『夜去り川』

カテゴリー: Books

2019/01/24  23:41


 

やはりシミタツ節が冴えている!

 

作品名:『夜去り川』(よさりがわ)
著者:志水辰夫
出版社:文芸春秋(2011年7月30日第1刷発行)

 

現代小説でデビューした志水辰夫がいつの間にか時代小説作家に変わっていた。『青に候』『みのたけの春』『つばくろ越え』などを発表。書き下ろしの『夜去り川』は長編3作目だという。

時代小説SHOW」によると、「主人公の檜山喜平次は27歳の若者。武士としての身分を隠して、渡良瀬川のほとりの村で渡し守をしている。よそ者の彼がなぜ武士としての体裁を捨てて、村民のために尽くす渡し守をしているのか、物語が進むにしたがって、その謎は明らかになっていく」。

志水の作品は主人公が何者かも知らせず、場所も地方であることが少なくない。全体がすぐに読み取れないので疲れていると読み続けるのが苦痛になる。

そこを我慢して読み進めていると、その辺が少しずつ分かってきて、その分かりようが逆に面白く、嬉しくなってくる。その醍醐味がこたえられなくて読み続けることになる。厄介な物書きだ。

舞台は上野(こうずけ)の桐生に近い渡良瀬川沿いの黒沢村と妙見村。別称上州。時代は黒船が来航した年。喜平次も黒船を見て衝撃を受け、渡し守に身を落とし、自分を見つめ直す機会を得ることができた。

新しい時代に向けて社会が大きく変わろうとしているときだ。黒船が喜平次に与えた衝撃は大きかった。

「小さな家中の剣術指南となることを、双六の上がりとしていた自分の有り様がいかに貧弱で、取るに足りないものか、どう取り繕ってみたところで意味があるとは思えなかった。骨の髄まで打ちのめされて、浦賀を離れたのである」

「あの日を境にしたもの、しようとしていたもの、しなければならないと思い込んでいたもの、それが朝露さながら、目に見えて立ち昇りながら消えてしまった。いまここに残っているわが身は抜け殻にすぎない」

正之助少年とその母親すみえ、祖母のいちの春日屋ファミリーと、喜平次の交流もいい。「かかあ天下」の起こりも上州。女の気性がすばらしい。

喜平次は物語の最後に、上州の村で、遠州浪人比島藤兵衛51歳と息子の小次郎29歳を頭目とする押し込み強盗団を討ち果たす。ハードボイルド小説を彷彿とさせるアクションシーンにしびれるのは私だ。志水ワールドを期待した読者にはたまらない。

 

テラヘルツ研究は何ができるか

カテゴリー: 科学/技術/イノベーション

2019/01/23  22:52


 

テラヘルツ電磁波について話す平川一彦東大生産技術研教授

 

国立情報学研究所(千代田区一ツ橋)の市民講座「情報学最前線」の5回目が23日、学術総合センターで開催された。同研量子情報国際研究センターのメンバーで東京大学生産技術研究所教授の平川一彦氏が「テラヘルツ電磁波の新展開―遠赤外線はコーヒー豆を煎るだけではない―」と題して講演した。

 

・テラヘルツ電磁波はほとんどなじみのない単語だ。ちらほら出始めたのは20年くらい前。しかし今も未開発の電磁波といわれている。この20年くらいでどういうことができるようになったのか、これから先どういうところに進んでいく可能性があるか。

・テラは10の12乗を表す接頭語。すなわち1兆。ヘルツは周波数の単位。テラヘルツは10の12乗ヘルツを意味する。電磁波とは電波や光を包含する広い概念だ。

・これまでエレクトロニクスであまり使われてこなかった100ghzで、上は100テラヘルツ(thz)以下の間。昔は遠赤外線とかサブミリ波と呼ばれていた。何となく新しい感じがするが、もともとある電磁波の領域だ。

