税率5%を2段階で10%に引き上げることを決め、法制化もした。消費税率は14年4月に8%へ上がったが、安倍首相は景気低迷などを理由に、再増税を2度先送りした。10%とするのは19年10月。

・民主党内の議論はサイコロのように「振り出し」に戻ることがよくある。民主党内も小沢一郎氏が反対しボロボロになった。私はこのテーマは絶対先送りしてはいけないと思っていたので、51対49でも決めるときには決めなければいけない。ようやく自民党と向き合う局面にきた。谷垣禎一自民党総裁と議論をした。公明党も入れて合意を取り付け、8本の法律を出した。

・どこかの政権が消費税を上げなければいけないことは誰もが分かっていた。与野党が責任を持ち合おうというのが3党合意の精神だった。政争の具にしない。これが3党合意に至るまでの背景にあった。

・残念ながら今もその精神が残っているかというと風前の灯火だ。事実上なくなってしまったと思わざるを得ない。5%から8%への消費税引き上げは安倍首相が14年に行ったが、10%への上げは2回先送りとなった。選挙の争点になったほか、使途変更も争点となった。

・3党合意の精神はお互いに責任を持ち合うことだから、突然争点にするのは魂を分かっていないとしか言いようがない。

・国会で質したが、安倍首相は「政争の具にはしていない。選挙の争点にはしました」と答弁だった。政党間の最大の政争は選挙だと思う。この感覚の違いが今も1つの大きなわだかまりとして残っている。

「紛争地取材は必要」安田純平氏

カテゴリー: ジャーナリズム, 会見メモ, 政治/外交/国際/軍事

2018/11/02  23:26


 

 

会見に臨む安田純平氏

 

同上

 

内戦下のシリアで武装勢力に拘束され、3年4カ月ぶりに解放された日本人ジャーナリスト、安田純平氏(44)が2日午前、東京内幸町の日本記者クラブで帰国後初の記者会見を開いた。

安田さんは2015年5月内戦下のシリアで活動していた反政府勢力を取材するため、隣国のシリアに入国。シリア難民を支援するという男性を通じてシリア人ガイドと知り合った。

6月22日の深夜に、案内人を名乗る2人の男とともにトルコ南部から山道を1時間ほど歩き、シリア北西部に入国。国境を越えたところで、男らに両腕をつかまれ、車に押し込まれたという。ホブス(パン)工場に入れられた。

最初はゲストと言われていたが、その後何度も民家に移動し、監禁されたことを知った。12月7日には「日本の実家に送るから個人情報を書け」と言われ、妻の電話番号やメールアドレスを書かされた。身代金を要求するためだったとみられる。

3年4カ月に及ぶ監禁生活の末、解放を告げられたのは2018年10月22日。翌23日朝に「トルコに行く」と車で移動し、途中で別の車に乗り換えると、英語で「もう大丈夫だ」と言われたという。車中の人物は「トルコ人」を名乗った。

車中では1時間ほど目隠しをされた。国境付近からトルコのアンタキヤまで運ばれ、入管施設の100mほど手前で目隠しを外された。施設内の事務所で「解放だよ」と声をかけられた。

安田さんを拘束した組織は特定されていない。安田さんは「何者なのか気になった」「ジャバル・ザウイーヤの巨大収容施設には100人単位の囚人がいたと思われることもあったから、かなりの組織だったのではないか」と話した。反政府武装組織の「アル=ヌスラ戦線」ではなかったかと思われる。

安田さんは会見の冒頭で人質になったことに対する批判を「当然のことと思っている。紛争地という場所に行く以上は、自己責任と考えている」と述べ、「はっきり言って自業自得だと考えている」とも語った。

その上で「難民問題などは日本にも影響する。地球上で紛争が起きているのであれば、現地の情報を取りに行くジャーナリストの存在は必要だ」と述べた。

ネット空間では、安田純平氏は「ジャーナリスト失格」だの「嘘つき」だのとバッシングがひどいようだが、11月2日付日経夕刊と同業の中国ルポライター・安田峰俊氏(36)の弁護論を参考にしながら書くことにした。安田峰俊氏はB級ネタも含めた中国関連記事を得意とし、『SAPIO』や『週刊プレイボーイ』などに寄稿している。

安田氏は一橋卒業後に信濃毎日新聞に入社して6年間勤務したのち、2003年にフリージャーナリストとなり、イラクで取材を開始。同国内で拘束され、4日間で釈放された。その後もイスラム圏で取材している。

安田さんは「特に拘束回数が多いわけでもなく、危機管理能力が他の同業者と比べて著しく欠如しているわけでもないのは明らかだ」。12年8月11日の『報道特集』(TBS)で安田氏が撮影した戦場映像「内戦のシリアに潜入した日本人ジャーナリスト」が放送されており、安田峰俊氏が同番組担当者に尋ねたところ「自分の知る限り、いわゆる戦場ジャーナリストで安田の実力を疑う人はいない」という言葉が返ってきたという。

日本、ロシアになる恐れも

カテゴリー: 会見メモ, 経済/デリバティブ

2018/09/27  21:43


 

「10年後にはソ連が崩壊したときのような経済・社会状況に陥る可能性もある」と懸念する野口悠紀雄氏

 

ゲスト:野口悠紀雄氏(経済学者)
テーマ:平成の経済史
2018年9月27日@日本記者クラブ

 

早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、野口悠紀雄氏が「平成とは何だったのか」と題する研究テーマで講演し、「平成とは日本人が世界経済の大きな変化に気づかず、取り残された時代」と定義した。

企画委員の竹田忠氏によると、野口氏は平成を3つに分け、第1期は主に1990年代。戦後経済を支えた1940年体制(戦時経済体制)がバブル崩壊によって大きく変質。金融機関を通して政府が経済を間接コントロールする仕組みが弱まった。同時に中国の工業化とIT技術の進展で世界経済の構造が変わったことの日本は気づかす、遅れを取った。

第2期の2000年代は、”偽りの回復”。政府による空前絶後の為替介入で危機的な円高が抑えられ、日本の輸出産業は息を吹き返した。しかし所詮は円安頼みの回復であったことが2008年に明らかに。リーマンショックでアメリカから資金が逆流して急激な円高となり、車などの輸出産業は壊滅的な打撃を受けた。

この過程で製造業の政府への依存が強まったと氏は強調する。メーカーなどが政府にあからさまに直接的な補助を要請するようになった。結果、自動車産業を救うためのエコカー減税などの施策が次々と取られた。これに対する強い批判も起きなかった。日本の言論界の批判的な能力も衰えたのではないかとも指摘する。政府がどうするかを問うだけで、自分たちで改革しようという考えがなくなった。

第3期はリーマンショックの後から今まで。問題の本質は日本が置き去りにされていることに気づき、国際的な水平分業体制や規制緩和に正面から取り組むことだと指摘した。

・1ドル=100年を超えて円高になると、政府が介入する。そうならないことを政府が”約束”をした。この結果、円を売ってドルを買う動きが顕著に増加した。