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英国政治の現状は熟慮のプロセスではなく「混乱」

カテゴリー: 政治/外交/国際/軍事, 講演会/シンポ/セミナー/勉強会

2019/06/12  19:40


 

筑波大学の近藤康史教授

 

ゲスト:近藤康史筑波大学教授
テーマ:BREXIT迷走の背景-英議会政治の変質
2019年6月12日@日本記者クラブ

筑波大学人文社会系の近藤康史教授がイギリス議会政治の変調とその要因について日本記者クラブで話した。

「ブレグジットをめぐる英国政治混乱は、2大政党から多党化への流れが背景にあると指摘した。ブレア労働党政権の分権改革で誕生したスコットランドなどの地域議会で地域政党が成長。加えて、欧州議会選挙は、国政選挙の小選挙区制ではなく比例代表制で実施されるためUKIPなど小政党が存在感を示すようになり、多党化が有権者に浸透していった。さらに、保守党、労働党ともEU政策について党内で意見が割れ党の結束力が低下したことも混乱に拍車をかけたと解説した」(土生修一日本記者クラブ事務局長)

・議員たちが非常に分かれている中で過半数を占める合意形成というのは難しい。メイ首相にとっても難しかったが、どの首相でも今の状況だと難しい。

・保守党と労働党をまたいで穏健、離脱勢力が存在する。政党間対立を横断している。EU残留が労働党で、EU離脱が保守党といったすっきりした対立ではなくて党派をまたいだ争点になっている。同じ党内でもまとまらない。党派をまたいでまとめようとしてもうまくいかない。

・保守党党首選は7月22日の週に決まる見通し。ボリス・ジョンソン氏ら5名が出馬を表明している。

・これまでは「延期」「延期」できたが、とにかく「離脱」をしなければならない方向で動いている。離脱をしないと保守党の支持率が下がるのは確実との危機感も議員側にはある。強硬離脱をしなければならないのかはともかく、離脱はしなければならない方向に動いている。また「延期」「延期」は避けたいのではないか。保守党の重心が動いている。

・進むとしては2つの方向だ。メイ首相は労働党との合意も視野に入れていたが、これは消えた。保守党内で離脱でまとまらなければならないし、そうでないとブレグジット党に代わられる。危機感で一体感を取り戻す。これが1つの見通しだ。まとまらなければ合意なき離脱もあり得る。

・(民主主義のねじれをどうやって解決するのは民主主義国である英国でどのような評価を得ているのか。今起こっている状況は決められない政治なのか、民主主義的な熟慮の姿なのかどうか)。

・英国の有権者のレベルでは決められない政治が批判されており、「混乱」と捉えられているとしか言いようがない。国民投票についても何の合意もなく、「離脱」の結果に右往左往している姿は混乱としか呼べない。

「Thinktankを超えDotankに」桜田謙悟氏

カテゴリー: 科学/技術/イノベーション, 講演会/シンポ/セミナー/勉強会

2019/05/31  21:05


 

SOMPOホールディングスグループCEO

 

SOMPOホールディングスグループCEO(最高経営責任者)兼代表取締役社長で、今年4月から経済同友会代表幹事に就任している桜田謙悟氏が5月31日、国立情報学研究所のオープンハウスで基調講演した。成長戦略の新たな司令塔として平成28年(2016)9月に設立された未来投資会議のメンバーでもある。

・私は金融サービスの社長をしている。デジタルイノベーションの世界で最も先にディスラプト(崩壊、分裂)される可能性のある損保業界の社長であると同時に日本にとっては最も重要かつ急成長している介護業界を扱っている業界のトップでもある。現場の声や悩みや提案をしてくれということが分かった。

・データというのは何なのか。喜連側川優国立情報学研究所長が先ほど科学的な発想から眺められたが、ビジネスサイドの人間としては「データ イズ マネー」だとか「データ イズ ニューオイル」ということを何となく分かっているものの、本当に分かっているビジネスマンは世界にはいない。正解ということではなく、私の考えを話したい。

・SOMPOは売り上げで約3兆6000億円。雇用者数8万名。30カ国、218都市で事業展開している。

・損保にとって昨年は厳しい年だった。業界全体で支払った保険金は1兆5000億円。SOMPO だけでも5000億円。とんでもない金額だ。準備金や再保険があるからストレートに決算に響いてはいないが、皮肉に「もう損保事業には新規参入したくない」と言われる。あまりメリットない。

・業界の外からも猛烈にディスラプトされてきている。もしかしたら銀行のほうが厳しいかもしれないが、金融サービス業はこういう状況だ。

・VUCA。私が大好きな言葉だ。Volatility(変動性)、Uncertainity(不安定性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧模糊性)の略語だ。もともと軍事用語だったが、現在はビジネスでも使われている。無茶苦茶の時代、何を考えてもしようがない時代。

・今年のダボス会議でパネルをやってきた。セールスフォース、U2、ラッパー。彼らはIT産業に巨額の投資を行っている。「データはおれたちのものだ」「データを取り戻せ」「GAFAにただでやるな」などと言っている。スウェーデンで地球環境を守ることで闘っている高校生もいる。こういう人たちが集まって議論する。オープンイノベーション。エコシステムができる。全然違う経験を持った人たちが集まってきたオープンハウス。

