‘農業/農地/農政’ カテゴリーのアーカイブ

老化の原因「糖化」は人間の体内でも起きている

カテゴリー: 講演会/シンポ/セミナー/勉強会, 農業/農地/農政

2018/11/17  22:20


 

 

第55回東京大学農学部公開セミナーが17日、弥生講堂一条ホールで開かれた。年2回開催されているもので、今回も出掛けた。

応用生命化学専攻の内田浩二教授は自分たちの身体の中でできる本質的に避けられない毒について、こうしたものを食べれば撃退できる現象あるいは反応があることを学んでもらいたいと語った。

・昔は水を探していた。人類の希望であり、夢であり、何とかしたいものがあった。いまなら食べ物だ。

・健康は必ず衰える。ノーベル賞を取っても衰える。病気というのはゼロからマイナスになること。薬は元に戻す。食は老いることを何とか引き留めること。衰える角度を元に戻すことが食品でできるかもしれない。食によって何とか健康を守る。あるいは病気に奈ならない身体づくりを行う。ひょっとして可能かもしれない。

・薬は明快だが、食はそうもいかない。実感がない。本当に効いているかは分からない。それがゆえに怪しい眉唾も起きてしまう。実感のないものとバランスをどうとるか。

・DNA障害が起こっている。身体が傷つけられている。修復作業も起こって、バランスを取っている。それが何度も起こって坂道を下ってしまうことが起きてしまう。加齢とともに起きる。生活の中で起きる。

・身体に入ってくるのは化学物質。たばこ吸っても、食べても、代謝で身体の中でできてしまう。一種のものが有害な毒(さび)をつくる。あるいはさびとして蓄積してしまう。われわれは化学物質に暴露されている。

・食べ物を通じて有毒物質が身体に入ってくる。ダイオキシンもそう。個人的を治すことはできるかもしれないが、癌にならないようにはならない。

・癌はどうしたら予防できるか。食と運動は主な手段なのか。いまのところそうだ。

 

ブドウ糖とアミノ酸を混ぜるだけで褐色の生成物

 

・スポーツ系雑誌「ターザン」に出てくる反応「酸化・糖化・炎症」のうち「酸化と糖化」について話をしたい。

・酸化は酸素が関係する。鉄がさびつく、銅がさびつく。物質が酸素と化合することを酸化という。糖化は糖が何かに反応してしまう。色が付いたものはほとんどが糖化反応。卵焼き、焼き肉、醤油、ソースも。これらは糖化反応だ。そういった反応もさびのできる反応に関係している。酸化が「身体のサビ」と言われるのに対し、糖化は「身体のコゲ」とも呼ばれている

(糖化がよく分からないので、調べていたら、オムロンヘルスケアのサイトで老化の原因「糖化」を防止しよう)を見つけた。内田教授の説明よりもわかりやすいので参考にした。

・うどんはデンプン。デンプンが壊れるとブドウ糖。糖質を食べたら全部ブドウ糖として身体の中に入ってくる。酸素もブドウ糖も生きるためにはないといけない。この必要不可欠なものがなぜ「さび」というネガティブな作用をしてしまうのか。

・酸素もブドウ糖も非常に使い勝手がよく、効率よくエネルギーをつくるための代償(引き換え)として身体が衰えることが起きてしまう。こういう風に理解してもらうといいんじゃないか。身体が衰える部分に関係してくる物質でもある。

・便利になるとその分不便になる。原子力だって便利だが、その分リスクという代償を払う。

・ブドウ糖やアミノ酸も加熱するといい匂いがする。食品レベルの話だ。なくてはならない反応だ。、一方食品で酸化反応はほとんどが身体の中で有害になる。

・脂質の生分は必ず痛むものだ。必ず酸化する。脱酸素剤が入っている。酸素が有害な場合。ラップする。

・糖化反応(メイラード反応)。パンも焼くと焦げる。生のコーヒー豆も焙煎すると褐色になる。糖化反応が起きている。卵焼きの場合も砂糖を入れると着色の度合いが違う。砂糖が糖質で卵の中にあるタンパク質やアミノ酸と反応して焦げ付き方が違う。

