運動会も「春派」「時短派」が増える傾向か
練馬区内では恒例の秋の大運動会が開催された。孫目当ての敬老席にはたくさんの高齢者が詰めかけていた。71歳の自分は高齢者の範疇に入ると思っていたら、敬老席に座れる年齢制限は75歳以上だった。
前期高齢者(65~74歳)が後期高齢者(75歳以上)に切り替わり年齢だ。敬老席も限りがあるようである。嬉しいと喜ぶべきと考えた。
小学校の運動会が変わってきている。かつては秋の風物詩だったが、今や春の開催のほうが幾分多い。しかも校庭で子どもと一緒に食べることもなく、こどもたちはお弁当を教室で食べるのだ。
自分が子どものときは家族とともに一緒になって食べたことを覚えている。楽しかったかそうでなかったかは全く覚えていないものの、食後は梨をむいたり、なぜかコーヒー牛乳を飲んだりした。
今も銭湯には欠かせないコーヒー牛乳。普通の牛乳やフルーツ牛乳もよいが、コーヒー牛乳にはかなわない。こいつがうまいのだ。そんなことをつい思い出した。
さて毎日新聞によると、運動会の開催だが、7月以前の「春」開催が54.3%、8月以降の「秋」開催は45.7%だった。大同大学(名古屋市南区)の渡辺慎一教授と名城大学の石井仁教授が合同で「小学校で行われる運動会の季節が春に行われるか、秋に行われるか」というテーマで2013~15年にかけて行事予定を公開している小学校1万620校(全小学校のほぼ半分)を対象に調査した結果だ。
都道府県別にみると北海道、青森、岩手、宮城、秋田、福島、新潟の北日本7道県は春派の割合が90%を超えた。一方、群馬、山梨、滋賀、愛媛、宮崎、鹿児島、沖縄の7県は秋開催の割合が90%を超えた。「北日本は春派」の傾向が出ているものの、山形県は秋開催が64%と多く、必ずしもそうとは言えない。
運動会は学習指導要領で「特別活動」の1つと位置づけられている。しかし、開催時期に関する定めはない。渡辺教授はこの結果について、「秋に開催すれば、運動会の練習は残暑の時期になる。春開催は熱中症を予防する狙いもあるのだろう」と「気温」に着目している。
近年では春でも真夏並みの暑さを記録することも少なくない。渡辺教授が言うように、「気温」に着目すれば、開催時期は今後さらに春派に変わる可能性もありそうだ。
一方、本来の”競う”運動会から、保護者に”披露する”だけの運動会に変質しつつあるのも確かだ。組み体操や棒倒しなどの出し物は子どもたちがケガをしないために禁止になる学校が増えているという。
こうしたことから運動会も午前中や午後の早い時間帯までに終了する「時短運動会」が増えているという。北海道・札幌市内の小学校では全体の6割超が「昼まで開催」が普通だという。
これでは子どもたちも親とゆっくりと特別のお弁当を食べる機会も減っている。むしろ最近では子どもたちは教室で弁当を食べるのが普通だ。年に一度の我が子の晴れ舞台を一緒に楽しめない親にとっては盛り上がりを欠く運動会になったと言えそうだ。
逆に弁当を作る時間的余裕の乏しい共稼ぎ夫婦や母子家庭や父子家庭にとっては弁当なしの昼食は歓迎されるべきことかもしれない。ござを持って場所取りに並ぶ必要もない。
来年からは学習指導要領の改定で、小学校3年生以上の英語の授業数が増える。運動会の練習もせいぜい2週間程度に短縮されており、運動会ばかりに時間を割けないという学校側の事情もあるようだ。
運動会一つとってみても時代を色濃く反映していると言えそうだ。