・遠赤外線と聞かれてピンとくるのはコーヒーの焙煎。炭火には遠赤外線効果により食物の成分、性質を壊さずに、芯までじっくりと焼き上げる特性がある。

・もう一つは石焼き芋。熱せられた石から放射される遠赤外線(黒体輻射)で芋が焼ける。めらめら炎を焼かれているわけではなく、熱くなった石の上に芋が置かれている。石から遠赤外線が出ていて、それが芋の表面で吸収されて焼ける。

・水による遠赤外線の吸収は非常に大きく、表面から100ミクロン(0.1ミリ)程度の深さにまでしか遠赤外線は入っていかない。表面の薄皮1枚しか焼けない。ほっこり焼けるのは複雑な物理がある。熱伝導を繰り返しながら中まで焼ける。奥が深い。

・コーヒーと石焼き芋しか応用がない。それはテラヘルツが半導体が最も苦手とする周波数帯になっているから。

・マイクロ波は携帯電話で使っている周波数。トランジスターというすぐれたデバイスがある。半導体が得意としている。これをどんどん早くしていけばテラヘルツにいくじゃないかというが、これはなかなか難しい。

・光デバイスは半導体レーザー、光通信などが密に使われている。これをもっと低い周波数に行けばいいじゃないか。これも難しい。

・テラヘルツ電磁波はプロの研究者というかそれを仕事にしている研究者やお宅っぽい「特殊な電磁波」と考えられてきたが、もっと多くの人が恩恵を受ける「普通の電磁波」にもっていけないかという研究がこの20年くらい進められている。

・テラヘルツ電磁波の特徴。テラヘルツの周波数を持っている。波が振動する時間が非常に早い時間で振動する。波長が長く、透過性がある。光の粒の電磁波が持っている小さな光子エネルギーを持っている。

・物質固有の吸収。糖尿病の分子構造。

・「早い」ことを利用して通信への応用が考えられている。有線や無線通信には向かない。大気の中で吸収されるために減衰する。これを生かして行っているのが情報キオスク。駅の改札でスイカ、パスモを使っているが、その1秒の時間を使って映画1本くらいの情報をダウンロードできる超近距離高速データ通信を可能にする研究がどんどん進んでいる。

・衣服などを通して見ることができる。両手を挙げて壁が一周する保安検査が行われている。テラヘルツの電磁波を使ってイメージングを行っている。衣服の下に何かを隠していればそれが上から見える。

・黒体輻射。宇宙の中では光が満ち満ちている。宇宙に存在する光子の98%はわれわれの目には見えないテラヘルツ領域のものだ。宇宙物理の研究や波長の短い暗視装置を作れる。身体の出す黒体輻射を像にすると人の存在を指摘できるし、災害現場でサーモグラフィーを使って体温があるかどうかを判断する。災害救助にも使える。

・乳がんの検査もテラヘルツで可能。がんの部分は細胞が増殖中で、そこだけ体温が高い。熱の分布を見ることでここががんかもしれないと分かることが最近知られている。

・今後30年、40年でどんな進展があるか。応用物理学会で調べた。エレクトロニクスの王道だと思う情報通信に加え、セキュリティー応用、物質科学・創薬、生体・医療、農業・工業、エネルギー・環境・宇宙・・など。

・いままでエレクトロニクスがそれほど得意としてこなかったところをカバーできる可能性を秘めている。テラヘルツはこれまでエレクトロニクスが守備範囲としてこなかった分野をカバーする新しい可能性を持っている。

硬膜外ブロック注射

カテゴリー: 体調/体力/運動/病気

2019/01/22  23:12


 

牧田総合病院蒲田分院

 

最初に脊柱管狭窄症を発症したのは2013年9月だった。左足先までの強いしびれとお尻の重い痛みが一緒だった。5分か10分も歩くと歩けなくなりストップ。少し休憩するとまた歩ける間欠性跛行が目立った。

会社近くにあった銀座医院に行った。病状を訴えると脊柱管狭窄症と診断され、MRIも撮った。けん引など理学療法によるリハビリを行ったが、痛みはそれほど強くなくなり、自然と軽快となった。