・ブドウ糖+アミノ酸を加熱すると褐色生成物ができる。摩訶不思議な反応だ。簡単で身の周りにある糖化反応だ。なぜこれを高校で教えないのか。中身が非常に複雑だからだ。

・ブドウ糖は安定的だが、反応しやすい。アミノ酸もそう。加熱による促進させると褐色生成物ができる。食品の話だ。

・食品だと思われていたが、数十年ほど前にどうやら生体の中で起きることが分かってきた。われわれの身体をつくっているタンパク質がアミノ酸の代わりになると、構造が同じなので、タンパク質の中で糖化反応が起きてしまう。それが「さび」と表現できる。

 

加齢・疾病と糖化反応

 

・人間のレンズがタンパクでこういう着色反応が出る。糖化反応が起きている。病気になるともっと進む。24歳→65歳→80歳→80歳(緑内障)

・Hba1c(酸素を運搬する重要なタンパク質)にブドウ糖(グルコース)がひっついてしまう。何%以上になると糖尿病の危険がありますよと血糖マーカーになっている。糖化反応が起きている。元をただすと糖化反応が重要な動脈硬化に進展するファクターになっている。糖化反応は食べ物だけではなくて人の身体の中でも起きる反応でもあり、しかも病気につながる重要な反応の1つになっている。恐ろしい反応の1つだ。

・酸化反応。アルデヒド(脂肪酸、アクロレイン)などの有害物質の生成が怖い。非常に刺激性が強く、反応性が高い。たばこの煙や排気ガスに含まれている。ほとんどの食用油から検出されている。油酔いといわれる現象の原因も1つはアクロレインだろう。このように身体の中でできてします。

・癌組織からもアクロレインが出ている。脂質からできている。脳梗塞評価にもアクロレインが使われている。重要な分子。

 

林業の次世代を担う人材教育の最新事例

カテゴリー: 講演会/シンポ/セミナー/勉強会, 農業/農地/農政

2018/10/29  23:23


 

釜石・大槌バークレイズ林業スクールの高橋幸男校長

 

林業の次世代を担う人材教育の最新事例を紹介するシンポジウムが10月29日、港区神明いきいきプラザで開かれ、岩手県釜石地方森林組合参事で、釜石・大槌バークレイズ林業スクールの高橋幸男校長が話をした。

 

 

道志村の取り組みを話す大野航輔氏

 

一方、リトル・トリー社長で山梨県道志村移住支援センター代表を務める大野航輔氏が道志村に移住し、木質バイオマスエネルギー事業や伐採・搬出事業、ツアー事業などへの取り組みを熱く語った。

農業分野における外国人労働力受け入れについて

カテゴリー: 講演会/シンポ/セミナー/勉強会, 農業/農地/農政

2018/01/24  23:01


 

石田一喜氏

好天のJA農業祭

カテゴリー: 祭り/フェスティバル, 農業/農地/農政

2017/11/19  17:23


 

黄葉した夏雲公園から光が丘駅につづくイチョウ並木

 

1時間並んで2つ買いました

 

JA東京あおば石神井地区女性部による舞踏

 

前日に続いてJA農業祭に行った。やはり雨より晴れたほうがいい。日曜は朝からよく晴れた。それでも日差しが雲に隠れると、気温は急降下した。結局、1時間ほど並んで田舎まんじゅう(1パック3個入り200円)を2パック買った。割りに合わないものの、まんじゅうが食べたかった。子どもみたい。

農園芸畜産物品評会の作品は展示後即売される。野菜もさることながら、花・植木が欲しかった。整理券をもらいたかったが、朝10時に行く気分にはなれなかった。根性が足りない。結局、整理券を持たない列に並んだ。

パンジーと葉ボタンを買った。パンジーはこの時期に植えて、来年5月一杯まで咲く。品評会だから、育ちが違う。

この日はずっと並んでばかりいた。メインステージはほとんど見なかった。帰りしなにちょっとのぞいたら、JA東京あおば石神井地区女性部が舞踏を演舞していた。

雨のJA農業祭

カテゴリー: 祭り/フェスティバル, 農業/農地/農政

2017/11/18  19:42


 

今年の農業祭は雨だった

 

宝船

 

JA東京あおば農業祭も今年で第20回。都立光が丘公園けやき広場で始まった。残念ながら雨で始まり、参加者は少なく、可哀想だった。雨だけはどうにもならない。明日に期待するしかない。

会場には多くのテントが張られている。どういう選択で出展しているのか分からないが、JA関係が中心だ。JAおきなわ、JA栗っ子、JAグループ山梨、JAながのみゆき、JAしおざわ、JAやつしろ、JAところ、JA岩手ふるさとの8団体。

