‘政治/外交/国際/軍事’ カテゴリーのアーカイブ

国王が政治の実権を持つサウジ

カテゴリー: 会見メモ, 政治/外交/国際/軍事

2017/12/06  23:09


 

アジア経済研究所の福田安志氏

 

国際開発センター研究顧問の畑中美樹氏

 

ゲスト:福田安志(ふくだ・さだし)アジア経済研究所上席主任調査研究員
畑中美樹(はたなか・よしき)国際開発センター研究顧問
テーマ:激動するサウジアラビアと中東情勢
2017年12月6日@日本記者クラブ

多数の王子逮捕で揺れるサウジアラビアについて中東専門家2人が解説した。

「ムハンマド皇太子は、王族内部の反発もあるが、40代の『団塊の世代』に圧倒的に支持されている。今後、開発独裁型指導者になる可能性がある」(福田氏)

「皇太子による社会の自由化を含む諸改革が実を結ぶには時間がかかる。改革には増税など痛みを伴うものもあり、国民が実を享受するまで我慢できるかどうか。イスラエルとの接近にも注目したい」(畑中氏)

 

サウジの地図

▇福田氏

・人口は○で囲っているところに集中している。国土は日本の6倍で大きい。首都リヤド地域、ペルシャ湾岸の油田地帯。シーア派の重鎮が住んでおり、いろいろ問題が起こるところ。東岸のメッカ、メディナのある場所。それとイエメン国境沿い。王様の住居がリヤドとメッカに分かれている。

・政治構造が複雑だ。政治はサルマーン国王を中心に動いている。王様が政治の実権を持っている。立法権も持っている。内閣総理大臣を兼ねており、火曜日に王宮の中で閣議を開催している。

・諮問評議会は議会としての位置づけだ。立法権は持っていない。法律は閣議でかけて、閣議で承認されたあとに王様が全部持って帰って、それを採用して承認をして勅令として発布することによって法律になる。法律も王様が決める。

・国土が多くて人口がまたがっている。地方の州知事が一番大切。王族がたくさんいる。行政機構の中には王族はそんなにいない。役所の数が21か22ある。それ以外に無任所国務大臣がいる。王族は2人だけ。あとは平民出身。非王族の実務家が行政を支えている。地方は王族が任命されている。王族の甥が知事になって、副知事になって地方行政を担っている。こういう行政がある。

・決定権はすべて王様が握っている。

・非常に重要なのは法体系。イスラーム法が生きていて使われている。2つ裁判所がある。イスラーム裁判所とDM法廷(平たく言えば、憲法裁判所)。イスラーム法だけでは国が動かないので、労働争議や商取引などは別途王様が勅令を出して作る。これを担当する行政裁判所は別に存在する。

・クーデタを防止するためにお互いに牽制させて軍事機構を幾つかに分けている。こうしたシステムの頂点にサルマーン国王がいて政治を動かしている。

・サルマーン国王には男子12人。王族は数千人、2万人、3万人、人によっては5万人いるといわれる。多数の王族がいて、各所に散っている。就職先必要だ。州知事、副知事など地方行政職。

・サウジは石油収入に基づいて経済が動いている。政治の安定も石油収入によって得られている。この体制の下で政治が安定する。国民の多くの人が国家機関に働いている。3分の2は国家機関で働いている。大学の学生は奨学金をもらえる。そういう中では反政府動きは起きない。政権が安定する。そういう構造だ。

 

 

大塚耕平民進党代表が会見

カテゴリー: 会見メモ, 政治/外交/国際/軍事, 東京日誌Ⅱ

2017/11/29  23:35


 

会見する大塚耕平民進党代表

 

ゲスト大塚耕平(民進党代表)
2017年11月29日@日本記者クラブ9階会見場

 

民進党の大塚耕平代表が29日、日本記者クラブで会見した。元日銀マンで参院歴16年。民進党分裂の責任をとり辞任した前原誠司氏の後任として代表に就任した。10月31日付で就任1カ月。

「火中の栗を拾う」ことになった代表就任について、「ここは私のようなタイプの人間の働きどころ」と胸を張った。2001年に愛知県選挙区から立候補し、当選。17年目に入った現在は3期目。