しばらくは痛みやしびれと無縁の生活が続いた。この脊柱管狭窄症が再発したと気づいたのは17年11月だった。症状も4年前とそっくり。診断を仰いでも同じだし、病院に行くのをグズグズしていたが、やはり「行くべし」と決断し、18年3月に他の病気(潰瘍性大腸炎、不整脈、糖尿病)でもかかっている東京山手メディカルセンター(新宿区百人町)に行った。同じ病院でのデータ共有の重要性を知ったからだ。同じ病院なら診療科が違ってもデータを誰でも見られる。

東京山手メディカルセンター(旧社会保険中央総合病院)を含む全国の社会保険病院や厚生年金病院、船員保険病院などは14年4月に独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)が直接運営する病院グループの一員。特に肛門科が有名で、私もここで潰瘍性大腸炎の手術を受けた。

東京山手では18年3月、脊椎脊髄外科を受診。1年間で3人目となる医師はMRIの画像を見ながら、「腰が悪いのは確か。かなり悪いが、この程度で症状が出ない人もいる」と述べ、「手術をしたいかしたくないかは患者次第」と答えた。要は自分が困っていれば、手術をしてほしいと本人が言ってくるからだろう。

生活に困難を感じてくれば、手術をしてほしいと行ってくるはずだ。しかし、手術である。しかも神経をいじるのだ。恐ろしいと思い出したら足がすくむ。その見極めが付かなくて患者は迷っているはずだ。時間ばかりが経っていく。

私も迷っていたが、きょう、「いろんな医師の意見を聞いたほうがよい」とセカンドオピニンを求めて牧田総合病院蒲田分院(大田区西蒲田4)の福井康之医師の診察を受けた。同医師は国際医療福祉大学三田病院(旧東京専売病院)の元副院長・脊椎脊髄センター長、同大学塩谷病院(栃木県矢板市)院長。

医師・病院と患者をつなぐ医療検索サイト「メディカルノート」によると、福井医師は慶応大学を卒業後、米バーモント大学、San Diego Center for Spinal Disorders(サンディエゴ脊髄障害センター)などの海外留学も経験。豊富な脊椎手術経験を持つ腰痛・座骨神経痛の名医。「手術して治すのではなく、治る患者様を手術する」をモットーとし、正確な診断と分かりやすい説明で定評があり、患者の信頼も厚いという。著名な患者に石原信雄元官房副長官やみのもんた氏などがいる。

 

診察終了後につい庶民の街・蒲田のグランデュオ蒲田でコスパの極端に悪いスイーツを食べてしまった(モンブランのタルト=ラ・メゾン アンソレイユターブル蒲田店)

 

会社の元同僚の紹介で福井医師の診察を受けた。福井医師は明快だった。触診とMRI、レントゲン画像を、それを元に説明した。「腰痛ではない。加齢現象により脊椎が変形した結果、神経の通り道である脊柱管が狭くなり、中を通る神経が圧迫されて痛みを生じる疾患だ」と指摘した。

1年前に東京山手で撮ったMRIと比較し、1年間で病状は進化した。症状としては末梢神経の中で最大の座骨神経(お尻から太ももの後ろ側を通り、ふくらはぎ・足先に至る神経)に沿った痛みが座骨神経痛として表れる。座骨神経痛を訴える患者の90%以上を占めるのが「椎間板ヘルニア」と「腰部脊柱管狭窄症」の2つ。症状は似ているが、狭窄症はしばらく歩くと足が痛くなって歩けなくなり、前屈みで休むと痛みが和らいで再び歩けるようになる「間欠性跛行」という症状が特徴だ。

 

『座骨神経痛』の治療法(財団法人 日本法制学会2003年7月第1刷発行)

 