ほかは養蜂、漬け物、わさび、製茶、練馬野菜餃子、味噌、ホテルカデンツァ光が丘、花き、練馬大根などを取りそろえた。消防署と警察署、聴導犬推進協会のテントもあった。

餅つき実演が行われるほか、からみ餅配布や田舎まんじゅう販売も実施される。例年、からみ餅を口にほおばりながら、田舎まんじゅうの列に並ぶ。今日は午後3時すぎに行ったので、終わっていた。農園芸畜産物品評会も行われ、明日午後1時から即売される。また、宝船のお宝分けは同午後3時から。

リンゴやキャベツや大根、漬け物などを買った。明日は晴れてほしい。

輸出振興、6次産業化が重要=斎藤農水相

カテゴリー: 会見メモ, 農業/農地/農政

2017/11/15  21:26


 

スピーチする斎藤健農水相

 

ゲスト:斎藤健(さいとう・けん)農林水産大臣
テーマ:農林行政

 

斎藤健農水相が会見した。通産官僚出身の農水相は異例だが、自民党農林部会長、農水副大臣を2年ずつ経験し、「これから仕上げの時期に入る。4年間の総括のつもりで話したい」と語った。人口減少に直面する日本農業の振興策として、輸出振興と6次産業化を含めた付加価値増大の2点が重要だと指摘した。「生産現場だけを見る農政はもうダメ。消費者への視点も大切だ」と強調した。

・バックグランドとしては通産官僚だった。23年間勤めた。経済産業省時代から人事の希望として「困難な仕事」としか書かなかったものの、自民党が野に下ったときに初当選だった5年生以下の議員に希望調書が回ってきた。そのときも「困難な仕事」と書いた。

・高市早苗政調会長から突然携帯に電話が来た。「斎藤さんには農林部会長をお願いする」。さすがに「農林部会長ですか?」「そうです。だって貴方、『困難な仕事』って書いたでしょう」。「即答をせざるを得なかった」

・いろいろ武断も含めて聞かされていた元通産官僚が農林部会長になるのは空前(過去に例のないこと)のできごと。これからの農政は従来型の発想だけではいけない。新しい発想を農政の分野に取り込んでいかないと、新しい展開はできない。そういう意識が働いたのではないか。

・当時の林芳正農水相も農林族ではなく、政府、党を含めて農林関係議員ではない。自民党が政権取り戻してからの政権の展開はこうなってきた。

・農林部会長として気付いたのは日本の農業のこれからは本当に大変だということだ。「産業としての農業は大きな曲がり角にある」。1にも2にも人口が減る。毎年20数万人だが、80万人と加速度が付く。人が減っていけば、当然マーケットが縮小していく。それが毎年、毎年確実に起こってくる。口が減っていくのは今後の農業にいかに深刻な影響を及ぼしていくか。すぐ理解できた。これをどうしていくか。これが最大の課題になっていく。

・一方で、日本の農業はそうは言っても成長の余力がものすごくある産業だということも同時に気付いた。単純な話だが、日本の周辺や世界は人口は増え、お金持ちもどんどん増えている。しかも日本食がブーム。日本の農産物に対する評価は高い。ここを攻めていく。国内のマーケットが縮小するならば、海外のマーケットを取りに行く。生き残りのための重要な政策だ。

・今までは生産分野で利益を上げていたが、これを生産分野から出ていって流通・加工での付加価値を上げていく。6次産業化。輸出振興と付加価値増大で、これから毎年毎年人口が減っていく状況を対応していくしかない。

・特に日本の農業ほど、これから海外での可能性を強く感じさせる産業はそうはないと感じた。アメリカのイチゴはレモンと言う。一定のシェアはとれる。牛肉の輸出は5割増えた。イチゴも6割、日本茶も3割くらい増えた。ようやく日本のポテンシャルが評価され始めた。まだまだ増える。

・若い人たちの挑戦しているのも事実だ。米の生産調整も来年から国よる配分調整を行わない。自主的にやっている若者がどんどん出てきている。香港で2人で「おにぎり屋」をやっている。2020年には200店舗体制。工場も建設中だ。年間4000~4500トン使用する。日本の食べる米の輸出は年間1万トン。日本全国で1万トンしか輸出ができていない。リスクを取って海外に出て行こうとす人たちを強く応援していきたい。