2009年からの民主党政権では内閣府副大臣(鳩山内閣)、厚労副大臣(菅内閣)を勤めた。趣味は仏教。この日に話題は2つだった。

日本の民主主義は進化の途上にある。発展途上だ。国会ができて128年、男女普通選挙になって71年、小選挙区制になって23年、総選挙で政権交代が起きてたった8年にしかならない。

憲法は国民を「主権者」としているが、果たして主権者とは何か。実感できる機会は総選挙のときに政府を選べること以外にはないのが実情だ。

小選挙区制を導入しないと政権交代は起きないとの認識の下に同制度は1996年から導入された。旧民主党もそのときにできた。2009年に初めて1回の選挙で第一党が入れ替わった。国民が自分の意思で政権を選んだのはこれが初めてだ。

2012年は民主党からすれば下野したことになるが、国民側から言えば、自民党政権を選んだことになる。2017年9月27、28、29の3日間は政権交代が起きるかもしれないし、少なくても安倍退陣の可能性が高いとみんなが思った。国民に主権の権利行使の機会を一瞬果たしかけた。しかし、結果的にはそういうふうにはならなかった。

今回の総選挙では民進党は届出政党にならなかったが、立憲民主党と希望の党を合算すると2076万票となり、自民党の1855万票を221万票も上回った。しかし、志は良かったが、詰めが甘かった。「国民が政府を選択できる」ということでなければ健全な民主主義は維持できない。

総選挙は4年以内にやってくる。そのときに政権を選択していただける構図にもっていけるかどうか。これが私の仕事だ。

保守とリベラルは対立概念ではない。しかし、永田町やマスコミにおいては単純化されて、対立構造として使われており、これを乗り越えないとわれわれの連携にとってもハードルになるのではないか。

これは総理のみならず、関係者すべての考えていただく機会を提供した。保守は伝統や慣習を守るという概念で、改革とは相反する概念だ。さわさりながら、大切なものを守った折には改革にも取り組まなければならない。維持するための改革、保守するための改革を持ち出した。

一方、リベラルは本来は自由主義。個人の自由、自己責任を原則とする概念だ。社会保障や社会的弱者の救済はストレートの出てこなかったが、個人の自由を守るためにはその当事者の責任では無い理由で自己実現が阻まれている状況はまずい。そうした自由を守るためには政府が積極的に手を差し伸べるべきだとの思想に発展し、日本ではこれをリベラルと言っている。

保守とリベラルは対立概念ではなく、保守にとってどのような貧困は保守という考え方を守るために手を差し伸べても改革をするべきものなのか。リベラルにとってもどのような自由を守るために政府が手を差し伸べるべきか。

保守は好戦的でリベラルは平和的であるという概念も重大な間違いだ。何が正しいとか何が正義とかはソクラテス以来いまだに結論が出ていないというよりも定義ができない。だから熟議を尽くせば尽くすほどより良い結論に到達できるかもしれないので、議論を尽くせ。これが民主主義だ。

本当の対立軸は民主主義をより重んじる勢力か、民主主義をかなり軽く考えている勢力か。どっちに政府をお預けになるか。それを問うことが重大な対立軸ではないか。

 

会見場から日比谷公園をのぞくと、外は紅葉していた(前は千代田区立日比谷図書文化館)

サウジ、ムハンマド皇太子に権力集中

カテゴリー: 政治/外交/国際/軍事, 資源/エネルギー/環境

2017/11/24  22:32


 

WTI原油価格の推移(月次)世界経済のネタ帳から

 

独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の佐藤隆一中東事務所長は11月24日都内で開いた会合で、2017年度第7回石油天然ガス最新動向のブリーフィングを行った。湾岸産油国はVAT等痛みを伴う改革を模索している一方、人口の多いサウジアラビアはムハンマド皇太子への権力集中を進める。近く改革の成果が問われるところだ。

原油価格の下落は2014年以降、過去2年間続いている。14年後半はバレル当たり100ドルを超えていたものの、16年2月には同30ドルを割り込んだ。現在は58ドル前後で推移し、今後もさほど高くない水準が続く見通しが高まっている。