私の場合は典型的な脊柱管狭窄症。一度狭くなった脊柱管が自然に広くなることはありえず、加齢による変形の進行もあり、自然治癒が期待できないため、根本的な解決には、神経を圧迫している狭窄状態を手術的に取り除く以外方法はないという。

座骨神経に座骨神経痛が出ている個所を特定できた。あとは手術の効果だ。「手術では狭窄を解除し神経を除圧することはできますが、傷ついた神経を直接治すことはできません。従って、手術の効果は手術前にどれだけ神経が傷ついていたか、その程度と術後の回復力に依存します。一般に神経の回復力は、罹病期間と年齢に反比例します(病気の期間が長く、高齢者ほど回復力は劣ります)」(座骨神経痛の治療法『お尻から脚が痛い』103ページ「手術承諾書」)。

硬膜外ブロック(仙骨裂孔硬膜外ブロック)注射を打った。脊髄を包んでいる膜を硬膜といい、硬膜の外側の空間は硬膜外腔(こうまくがいくう)という。診察室で行える神経ブロックの1つで、硬膜外腔に下(尾骨部)から上(腰椎部)へ向けて局所麻酔薬とステロイド薬液を注入。一時的に交感神経や知覚神経を抑制することにより、血行障害を改善したり、疼痛を緩和する治療法だ。

その場ですぐにやってくれた。時間もそんなにかからない。効くか効かないか個人差が大きい。私には効かなそうだが、何でもチャレンジである。

福井医師の診察は簡潔、明快だった。これだけはっきりと説明できるのは自信のある証拠だろう。「名医」と呼ばれるのもあながちウソでないかもしれないと思い始めた。

『ドローン情報戦』

カテゴリー: 政治/外交/国際/軍事

2019/01/21  21:46


 

 

作品名:アメリカ特殊部隊の無人機戦略最前線『ドローン情報戦』
著者:ブレット・ヴェリコヴィッチ
クリストファー・S・スチュワート
訳者:北川蒼(きたがわそう)

 

著者のヴェリコヴィッチ氏は10年以上にわたってテロ対策と情報分析活動に従事した軍用ドローンのエクスパート。アメリカ陸軍特殊部隊(DELTA)のドローン技術者・情報分析官として、アフガニスタンやイラクなど対テロ戦争の最前線で活躍。多くの戦功をあげブロンズスター・メダルや戦闘行動バッジを授与された。またデューク大学でMBAを取得。除隊後はドローンによる東アフリカでの野生動物保護など活動の幅を広げている。

本書は世界的なドローン戦士とピュリッツァー賞ジャーーナリストによる「もっともリアルな戦場と心情」と帯にはセンセーショナルに書かれているものの、当局による様々な表現規制もあって期待通りの面白さは味わえない。

そこをうまく表現するのがプロの世界だが、ピュリッツァー賞ジャーナリストも難しかったのかもしれない。少なくても私にはそれほどリアルではなかった。訳者の力量も響いているのかもしれない。

最も生々しい現実は文字では表せないのかもしれない。「パラマウント映画化取得」とあるので映像化に期待したい。

ヴェリコヴィッチ氏によると、彼が陸軍に入隊したころ、ドローンはまだ珍しい存在だった。ドローン1機を使えるだけでも貴重な経験なので、イラク侵攻後のサダム・フセイン追討作戦中は、どの部隊も索敵用に無人機(プレデター)の使用許可を得ようと争奪戦を繰り広げたという。

同作戦から約10年後にヴェリコヴィッチ氏が陸軍を除隊するころには、自分たちのチームだけで3機のプレデターを指揮し、3機が別々の高度から異なる角度で攻撃対象を監視していた。ドローンはすべてを見張り、決して眠らない。

戦争の仕方がドローンの出現ですっかり変わったのだ。同氏より前の時代の戦争においては、航空支援とは、基本的に援護射撃と空爆を意味した。歩兵部隊は長期の野戦任務を手探りで行い、航空戦力が敵の抵抗力を弱めてくれるよう祈った。市街戦では、建物の角を曲がった先に、扉の向こうに、覗いた窓の中に何があるのか、ほとんど見当がつかないまま活動していた。

