‘政治/外交/国際/軍事’ カテゴリーのアーカイブ

『記者たち』

カテゴリー: 政治/外交/国際/軍事, 映画/テレビ/舞台

2019/04/05  23:33


 

『記者たち』

 

作品名:『記者たち 衝撃と畏怖の真実』
監督、製作、出演:ロブ・ライナー(ジョン・ウォルコット役)
キャスト:ウディ・ハレルソン(ジョナサン・ランデー役)
ジェームズ・マースデン(ウォーレン・ストロベル役)
トミー・リー・ジョーンズ(ジョー・ギャロウェイ役)
3月5日@TOHOシネマズシャンテ

 

ジョージ・W・ブッシュ米大統領は2003年、「イラクのサダム・フセインは大量破壊兵器を保有している」と述べ、イラクとの戦争を始めた。しかし、大量破壊兵器は見つからず戦争の大義が失われ、情報のねつ造であることが明らかになった。

当時、ニューヨーク・タイムズ紙を含め米大手メディアは軒並みこのブッシュ政権下のウソに迎合し、権力の暴走を許した。しかし、31紙の地方新聞を傘下に持つナイト・リッダー社だけはこれに疑問を持ち、真実発掘に執念を燃やした。

これは不屈の精神で真実を伝え続けた新聞記者たちの知られざる実話の映画化である。
 

「それでも紛争地取材をやめない理由」

カテゴリー: 「写真」を学ぶ, 政治/外交/国際/軍事, 講演会/シンポ/セミナー/勉強会

2019/03/27  23:15


 

それでも紛争地取材をやめない理由

 

千代田区立日比谷図書文化館(日比谷公園1)の日比谷カレッジが27日開かれ、報道カメラマンの横田徹氏が「それでも紛争地取材をやめない理由」を語った。

横田氏は1971年茨城県生まれ。父親が報道カメラマンだった。フリーランスのカメラマンとしてキャリアをスタートし、クオリティーが低いと怒られながらも動画も撮った。

1997年のカンボジア内戦(ポルポト派)から活動を開始し、インドネシア、東チモール、コソボ、パレスチナ、リビア、イラクなどを取材。2007~12年までアフガニスタンの米軍に従軍取材。14年3月に世界で初めてISの拠点ラッカを取材した。

最初は写真から始めたが、テレビ向けのムービーカメラ(動画)も撮った。写真はAPやロイターに持ち込んで買ってもらったほか、韓国のディレクターの専属となった。品質がひどくて、かなり勉強した。とにかく「いい加減な状況で始めた」などと語った。

横田氏は2007年から12年にかけてアフガンに展開している米軍に従軍したときの映像を見せた。彼が取材したのはコレンガル渓谷。このレストレポ前哨基地は2010年に米軍が放棄した。ここには20人の米軍兵が駐留していたが、最も激しい戦闘地域でこの時点で40人の米兵が死亡したといわれる。

横田氏によると、「毎日の小さな戦闘があり、そのたびに飛行機を飛ばしたりヘリを飛ばしたり、お金がかさむ。米軍もこの基地を持つ意味があるのかに気づいたと思う。パキスタンとの国境に近いのでタリバンがどんどん押し寄せてくる。タリバン軍はライフルなどの旧式兵器で攻撃してくるが、米軍は航空機を含め近代兵器で反撃するのでコスト的には割が合わない。結局ここを手放すことになった」という。

こういう映像を見ると、アフガンはどこもこういう状態でアフガン=危険というイメージを持たれると思うが、「実際にこういう戦闘をやっている場所というのは限られていて、ジャーナリストも行ってもこういう写真はほぼ撮れない。ぼっとして終わってしまう。たまにパトロールに出ても何も起きないのがほとんど。戦闘を探すのが非常に大変だ」という。

