ナショナル・トレジャー

カテゴリー: 映画/テレビ/舞台

2005/03/27  23:43


少年時代、自分にとって一番大切な物は他人に見せることなく、自分だけの秘密の場所に隠しておきたいという不思議な気持ちに囚われた。そして、それは実行された。宝物とはいうものの、それは金銀の財宝ではなく、ビー玉に毛が生えた程度のものだったりして、他人には無価値な代物だが、自分にとっては掛け替えのない大切な宝。

 自分の家のどこかに穴を掘り、その財宝を埋めた。埋めたものの、やっぱり気になって、後から場所を探して確認したり、秘めやかな行為に喜びを感じた時期が確かにあった。前栽の秘密の場所に埋めた。あれはもう40年以上も前のことだ。自分ではなく、他人の埋めた宝物を探すのはもっと、エキサイティングだ。

 宝探しは少年にとって、体内に埋め込まれたDNAのようなものかも知れない。「ナショナル・トレジャ-」(2004年アメリカ映画、ジョン・タートルトーブ監督)はテンプル騎士団の秘められた財宝をアメリカ建国の父たちが受け継ぎ、その財宝の行方を天才歴史学者にして冒険家のベン・ゲイツ(ニコラス・ケイジ)が探し出すプロセスをスリリングに描いたアドベンチャー作品だ。

 ソロモンの秘宝、ナチスの財宝、ナポレオンの秘宝、山下財宝、ロマノフ王朝の秘宝・・・。世界のあちこちには今なお、莫大な秘宝が眠っている。それもそのほとんどが未発見のままだ。それを探すのは男のロマンだ。「シャーロット」号に眠る秘宝の鍵を握るのはアメリカ合衆国独立宣言書。その宣言書の裏側に、その封印を解く”暗号”が隠されていた。映画はまるでゲームのようなスピード感で暗号を解きつつ、秘宝に迫る。

 ニコラス・ケイジの映画は1週間ほど前、テレビで「ウインドトーカーズ」(2002年)を見たばかり。「コレリ大尉のマンドリン」(2001年)も良かった。ニコラス・ケイジの魅力はそのとぼけた風貌と熱血的な演技力。宝探しに協力するアビゲイル・チェイス博士役のダイアン・クルーガーも良かった。難しく考えることなく、楽しめるエンターテインメントだ。

小島米店のおにぎり

カテゴリー: 東京日誌

2005/03/25  00:59


 おにぎりがおいしいのは人が手で握るかららしい。それでもおいしいおにぎりとそんなにおいしくないおにぎりがあるのは厳然とした事実だ。

 もう1年近く食べ続けているのが小島米店(本店・東京都練馬区土支田町1-29-1)のおにぎり。行きつけは第二光ヶ丘店(同区高松4-13-17)で、昼食時間に外に出られないと思えそうな日には、大体、出勤途上に買うのが習慣になっている。

 とにかく、おいしい。米がおいしい。コンビニのおにぎりなんか、足元にも及ばない。しかも全部、正真正銘、手で握ったおにぎりだ。「シャケ」「紀州ウメ」「いなり」が定番で、それらが売れ切れていた場合は「イカ天」だったり、「おかか」や「こんぶ」だったりする。定番が毎日続いてもあきないから不思議だ。

 おにぎりの良さは何と言っても、仕事をしながら食べられること。実に合理的だ。どうせ、ランチタイムをしっかり取れないのなら、覚悟を決めて、おにぎりを頬張るだけだ。へたなランチよりうまい。しかも、1個120円程度と安い。コストパフォーマンスが実に良いのだ。

 小島米店は「おにぎり」だけで業容拡大しているような気がする。最近は西武池袋線の練馬駅近くにも出店し、本店入れて合計6店舗を展開する。何でも固定客が付けば、すばらしい。

氷冠の消えたキリマンジャロ

カテゴリー: 東京日誌

2005/03/23  22:45


 10年ほど前、東アフリカ・ケニアの首都ナイロビから、インド洋岸の港湾都市モンバサまで飛行機に乗ったことがある。その際、機上からアフリカ大陸最高峰のキリマンジャロ山(標高5,895メートル)を眺めた。かなり遠くだった。聳え立っているのは隣国タンザニアだ。その時は8月だったが、山頂に氷冠があったかどうかは覚えていない。おそらく、あったのだろう。