石油輸出国機構(OPEC)は高生産姿勢を崩さず、米シェールの高い持久力などを背景に今の状態が今後も続く見通しが高まっている。

国際通貨基金(IMF)によると、サウジアラビアの財政収支が赤字に転落しないために必要な石油価格は70ドル、アラブ首長国連邦(UAE)60ドル、クウェートとカタールは50ドルと推定されている。これ以上下がると、サウジの財政収支は赤字になるというレベルだ。

ぜいたくな財政支出を減らすことも可能だし、赤字国債を発行することもできる。また税金をとることもできる。基準自体が極めて緩い。多くの湾岸協力会議(GCC)諸国では14年から赤字が続いている。

サウジは政府系ファンド(Sovereign Wealth Funds=SWFの運営するファンド)の外貨準備資産を取り崩したほか(7840億ドル→4850億ドル:約30兆円減)、国債等の発行による外部調達を行った。

また、サウジは公務員および軍人の給与削減を表明したものの、国民に配慮し中止した。王族への資金分配問題でも強硬な姿勢を表明した。

サウジではムハンマド皇太子への権力集中の流れが鮮明になっている。15年1月に経済開発問題会議議長、15年4月にサウジアラムコ最高会議議長、17年6月には政治安全保障問題会議議長に就任した。同年11月4日には反汚職委員会を設立し、議長にもなった。同日、唯一対抗し得るムトイブ王子・国家警備隊長ら11人の王族を含む201人を拘束した。

一方で、イエメン紛争介入やカタール断交、武器購入などを続けており、財政圧迫要因は多い。レバノンのハリリ首相が辞任を発表したのもムハンマド皇太子の関与が指摘されている。

 

昨年完成したADNOC本社ビル

 

湾岸諸国ではUAEが先頭を切って付加価値税(VAT)を導入し始めた。ADNOC初の社債を17年11月に30億ドル発行したほか、ガソリンスタンド部門のIPOも行い、資金を調達した。

ADNOCは戦略的な体制でコスト削減と技術導入を実行。石油化学・マーケットも重視し、新社風は「もはやサンタクロースではない」と強調した。

「政軍関係を考える」

カテゴリー: 会見メモ, 政治/外交/国際/軍事, Books

2017/11/10  22:23


 

弁の立つ元航空自衛隊航空教育団司令官の廣中雅之氏

 

ゲスト:アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)上級研究員
テーマ:「軍人が政治家になってはいけない本当の理由:政軍関係を考える」(文春新書)

2017年11月10日@日本記者クラブ

 

シンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)」でシニアフェローを務める廣中氏は、航空自衛隊で航空教育団司令官を務めた後、2014年に退官した。同書は、2015年から2年間、米国の2つの安全保障研究シンクタンクで研究した成果をまとめたもの。

「我が国では、絶対的にタブー視されてきた政軍関係の領域に、主として自衛隊の指揮官の視点から一石を投じようとしたもの」と執筆動機を述べている。

習体制のブレーン、自信満々で「強い中国」を語る

カテゴリー: 会見メモ, 政治/外交/国際/軍事

2017/11/09  10:42


 

胡鞍鋼清華大学教授

 

ゲスト:胡鞍鋼清華大学教授
テーマ:2期目の習近平体制
2017年11月8日@日本記者クラブ

習近平政権のブレーン。「毛沢東が起国、鄧小平が豊国、そして習近平が強国を実現する」「所得倍増は日本に学んだが、今や『先生』を超えた。次は米国を超える」「中国共産党がなければ人類運命共同体もできない」。自信満々の口調で習時代を語った。

中国の第19回共産党大会(11月18~24日)を前に、習政権のブレーンといわれる胡教授が2期目の習近平体制を特徴づける思想および理論の内容を中心に会見した。

中国19党大会はなぜこれほど世界から注目されているのか。世界約240カ国から合計855の電報が送られ、うち814は国家元首・首脳・政党・組織など政治指導者からだった。これは記録だ。国外からの取材記者団も134カ国、1800人を超えた。

西側諸国の中国崩壊論、中国脅威論、中国覇権論といった予測はことごとく破綻したのではないか。予想外のことが起こっている。日本では特に崩壊論が強かったが、まさに実践を持って崩壊論を崩壊させた。これは重要なことだ。