米軍は厳しいながらも、自分が行きたいというリクエストを何度も出せば、行けてしまうところがあって良かった。一度従軍の許可を取ると、食べ物から寝るところまで全部ただでやってくれた。撃たれるジャーナリストも少なくなく、治療もきちんとやってくれた。自衛隊ならこういうわけにはいかない。プレスツアーで連れて行くのは「安全」地帯。安全を見せて終わりだ。

横田氏が最後にアフガンに行ったのは2012年。当時のカブール市内は独りで歩けたが、タリバン政権の今は歩けない。駐留米軍やアフガン政府軍ではどうしようもない状態だ。

シリアの取材をしたのは2013年6月ごろ。IS(イスラム国)の存在はまだほとんど知られておらず、まだアルカイーダと呼ばれていた。

横田氏によると、重要なのは信頼できるコーディネーターをどう捉まえるかだ。だいたい捕まるときというのはコーディネーター。怪しいのか、あるいはギャングなのか。誰に当たるかで運命が変わる。「私の場合はたまたま運が良かっただけ」だという。

3年4カ月ぶりにシリアのISに解放されたジャーナリストの安田純平氏について横田氏は「信用できない人がいきなり現れて付いて行ったら捕まってしまった」と述べ、「これは大きなミスだった」とコメントした。「彼はコーディネーターに売られたんだと思う」。外国人も彼は売られたと言っていた。ちょっとでも不安だったら行かないと言う判断もあったはずだ。

取材する上で一番大事なのは取材のセッティングや通訳をやってくれるフィクサー。CNNやBBCと仕事をしているプロから学生みたいな金ほしさでやっているフィクサーもどきもいて、けちると身に危険が及ぶ。安心してもらえる人を紹介してもらうのが重要だ。高いのが難点だが、人間関係が重要だ。

取材経験の浅いジャーナリストは判断が難しい。おいしい話があっても、それは次回にしようと判断する。欲をかくと変なことになりかねない。ベトナム戦争当時は牧歌的な戦争だったが、いまは容赦なくジャーナリスト=お金だ。来たらお金にしてしまう難しい状況に毎年なっている。

IS発行の許可証を持って2014年3月にIS(イスラム国)支配下のラッカに入った。「非常に平和だった」ことに驚いた。「邪悪で残忍な町というイメージが覆された」という。ラッカは同年6月にISの首都になり圧政を受けたが、クルド人主体の「シリア民主軍」(SDF)は3年半後の17年10月、奪還作戦が完了したと発表した。

さらにISのシリア内で最後の拠点であるバグズ町を19年3月に完全に制圧したと発表した。ISは最大時にはシリア西部からイラクの首都バグダッド郊外まで770万人を支配。税金、料金、罰金を資金源とした。

試写会『バイス』

カテゴリー: 政治/外交/国際/軍事, 映画/テレビ/舞台

2019/03/15  23:21


 

アメリカ史上最強で最凶の副大統領、ディック・チェイニー

作品名:バイス
監督・脚本・製作:アダム・マッケイ
キャスト:ディック・チェイニー(クリスチャン・ベール)
リン・チェイニー(エイミー・アダムス)
ドナルド・ラムズフェルド(スティーヴ・カレル)
ジョージ・W・ブッシュ(サム・ロックウェル)
コリン・パウエル(タイラー・ペリー)
2018年アメリカ映画132分@日本記者クラブ
4月5日からTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開

 

『バイス』はバイス・プレジデント(副大統領)のほか、悪徳・邪悪という意味もある。世界をめちゃくちゃにした悪名高いバイスのディック・チェイニー。まさかの実話であり、社会派エンターテインメントである。

米大統領は世界最強の権力者で、ハリウッドも幾多の「大統領映画」を製作してきたが、本作品は大統領ならぬ「副大統領」を主人公とした前代未聞の作品である点がユニークだ。

「常に陰に隠れた副大統領は、大統領が死亡したり辞任した際にその代わりとして昇格するポジションであるため、『大統領の死を待つのが仕事』と揶揄する者もいる。

「しかし、この副大統領が目立たない地位を逆手にとって、大統領を操って強大な権力を振るい、すべきでない戦争を他国に仕掛けた挙げ句、アメリカや世界中を変えてしまった!