しかし、現在は、特殊部隊において任務中には常にドローンが上空にいる。それだけ有用な兵器なのだ。海外でのあらゆる作戦行動、イエメンでの海軍特殊部隊ネイビー・シールズによる急襲、シリアでの人質救出作戦、ソマリアでのテロリスト拘束作戦などでは、必ずドローンの支援があると考えていい。準備作戦段階から作戦遂行中、そして後始末にいたるまで、すべてにドローンがかかわっている。

彼の部隊はテロとの戦いの最前線にある「ボックス」で活動していた。ハイテク・スパイであり、その任務は戦争がどれほど進化したかを物語っている。

試写会「フロントランナー」

カテゴリー: 映画/テレビ/舞台

2019/01/15  23:56


 

 

作品名:フロントランナー
脚本:マット・バイ、ジェイ・カーソン、ジェイソン・ライトマン
監督:ジェイソン・ライトマン
原作:マット・バイ「All the Truth is out」
キャスト:ヒュー・ジャックマン(ゲイリー・ハート)
ヴェラ・ファーミガ(妻リー・ハート)
J・K・シモンズ(選挙参謀ビル・ディクソン)
配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
2019年1月15日@ソニー・ピクチャーズ試写室(虎ノ門タワーズオフィス)
2月1日全国ロードショー

 

1988年のアメリカ大統領選挙。コロラド州選出の上院議員ゲイリー・ハートは46歳。若くてハンサム、カリスマ性にあふれ、ジョン・F・ケネディ大統領の再来と言われ、大統領選挙の最有力候補(フロントランナー)に躍り出た。

しかし、マイアミ・ヘラルド紙が掴んだ不倫スキャンダルによって失脚を余儀なくされ、このスキャンダルがターニングポイントとなり、政治家は「政策よりも人柄」を重視する価値観に変わっていった。

『フロントランナー』の原作は、ニューヨーク・タイムズ紙の政治部チーフを経て、現在はヤフーニュースで政治コラムを担当するマット・バイ氏のノンフィクション『All the Truth Is Out』。

この本の中でバイは、このスキャンダルが一人の政治家の単なる転落劇というだけにとどまらず、アメリカがどのような形で大統領を選出するようになったのか、アメリカの価値の基盤がどのように変化したのかを指摘している。

「世界経済も鈍化すれど、景気後退には陥るまい」門間一夫氏

カテゴリー: 会見メモ, 経済/デリバティブ

  23:21


 

今年最初に登壇した門間みずほ総研エグゼクティブエコノミスト(ピンボケですみません)

 

ゲスト:門間一夫みずほ総合研究所エグゼクティブエコノミスト
テーマ:2019年の経済展望
2019年1月15日@日本記者クラブ

 

門間一夫みずほ総合研究所エグゼクティブエコノミストが1月15日、「2019年の経済展望」と題して日本記者クラブで話した。同氏は日銀の元調査統計局長、理事。

・世界経済は2017年が非常に良かった。実質GDPで1.9%成長。18年は反動で0.9%成長(みずほ総研予測値)にとどまった。19年は普通の状態に戻る。あわてないこと、あまり悲観的になる必要はない。

・18年の世界経済の調整色は強まり、この先もう一段強まっていく可能性は高いものの、景気後退など深い調整までは至らない可能性のほうが高い。

・米国は難しい判断にきている。利上げするかしないのか米連邦準備制度理事会(FRB)は白紙だと思う。白紙の状態を出しながら、それをどう表現するかは実にチャレンジングだ。

・パウエルFRB総裁はFOMC(FRB幹部と地区連銀総裁からなる金融政策を決める委員会)で毎回会見を開く。昨年は8回中4回だった。ノイズとなるかどうか。物価だけみて政策を運営していいのか。金融面での不均衡も注目する必要がある。