・今第4次産業革命の時代と言われている。社会の抱えている課題にソリューションを提供することに意義があった。第1次産業革命は農業で飢えに対するソリューションを提供した。第2次は蒸気機関で、筋肉に対するソリューションを提供した。第3次はインターネット革命。距離とか時間に対する制約を取っ払った。第4次産業革命は何か。世界のアーキテクチャ―を作れ。答えはない。良い意味でも悪い意味でも脳に対する挑戦が始まった。脳に対するダークサイドであればクライシスでもある。

・トランプ米大統領もなかなかチャーミングなおっさんだが、変なことも言っている。ヨーロッパもぐちゃぐちゃ。中国もしっかりしているように思えるが、中は大変。格差を広げるかもしれない。

・一般社会の中ではデータに対するアレルギー、嫌悪感が出始めている。これは絶対に起こしてはいけない。すべてのテクノロジーは英知を適用することによって人類のためにあることをはっきりさせなければならない。データとゲノムについてはこの問題が顕著になってくる。

・新渡戸稲造氏の唱える武士道。3.11の整然とした行為。はっきりした宗教ではない。これが日本を形作っているのではないか。

・保険の社会は思いっきりディスラプションする。自動車保険があるが、自動運転、シェアリングによって・・の世界に組み込まれていく。火災保険。ニューリスクだけ。

・世界の保険会社が頭を悩ましているのはサイバーテロだ。全く読めない。損害の規模が分からない。発生するチェーンも分からない。

・これまでは自動車会社、保険会社、銀行とあったが、プラットフォーマーがくる、Xaas(X=未知の値、aas=as a Service=クラウドサービス全般)がくる、スタートアップ、銀行の名前が無用のアリペイがくる。保険業法、銀行業法など法律で管理・監督できたが、業界・産業という定義が完全に崩れた。横から見ていかないとこれからの産業は成り立たないし、あらゆる法律は機能しない。横をどう見るか。法律そのものが無意味になってくる。ただ遅れてくるだけでなく機能しなくなる。

・Xaasはどこで区切るのか。アリペイは保険会社か。法律がビジネスや社会の変化に追いついてこなくなってきている。

・会社の存在意義に書いてあるのは最高水準の安心・安全・健康のサービスを提供するために存在する。保険とは書いてない。安心・安全・健康のテーマパークと言っている。具体的に身に見え触れるものを提供する。保険は一番下に置いているラストリゾートだ。みなさんが考えたくないことを考えてきた。

・人とデジタル。東京、シリコンバレーにデジタルラボを作った。シリコンバレーに来る天才の多くはインドとテルアビブや深圳。GEがリストラしたので彼らを雇った。ラッキーだった。

・1000億円くらいかけ2つの会社を買収し介護事業に新規参入した。SOMPOケアグループは国内2位の介護事業者になった。400施設。利用者数8万人、職員数2万4000人。

・入ってみて気づいた。リアルデータの宝庫だった。バーチャルデータとの交換のオファーがあったが、お断りした。バーチャルデータの怖さはそれが本物かどうか分からない。それによって操られる人が多いのであたかもそれが影響力があるようにみえる。データは何かという教育が大事だ。

・長寿社会をネガティブにとらえているが、日本の持つ最大のアセットかもしれない。105歳以上の行動パターン、生活パターンについてのリアルデータは日本ほどたくさんあるところはどこにもない。105歳すぎたら長生きする人が多い。なぜか。意外と認知症になる人も少ない。日本はデータの宝庫だ。

・日本はいなくてはならない国になりたい。予定調和とソフトパワー、それに武士道という規律に支えられた国が何をしてくるのか。世界は見ている。

・Think tankを超えてDo tankになりたい。問題ははっきりしている。問題はなぜできないか。どうやってやるかに切り替えている。やるしかない。

元禄創業老舗和菓子屋のよもやま話

カテゴリー: 講演会/シンポ/セミナー/勉強会, 食物/老舗

2019/05/29  16:06


 

秋色庵大坂家18代目の倉本勝敏氏

 

元禄年間(1688~1704)に創業したといわれる老舗和菓子屋「秋色庵大坂家(しゅうしきあんおおさかや)」(港区三田3)の18代目、倉本勝敏氏のよもやま話を港区の神明いきいきプラザ(港区浜松町1)で聞いた。

芝百年会の主催。港区芝地区にある創業100年を超える老舗のお店が集まって創設した会だ。NPO法人農都会議の会合で神明いきいきプラザにはときどき通っているが、過日会合に出たとき、掲示板にこの日のお知らせが貼ってあった。

倉本勝敏氏は1942年(昭和17年)1月、芝の三田生まれ。47年に疎開から戻った。小学校から大学まで芝で育ち、「まるっきり外へは出ていない」という。生業は和菓子屋で私で18代目。創業は元禄年間。将軍徳川綱吉の時代だった。時代は華やかでバブル的な色彩があった、と本に書かれている。

昔から豆腐屋と菓子屋は朝が早いと言われている。朝8時までに「朝生菓子」(その日の朝に製造した製品)を作らなければならないからだという。

「朝生菓子」はその日限りの命で日持ちしない新鮮さが売り物の製品で、8時までに作らなければならないと朝の7つ(朝4時)から仕事を始めないと開店には間に合わないという。閉店は夕4つ(午後10時)。7と4をとって世間からは「11屋」と呼ばれていたそうだ。いつ寝たのか分からない。

江戸のざれ歌に、なんで転んで菓子屋にほれた。足がねばって金がない、というのがある。

「くだらない」という表現がある。「くだらないもの」というのはメイド・イン・江戸のもので、大阪、京都から下っていない。だから「くだらない」と言う。江戸の酒はまずいと言われた。ところが江戸の人は努力家で「おいしい」ものを作れるようになったそうだ。