「この作品はそんなまさかの『陰の大統領』が本当に存在したことを証明し、現代米国政治史における最も謎に包まれた人物に光を当てた野心作。その主人公の名は第46代副大統領ディック・チェイニーである」(パンフレットのイントロダクションから)

合意不発に終わった米朝首脳会談

カテゴリー: 政治/外交/国際/軍事

2019/03/02  20:51


 

握手する米朝首脳(TBSテレビ「Nスタ」から)

 

眠そうなトランプ大統領(同)

 

ポンペオ国務長官はトランプ氏を擁護(同)

 

始まりの雰囲気は良かったが・・・(同)

 

リ・ヨンホ外相

 

「アメリカは千載一遇のチャンスを逃した」と言う外務次官

 

寧辺には2つの施設がある

 

2日朝の食事

 

トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長による米朝首脳会題が27日に続いて28日も行われた。目指したのは北朝鮮の非核化に具体策と米国による見返りを盛り込んだ合意だった。

ホワイトハウスによると、両首脳は28日午後に合意文書を署名する予定だと思われたが、合意できなかった。2日間の首脳会談で米側は寧辺(ニョンビョン)以外の核施設を含めた幅広い非核化措置を求めたが、北朝鮮側は限定的な非核化措置を固執した。

北朝鮮側が全面的な政策緩和を求めたのに対し、トランプ大統領は28日の単独記者会見で、「彼らは制裁の全面的解除を求めてきたが、われわれはそれに応じることはできなかった」と語った。

会談が物別れに終わった後の1日午前零時すぎ。李容浩(リ・ヨンホ)外相は緊急記者会見を開き、「米国が国連制裁の一部を解除すれば、寧辺地区のプルトニムとウランを含むしべての核施設を米国専門家の立ち会いのもと両国の技術者」トランプ氏の発言に反論した。

米側は全面的、北朝鮮側は一部と違いがあるものの、ポンペオ米国務長官は「北側の要求は実質的に全面的解除に等しい」とトランプ大統領の発言が正しいと指摘。崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官は「米国は千載一遇の機会を逃した」と米側を牽制した。

会見中のトランプ氏は眠そうだった。それというのも米国内の関心がトランプ氏の長年の側近だった元顧問弁護士のマイケル・コーエン被告の議会証言に集中していたからだ。

元外務事務次官で6カ国協議を担当した藪中三十二氏は「仮に合意してもそちらから関心をそらすほどの『サプライズ』効果は薄く、むしろ批判が強まる結果になりかねない。むしろ今回は合意しないほうがいい」と判断したのではないかとテレビや3月2日付紙面で語っていた。

トランプ大統領の28日のテレビ会見は自宅で見たが、3月1日は腰部脊柱管狭窄症手術のための検査入院のため合意見送りの詳細は検査終了後病室のテレビでウオッチした。

検査入院は1泊2日。2日朝は、みそ汁、厚焼き玉子、キャベツナムル、梅干し、牛乳。昼と夜を合わせて1798キロカロリー。悲しいほど質素な朝食だった。

『ドローン情報戦』

カテゴリー: 政治/外交/国際/軍事

2019/01/21  21:46


 

 

作品名:アメリカ特殊部隊の無人機戦略最前線『ドローン情報戦』
著者:ブレット・ヴェリコヴィッチ
クリストファー・S・スチュワート
訳者:北川蒼(きたがわそう)

 

著者のヴェリコヴィッチ氏は10年以上にわたってテロ対策と情報分析活動に従事した軍用ドローンのエクスパート。アメリカ陸軍特殊部隊(DELTA)のドローン技術者・情報分析官として、アフガニスタンやイラクなど対テロ戦争の最前線で活躍。多くの戦功をあげブロンズスター・メダルや戦闘行動バッジを授与された。またデューク大学でMBAを取得。除隊後はドローンによる東アフリカでの野生動物保護など活動の幅を広げている。

