卸電力取引所で「先渡し取引」成立

  日本卸電力取引所(菅野明理事長、東京都港区芝浦1-7-14岡家寿ビル4階=JEPX)の「先渡し市場」で5月9日から13日の間に3件の取引が成立した。5月14日付日経紙が報じた。同紙によると、約定があったのは1ヵ月、午前8時から午後10時まで同じ量の電力の送受電契約を結ぶ「昼間型」の6月と9月の取引。約定した電力量は合計534万8000㌔㍗時。

 電力の調達コスト削減策として期待されているJEPXには電力会社や新規参入事業者などが参加し、今年4月1日から取引を開始。2-4日間で供給する電力を売買する「スポット市場」では初日から取引が成立していたが、先渡し市場では約定するまで1ヵ月以上を要した。

 電力の小売り自由化は2000年3月21日にスタート。04年4月1日からは契約電力500㌔㍗以上が自由化され、今年4月1日から上限が50㌔㍗以上に引き下げられた。この結果、小規模工場なども市場から電力を購入できることになった。総販売電力量の6割以上が自由化されたことになる。

 今後、余剰電力市場での取引が活発化していくかどうかは不透明。売電側がまだまだ取引そのものに不慣れなためで、時間が掛かりそう。家庭向けを含めた全面自由化については07年度に本格的な検討が始まる見通し。取引対象が電力であるだけに、不正取引や市場操作も懸念される。市場経済の成熟度が試される。

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