2つの宣言が最も重要な内容だ。1つ目は現代における共産党宣言、2つ目は「人民を中心とする政治」を行うという人権宣言。西側諸国でいう一部の人権ではなく、中国14億人すべての人権だ。

「新時代」と「新目標」について話したい。中国は新しい時代に入った。国家には国家発展ライフサイクルがあり、黎明期、成長期、繁栄期、衰退期の4つがある。中国は今や繁栄期に突入した。2012年は中国を強くする責任を習近平が担う転換点となった。

一方、米国は「衰退期に入った」とTime誌は書いている。中国の政治的、経済的革新が中国を何よりも強くし、革新ができないことを米国が認めた、ということだ。

中国共産党がどうやって政権を運営しているのか。オバマ前米大統領は詳しい。

18代大会で初めて打ち出したのが4つの強い国で、人材強国、社会主義文化強国、海洋強国だった。19代になると、13分野で強い国を目指す。製造業、科学技術、品質・・・など。これから披露されていく。

中国はそれなりの暮らしを営める「小康社会」から、豊かさを実感できる「共富時代」に歩みを始め、中国が世界の中心になっている。2016年に中国銀行の総資産額は米国の銀行の2倍を超えた。

そうした中から「一帯一路」という習近平計画が生まれ、人類がともに発展していく「共有主義」も出てきている。歴史的な使命を持っている。

新時代における中国の共産党。中国共産党を知ることができなければ、中国を知ることはできない。共産党がなければ、強い中国はなかった。共富時代もこなかった。近代化に向かう中国もなかった。中国共産党がなければ、人類運命共同体を目指すこともなかった。

中国共産党に対しては色眼鏡をかけてみている。理解できていないためではないか。何故重要なのかは革新を持つからだ。

習近平の思想と手法を理解できなければ、どうやって中国と付き合うのか。一番力を入れているのはアメリカのシンクタンクや重要メディアだ。一番強いパイプを持っている。

「中国の黄金時代」を率いるにふさわしい「黄金のリーダー」こそが、まさに習近平である。

強い中心×強い集団指導×良い指導体制=指導集団の黄金指導力

試写会『否定と肯定』

カテゴリー: ジャーナリズム, 会見メモ, 政治/外交/国際/軍事, 映画/テレビ/舞台

2017/10/27  23:55


 

”真実”とは何か?

 

作品名:『否定と肯定』(原題『Denial』)
監督:ミック・ジャクソン
キャスト:デボラ・E・リップシュタット米エモリー大学教授、ユダヤ人歴史学者(レイチェル・ワイズ)
リチャード・ランプトン英法定弁護士(トム・ウィルキンソン)
デイヴィッド・アーヴィング英歴史家(ティモシー・スポール)
試写会@日本記者クラブ
12月8日(金)全国ロードショー

 

作品について語るリップシュタット教授

 

デボラ・E・リップシュタット米エモリー大学教授は27日、上映に先立って15分間会見し、本作品について、「この映画は実際に私が経験したマイストリーだ。すべてが真実だとは限らない。誰もが自分の意見を持つ権利があるが、事実は1つしかない。歴史家はホロコースト(Holocaust=ナチスによる大量虐殺)がどのように行われたについて議論することはできるが、事実はホロコーストは実際に起こったということだ」と述べた。

「実際に起こったことについてはディベート(議論)できない」と指摘し、「英歴史家のアーヴィングが主張していることが1つ1つ間違っていることを証明していくことで彼を嘘つきであることを立証した」とも語った。

実に興味深い作品だった。時間もなかったので迷ったが、結局、観賞した。そして見て良かったと思った。内容が深く、ある意味で感動した。そんなに感動する作品にはお目にかからないが、フェイクニュースのまん延する中、たとえ娯楽作品と言われようと、「ホロコーストは実在した」との事実を立証しようと真正面から取り組む姿勢には感銘を受けた。

リップシュタットは米ジョージア州アトランタにあるエモリー大学の教授。ユダヤ人。現代ユダヤとホロコーストについて教鞭を執る歴史学者。1994年、彼女は著作「ホローコストの真実」でホロコースト否定論者として非難した英歴史家デイヴィッド・アーヴィング(ティモシー・スポール)が講演会場に乗り込んできて、彼女の話を遮った。