オリジナル商品の「秋色最中」は16代が考案して売り出した。小倉、栗、黒糖の3種類のあんこを使った最中は日本初の三色最中として好評だったが、同様の名称の最中が広まったため、昭和の初めに「秋色最中」と改名した。

16代は「おれは江戸っ子だ。人と同じ名前なんぞ付けられるかい」と言っていた。江戸っ子は馬鹿からそうでないのか分からない。私も江戸っ子の1人だが。

秋色という名前が付いたのは2代目の娘の「お秋」を由来としているためだという。当店は当時日本橋小網町近くに店を構えていたが、近所に住んでいた松尾芭蕉の直弟子・宝井其角に徘徊を学び、「秋色女」および「菊后亭秋色」と名乗っていた。愛弟子だ。寛文9年に生まれ、享保10年に56歳に没した。

13歳のときに「井戸端の桜あぶなし酒の酔」を読み、公寛法親王の目に留まったという。「秋色桜」として講談にもなっているという。

親父は島根県出身。なので「まだらの江戸っ子」と言われている。

「和菓子は食べちゃうと簡単だが、作るのは大変なんですよ」

ICT林業の成長産業化

カテゴリー: 講演会/シンポ/セミナー/勉強会, 農業/農地/農政

2019/05/09  23:39


 

アジア航測執行役員の矢部三雄氏(一番右側のマイクを持っている人)

 

NPO農都会議と日本サステイナブルコミュニティ協会(JSC-A)共催の5月の勉強会「森林環境税と路網整備」が9日、港区神明いきいきプラザで開かれた。

テーマは3月27日に成立した森林環境税法で得た新財源を林業の機械化にどう使っていくのか。路網整備など林道整備の方向性を考える場となった。

林野庁森林整備部整備課課長補佐の岸巧規氏とJSC-A会長で東京大学名誉教授の酒井秀夫氏、アジア航測の矢部三雄執行役員・総括技師長の3氏が講演した。このうち矢部氏の「ICT技術による路網整備の効率化が実現する新たな林業経営」を紹介したい。

・2年前にも航空レーザ計測について説明したが、今回は道に特化したい。安く丈夫な道を作るために最新の技術をどう生かすかの視点で話したい。道を作る場合は線形(路線の形状)、どこにつくるのかが重要だが、それを事前に取得した情報によって的確に把握していく。それでコストを下げる。

・道ができたときにその道を使って林業の生産性をどう上げていくか。そのための情報の使い方も重要だ。

・森林の計測の内容にはいくつかあるが、大きく分けて写真とレーザ測定の2種類がある。森林からの距離によって道、地上、ドローン、航空機、衛星。レーザ計測の場合、衛星もあるが、民間技術として活用できる状況にはない。航空機による航空レーザ計測の活用を中心に説明したい。

・ここ2~3年市民権を得ている。3年前まではほとんど見られなかったが、林野庁の予算を付けて各都道府県、市町村が航空レーザ計測に取り組んでいる。

・写真とレーザのどこが違うか。写真は見える物しか見えない。レーザは見えない物が見える。またレーザ計測はあらゆるもののX、Y、Zの座標が取得できる。これが大きな違いだ。

・地上調査は毎木調査をやっていた時代もあったが、今はサンプルで森林の調査をする。空中調査も基本的にはサンプル調査になる。航空レーザ計測は1本1本の木の全数調査ができる。レーザを直接当ててコンピュータ処理して樹木の本数とか木の高さとかを測るので手動ではなく自動。遠隔操作できる。

・単木情報の取得スピードは目視判読の2000倍ほど。この全数調査が今後の林業界の革命になるのではないかという技術だ(独自特許、業界先導)。

・県の全域の計測が実施されたのは長野、岐阜、岡山、広島、愛媛、高知、佐賀県。大きな面積を取っているのは茨城、栃木、鳥取、熊本、大分、長崎県島嶼部。大分県が林野庁の予算をもらって今年全域計測が終わる。平成31年度(2019年度)からスタートする森林環境譲渡税によりレーザ計測を予定する地域も多数存在する。

・森林調査では樹種が分からなければならない。本数も必要だ。木の高さ(樹高)もいる。木の太さ。当然ボリューム(材積)も必要だ。航空レーザ計測では本数と木の高さを知るために何をしたかと言うと、木のてっぺんの点(樹頂点)を測る技術を開発した。これが分かると木の本数が分かる。てっぺんのZと地面のZを差し引くと木の高さが分かる。

・レーザというのは物に当たって帰ってきて光が反射するが、葉緑素の組成によって反射強度が違うことが分かったので、これで樹種が判明する。森林の情報がすべて分かる。これらのデータをすべて行政森林組合の使っているGIS(地理情報システム)の中に入れて計画を作るところから伐採や道づくりに活用している。

・どこの間伐を最初にやらなければならないのか。今までは山に直接行って込み具合を調査していたが、本数や高さが分かりコンピューター上で出せる。どこを間伐すればよいかの計画も立てられる。

・伐採する施業を団地化して、どこをどうやって道を引くかの概略の検討をして所有界がどうなっているかを確認して権利関係を調整し路網を具体的に選定し、現地踏査、詳細設計を行っていたが、それぞれの段階で航空レーザ計測のデータを活用できる。