本書は世界的なドローン戦士とピュリッツァー賞ジャーーナリストによる「もっともリアルな戦場と心情」と帯にはセンセーショナルに書かれているものの、当局による様々な表現規制もあって期待通りの面白さは味わえない。

そこをうまく表現するのがプロの世界だが、ピュリッツァー賞ジャーナリストも難しかったのかもしれない。少なくても私にはそれほどリアルではなかった。訳者の力量も響いているのかもしれない。

最も生々しい現実は文字では表せないのかもしれない。「パラマウント映画化取得」とあるので映像化に期待したい。

ヴェリコヴィッチ氏によると、彼が陸軍に入隊したころ、ドローンはまだ珍しい存在だった。ドローン1機を使えるだけでも貴重な経験なので、イラク侵攻後のサダム・フセイン追討作戦中は、どの部隊も索敵用に無人機(プレデター)の使用許可を得ようと争奪戦を繰り広げたという。

同作戦から約10年後にヴェリコヴィッチ氏が陸軍を除隊するころには、自分たちのチームだけで3機のプレデターを指揮し、3機が別々の高度から異なる角度で攻撃対象を監視していた。ドローンはすべてを見張り、決して眠らない。

戦争の仕方がドローンの出現ですっかり変わったのだ。同氏より前の時代の戦争においては、航空支援とは、基本的に援護射撃と空爆を意味した。歩兵部隊は長期の野戦任務を手探りで行い、航空戦力が敵の抵抗力を弱めてくれるよう祈った。市街戦では、建物の角を曲がった先に、扉の向こうに、覗いた窓の中に何があるのか、ほとんど見当がつかないまま活動していた。

しかし、現在は、特殊部隊において任務中には常にドローンが上空にいる。それだけ有用な兵器なのだ。海外でのあらゆる作戦行動、イエメンでの海軍特殊部隊ネイビー・シールズによる急襲、シリアでの人質救出作戦、ソマリアでのテロリスト拘束作戦などでは、必ずドローンの支援があると考えていい。準備作戦段階から作戦遂行中、そして後始末にいたるまで、すべてにドローンがかかわっている。

彼の部隊はテロとの戦いの最前線にある「ボックス」で活動していた。ハイテク・スパイであり、その任務は戦争がどれほど進化したかを物語っている。

羽田空港機能強化に関する住民説明会

カテゴリー: 政治/外交/国際/軍事, 東京日誌Ⅲ

2019/01/12  22:53


 

住民説明会(光が丘IMA1階光の広場)

 

シュミレーター

 

説明パネル

 

国土交通省は1月12日、練馬区光が丘IMA1階の光の広場で羽田空港機能強化に関する住民説明会を開催した。説明会は事前予約不要、入退場自由で、説明パネルや映像資料、パンフレットなどを自由に閲覧。国土交通省の職員が区民の疑問や関心事について答えた。

現在の羽田空港は飽和状態に瀕している。4本の滑走路と3カ所の旅客ターミナルがあり、発着回数は国内線が1日約1000回(利用客数18万1000人)、国際線は最大同約220回(同4万3000人)となっている。国内線の就航先は48都市、国際線は18カ国30都市だ。

 

羽田空港の滑走路の位置関係(国土交通省航空局作成「羽田空港のこれから」から引用)

 

国際線を増便するためには滑走路の使い方、飛行経路を見直すしかないと結論づけた。羽田空港は4本の滑走路が井桁の形となっており、出発と到着経路が複数個所で交錯するため、一定の間隔を空けて運用する必要がある。

4本の滑走路の中で最も新しいのが2010年8月に完成したD滑走路。しかも100年間の長期耐久性を実現する維持管理に配慮した設計となっている。建設費は6730億円。

 

 

 

「知ってはいけない」

カテゴリー: 会見メモ, 政治/外交/国際/軍事, Books

2018/12/19  23:59


 