彼は1000ドルの札束を振りかざしてこう言った。「ヒトラーがユダヤ人殺害を命じたと証明できる者には、これをあげよう」。それをカメラに収め、自己宣伝に使った。そして1996年2月、アーヴィングは英王立裁判所に名誉毀損でリップシュタットを訴えた。リップシュタットは悩んだ末、英国から腕利きの事務弁護士アンソニー・ジュリアス(アンドリュー・スコット)を呼び寄せる。彼は英国の法定では訴えられた側に立証責任があると説明する。

2000年1月、多くのマスコミの注目する中、王立裁判所で裁判が始まった。

 

2017年衆院選開票速報

カテゴリー: 政治/外交/国際/軍事

2017/10/22  20:44


 

あと4分46秒で各党の議席を完全予測と銘打った開票速報

 

午後8時に自民党、過半数を大きく上回る情勢と報道

 

2017年衆院選開票速報は劇的だった。NHKは午後8時ちょうどに各党の議席を完全予測した。出口調査と情勢取材をもとに分析した。

どのテレビ局も同じような内容で、いずれも自民党の圧勝を伝えた。大義なき総選挙ではあったものの、政治家はいつ、いかなるときも選挙の試練に立ち向かわなければならない。準備が万端に整ったということはない。

 

個人演説会

カテゴリー: 政治/外交/国際/軍事

2017/10/16  23:57


 

そとから見ると・・・

 

雨の中で赤字に白の名前が浮かび上がっていた

 

中に入ったら、こうだった

 

10月16日(月)も雨だった。秋の長雨とはいうものの、来る日も来る日もこんなに雨ばかりだった年は珍しい。今年は異常気象が目立ち、異常が異常じゃなくなった。

そんなことを考えながら、最寄り駅から歩いて戻ってきた。雨が降りしきっている。家のすぐそばにある高松小学校の体育館で何かをやっていた。看板をちらっと見ると、自民党議員の個人演説会。選挙戦は中盤に差し掛かっていた。

体育館は開け放たれていた。選挙では投票所になるところだ。外から眺めるともなく眺めた。そう言えば、来週は選挙。誰に入れるかまだ決めていない。中に入った。議員の話が続いた。そして「頑張ろう」コールが続いた。

それにしても静かな選挙だ。午前中は自宅にいることが多いが、ほんとど選挙カーの「お願いします」コールを聞かない。なぜかくも静かなのか。東京第9区。練馬区の8割だ。

選挙戦はどうもテレビの画面上だけのようだ。それ以外は静かそのものだ。メディアが世論調査を行い、公示直後の序盤情勢を探った。大体のメディアは「与党、300議席に迫る勢い」で一致している。野党の希望の党の「排除の論理」が大きく響いた。風が吹かない。

テレビの議論もこれが大きな流れとなっている。テレビはこれを背景に、流れを作っている。「与党の勝利」は動かない。議員は「睡眠時間が4時間だ、3時間だ」の話をしていた。

大手新聞社は終盤情勢の調査をもう一度行い、与党の勝利を確信するだろう。希望は選挙区で苦戦を強いられている。

議員の選対は「選挙には3つの坂がある。上り坂、下り坂、そしてまさか。まさかがないように頑張りたい」と語った。

20分ほどたって演説会が終わったら、出口に急ぐと、議員から握手を求められた。にわか参加者は「反体制」派。権力には組みしない。しかし、にわか仕立ての野党にはどうにも組みできない。

このままで与党が勝てば、安倍政権が継続する。いんちきだが、それを打ち破る野党が存在しない。力強い野党がなくなった。希望の党はあまりにも急ごしらえで、力強さに欠く。選挙区制度は死票ばかりを生む。もう少し力強い候補が欲しい。

 

『天孫降臨』

カテゴリー: 政治/外交/国際/軍事, Books

2017/10/15  12:30


 

『天孫降臨』(花伝社)

 