・特に危ないところに道を作るのが一番危ないので、急峻地を把握しながら道を作っていく。赤色立体図(森林の樹木を全部はいだ地面だけの情報)を使うと、過去の地滑り地や崩れた部分が分かるので、どこに道をつくるべきかをより分かりやすくなる。こうした情報を基に新しい線形(路網の状態)を決めていく。

・これが終わるとどこに土場(どば)を作れば一番集材距離が短くなるかなどの設計を行う。

・こういった情報を別個に見て作っていくと面倒なので、今はGISの中に路網作成システムを作り込んでいく。どういったところに作業道を作ったら一番効率的にとれるか。あるいは地盤の情報を赤色立体図からとって危ないところを避けながら路線の計画を作っていく。これに基づいて実際の作業道を作っていく。

・こういった情報をスマホに入れる。タブレットで現場にもっていく。事務所で見たGISの情報を同じ物を見ながら現地で確認をする。新規情報があればタブレットに入れる。写真を撮影するとGISにインプットすることによって新たな情報として加えていく。より合理的な情報として更新できる。

・道を作ったらどれほどの効果があるか試算をした(林野庁業務資料)。森林基幹道を入れることによる集材距離も100m未満に収まる。素材生産費も1割ほど落ちる。道を作ることによって伐採の団地化が進むので素材生産費が約6%下落する。さらに道がきちんと入る結果、作業システムも従来のチェーンソー+グラップルの組み合わせからハーベスタを入れてフォワーダを活用するシステムになり、14%ほど落ちる。単純な効果として、74%の素材生産費を低減することが可能だ。

・ICT林業化による効果。切る前にどのくらい丸太ができるかが分かっている。素材の半数を製材工場に直送した場合の平均流通経費縮減額は1100円/立方メートル。きちっと道が入ってそこでICT化の技術を使って作業システムを構築すると立木価格が倍になることが期待できる。

・道が整備されるとICT化も進む。「みちびき」がどんどん上がっており、林内のGPS即位精度が高くなっている。林業にもハーベスタに精度の高いGPSを付けて間伐現場に回す。オペレーションルームにどこの杉を間伐するか、樹頂点を表示し自分のハーベスタをどこの木に持っていくかが分かる。そこに1本1本の情報もすべて入っているので今の市場価格にすればどのくらいの長さで採材すれば経済的かコンピューターがオペレーションルームに表示してその通り玉切り(造材)をしていく。

・そういった情報が全部データとして集積されるのでフォワーダを派遣するときにいつ、何時何分にどこにフォワーダを持っていけば満車になるという状況を作れる。山土場でもどこの製材工場向けの丸太が全部管理が可能である。

・具体的な事例として山形県金山町で平成27年(2015年)に農林中金の支援事業で航空レーザ計測を使って道づくり、間伐にどれだけ寄与するかを実証した。1年目に計測をし、2年目に実際に道を作った。樹頂点を作って地盤情報を駆使し間伐を行った。評価が高く、モチベーションも上がって効果が上がった。

・びっくりしたのは森林組合独自に想定した以外の活用法まで考えてくれた。ハーベスタに付けたGPSの軌跡をとって工程管理に活用した。金山町も独自の予算を組んで翌年残面積を計測。森林ビッグデータの運用が可能となっている。

・熊本県人吉市。作業道を作ったり、間伐したりするために航空レーザを活用した。作業道の線形を確定する前にかかった必要人員数を比較したところ、従来なら12人かかったが、データを活用したら7人で済んだ。こういう数字は初めて。効率的な間伐作業が行われている。

「それでも紛争地取材をやめない理由」

カテゴリー: 「写真」を学ぶ, 政治/外交/国際/軍事, 講演会/シンポ/セミナー/勉強会

2019/03/27  23:15


 

それでも紛争地取材をやめない理由

 

千代田区立日比谷図書文化館(日比谷公園1)の日比谷カレッジが27日開かれ、報道カメラマンの横田徹氏が「それでも紛争地取材をやめない理由」を語った。

横田氏は1971年茨城県生まれ。父親が報道カメラマンだった。フリーランスのカメラマンとしてキャリアをスタートし、クオリティーが低いと怒られながらも動画も撮った。

1997年のカンボジア内戦(ポルポト派)から活動を開始し、インドネシア、東チモール、コソボ、パレスチナ、リビア、イラクなどを取材。2007~12年までアフガニスタンの米軍に従軍取材。14年3月に世界で初めてISの拠点ラッカを取材した。

最初は写真から始めたが、テレビ向けのムービーカメラ(動画)も撮った。写真はAPやロイターに持ち込んで買ってもらったほか、韓国のディレクターの専属となった。品質がひどくて、かなり勉強した。とにかく「いい加減な状況で始めた」などと語った。

横田氏は2007年から12年にかけてアフガンに展開している米軍に従軍したときの映像を見せた。彼が取材したのはコレンガル渓谷。このレストレポ前哨基地は2010年に米軍が放棄した。ここには20人の米軍兵が駐留していたが、最も激しい戦闘地域でこの時点で40人の米兵が死亡したといわれる。

横田氏によると、「毎日の小さな戦闘があり、そのたびに飛行機を飛ばしたりヘリを飛ばしたり、お金がかさむ。米軍もこの基地を持つ意味があるのかに気づいたと思う。パキスタンとの国境に近いのでタリバンがどんどん押し寄せてくる。タリバン軍はライフルなどの旧式兵器で攻撃してくるが、米軍は航空機を含め近代兵器で反撃するのでコスト的には割が合わない。結局ここを手放すことになった」という。