・ユーロ圏の成長率は17年は予想を上回る好調ぶりを示したが、18年は反動もあって減速。イタリアではポピュリスト政権の下で財政支出の増大圧力が強く、市場金利の上昇要因となっている。フランスも最近ややそうした動き。

・コア・インフレ率は1%近辺で横ばい圏内にあり、インフレ目標である「2%近く」まで着実に上がるかどうか不確実性は大きい。欧州中央銀行(ECB)は19年夏まで現状の政策金利を据え置く姿勢を明確にしているが、その後利上げを実現できるかどうかは物価情勢次第の面が大きい。

・中国経済は減速傾向が次第にはっきりしてきている。減速の背景は①企業の過剰債務への政策的な取り組み②米国との摩擦-などでもう少し悪化しそう。最近目立つのは自動車販売で、18年は28年ぶりにマイナスとなった。米中対立の激化に伴う消費者コンフィデンスの低下を反映している。

・中国の企業債務はGDP比で200%を超える水準だ。この水準に達した国(日本、スペイン)はその後バブルが崩壊した。国家資本主義だから、面子もある。中国政府も急速に落とすのではなく、さじ加減が難しい。危機感を持って取り組んでいる。債務の調整が進めば当面の成長には鈍化要因になるが、成長の持続性にはプラス。

・世界2位の国で18~23年は5.7%成長。これはすごいが、人口も減少過程に入っていくし、産業構造の変換も大変だ。「安くて低賃金」で稼ぐのではなく、世界最先端の技術で稼ぐと「製造2025」でうたったが、これが米国の逆鱗に触れている。産業変革の重要性を認識しているものの、米国から「それをやるな」と言われ、板挟みになっている。債務以外にも重要な問題が多い。

・日本は16年半ばから17年にかけてが非常に良かった。中国の投資需要、半導体関連の需要急増などを中心に輸出・生産とも力強く伸びていたが、18年入り後は一服。反動がきている。世界とつながっており、中国向け輸出が減速している。

・中国向け輸出は17年が絶好調だった。工作機械の受注は倍増していた。18年はその反動が出ており、前年比のマイナス幅が拡大してきている。これが起こるのはある意味でしようがない。

・半導体はデータセンターや自動車向けなどの新市場拡大もあり、第4次半導体革命。スーパーサイクルとか景気のよい言葉がはびこった。長期的な見通しは引き続き良好ながら、足下は減速。メモリーやフラットパネルのための設備投資も世界的に一服してきたため、製造装置の販売は高水準ながら頭打ち感が出ている。

・東京エレクトロンは冬のボーナスだけで280万円。今年はアゲインストになってくる。世界経済はいろんなことが起きていて、トランプだけが悪いわけではない。

・景気拡大の期間は19年1月で戦後最長となる。「実感がない」とおっしゃるが、当たり前で「低空飛行」。いざなぎ景気のときも実感がないといわれてきた。それより低い。潜在成長率の対比でいうと、日本は相当頑張っている。これで実感がないんだったら、実感のある景気はもう日本にはこない。

・「景気」という言葉はもう使わないほうがいい。「景気が良い」というと、それに合う実感のときはもうないわけですから、世の中にないことにいつまでも拘っていてもしようがない。「景気が良い」とか「景気が悪い」とかもう言わない。

羽田空港機能強化に関する住民説明会

カテゴリー: 政治/外交/国際/軍事, 東京日誌Ⅲ

2019/01/12  22:53


 

住民説明会(光が丘IMA1階光の広場)

 

シュミレーター

 

説明パネル

 

国土交通省は1月12日、練馬区光が丘IMA1階の光の広場で羽田空港機能強化に関する住民説明会を開催した。説明会は事前予約不要、入退場自由で、説明パネルや映像資料、パンフレットなどを自由に閲覧。国土交通省の職員が区民の疑問や関心事について答えた。