登壇したノンフィクション作家の矢部宏治氏

 

ゲスト:矢部宏治(ノンフィクション作家)
テーマ:隠された日本支配の構造
2018年12月19日@日本記者クラブ

 

日本のあらゆる制度や仕組みは偏向していると思ってきた。日本の外交もおかしいと感じてきた。米国は大国でありながら、日本は一体何を理由に米国に対して卑屈でなければならないのかとも考えてきた。日米関係には両国が引きずってきた「闇」の部分を持っているのではないか。

私だけではない。怖い物見たさに「闇」をのぞきたい気持ちが国内的にも強まっている。ノンフィクション作家の矢部宏治氏の近著『知ってはいけない』『知ってはいけない2』(いずれも講談社現代新書)がベストセラーとなっているのはその証拠だ。

いくら河野太郎外相が独自の外交論を展開しようが、これを知れば理想的な裸の外交論は吹っ飛んでしまう。闇はそれだけの爆弾を抱えている。悲しいことだが、国民はこのことを隠されてきた。知らなかった。知らないほうが良かった。これが悲しい現実である。

日本の空は、すべて米軍に支配されている

 

「オールジャパンの外交」訴え-河野太郎外相

カテゴリー: 会見メモ, 政治/外交/国際/軍事

  22:53


 

日本外交について語る河野太郎外相

 

ゲスト:河野太郎外相
テーマ:日本外交について
2018年12月19日@日本記者クラブ

河野太郎外相が日本外交について30分間語り、記者の質問に答えた。読売新聞政治部の 梁田真樹子記者は同クラブの会見リポートに「オールジャパンの外交」訴えと題し、以下のように書いた。

「就任から1年半弱で約60か国を歴訪した河野外相は会見の冒頭、外相として感じ取った日本の厳しい現実を突きつけた。

まず「国際会議などの場で主張が通りにくい」という。強く記憶しているのは、就任早々の東南アジア諸国連合(ASEAN)関連外相国際会議で、南シナ海問題をめぐって議論が紛糾したことだ。さらに、国内の統制と対外的な圧力を強める中国の台頭などを念頭に、「戦後日本が恩恵を受けてきたリベラルな国際秩序が挑戦を受けている現実がある」と問題意識を説明した。

その上で河野氏が挙げた外交課題は多岐にわたる。人工知能(AI)を搭載した自律型新兵器システムへの対応、情報技術の進歩とビッグデータの活用、持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた官民連携――。いずれも新たなルール作りが求められるものばかりだ。

「日本は軍事力を背景とした外交はやらない。政府開発援助(ODA)はピーク時と比べて半減。裸の外交力をいかに高めていくかが大事だ」。日本が国際社会で存在感を保ちながら、こうした新たな課題でも民主主義などの基本的価値観を反映したルール作りを主導するための「裸の外交力」として河野氏が訴えたのが、「オールジャパンの外交展開」だ。外務省だけでなく、個人個人が、企業活動や援助、観光、研究などを通して海外と関わることが、日本の外交力につながるという。

今や個人の生活のどこをとっても海外と結びつかないことはない。誰もが外交の担い手たり得るという認識は、先駆的な動きに敏感な河野氏らしい主張だといえる。

だが、それを進めるのであれば、外相には国民に対して、積極的に海外と関わろうとさせるだけの、日本の展望を説明する力が求められる。会見では、問題意識を越えた「展望」については言葉不足だった感が否めない。発信力には定評がある河野氏だ。21世紀型の日本外交の道筋を浸透させられるか、注視したい。」

ボーダーライン/ソルジャーズ・デイ

カテゴリー: 政治/外交/国際/軍事, 映画/テレビ/舞台

2018/12/11  22:51


理不尽な暴力の横行する米墨国境最前線の現実

作品名:ボーダーライン ソルジャーズ・デイ
監督:ステファノ・ソッリマ
脚本:テイラー・シェリダン
キャスト:アレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)
     マット・グレイヴァー(ジョシュ・ブローリン)
     イサベル・レイエス(イザベラ・モナー)
2018年アメリカ映画@ユナイテッド・シネマとしまえん