 2年前、国際協力機構(JICA)のタンザニア事務所長氏からもらった年賀状には「ナイロビに出張に行った際、飛行機から眺めたキリマンジャロには雪がなかった。地球温暖化が速いペースで進行しているようです」と書かれていた。

 今年3月14日、英国の環境団体「クライメート・グループ」がキリマンジャロ山頂の氷冠がほとんどすべて消滅したことを示す航空写真を公表したとのニュースを読んで昔のことを思い出した。山頂付近の氷冠はほとんど解けて、噴火口がくっきりと姿を現している様子が航空写真に写し出されているという。

 米国の専門家らが3年前、2020年までに氷冠の消滅を予想していたが、予想を上回る速さで地球温暖化が進行していることをう裏付けた形だ。同グループは9月に東京でも温暖化に関する写真展を開催するようなので、ぜひ自分の目で確認したい。

車中忘れ物

カテゴリー: 東京日誌

  00:14


 3月19日(土)-22日(火)まで4連休。兵庫の実家に帰った。今回の旅はトラブル続きだった。最初のトラブルは都営大江戸線で起こった。光が丘駅で乗車、練馬で下車し、西武池袋線に乗り換えようと、練馬で降りたところまでは良かったものの、階段を登り始めて、座席の下に置いた大きなバッグを車内に忘れたことに気づく。

 慌てて改札を出て駆け込んだのが練馬駅構内の忘れ物届出所。事情を話して駅員にSOS。そこは駅員さんも慣れたもの。練馬駅から6つ目先の都庁前駅に連絡し、そこでバッグを”捕捉”する態勢を整えてくれた。届出所で待つこと10分。都庁前駅からバッグを無事、”救出”した旨連絡があり、同駅で受け取ることができた。

 「バッグは一人旅していましたか」と尋ねたら、「ええ、気持ちよさそうでしたよ」。地下鉄の車内で荷物を置き忘れた場合、荷物を探す駅は「駅務区」と呼ばれる比較的大きな駅だけ。人手の余裕のない駅ではとても、捜索する余力などなく、「都庁前の次に探すのはずっと先の大門駅」とか。

 これら「駅務区」より前の駅で気づいた誰かに降ろされ、駅員に届けられた場合、発見は逆に遅くなるという。各駅に確認の電話を入れる必要があるからだ。「いずれにせよ、これら駅務区でも捜索のために運転司令に連絡して、電車をその駅でしばらく止めなければならない。電車が遅れる。忘れ物はしないように」と駅員さんから頭を下げられました。申し訳なし。

OPECの”復権”

カテゴリー: 経済/デリバティブ

2005/03/19  13:04


 石油輸出国機構(OPEC)が3月16日、イランのイスファハンで開いた総会で、原油生産枠(現行日量2700万バレル=イラク除く10カ国)の50万バレル引き上げを決めた。1バレル=約159リットル。原油高騰が続くなら、早ければ5月から、増産枠をさらに50万バレル拡大する方針も打ち出した。

 北半球はこれから春・夏の不需要期に入る。この段階では本来、減産決定が普通だが、今年は例年と異なる。不需要どころか、中国、インドなどの”新興大国”の原油需要が大きく伸びているからだ。北海油田や非OPEC産油国の生産低迷に加え、北半球の厳冬も拍車を掛けた格好だ。

 OPECの増産決定で、本来なら原油相場も反落に向かうはずだが、実態は逆で、下がるどころか上昇に勢いが付き、世界の石油相場を主導する週末3月18日のニューヨーク商業取引所(NYMEX)WTI相場は前日終値比0.32ドル高の56.72ドルと終値ベースで過去最高値を更新した。日中付けた高値は57・00ドル。