・日本がこれからも成長を続けようと思えば、これから伸びていくアジア・太平洋地域のエネルギーを吸収をしていく。こういう展開が極めて重要だ。成長率優先主義でやりやすくなるように努力していくのは重要な政策だ。

・一方で、オーストラリアと経済連携協定(EPA)を結んだ。農産物の自由化の急先鋒な国と締結した。欧州連合(EU)とも大枠合意に達し、TPP11も大筋合意した。ただ単に日本農業を守るだけではなく、どう折り合いを付けるかが重要だ。何とか折り合いを付けれたと思っている。確かにフランスのチーズは強いが、日本のチーズをフランスに上陸させる気概でやるのも大事だ。通商交渉と農業基盤の維持・強化を両立させていきたい

おいしさとは何か?

カテゴリー: 講演会/シンポ/セミナー/勉強会, 農業/農地/農政

2017/11/11  23:50


 

農学部一条ホール前の立て看

 

東京大学農学部の第53回公開セミナーが11日午後1時30分から、同学部一条ホールで開催された。応用生命化学専攻の東原和成(とうはら・かずしげ)教授が「いい香り、不快な匂い、何が違う?」、同三坂巧(みさか・たくみ)教授が「おいしさとは何か?」、応用動物科学専攻の竹内ゆかり教授が「暮らしに役立つ!?ほ乳類フェロモン」について話した。

・食品を摂取すると、知らず知らずのうちに色々な感覚が活性化される。食品からは様々な情報が入力される。これに呼応し、五感を始めとする種々の感覚を感知し、総合的に食品の価値を判断している。

・「おいしい」と思う過程を明らかにしたい。なぜ我々が肉がおいしいのか、乳がおいしいのか、ケーキがおしいのか。何でおいしいと感じるのか。これが我々の研究テーマ。

・我々の舌の上には「味蕾」(みらい)という味を感じる器官が存在している。味蕾は味細胞と呼ばれる細胞で構成されており、この細胞が食品の味を感じている。口腔内には甘味、苦味、塩味、酸味、旨味の5種類の味細胞が存在する。

・普段食べている食品には技術が盛りだくさん。瓶詰め、缶詰、レトルト。スーパーの常温コーナーに置かれている。冷凍・冷蔵しなくても日持ちがするのは適切に加熱滅菌処理をして菌が死んでいるからだ。びんやかんはナポレオン時代に発見されたが、レトルトは1968年にボンカレーが最初。軽くて丈夫で長持ちする。

・カット野菜もそう。家庭でキャベツを刻んで袋に入れると、すぐに黒くなって腐る。メーカーのカット野菜は数日間日持ちしておいしさはそのままだ。きれいに塩素で洗って店頭においたが、最近は紫外線と保存水を利用する。水で洗わなくてもいい。洗浄の方法が変わった。いずれにしろ、きれいに洗って数日間長持ちする。しかも数種類混ぜて売るから売れて売れて仕方がない。もうかって仕方がない。

・明治の「おいしい牛乳」。ちゃんと根拠がある。加熱殺菌するが、酸化する。牛乳は乳脂肪があるので酸化をすると嫌な匂い物質が出てくる。匂い物質が出ると、まずいと感じるので、加熱殺菌する前に酸素を減らす。酸素を減らした状態で加熱殺菌すると、酸化が抑えられて、嫌な匂いが少なくなる。だからおいしい。1~2日経つと、匂いが少ないので、しばらくおいしい。プラス50円なので価値があるのでなかなか売れない。技術が入ってきちっとおいしい。

・自分が食べられるかどうかを「味」を使って判断するために、何を食べるかを決めるという意味ですべての生き物は「味」を感じている。脊椎動物は似通った仕組み。虫は別の仕組みを持っている。食べていいものを判断するために味覚を持っていて、必要な感覚だということも言える。

・匂いは数十万種類あると言ったが、味は5種類。砂糖を口に入れると甘い味がする。世界共通だ。レモンや酢を口に入れると酸っぱい。食塩は塩っぱい味。野菜の苦味は苦い。この4つの味は古くから別の味で、独立の味として認識されていた。アミノ酸の味である旨味は欧米では認知されていなかったが、2000年に入ってセンサーが見つかって国際的に認知された。

