野毛洋子ライブ「Chicago meets New Orleans」
誘われて野毛洋子のジャズライブを聴いた。「Chicago meets New Orleans」(ミントンハウス、西荻窪南2)。名前は知っていた。日経新聞シカゴ支局記者として。紙面でときどき彼女の書く記事を読んだ。
しかし、それは昼間の顔で、夜はミュージシャンとして活動していたという。それも30年以上にわたってダブルワークを続けていた。生半可なことではない。ライヴが始まる前に店の外で、「記者とミュージシャンというのは不思議な取り合わせですね」と聞いたら、「私の中では違和感はなく、自然よ」と答えた。
午後7時すぎに現着したが、30分からのライヴは超満員。予約なしで行ったら、1つも席がなかった。私以外にも予約なしのジャズファンが周辺にあぶれていた。雨も降ってきたし、帰ろうかと考えていたら、「2回目のステージが9時15分くらいから始まるから、それまでどこかで飲んでいて」と言われて、近くの「Kitchen bar etsu」というこじゃれた店に入った。
ここで時間つぶしをしたが、カウンターに座ったら、「お通し」が出てきた。お通しは和風居酒屋だけだと思っていたら、洋風居酒屋も同じだった。洋風レストランでは出てこない。今度からは断ろう。それにしても愛想の悪い店だった。
9時すぎにミントンハウスに戻った。1回目で帰る人は少なく、まだ客が店に溢れていたが、パイプ椅子と丸椅子を持ってきて2人分のスペースを確保してくれた。これで帰れなくなった。シカゴでは立ったまま、飲み物を飲みながら観賞するのが普通だから気にはならなかった。
野毛はシカゴで活動するジャズシンガー&ピアニスト。正確に言えば、ジャズと言うより、ブルースシンガー。1年ぶりの里帰りらしい。
大阪の下町・住吉出身の野毛は大阪弁を交えながら語り掛ける。
「ジャズと言えば、今はニューヨークが有名だけど、本当の発祥地はシカゴ。黒人と白人が同じ小屋で聴けた。白人は1階で、黒人はバルコニーで。同じ小屋で白人と黒人が一緒にジャズを聴けたのはシカゴが初めて。ジャズがはやった。それにギャングのボス、アル・カポネが商売になると目を付けた。ニューヨークのハーレームでジャズを演奏させた。それをライターが記事にした。それでジャズ=ニューヨークが定着した。シカゴにはライターがいなかった。オリジナルのシカゴは忘れられた。皆さん、ライターは大事ですよ」
野毛洋子(p,vo)
古川奈都子(p,vo)
海付豊(sax)
田野重松(b)
中村好江(tp)←飛び入り
ミントンハウスは1973年(昭和48年)創業。Traditional Jazz(トラッドジャズ)専門ライヴハウス。