 50ドルの価格はとても信じられない。私がOPEC取材に明け暮れた1980年代後半は10ドルを割り込み、大変な騒ぎだった。OPEC首脳はジュネーブやウイーンはもちろん、欧州各地で鳩首会議を開き、対応策を協議。メジャーの力が強く、OPEC内部対立ばかりが目だって、右往左往した。取材する側もそのどたばたに付き合わされた。

 現在の高価格はOPECにとって決して悪い状態ではない。高いからといって、客が逃げるわけではないからだ。元々の客は嫌な顔をしているものの、中国などの新規顧客が争って、買いにくるものだから、値引きする必要もないからだ。黙っていても、売れる。

 しかし、いつまでもそんな状態が続くはずもない。無茶な価格で売っていれば、いずれ咎めがくるのは世の倣いだ。高石油価格が世界経済を疲弊させ、需要減退を招き、結果的に油価暴落という悪夢の再来だってあり得ない話ではない。OPECはそのことを骨身に沁みて知っているはずだ。

 マーケットを動かしているのはNYMEXで暴れている投機資金だ。ファンドに集まるホットマネーだ。マネーゲームそのものだ。しかし、マーケットはこうした要素も吸収して、いずれ、適正な価格に収斂していくはずだ、ただ、その過程では行き過ぎる。これが問題だ。それを管理することはだれもできない。

確定申告「時間外収受箱」

カテゴリー: 東京日誌

  11:57


 毎年3月15日は税務署に出掛けるのが日課ならぬ”年課”だ。確定申告のためだ。この習慣が始まってもう20年以上になる。そんなに多くもない原稿料収入を「雑所得」として申告する。納税者としての義務であるが、当然のことながら、きっかけは税務当局に捕捉されたからだ。

 3月15日には何とか時間を作って、実際に税務署に足を運び、「相談コーナー」の机上で、申告書作成に没頭する。分からない部分は待機している担当者に直に聞けるから実に便利だ。ごった返す納税者に混じって、集中しながら数字と格闘する自分は嫌いではない。

 かつて、その所得を得るために要した「必要経費」の内容をめぐって、当局と意見が合わなかったことがある。呼び出しを食らって、3時間も議論した。最後は見解の相違で終わったが、「修正申告」を認めざるを得なかった。しかも5年間も遡って。おまけに重加算税も課せられた。課税実態が現実にそぐわなくても、法律に準拠した納税を迫る当局には勝てなかった。悔しかった。

 若くて、馬力もあり、がんがんアルバイト原稿を書いていたときは所得も多く、それだけに申告内容に対しても敏感だった。しかし今は昔の勢いはかけらもなく、申告に対する取り組みも熱が薄れた。稼ぎが激減しているためだ。考えれば、これはまずい。納税社会の男(女?)の値打ちは「稼いでなんぼ」、「納めてなんぼ」だろう。それにつけても、高額納税者は尊敬するなあ。

 今年の3月15日はどうにも時間が取れなかった。申告書は前夜遅くに何とか作成した。後は出すだけ。わざわざ出向かなくても、郵送すれば済むが、それでは期限切れ。当局からどんな難癖を付けられる分からない。自宅で申告や納税もできる「国税電子申告・納税システム」(e-Tax)も導入されているが、こちらも”駆け込み”には適さない。

 結局、自分で出すはめに。会社からの帰途、途中下車し、練馬東税務署の「時間外収受箱」に投函したのは21時をとっくに回っていた。薄暗かった。ちょうど、同じようなサラリーマンが箱に投げ入れて去って行った。続いて私。箱を開けるのは16日だから、ちゃんと、期限内に申告したことになるのだろうか、ふと一抹の不安が頭をよぎる。でも、いいか!とにもかくにも、これで今年も何とか納税した気分になったのだから。

ゴルフコンペ前夜

カテゴリー: 東京日誌

2005/03/12  22:05


 1枚のスコア表が手元に残っている。1989年12月3日。HATFIELD LONDON COUNTRY CLUB。ロンドン市内から車で北へ1時間くらいのところにあるコースだ。4年間の駐在を終えて帰国する私のために、友人たちが催してくれた送別ゴルフ。もう時効だから、公開してもいいだろう。私が”堂々”と100を切って95のベストスコア。確か、6番か7番のロングホールでイーグルを記録したことだけは鮮明に記憶している。思えば、あの時が私のゴルフ人生の”絶頂”だった。