・甘味。糖類。エネルギーになる。甘い味はエネルギーになるので食べていい味。アミノ酸が示す旨味はたんぱく質が分解したもので、これも食べていい。果物くらいの弱い酸味はエネルギーになるので食べるが、強い酸味は腐っているシグナル。塩に関してはミネラル補給しなければならない。味噌汁くらいの塩味は食べるが、海の水くらい濃いとナトリウム取り過ぎ、ノー。苦味は一般的にノー。甘味、弱い酸味、弱い塩味は積極的に食べる。強い酸味、強い苦味はNG。動物はたべていいかを判断するために5種類の味をフル動員しながら、食べられないものは吐き出す。

・味を感じる入り口の「味覚受容体」が2000年に米国人によって開発された。2000年以降に入り口に位置する受容体の正体が分かった。これに伴い人間の評価システムも進化した。舌の上に味細胞という味を感じる細胞を持っていて、これで味を感じる。舌の上で味を感じる細胞は非常に少ない。先端にぱらぱら、奥のほうにちょっと集まっている。わずかしかない受容体は神経を伝わって脳にいって味として認識している。こうした仕組みが分かったのもつい最近だ。

 

拡大する「ミールキット」市場

カテゴリー: 会見メモ, 農業/農地/農政

2017/10/23  21:07


 

会見する高島宏平社長

 

ゲスト:高島宏平(オイシックスドット大地社長)
テーマ:チェンジ・メーカーズに聞く
2017年10月23日

 

オイシックスは2017年10月1日に大地を守る会と経営統合した。統合新会社オイシックスドット大地の社長として会見するのはこの日が初めてだという。統合により、らでぃしゅぼーやを抜いて野菜宅配会社として日本最大になった。

農業分野の新ベンチャーの勢いはすさまじく、最近は9月13日にも東京ビッグサイトでも高島社長は登場した。そのときのことは既に書いているので、今日はそれ以外のことを書いてみたい。

新しい会社が統合して良いとこ取りをしても仕方がないので、新しく企業理念づくりを始めることからスタートした。「これからの食卓、これからの畑」がそれだ。

・より多くの人が、よい食生活を楽しめるサービスを提供します

・より食を作る人が、報われ誇りを持てる社会を実現します

・食べる人と作る人とを繋ぐ仕組みが持続可能であるよう、つねに進化します

・食に関する社会課題を、ビジネスの手法で解決します

・私たちは、食のこれからをつくり、ひろげていきます

会社は1つになったものの、2ブランドで維持する方針だ。オイシックスは比較的若いお母さん、小さなお子さんを中心にすごく忙しくて時間はないものの、後ろめたくない食事を家族に出したいという思いに提供していく。「後ろめたくない時短」「短い時間で安心安全、より美味しく、楽しく」。

大地を守る会はお子様が独立された2人暮らしが対象で、「丁寧な暮らしを送りたい」と願っている人々。健康を長く維持しながら、しっかりした暮らしを送りたい人たちを対象にしている。

生産者は足りず、売り上げを伸ばしきれなかったオイシックスに対し、大地は生産者を持っていたので十分な調達が可能となった。これまでのボトルネックが解消できたことが一番シナジーが大きい。

売上高は約230億円(17年3月期)で、有機や特別栽培の野菜、無添加加工食品などのネット宅配が中心。商品コンセプトは「つくった人が自分の子どもに食べさせることができる」食材だけを販売している。食品流通業を始めてときに自分で食べない人が多かったので、新指針を打ち出した。

「ミールキット」(献立付きの半調理済みの食材サービス)の市場が大きく伸びている。とりわけ米国が主たる市場で、最大手は2012年創業の食材宅配サービスのブルーエプロン。100万人が利用している。国内でもプレーヤーが増加し、市場も拡大中。ヨシケイやコープデリの進出、早くも競争激化している。

オイシックスドット大地は主菜・副菜を20分で調理可能な「キットOisixシリーズ」を600万食販売し、各種キットの開発・提供努力を続けている。

農業の新たなビジネスチャンス

カテゴリー: 科学/技術/イノベーション, 講演会/シンポ/セミナー/勉強会, 農業/農地/農政

2017/09/15  20:27


 

熱弁を振るう三輪泰史氏

 

