佐伯祐三展

 東京都練馬区立美術館(練馬区貫井1-36-16)で「佐伯祐三展」が開催されている。日本の洋画史において独特の位置を占める画家・佐伯祐三(1898-1928)の生涯と芸術を回顧するもので、開館2周年記念展。会期は10月23日(日)まで。

 佐伯祐三の絵はいろんな美術館で見るが、ほとんどが数点どまりで、彼だけを取り上げた美術展というのはあまり聞かない。今回は佐伯祐三作品を14点収蔵する和歌山県立近代美術館など各所から油彩画、水彩画、関連資料など約140点を集めた。彼は30年の短い生涯で約200点の絵を描いたが、関東大震災で60-70点が焼失したという。

 約140点の作品が「初期の美術学校時代」、「第一次渡欧時代」、「一時帰国した下落合時代」、「第二次渡欧時代」と順を追って展示され、彼の「芸術家への道」をたどれる構成になっている。とにかく、これだけたっぷりと、佐伯祐三の絵を目にできる機会はそうあるものではない。主催者によれば、「東京でこれまでまとまった佐伯祐三展は28年ぶり」とか。

 良かったのはバイオリンを好んで弾いた佐伯祐三を偲んて行われたギャラリー・ミニコンサート。東京芸大大学院の長岡聡季(ながおか・さとき)氏によるバイオリン独奏で、バッハやベートーベン、エルガーの曲も良かったが、とりわけ最後のクライスラー「プレリュードとアレグロ」はすばらしかった。今後も美術講演会やギャラリートークなども予定されている。今、美術館が面白い。

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