こういう映像を見ると、アフガンはどこもこういう状態でアフガン=危険というイメージを持たれると思うが、「実際にこういう戦闘をやっている場所というのは限られていて、ジャーナリストも行ってもこういう写真はほぼ撮れない。ぼっとして終わってしまう。たまにパトロールに出ても何も起きないのがほとんど。戦闘を探すのが非常に大変だ」という。

米軍は厳しいながらも、自分が行きたいというリクエストを何度も出せば、行けてしまうところがあって良かった。一度従軍の許可を取ると、食べ物から寝るところまで全部ただでやってくれた。撃たれるジャーナリストも少なくなく、治療もきちんとやってくれた。自衛隊ならこういうわけにはいかない。プレスツアーで連れて行くのは「安全」地帯。安全を見せて終わりだ。

横田氏が最後にアフガンに行ったのは2012年。当時のカブール市内は独りで歩けたが、タリバン政権の今は歩けない。駐留米軍やアフガン政府軍ではどうしようもない状態だ。

シリアの取材をしたのは2013年6月ごろ。IS(イスラム国)の存在はまだほとんど知られておらず、まだアルカイーダと呼ばれていた。

横田氏によると、重要なのは信頼できるコーディネーターをどう捉まえるかだ。だいたい捕まるときというのはコーディネーター。怪しいのか、あるいはギャングなのか。誰に当たるかで運命が変わる。「私の場合はたまたま運が良かっただけ」だという。

3年4カ月ぶりにシリアのISに解放されたジャーナリストの安田純平氏について横田氏は「信用できない人がいきなり現れて付いて行ったら捕まってしまった」と述べ、「これは大きなミスだった」とコメントした。「彼はコーディネーターに売られたんだと思う」。外国人も彼は売られたと言っていた。ちょっとでも不安だったら行かないと言う判断もあったはずだ。

取材する上で一番大事なのは取材のセッティングや通訳をやってくれるフィクサー。CNNやBBCと仕事をしているプロから学生みたいな金ほしさでやっているフィクサーもどきもいて、けちると身に危険が及ぶ。安心してもらえる人を紹介してもらうのが重要だ。高いのが難点だが、人間関係が重要だ。

取材経験の浅いジャーナリストは判断が難しい。おいしい話があっても、それは次回にしようと判断する。欲をかくと変なことになりかねない。ベトナム戦争当時は牧歌的な戦争だったが、いまは容赦なくジャーナリスト=お金だ。来たらお金にしてしまう難しい状況に毎年なっている。

IS発行の許可証を持って2014年3月にIS(イスラム国)支配下のラッカに入った。「非常に平和だった」ことに驚いた。「邪悪で残忍な町というイメージが覆された」という。ラッカは同年6月にISの首都になり圧政を受けたが、クルド人主体の「シリア民主軍」(SDF)は3年半後の17年10月、奪還作戦が完了したと発表した。

さらにISのシリア内で最後の拠点であるバグズ町を19年3月に完全に制圧したと発表した。ISは最大時にはシリア西部からイラクの首都バグダッド郊外まで770万人を支配。税金、料金、罰金を資金源とした。

練馬区空き家セミナー

カテゴリー: 講演会/シンポ/セミナー/勉強会

2019/03/10  23:25


 

嫁ぐ日by古賀晟(練馬区役所本庁舎1階ロビー)

 

東京都練馬区環境部主催の空き家セミナーが3月10日、同区役所アナトリウム地下多目的会議室で行われ、講演会後、個別の無料相談会が実施された。空き家の担当窓口は環境課。

行政が主体ながらも、関係する司法書士会、行政書士会、公益社団法人全日本不動産協会東京都本部練馬支部など専門家団体として出席し、今後の取り組み方を提示した。

空き家相談は日本国中至るところで開かれているものの、正直どこに行って相談すればいいのか分からないのが実情だ。この日は練馬区の空き家対策、空き家にしない相続の勧め、不動産業としての今後の取り組み方などが話された。

・日曜日の午前10時に時間を設定したが、多数の人々が来てくださった。これは空き家問題が身近な問題、差し迫った問題となっていることを痛感した次第。

・空き家は時間が経てば経つほど解決が難しくなる。練馬区では区内に空き家を所有または管理する方々を支援するため、西京信用金庫、城北信用金庫、東京シティ信用金庫、西武信用金庫、巣鴨信用近畿、東京信用金庫の6地域金融機関と「練馬区における空家等対策に関する協定」を締結している。空き家の解体や活用に伴う費用等の資金ニーズに応えるため、独自のメニューを用意している。

・本セミナーは平成27年度(2015年度)以降、空き家の発生予防策の一環として毎年開催している。

「みどりのまちづくりセンター」は空き家の所有者と活用したい方とをマッチングする相談窓口業務を2年前から行っている。情報発信を強化し、解決支援、専門家との連携に努めている。地域のために活用したい。

・練馬区の空き家は2015年5月~16年3月にかけて区内全域の民間建築物全棟調査を実施。外観目視による空き家判定を行った結果、空き家は約15万棟のうち1507棟あった。1%程度。他の区と比べ、「多くはないが、決して少なくない数字」と受け止めている(環境課まち美化推進係長・樋口哲也)。

・空き家になると、近所から連絡があり、個別に対応しているのが実情だ。樹木が自分の家に伸びてきている、雑草繁茂に関する苦情がほとんどで、「ほぼ毎日どこかの現場には行っている」。