2015年に米国で公開された犯罪映画「ボーダーライン」(ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督)の続編。ボーダーラインは無法化したメキシコ国境地帯における麻薬ビジネス、誘拐、汚職、不法移民などの実態を描き、センセーショナルな反響を呼んだが、ソッリマ新監督はこれをさらにエスカレート。「前作に敬意は払っているが、全く異なる世界観の映画」になっている。

しかもアメリカを目指して中米を縦断してきた移民キャラバンもメキシコに到着。米国境警備当局による催涙ガス銃発射の矢面に立つ一方、地元住民のデモ参加者から「不法移民は出て行け」コールを浴びている。

こうした中で公開されたのが第2弾の「ソルジャーズ・デイ」。米国内の商業施設で市民15人の命が奪われる自爆テロ事件が発生。犯人がメキシコ経由で不法入国したとにらんだ米政府は、国境地帯で密入国ビジネスを仕切る麻薬カルテルを混乱に陥れる任務をCIA工作員のマット・グレイヴァーに命じる。

マットはカルテルへの復讐に燃える旧知のコロンビア人暗殺者で元検察官のアレハンドロに協力を要請。巨大カルテルの支配者カルロス・レイエスの末娘イサベル(メキシコシティの女学校に通う16歳)を誘拐し、カルテル同士の戦争を誘発しようと企てる。

しかし、その極秘作戦は敵の奇襲や米政府の無慈悲な方針変更によって想定外の事態を招く。メキシコで孤立を余儀なくされたアレハンドロは、兵士としての任務と復讐心、人質として保護する少女との命の狭間で過酷なジレンマに直面していく。

近ザラ時代の社会保障改革

カテゴリー: 会見メモ, 政治/外交/国際/軍事

2018/11/07  23:39


 

野田佳彦前首相

 

ゲスト:野田佳彦(のだ・よしひこ)氏(前首相)
テーマ:消費税これまで・これから①
2018年11月7日@日本記者クラブ

野田佳彦前首相が2012年の3党合意当時を振り返り、消費税についての考え方、財政再建へ向けての思いを語った。期間は2011年9月2日~12年1月13日。

・消費税に取り組む必要性を強く感じたのは2010年の参院選前後だった。自分は財務大臣で、菅直人首相(当時)が消費増税について言及した。ギリシャの信用不安を始め南欧を含め欧州全体に債務危機が広がっていた状況があった。

・国際会議に出ると、財政の健全化と経済の成長をどう両立させるかがテーマだった。どちらかというと、財政の健全化に軸足を置いて、経済成長をチェックする雰囲気だった。

・消費税は真剣に向き合っていかなければいけないとの思いがあった。財政運営戦略(2011年6月)をつくった。閣議決定もした。プライマリー・バランス(基礎的財政収支=入ってくる税収の範囲内で経費を賄って新しい借金をしない)の黒字化を2020年度までに果たす。15年度までに赤字を半分にする。

・他国はもっと厳しい内容だった。13年までに財政収支(国債費を含んで収支をとんとんにもっていく)の赤字を半減し、16年度には黒字化する。

・コミュニケで「日本はユニークで」と特出しされた。このユニークを削ってくれと言う交渉を水面下でやった。日本の交渉についても「Welcome」という言葉を入れて欲しいという交渉を行った。日本だけサーチライトを当てられると大変だという危機感があった。

・英エコノミストに日本の特集記事が出た。タイトルは「日本化する欧米」。日本化というのは「先送りをする」こと。やるべきことをやらない。これ以上先送りをできないテーマは財政の問題ではないかと思った。民主党代表選挙(2011年8月29日)でもこれを意識しながら、決選投票で小沢一郎グループの支持を受けた海江田万里経産相に逆転勝利した。

