71歳の誕生日

 

ケーキと紅茶で

 

71歳の誕生日を迎えた。長距離フライトの疲れとロンドン地下鉄ビクトリア駅の上りエスカレーターでのアクシデントが加わって身体の節々が痛くベッドで寝返りを打つことも苦痛だった。

重い荷物を持ったまま上りエスカレーターで転んで手や腰などをかすった。腕をまくり上げると、血が出ていた。着ているものは穴も空いていないのに、生の身体が傷ついていた。不思議な現象だ。

私の後ろの人が支えてくれてなんとか体勢を立て直した。誰かがボタンを押してエレベーターを止めてくれた。ビクトリア駅の係員が飛んできて救護室に移動し、そこで傷の介護をしてくれた。幸運にも頭は打たなかった。打撲傷と擦り傷ですんだのが幸いだった。

係員によると、エスカレーターの事故は毎日のように起こっているという。怪我をしたのはロンドン滞在最終日で、朝アパートメントからビクトリア駅のLEFT LUGGAGE(荷物一時預かり)に行く途中だった。

帰国後、頭を枕の上に置くと、首がむち打ち症になったかのようで、辛かった。しかも、コルセットを外したものの、腰も万全ではなく、全身が自分の身体のようではなかった。

午前4時頃にベッドに入り、夕刻に起き出した。身体をマッサージするため近くの極楽湯に行って電気風呂に浸かった。幾分身体はほぐれた。

考えてみれば、今日は誕生日だった。極楽湯で岩泉ヨーグルトで練り込んだ「贅沢カステラ」(岩泉ファーム=東京都台東区)を買った。

同社は岩手県岩泉町に工場を構えており、牛乳カステラやなめらかプリン、かりんとうなどを生産している。岩泉町は日本3大鍾乳洞の1つである「龍泉洞」があることでも有名だ。

透明度世界一を誇る龍泉洞の水はモンドセレクションで3年連続金賞を受賞。岩泉ブランドになっているという。

今回の旅でいろんな経験をし、年齢相応の感慨も持った。日本では71歳はかなり老齢で、人生も終盤に入ったという気持ちだったが、それは違うという思いを強く持った。

最近は日本も外国人が増えているとはいえ、ロンドンなどに比べるとまだまだ。たとえば地下鉄。乗客は白、黒、黄色。黒いのも真っ黒もいれば薄いのもいる。白人と言ってもどこから来ているのかさっぱり分からない。

コッツウォルズのホテルの白人のウェーターはやけに親切だなと思っていたら、ハンガリー人だった。アラブ人もいれば、イスラエル人もいる。とにかく千差万別だ。

私の髪はかなり白いグレイで、以前からこれが気になっていた。日本の若者はほとんどが黒髪で、女性も高齢になっても染めるのが普通だ。

だからどうしても目立つのだ。気になって仕方ない。気にする必要はないよと思っていても、これだけ多いとどうしても浮いてしまうのだ。やはり東京地下鉄はあまりにも整然としすぎて息苦しい。単一民族を感じる。そう感じると気持ちも萎えるのだ。

ロンドンの地下鉄だと、私のグレイヘアなど少しも気にならない。金髪も同然だからだ。チリチリもいれば、赤いのもいる。7月でしかも暑い。若い女性はびっくりするほど大胆だ。凹凸がはっきりしている。目が困る。

そんなこんなで私の髪の毛が白いことなどだれも気にしない。だから私も気にならない。みんなと同じだ。年寄りもいれば、若いのもいる。これが普通だ。ごっちゃになって生きている。それを実感し、逆にエネルギーが沸いてくる。

私は腰の手術をしたばかり。今回、コルセットをしていた。室内は取ることを許可されたが、室外はまだ着用の指示が出ていた。

それで外を歩いていても何となくギクシャクしていた。入国時と出国時は重い荷物を持っていたから特別だった。しかし、いつもリフトがなくて困っていたら、さっと荷物を持ってくれたのだ。それが1人や2人ではない。3人もいた。英国人のすばらしさを感じた。

躊躇なく、荷物を持ってくれた。有り難かった。これは感謝を込めて礼を言いたい。

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