書名:『天孫降臨』(てんそんこうりん)
著者:信太謙三(しだ・けんぞう)
出版社:花伝社

時事通信社の中国担当記者、信太謙三氏が初めて取り組んだ小説だ。「入念な古代史研究に基づく、もう一つの立国史」(花伝社)でもあるが、時代は日本で稲作が始まったといわれる2300年前の縄文晩期だから、読者に読ませようと思ったら、もちろん物語性を持ったエンターテインメント(芸能)小説にせざるを得ない。

最初から説明も必要となる。「日本に天皇を中心とする強大な国家が誕生するずっと前、今から2300年以上も昔のことである。4つの大きな島はいずれも鬱蒼たる森に覆われ、そこで暮らす人々はすべて合わせても10万人に満たず、海や川で魚や貝をとり、森の中でイノシシやシカなどを追い、ドングリなどの木の実を集めて生きていた」

「当時、人口が比較的多かったのは東日本の東北や北海道などで、西日本の九州にはすべて合わせても1万人程度しかいなかったが、中国大陸や朝鮮半島から小さな木造船や丸木舟で荒波を乗り越え、九州北部や中国地方に移り住み、稲作を始める人たちもでてきていた」

「日本史の時代区分でいえば、縄文晩期の最後のころで、地球規模での寒冷化が進み、気温は現在より2度ほど低く、木の実が減少し動物の数も少なくなって食糧事情が悪化、飢えや病で死んでいく者が後を絶たず、各地で人口が減り続けていた」

「九州山地の一角、今で言えば、宮崎県高千穂町の中心部を北から南に大きく蛇行しながら流れる五ヶ瀬川の支流、神代川近くの高台にあったヒミ集落も例外ではなかった」。物語の舞台を記すためにも冒頭、こんなに説明を要する時代の話だ。

登場人物も多い。多すぎる。著者が「主な登場人物」として説明しているだけでも23人。チクシ(筑紫)統一を主導したタケとタケの大伯母で博覧強記の巫女のポポくらいは何となく分かるが、他は人物をしっかり把握しないと物語が読めない。読者にはかなりの負担だ。

物語に入っていくのも難しかった。せっかく登場人物に感情移入しながら読んでいっても、間を空けると、また最初から読み直す必要があった。面白いと思え出したのは第一部「新天地」もかなり読み進めたあとだった。途中で読み続けるのをやめた人が出てきても不思議に思わない。

しかし、我慢して読み進めていくと、何とか面白さを感じるようになる。ポポの祖父ザンフィや父ザンチの故郷は大陸の楚の中でも東寄りのウシ村。彼らの家はここで代々、自ら農業を営む旁ら、都の郢(えい)に住む王族の代わりに村人から年貢を集める役割を担っていた。

楚は北の大国である魏、韓、斉の圧迫を受け、南の呉には攻め込まれた。ザンフィたちは村を捨て、海の彼方にあるチクシ(筑紫)島を目指した。「そこは雨も多く、だれの者でもない手つかずの土地が広がっているという。行ってみようではないか」

ウシ村は長江デルタ地域にあり、水路を伝って長江に出、木造船に乗った。危険を承知で大海を突っ切るルートを選択。大海原に出ると、船山群島(舟山群島=中国浙江省の東シナ海上にある群島)の沖から700~800km先のチクシ(筑紫)を目指した。

ザンフィはたどり着いたチクシで森の民の頭目で、ケガをしたヒガキ集落の頭目サットを助けたのを縁に、目的地のマツラに居住する。ザンフィはコメで酒を造り、ヒガキとマツラの両集落はともに発展していく。日本と中国、韓国はいまでこそ勢力を争っているものの、昔は一体的な存在だった。

ポポが生まれたのはザンフィらがマツラに入植してちょうど12年目の夏だった。ザンフィは「チクシは大陸に比べ、確かに貧しいよ。でも、ここには何よりも大切な平和で安定した、人にとってやさしい生活がある。渡来人のわれわれを受け入れてくれたサットたちには感謝するしかない」と酒を飲むといつもこう言って頭を下げた。

これに対し、サットは必ず、「森の民の祖先たちは遠い昔、遙かなる天から海を歩いてこのチクシの地にやってきた」という自分たちの言い伝えを持ち出し、「皆、外からやってきた者たちだ。仲良くやっていくのは当たり前だ」と応じた。

