立花隆氏@100年インタビュー
NHK BSプレミアムで放送されたインタビュー番組『100年インタビュー』(午後零時~1時30分)でジャーナリスト・立花隆氏を見た。インタビュアーはNHKアナウンサーの三宅民夫氏。
立花氏の指摘で合点したのは日進月歩で発達する科学の進歩に一般人の理解が追いつかないことだ。「人々の理解が追いつかなくなって分からないから、お手上げになる。そうなると、あとは専門家にお任せという状況になってしまう。そうなれば、社会が正面から破綻することが起きる」と警告する。
東京電力福島第1原子力発電所事故とそれに伴う対応は政府を含め大混乱した。あれから5カ月経った今でも、「放射性物質」に対する正確な知識がどこにあるのか今一つ分からない。頼みの学者にしても、正反対のことをいう人がいる。何が正しくて、何を信じていいのか分からないことが多い。
「放射性物質」だけではなく、これはありとあらゆる分野で言えることだ。人の価値観も多様性があるから、そういう考え方に立てば、そういうふうに考えることも許されるとなれば、結局のところ、「正解」はなくなる。少なくても「正解」は1つではない。となると、また混乱する、といった具合だ。果てしない。
「普通のハイスクール出たくらいでは、今の世界がどうなっているのか分からない。そういう人が社会の大部分になっている」(立花氏)。分からないものをいかに分からせるか。それは知識工学というか、社会工学らしいが、その成果が上がる以上に、次から次へと問題が発生してくる。大変な時代だが、理解する努力をしつこく続けるしか道は無いのだろう。