・「空き家等対策の推進に関する特別措置法」(平成27年=15年5月全面施行)。特定空き家に認定されると、指導→勧告→命令と進み、最終的に区が強制的に代執行を行い、所有者に費用を請求することになる。区内では指導→勧告に行っているケースもある。ただ代執行はまだ例がない。

・空き家になると何が問題か。樹木の境界越境や雑草繁茂に関する苦情が最も多く、不審者の侵入やハクビシン等動物の棲み着き被害も少なくない。

・主な解決方法は①適正に維持管理し、持ち続ける②売却し収入を得る③利活用し収入を得る④解体後の土地を活用する⑤空き家を通じて地域に貢献する-など。

・人が住んでないとあっという間に劣化する。ちゃんと住んでいただく前提で定期管理は必須。空き家を持ち続けないことを選択した場合、専門家への早めの相談が肝要だ。

・相続により取得した家屋を譲渡する場合、一定の要件を満たしたときは、譲渡所得から3000万円を控除できる制度が2023年12月末まで適用される。売却を考えている方はここ数年で売却したほうがよい。

・不動産を共有にするかどうか。のちに売却するにも賃貸したり利活用するにしても相続人の意見がまとまらないケースが多く、不動産は共有しないことをお勧めしたい(東京都行政書士会練馬支部 石井則子氏)。

 

民衆にとっての「墓」とは何か

カテゴリー: 墓参/法事/地域活動, 講演会/シンポ/セミナー/勉強会

2019/02/26  22:43


 

民衆にとっての「墓」とは何か

 

エジプトのミラミッドにしても、日本の古墳にしても、それは支配者の墓であって民衆の墓ではない。名もない民衆にとって、死者とはどういう存在だったのか。墓とはどういうものだったのか。

日本は少子高齢化のトップを走り、個人化している。長い間、「日本の葬送は古来より不変の慣習」という神話がはびこってきた。この「葬送」はいま大変動期を迎えている。

葬送ジャーナリストの碑文谷創(ひもんや・はじめ)氏を迎えて2月26日午後7時から、日比谷図書文化館(千代田区日比谷公園)で「民衆にとっての墓との変遷-葬送の原点を探る」と題する講演会が開かれた。

碑文谷氏は1946年、東北出身の73歳。私より2歳年上だ。東京神学大学大学院修士課程中退。出版社に勤務し、44歳で独立。それが葬送文化専門雑誌『SOGI』。編集長を4半世紀務める。

・フランスの歴史学者フィリップ・アリエス(1914-1984)によると、人間は「死者を埋葬する唯一の動物」だという。

・DNA鑑定の結果、現代のヒトであるホモサピエンスにはネアンデルタール人の遺伝子が1~4%ほど含まれているという。ネアンデルタール人は「滅亡」ではなく、新人と混血して亡くなったとの説も出ている。

・3世紀頃から豪族の大きな墳墓である古墳が作られた。古墳の中には石室が作られ、遺体は棺に納められ、副葬品が添えてある。人物や動物をかたどった埴輪やさまざまな用具が副葬品として納められた。

・古墳文化は3世紀後半から7世紀にかけて造営された土を高く盛り上げて築造された権力者、豪族、位の高い人やその家族等の大規模な墓。手厚く葬った葬法「厚葬」(こうそう)も儒教文化が伝来すると6世紀頃から次第に少なくなる。

・厚葬が廃止されるのに決定的な影響を与えたといわれるのが大化の改新で、646年に薄葬令が出されたことによる。大化の改新(645年)は中大兄皇子(後の天智天皇)、藤原鎌足が蘇我入鹿を暗殺し、天皇中心の律令国家建設を目指したといわれる。史実は確定していない。

・薄葬令は古墳のような必要以上の大きな墓を作ることは貧窮を招くと警告する一方、死者の身分により墓を作る夫役の延べ人数の上限を定め、遺体は意っての墓地に集めて埋葬することとし、もがり(遺体を別室に置いて骨になるまで見届ける)や殉死、宝物を副葬品とすることを禁じた。

・弥生時代には土坑墓がみられることから土葬は一般的だったと思われる。土葬以外にも死体遺棄に近い形の風葬(山の麓や海岸などに遺体を置き、自然に還す葬法)で、あちこちに葬られていた姿が想像される。

・これは中世になっても変わらなかったようで、『今昔物語』には平安京の正門・羅生門の上に遺体が遺棄された様子が描かれたり、『八幡愚童訓』には、辻に野捨てにされた死体を犬などが食べるありさまが書かれたりしている。山や麓や川原などに死骸、白骨が捨てられることは珍しいことではなかった。

・長い間、墓を作ることができたのは上層階級に限られており、貴人や官人などを除くと、民衆には鎮めなくてはならない霊魂の存在など認められていなかったかのように思われる。

・浄土に行く。山の上にある霊山。あるいは海の麓にある。中世までは土葬、風葬などが入り交じっていた。

・火葬は統計上100%。土葬は約120件。年間死亡者数は137万人。明治の20年代の火葬は20数%で、土葬のほうが多かった。火葬の最初は700年の僧道昭(中国から来たお坊さん)の時と「続日本記」に書かれている一方で、659年ごろの和歌に火葬の煙を詠んだものがあり、こちらを記録上最古とする説もある。仏教が火葬を持ち込んだ以前に火葬があったのではないか。弥生前期紀元前300年ごろに火葬跡が検出されたほか、6世紀後半以降の遺跡からも火葬跡、火葬された人骨が発見されている。