ABJ(アグリビジネスジャパン)カンファレンスセミナー会場は3日目の15日(金)も盛会だった。14時からは日本総合研究所創発戦略センターのシニアスペシャリスト(農学)、三輪泰史氏が「loT とAIが生み出す農業の新たなビジネスチャンス」と題して講演した。

loTとAIを使ったスマート農業がなぜ今注目されているのか。これからどう生かされるのか。

食料需給率(カロリーベース)の低下、農業就業人口の減少、耕作放棄地の増加、生産力低下など日本の農業の指標を一つずつ見ていくと、すべてお先真っ暗。だから弱いよね、補助金で守らないといけないと言ってきたのが実情だ。守ってきた行き着き先が今の現状だ。

三輪氏はこのような数字を見て嘆くのはもうやめようと主張した。シンクタンク的な目線から言うと、これらの指標を組み合わせることによって何がチャンスがあるのではないか。農業者が減っていることは一戸当たりの農業面積は増える。その部分に光明を見出す。スマート農業にスポットライトを当てる時代ではないか。

 

日本最大の野菜宅配会社「オイシックスドット大地」誕生

カテゴリー: 講演会/シンポ/セミナー/勉強会, 農業/農地/農政

2017/09/13  23:31


 

「農×食」バリューチェーンの創造に向けて(会場風景)

 

『アグリビジネスジャパンの「農×食」バリューチェーンの創造に向けて』と題したシンポジウムが東京ビッグサイト東2で開催された。パネリストには東京青果経営戦略室長の久保忠博氏、ベジタリアの小池聡社長、オイシックスドット大地の高島宏平社長の3人が登場した。モデレーターは時事通信社のデジタル農業誌Agrio編集長の増田篤氏。

オイシックス(高島宏平社長)は2000年6月、「子どもに安心して食べさせられる食材」をコンセプトに、有機・特別栽培野菜、添加物を極力使わない加工食品など多様な食品と豊かで楽しい食生活に役立つ情報を、オンラインサイト「Oisix(おいしっくす)」で提供する事業を開始した。

13年7月からは、主に働く女性の「忙しくて毎日の食事に妥協したくない」というニーズに応えるため、Oisix基準を満たした安心安全な食材を使い、5種類以上の野菜がとれる主菜と副菜の2品が20分で完成する献立キット「Kit Oisix」(きっとおいしっくす)の展開を始めた。

そして16年12月、有機・無農薬食材の会員制宅配事業の草分け的存在である「大地を守る会」との経営統合について合意に達し、 今年7月1日付で社名を「オイシックスドット大地」に変更した。10月1日付で新社名に切り換える。

「ベジ太郞の家族と食べたい!野菜宅配」によると、会員数はオイシックスが約14万人、大地が10万人。合併すると約24万人となり、この分野で1位の「らでぃっしゅぼーや」(16万人)を抜いてトップに躍り出る。日本最大級の野菜宅配会社の誕生だ。

社名は変わるものの、サービスは変わらない。サービスの対象はオイシックスが30代、大地は40代後半~60代と割と高かったが、統合で幅広い世代にアピールできることが世代の狙いだ。

高島社長は1973年神奈川県生まれ。東大大学院工学系研究科情報工学修了。卒業と同時に外資系コンサルティング会社のマッキンゼーに入社。Eコマースグループのコアメンバーとして活動。2000年にオイシックスを立ち上げた。高島社長は野菜宅配業を「農業に近接しているアグリ業」と位置づけており、統合によるコスト削減能力の向上で宅配価格の引き下げに期待したいところだ。

一方、ベジタリア社長の小池聡氏はIT系出身。同氏は2000年前後に日本で起こったインターネット・ブームを代表したネットエイジやネットイヤーグループをリードした人物。当時最も著名なネット企業の1つだった。

ベジタリアンの創業は2010年。農業ICTに注目が集まる前だった。オランダや米国では「アグリテク」の可能性が問われ出した時代だった。今から7年前である。儲かれば何をやってもいいといった風潮に疑問を持ち、「ITから足を洗いたい」と思うようになったからだ。

2008年、東大の社会人向けビジネススクール「エグゼキュティブ・マネジメント・プログラム」(EMP)に学生として入学した。そこで注目したのは農業だった。人間のエネルギー源である食料の問題は環境、エネルギー、資源、医療などよりも重要だと考えた。

富士通が運営するICT活用のヒントを発信するWebサイト「Digital Innovation Lab」によると、小池氏は2009年に就農した。有機でイタリア野菜を栽培した。しかし、丹精を込めて育てた野菜は病害虫でほぼ全滅。農業の素人にありがちで、無農薬栽培でやろうとした。現実は厳しく、病気や害虫、雑草、天候との戦いだった。