現在の羽田空港は飽和状態に瀕している。4本の滑走路と3カ所の旅客ターミナルがあり、発着回数は国内線が1日約1000回(利用客数18万1000人)、国際線は最大同約220回(同4万3000人)となっている。国内線の就航先は48都市、国際線は18カ国30都市だ。

 

羽田空港の滑走路の位置関係(国土交通省航空局作成「羽田空港のこれから」から引用)

 

国際線を増便するためには滑走路の使い方、飛行経路を見直すしかないと結論づけた。羽田空港は4本の滑走路が井桁の形となっており、出発と到着経路が複数個所で交錯するため、一定の間隔を空けて運用する必要がある。

4本の滑走路の中で最も新しいのが2010年8月に完成したD滑走路。しかも100年間の長期耐久性を実現する維持管理に配慮した設計となっている。建設費は6730億円。

 

 

 

大学同窓会

カテゴリー: 東京日誌Ⅲ

2019/01/11  23:50


 

食後のコーヒー(浦和パルコ7階の映画館併設ライブラリー「スルークカフェ」)

 

大学時代の同級生3人がどういうわけかJR浦和駅周辺に住んでいる。東京都心へのアクセスが抜群で開けているのだという。うち2人は親の代からそこに住んでいるという。

家賃がかからないのはうらやましい。こちとら、ゼロからのスタート。財産は何もなかった。それを苦労して作り上げた。環境がみんな違う。うらやましいが、うらやむことはできない。それぞれの生活だ。

そこに山つながりで、当時の女学生が加わって4人で飲むことになり、私もつながりのつながりでそのグループに加えてもらった。1968年入学の総勢5人の同窓会だ。場所は浦和駅東口。浦和パルコ5階の和風居酒屋「いろはにほへと」。顔は知らないが、何となく面影はあった。元女子学生は都内杉並区の出身だという。

約50年ぶりだった。私は丹波の山の中から出てきたばかりで、上京前1年間は大阪で予備校に通っていたものの、東京は初めて。東京には強い劣等感があった。うぶで田舎者で、名門都立高校出身の彼女とは縁のない人間だった。しかも彼女は国立大学に2年間通いながら、そこを蹴って改めて早稲田に入り直したということを今回初めて知った。

彼女はそんなお姫様のような人だった。男子学生は1浪か2浪。しかし、埼玉県といえば首都圏である。県立浦和高校は1校だけで東大入学者数が何十人もいた。地方では1県全体でも数人という県もあった。びっくりするほどの名門だ。おそらく今も名門であり続けているようだ。

何を話したのかもうすっかり忘れたが、とにかく3時間はあっという間に経った。48歳からずっと山ガールだったという。仲間の1人も山に強く、話は2人を中心に山が中心だった。

私は山はさっぱり。さりとて、海もさっぱり。何もかもさっぱりだ。山の話には付いていけなかった。それは仕方がない。

人生もそれぞれだ。成功した人もいる。うまくいかなかった人もいるかもしれない。人生は過酷だ。みんな顔に表れている。人によってずいぶん違う。若くして亡くなった同級生も少なくない。彼らの分まで生きているのだろうか。

旅行作家「兼高かおる」さん死去

カテゴリー: 旅行/移動/街歩き, 映画/テレビ/舞台

2019/01/10  23:16


 

兼高かおるさん(オダブツのジョー氏のツイートから)

 

「テレビ番組『兼高かおる世界の旅』の案内役を長年務めた旅行作家の兼高かおる(かねたか・かおる、本名=兼高ローズさん)が1月5日午後8時45分、心不全のため東京都内の介護施設で死去した。90歳だった」(1月10日付朝刊)。

米国留学後、英字紙でフリー記者として活躍。1959~90年に放送されたTBS系の「兼高かおる世界の旅」では、制作やナレーターを手掛け、北極点や南極点も訪れた。全行程は721万キロとなり、海外旅行ブームに火をつけた。