・火葬は薪を用意しなければならないなどお金がかかるなど普及はいま一つ。一般の火葬はなかなか進まなかった。日本人に火葬が受け入れられたのは「白骨化が成仏の徴」とする、仏教による意味づけが必要だった。野蛮だとか熱いとかの意識を抑えた。仏教の影響は大きい。

・一般に火葬が進むのは明治の中頃以降のこと。

・応仁の乱以降の戦国時代は災害、飢餓、戦災の時代である。それまでの寺院は貴族、武士を檀那(スポンサー)にしていたが、農業生産力の向上で力を付けた民衆が村を形成し、民衆が村を形成檀那となる寺院が各地で作られていくことになる。10~30㎝の小型(90㎝を超えない)の稚拙な(石工が作ったものではない)一石五輪塔や石仏が民衆に流行した。

 

森林活用セミナー

カテゴリー: 花/木/樹, 講演会/シンポ/セミナー/勉強会

2019/02/11  22:21


 

森林資源活用セミナー@さがみはら

 

第2部ディスカッション

 

今年はいろんな新税がスタートする。4月1日から始まるのは2018年度税制改正で決まった森林環境税だ。当面24年度までは借り入れで対応し、実際に国民1人当たり1000円の森林環境税が徴収されるのは住民税と併せて25年度からとなる。

知らない間に次から次へと新税が始まる。確実にわれわれの生活は苦しくなる。

森林資源活用セミナーの第1回は「森林環境税で変わる森林・林業」と題して11日、神奈川県相模原市緑区のサンエールさがみはらで開催された。

東京大学大学院農学生命科学研究科の白石則彦教授は「新たな森林管理システム導入と林業・木材産業の動向」と題して話した。同氏は現場に精通した林業学者を自認している。

・日本における森林の位置づけは森林率67%。国土面積の67%が森林。これがいかに特殊な数字か。森林のイメージのあるブラジルの森林率は約50%、フィンランドは66%、カナダは40%しかない。日本よりも国土面積が広くて森林率の高い国は1980年まで1つだけあった。パプアニューギニア。アフリカ、中南米など多くの国は国土面積が小さいか、森林率が低い。パプアは鉱物資源が見つかり剥いでいる40%まで落ちた。

・日本の森林は山岳林で、幸にも林業以外に使えなかったことが大きな理由。信仰の対象でもあった。仏教は否定しないが、日本人の魂は神道だと思う。巨木に神が宿る。山を大切にしてきた。豊かな森林に守られている背景だ。

・日本の森林が荒廃しているとマスコミ的に言う人もいるが、「今ほど木材資源としての価値が高い時代はない。間違いなく言える」。天然林が2倍近くになったのが最大の変化。はげ山になったり、薪炭採取などで伐採されていた。

・山を緑に、治山治水が社会的に人工林の緑化が国策として取り組まれた。インフレ下で木材が魅力的な投資先だった。貨幣価値が下がり、モノの値段が上がる。木材価格が上昇し、魅力的な投資先となった。インフレに乗って価値を生み出していた時代だった。

・今は逆にデフレ。物価が下がる、材が下がる。林業にとっては逆風の時代だ。

・世界の人工林は約1億ヘクタール。この1割の1000万ヘクタールが日本にあった。人工林について技術が先行し、造林も着実に進んでいた。森林の国だった。これを支えていたのが杉の木だった。

またこの日の会合では相模原の林業についても関係者が語り合った。

・地域の性質はさまざま。伊豆半島はボリュームで稼ぐような林業はできないので、観光と結びつけたい。癒やしの森など観光と組み合わせた利用法を提案した。

・山形県金山町。・・木材。

 

食をめぐるゲノム編集

カテゴリー: 科学/技術/イノベーション, 講演会/シンポ/セミナー/勉強会

2019/02/10  23:25


 

DNAは自然でもなくなる?

推進派と慎重派

 

食に関するゲノム編集の安全・安心性をめぐって、積極派でマッスルマダイを育種している京都大学大学院の木下政人助教と慎重派の北海道大学の石井哲也氏、さらには主催者のたねと食とひと@フォーラム共同代表の吉森弘子氏3者によるシンポジウムが10日、日比谷図書文化館の日比谷コンベンションホールで開かれた。

金属3Ⅾプリンタで成功したGEの秘訣

カテゴリー: 科学/技術/イノベーション, 講演会/シンポ/セミナー/勉強会

2019/02/06  18:25


 

GE additiveの一体鋳造自動車用ホイール

 

第1回次世代3Dプリンタ展が2月6日、東京ビッグサイトで開催され、GE アディティブ日本統括責任者のトーマス・パン氏が金属3Dプリンタ成功の秘訣「アディティブ・マインドセット」と題して話をした。

・GEの創立者はトーマス・エジソン。彼は1万回も失敗しているが、なぜそんなに失敗したのかと聞かれ、「私は失敗していない。9999回のテストしたものが動かないことが分かっただけだ」と答えた。これこそマインドセットの1つ。

・GEの産業ビジネスの柱は①エネルギー供給②人々を安全に運ぶ③人々の生命を救う-の3つ。将来に向けた成功要素にはアディティブ、デジタル、研究開発、グローバル・オペレーション、キャピタルの5つだが、最初に取り上げ重要視しているのがアディティブ技術だ。

・アディティブのマーケットは今後急速な成長が見込まれる。2017年度比21%増の約73億ドル(約8000億円)。金属アディティブは77%成長。樹脂対金属は2対1(2014年)から1対1(2027年)へ。金属アディティブの年平均成長率は10年間で29%増。アディティブへの総投資額は2017年まで4年間で130億ドルだったが、今後10年間で2800億ドル(約30兆円)に上る見通し。