しかし、両集落のこの平和で安定した生活はいとも簡単に崩れ去ってしまった。ポポが7歳のとき、ザンフィとサットが相次いで亡くなり、マツラ集落の酒と塩の利権をめぐって対立が生じ、他の集落を巻き込んだ争いに発展したからだ。

それに朝鮮半島西南部を支配しているカラ国の王族の1人イサムが権力闘争に敗れ、一族郎党を率いて九州に逃れ、クダ集落を開いたことで状況が一変した。イサムは半島への帰還を夢見て、先に入植していた朝鮮からの渡来人を糾合。現在の福岡市博多区の高台に開いた集落を拠点とし、稲作を展開。多数の兵士を養い、青銅の剣や鉾を大量に生産し、武力を使って森の民を含む倭人の支配地域を次々に奪っていった。その中にマツラ集落もあった。

マツラはイサムの命を受けた兵隊頭キムピ率いる約30人の兵士の軍門に下った。ポポは奴隷となり、クダ集落に連れて行かれた。死は選択の中になかった。「一度生を受けたら、どんなことがあっても生き続ける。それがあらゆる動植物に天が与えた責務であり、この時代、人間も例外ではなかった」

ポポはクダで1人の白い衣装をまとった年老いた侍女イビョンの目に止まった。頭目イサムの姉で、巫女を務めていた。集落で絶大な力を有し、神を祭るためのイビョンの斎場は大きな高床式住居の一部を仕切って設けられていた。

ポポは聞き覚えたばかりのカラ語を使ってイビョンの関心を勝ち得、「おもしろい子じゃ。賢い子じゃ。お前は・・・」と思われた。

ポポがクダ集落に来てから9年。16歳だった。身分も奴隷からイビョンの養女となり、記憶力はだれもが驚くほどだった。イサムもポポに意見を求めるようになっていた。しかし、ポポは心の中では母や弟、森に囲まれた故郷マツラ集落のことを思っていた。しかし、ポポはそれをおくびにも出さなかった。

しかし、イビョンが「大巫女」を名乗り、ポポが「巫女」となった18歳のとき、イサムが緊迫した面持ちで斎場に姿を見せ、カラ国について意見を求めた。カラはこのとき、滅亡の危機に直面していた。朝鮮半島には戦乱が続く大陸から逃れてくる華人が後を絶たず、そうした難民が自分たちの治めるシラ国を半島に設立し、カラ国などの朝鮮人の国を攻めてきた。

こうした中でイサムは調略に屈した副官にクーデタを起こされ、結局ポポは身柄を拘束され、土牢に放り込まれた。イビョンは首をはねられた。カラ国の版図を九州だけでなく、山陰地方にも伸ばす計画は着々と進んで行った。

「姉貴、姉貴・・・」

蒸し暑い夏の夜だった。土牢の丸太格子の方から押し殺したような小さな声が聞こえてきた。マツラ集落で使っていた大陸の言葉だった。ポポははっとして体を起こすと、真っ暗な中、這ってままで格子のところまでいった。

「姉貴、(弟の)ザンドゥだ。分かるか?」

脱獄。ここから先は結構、読める。一気呵成だ。

日本は今、東シナ海を巡って中国や韓国、台湾とトラブルを抱えている。2300年前の縄文時代と同じだ。そのことを著者は言いたいのかもしれない。筆者は「日本という国がいったいどういう国で、日本人がどういう民族なのか。この物語を楽しみつつ、考えてもらえばありがたい」と語っている(井上雄介のたいわんブログ)。次作以降が楽しみだ。

 

「中日関係で変わったこと、変わらなかったこと」程永華大使

カテゴリー: 会見メモ, 政治/外交/国際/軍事

2017/09/26  22:53


 

滞在8年目になった程永華駐日中国大使

 

ゲスト:程永華駐日中国大使
テーマ:日中国交正常化45周年を迎えて
2017年9月26日@日本記者クラブ

 

程永華駐日日本大使が日中国交正常45周年を迎えて会見した。日中国交正常化45周年、平和条約締結40周年を振り返って、大使が感じていることを話したいと述べた。中日関係に対する認識を深めたいとも語った。

会見リポートはNHK解説委員の加藤青延氏を引用した。