 長沢 50 45  95  1
 藤井 53 57 110  4
 美根 55 55 110  4
 鴻谷 57 50 107  3
 山田 59 63 122  7
 佐伯 59 53 112  6
 佐藤 53 53 106  2

 1990年に帰国してしばらくは付き合い程度のゴルフはやっていたが、そのあまりの価格面の高さ、距離面の遠さに追随できずに脱落。ここ10年ほどは全くやっていない。むしろ、「ゴルフはやらない」ことを宣言していた。「海外でゴルフしない馬鹿」「国内でゴルフする馬鹿」というのが建前だった。
 
 これまで堅持してきたその方針を撤回したのが昨年10月の社内コンペ。「おおむらさきゴルフコース」(埼玉県比企郡滑川町中尾)。OUT62、IN64の126。ゴルフの厳しさを改めて実感した。そこで一念発起すればいいのだが、またまた仕事に追われて、練習もせず、いつの間にか春のコンペが到来してしまった。それが明日13日。八千代ゴルフクラブ(千葉県)。トホホ・・・

 困ったときの神頼み。自宅近くの「高松ゴルフセンター」(東京都練馬区高松3-6-16)に駆け込み、一夜漬けの練習。湯田浩典プロのレッスンを受けた。ポイントは①腰の位置をいつも同じにし、滑らかに回転させる②バックスイング→ダウンスイング→フォロースルーの流れをつくる-の2点。

 明日はこの2点を実行するのみ。体に覚え込ませるにはあまりにも練習不足だ。スコアは気にしたくない。それよりも、せっかくだから、じっくりグリーンを愛でて、癒し効果を楽しみたい。しかし、ボールを追いかけて、運動量があまりに豊富すぎて、グリーンを楽しむ余裕なんてないか!プレイ前夜だからこそ、こんなことも言っておれるのかもしれないなあ。
 

双日、LME銅・アルミ先物取引で180億円損失

カテゴリー: 経済/デリバティブ

  15:53


 双日ホールディングス(HD)は3月9日、傘下の大手商社、双日のエネルギー・金属資源部門が行っているコモディティー取引で約160億円の損失が発生したと発表した。翌10日には、損失を招いたのはロンドン金属取引所(LME)での銅地金およびアルミ地金の先物取引によるもので、すべてのポジションの最終処分を行った結果、最終損失額は179億8700万円に確定したと追加発表した。

 双日HDは今回の損失発生について、「社内のリスク管理体制で重大なルール違反があった可能性がある」としており、社外弁護士の黒田泰行氏(大江黒田法律事務所所属)を委員長とする「事故調査委員会」を発足させ、全容解明に乗り出した。

 双日HD(旧ニチメンと旧日商岩井が合併して2003年4月誕生)は現在経営再建中で、「リスク管理の強化・高度化」に取り組んでいる最中での事故。「追加損失は発生しない」と説明しているものの、「全社を挙げてリスク管理体制の再点検と再構築」を余儀なくされ、さまざまな面で影響が出てくるのは避けられない。

 LME市場での損失と聞いて、すぐ思い出すのが1996年に発覚した住友商事銅不正取引事件。住商の非鉄金属部長だった浜中泰男氏が銅の簿外取引で会社に2852億円の巨額の特別損失を負わせた、あまりにも有名な事件。浜中氏には東京地裁で懲役8年の実刑が確定した。

 今回は銅とアルミのそれぞれの部署が取引を担当しており、社内ルールに抵触する取引が行われたようだ。詳細は調査委員会の調査に待たなければならないが、リスクを管理することの難しさは昔も今も変わらない。取引内容がデリバティブを駆使した一段と高度なものに進化しているだけに、リスク管理はむしろ、難しくなっているかもしれない。

 利益が上がっているのならともかく、損失を出すことは許されないのが相場の世界。恐らく、思わぬ相場変動で小さな損失を生じ、それを取り返すべくして行った取引が裏目に出て損失が拡大、どうにもならなくなったのではないか。「損切り」することの難しさは言うまでもない。こういう話を聞くと、胸が痛くなる。