・野田内閣は「社会保障と税の一体改革」を最優先した。意味するところは社会保障の充実安定と財政再建を同時に達成するのが目標だ。超高齢社会にどう対応するのかと少子化への対応だ。

・高齢化には50年ほど前の昭和30年代にできた国民皆保険で対応してきたが、国民皆保険は超高齢化社会に対応できなくなった。平均寿命70歳弱の時代だったが、今は100歳時代。昔は古希という言葉にリアリティーがあった。団塊世代が2022年に後期高齢者に入る。団塊世代はもう古希ではない。近年ざらになった。「近ザラ」と言っている。

・少子化が進んでいて、支える側が少なくなっている。9人か10人くらいの働き盛りが1人のお年寄りを支える胴上げの社会。今は3人で1人を支える騎馬戦の時代。まもなく避けて通れないのが1人が1人を支える肩車の時代。支える側の社会保障も考えなければならない。人生前半の社会保障と言っている。

・安倍晋三首相は全世代型社会保障と言っているが、子育て支援を含めて前半の社会保障を手厚くすることが社会保障の本質だと思う。

・これらをやっていくことはただではできない。オールジャパンでやっていくためには消費税を充てるしかない。財政健全化も達成する。

・昭和20年は敗戦の年。財政の国際的比較は公的残高の対GDP比で行われる。経済の規模に対してどれだけ借金を背負っているか。200%だった。相当悪かった。ここから日本の戦後は始まった。高度成長を遂げ日本の財政も好転してきた。歳入と歳出が一番近づいたのは1990年。歳出は70兆円、歳入は60兆円。

・90年の歳出は70兆円。それから右肩上がりとなり、2000年は80兆円、10年は90兆円、いまは100兆円に届く時代になった。歳入はピークの90年が60兆円だったのが00年は50兆円、10年は40兆円。出る方は右肩上がり、入る方は右肩下がり。「ワニの口」と財務省は言っている。公的債務残高の対GDP比は今年度中に240%に達する。終戦のときが200%。73年かけて結局悪くなっている。

・防衛費は5%程度。一番支出の中に占めているのは少子高齢化に伴う社会保障関係費が急増していて昔の軍事費に当たるぐらいの批准を占めている。この静かなる有事にどう対応するか。これが日本にとって一番大きな課題だと思う。この課題にするために消費税引き上げを決めた。これは3党合意の根幹に関わる状況だ。

・そこで決まったのが3党合意(2012年)。野田民主党政権は当時の消費税率5%を2段階で10%に引き上げることを決め、法制化もした。消費税率は14年4月に8%へ上がったが、安倍首相は景気低迷などを理由に、再増税を2度先送りした。10%とするのは19年10月。

・民主党内の議論はサイコロのように「振り出し」に戻ることがよくある。民主党内も小沢一郎氏が反対しボロボロになった。私はこのテーマは絶対先送りしてはいけないと思っていたので、51対49でも決めるときには決めなければいけない。ようやく自民党と向き合う局面にきた。谷垣禎一自民党総裁と議論をした。公明党も入れて合意を取り付け、8本の法律を出した。

・どこかの政権が消費税を上げなければいけないことは誰もが分かっていた。与野党が責任を持ち合おうというのが3党合意の精神だった。政争の具にしない。これが3党合意に至るまでの背景にあった。

・残念ながら今もその精神が残っているかというと風前の灯火だ。事実上なくなってしまったと思わざるを得ない。5%から8%への消費税引き上げは安倍首相が14年に行ったが、10%への上げは2回先送りとなった。選挙の争点になったほか、使途変更も争点となった。

・3党合意の精神はお互いに責任を持ち合うことだから、突然争点にするのは魂を分かっていないとしか言いようがない。

・国会で質したが、安倍首相は「政争の具にはしていない。選挙の争点にはしました」と答弁だった。政党間の最大の政争は選挙だと思う。この感覚の違いが今も1つの大きなわだかまりとして残っている。