「兼高かおる旅の資料館」(兵庫県淡路市)の名誉館長や、「横浜人形の家」(横浜市)の初代館長も務めた。91年に紫綬褒章。神戸市出身。

1958年7月27日、兼高かおるさんが、スカンジナビア航空主催の「世界早回り」に挑戦し、73時間9分35秒の(当時)新記録を樹立。この日、挑戦を達成し、羽田空港に帰国。その勇姿がオダブツのジョー氏のツイートに載っている。

兼高氏の香蘭女学校の後輩に当たる黒柳徹子(85)氏がコメントを発表している(日刊スポーツ)。

「なんと悲しいニュースでしょう。兼高さんは、大変美しい方で、私の女学校の先輩でしたが、バザーなどで、卒業した兼高さんがいらっしゃる事がわかると、私たち在校生は、門から一列に並んで、キャーキャー言いながらお迎えをしたくらいの、私たちにとって大スターでした」

「その後、テレビをお始めになり、まず、外国へ行くこと楽しさ、その国々の色々な習慣や違った文化、そんな中に、兼高さんはどんどん入っていらして、現地の人たちと交流していらっしゃいました。のちに、私はユニセフの親善大使になりましたが、行く先々で兼高さんの事を思い出していました。ドキュメンタリーをきりひらいた先駆者、兼高かおるさん、私たちに与えた影響は凄く大きなものがありました。心から感謝をしています。本当に本当に、お疲れ様でした。そして、ありがとうございました」

多くの人が同番組を見ていたが、私もその中の1人。当時は中学生の時だった。これを見て社会、特に地理が強くなった。これで社会だけが通信簿で5となり、自信がついた。将来は外交官かジャーナリストになりたいと思い出したのも彼女に影響を受けたからだ。

最近、毎日のように知っている人が亡くなる。人はいずれ死ぬ。死に方も難しい。好奇心が消えたら定年だと思うが、最期のときはそれよりさらに経ってから。死ぬときは好奇心もない。何なんだろうと思うが、それも人生かもしれない。ともかくも合掌。

「輝ける人生」

カテゴリー: 映画/テレビ/舞台

2019/01/09  21:31


 

輝ける人生(ギンレイホールの案内版)

 

作品名:輝ける人生
監督:リチャード・ロンクレイン
キャスト:イメルダ・スタウントン(サンドラ)
ティモシー・スポール(チャーリー)
2017年イギリス映画(114分)@飯田橋ギンレイホール

 

「35年間専業主婦として支えた夫がナイトの称号を授与され、”レディ”となったサンドラ。順風満帆な人生に見えたが、記念すべき日に夫と親友の浮気現場を目撃する。地位や年齢にとらわれず自由に人生を楽しむ姿を、ダンスナンバーに乗せて英国の名優だちが描いた人生賛歌!」(ギンレイ通信Vol205)

物語の最初はよくある悲しい熟年離婚話だが、その後がちと違う。傷心のサンドラが逃げ込んだのはあまり折り合いのよくなかった独り暮らしの姉・ビフの家。ビフの周りはざまざまな問題を抱えたシニアばかり。しかし、ビフは何も悔いない。

ビフが通っていたのが趣味のダンス教室。サンドラは教室に通うチャーリーと打ち解けていく。チャーリーは認知症の妻を療養施設に入れるため自宅を売却し、ボート暮らしだ。でも彼はいつかこのボートでドーバー海峡を渡ってフランスに渡ると夢を語っていた。

人生は計画通りには行かない。しかし、新しい可能性や救いがあることも事実だ。原題はFinding your feet(あなた自身の足で立つ)。

詩人で社会学者の水無田気流(みなした・きりう)氏の映画評によると、ビフは最後にガンで死ぬ。独りで死ぬ。彼女がいつも言うのは「誰も重力には勝てない」。「大事なのは気持ちが下がらないようにすること」だ。

主演キャストの平均年齢は63歳。チャーリー役を『否定と肯定』でホロコーストを否定する学者を演じたティモシー・スポールが演じていたのは驚いた。気持ちが下がらないようにすることは結構難しい。