”援助大国”はどこへ行った

カテゴリー: 途上国/ODA

2005/03/09  00:35


 日本国内で、中国向けの円借款供与停止を中心に、政府開発援助(ODA)削減問題が国民的コンセンサスを得つつある中で、国際世界では逆に援助を増額する取り組みが強まっている。つい数年前までは世界最大の援助国の地位を謳歌していたのが丸で嘘のような転落ぶりだ。”援助大国”は果たして、どこへ行ってしまったのか。

 それにしても対中ODAの9割を占める対中円借款の激減ぶりは際立つ。2003年度の供与額は967億円で、過去最高だった2000年度の2144億円に比べ、実に半減した。わずか3年である。中国自体の経済発展や軍事費増大が日本国内の世論を刺激し、対中ODA削減を招いたほか、援助の重点対象そのものがインフラ整備から、環境対策や人材育成などにシフトしたことも背景にある。

 「10%近い高度成長を続ける中国に、貴重な血税を援助する必要があるのか」という分かりやすい議論が対中援助削減論を主導、日本政府も3年後の2008年度をめどに円借款については停止する方針を中国側にも伝えたようだ。2005年度のODA政府予算が前年度比3.8%減の7862億円と6年連続で減少したのもむべなるかな、である。

 3月7日(月)、外務省で開かれたODAの基本方針を話し合う「ODA総合戦略会議」第21回会合でも対中援助をめぐって議論が展開され、町村信孝外相も「いかに(停止に向け)軟着陸させるか、中国側と意見交換を始めた」と言明、停止方針を確認した。

 然るに問題は日本以外の先進国。対照的に、米国、フランス、ドイツなどが増額に踏み切ったからだ。英国も今年7月にスコットランド・グレンイーグルスで開催するサミットではアフリカ貧困問題を主要議題に設定しており、援助が大きなテーマになる見通し。そうした中で、大幅削減路線に転換した日本は難しい立場に追い込まれることも懸念される。

 折りしも、アナン国連事務総長の特別顧問として、ジェフリー・サックス米コロンビア大学教授が3月7日に町村外相と会談。サックス教授から、日本同様に国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指すドイツが、ODAを2014年までに対GNP(国民総生産)比で0.7%に引き上げる方針だと指摘され、苦しそうだった。ちなみに日本は0.2%程度。ODAの集票力は抜群だっただけに、政治外交面での影響力低下が心配だ。

築地の料亭

カテゴリー: 東京日誌

2005/03/06  18:26


 日本料理で名高い「つきじ植むら本店」(東京都中央区築地1-13-10)に行った。ある会合のためだ。この店は昭和3年創業の老舗料亭として名を馳せている。名前だけは知っていたが、足を踏み入れたのは初めて。”話”が主役だったから、残念ながら、何を食べたかよく覚えていない。確か、刺身の器に、桃の花が添えられていた。覚えているのはそのくらいで、まことに情けない。

 築地には料亭が多い。大川(隅田川)沿いに料亭文化が花開いたらしい。最も有名なのは「吉兆」か。どうも格式が違うらしい。ほかにも「新ばし金田中」や「つきじ治作」、「つきじ田村」(正しくは「じ」ではなく「ち」に濁点)などがある。ひっそりとしたたたずまいながら、小泉首相も使う「松山」など、意外なところに歴史も由緒もある老舗が息を潜めている。

 「玄関の花一輪、屏風、控えの間に通ったときに聞くひそやかなお香。たばこ盆とお茶にて友を待ち、本席に至りては時季の料理と芸妓の舞。その傍らの床の間にてひっそりと覗く軸と花。日本人が創り出した当たり前の空間と演出。そんな場所が料亭です」(金田中HPサイト)。

 銀座の住人になってはや1年5ヵ月。朝昼夜、必要に迫られて、ウロウロするだけで、その中に息づく空気は窺い知れないが、いつも気になる存在ではある料亭。今宵もそこで、何ごとかが決まっているのだろうか。