・アディティブ技術は新規技術で、イノベーションから生まれる。GEは世界を対象に「イノベーション・バロメーター」を調査した結果、3Dプリンティングがビジネスに効果を与えると答えた企業幹部が世界で63%だったのに対し、日本は36%にすぎなかった。「期待が低い」。これが日本の現状のマインドセットではないか。

・面白さは感じているが、それが実際にビジネスに影響を与えるかどうかについては日本ではまだ意識が低い。

・金属3Dプリンティングはレーザー式(粉末材料)、電子ビーム式(溶接や形成の難しい難削合金)、バインダージェット式(高速造形スピード&低単価パーツ)などいろんな手法があるが、レーザー式と電子ビーム式が金属3Dプリンタのすべてを占めている。

・金属3Dプリンティングの面白いところは通常加工がしにくい、鋳造できてもなかなか形成しにくい、精度を出しにくいなどいろんな課題のある素材が粉末を使って作ることによってたくさん作れること。樹脂の金属3Dプリンタとは全く位置づけを持っている。

・複雑な金属。組成、ドメインなどを含めて局所的にエネルギーを与える。この手法によってさまざまなことができる。なぜ使うのか。

・スピードが速くなる。何でもいいわけではない。画期的な製品&パフォーマンスも正しい製品を選ばなければ画期的にならない。何を作っても3dプリンティングが速くなるということは絶対ない。設計・デザインに重点が置かれる技術である。

・またサプライチェーン効果も大きい。フローが変るため。後述。

・GEアディティブでアディティブを使いだしたのは2009年から2010年。エアバスとボーイング用のLEAPエンジンの燃料ノズル開発に苦労していた。3Ⅾプリンティングが台頭し始めているころでそれを使ってみたら開発ができた。すぐに量産に進むが、当時のマインドセットは「開発には使うよ。けれど製造はしないよ」。

・それでいろいろトライしたができなかった。モーリス・テクノロジー社と一緒に量産に道筋がつくかどうかをトライした。道筋がついた瞬間に同社を買収しアディティブテクノロジーセンターを構築した。LEAPLジェットエンジン燃料ノズルのFA認証を取得し2016年から量産をスタートさせている。

・社内のマインドセットがどんどん変わってきた。これはできないか、あれはできないか。量産できるじゃないか。成功によってポジティブスパイラルになっていく。

・アディティブ・マニュファクチャリングで量産しているLEAPジェットエンジン燃料ノズルは在庫の削減95%、コスト効率が30%、重量の削減25%、パーツの点数が20個→1個、疲労強度・靭性が5倍以上に向上した。

・同ノズルは2015年にFA認証取得、16年から量産を開始。昨年10月2日に3万台の出荷を達成した。エアバスの6割くらい、同730には100%乗っている。300機~400機世界で飛び回っている。

・アディティブで設計したa-CT7エンジンのミッドフレームは7つのアセンブリーを1つに集約。300部品を1点に統合。5キロの重量削減。エンジン全体では99部品が16点に集約した。

・考えられないパーツの統合・集約になる。300部品1部品になると在庫管理からエンジニアも激減する。品質管理も同様。サプライチェーンは従来工法をベースに作っている。技術だけでなくコスト効果も大きい。

・もっと大きなエンジンにアディティブを使っている。ボーイング777x用のGE9Xターボファンジェットエンジンはすべてアディティブになる。

・「アディティブ=何でもできる」というイメージがあるが、そうではない。絶対にできない。自由設計ではない。しっかりとしたアディティ設計(Design for Additive)ルールがある。アディティブ設計を社内に育てないとアディティブはできない。高いハードルがある。

・何を作るのか。どうして作るのか。これができたらどうなるのか。技術観点だけでなく、ビジネスとして考えるべき。採算を考えないと研究開発はともかく、量産にはならない。試作ができたから量産にはいかない。ハードル高い。

・アディティブ製造への成功への道を開く「AddWorks」。ビジネスの採算性→デザイン設計→試作→量産最適化→量産認証

・魔法の箱。ただデジタルデータを入れれば最終製品が出てくるというマインドで考えられているのとは全く違う。アディティブジャーニーを早く始めてもらいたい。始めないとどんなものか分からない。

・箱に入った小さな鋳造工場。

・欧米企業は始めている。始めないとどんなものか分からない。自動車、医療、衛星、ロケット、アビエーションなど様々な応用産業。

・電話からスマートフォンにあっという間に切り替わった。馬車→車、白熱灯→LED、真空管→半導体。前にあったものが不要になった。アディティブに投資をしている。

・GEのミッションはエコシステムの構築。いろんなことにトライしている。ネットワークを構築し社内で1000から2000くらいのプロジェクトを進行させている。18年から社外に向けたサービスを開始した。

・ATC=アディティブ・テクノロジーセンター(オハイオ州シンシナティ)は航空機関連、CEC=カスタマー・エクスペリエンスセンター(ペンシルベニア州ピッツバーグ)はカスタマー対応。

・金属3Ⅾプリンタの発祥の地はドイツ。GEアディティブカスタマー・エクスペリエンスセンター(ドイツ・ミュンヘン)を17年末に完成させた。エンジニア教育、コラボレーション、トレーニングなどを行っている。

・技術を入れる装置を買うだけでなく、社内の組織を動かすためのアディティブマインドセットを作らなければならない。