「上野東照宮ぼたん苑」でワラ囲いの下で咲く冬ぼたん(牡丹)を見る!
初詣で上野の「清水観音堂」にお参りした次いでに見頃を迎えた「上野東照宮ぼたん苑」(東京都台東区上野公園)をのぞいた。ぼたんは普通4月中旬から5月中旬にかけての春が見頃だが、中には1月~2月に冬ぼたんを鑑賞できるところもある。花柄は小さいものの、ここでは約40品種200株が栽培されており、冬牡丹を見られる。
日本ぼたん協会によると、関東にも上野東照宮ぼたん苑のほか、東京都町田牡丹園、埼玉県東松山ぼたん園、鎌倉市鶴岡八幡宮ぼたん園などがあり、福島県須賀川牡丹園など地方にもさまざまな牡丹が咲いている。
立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花
女性の美しさや立ち居振る舞いを花にたとえて形容する言葉だ。中国を原産国とする花で、古来より「百花の王」と呼ばれ、薬用や観賞用として広く親しまれてきた。
絢爛豪華な花容から「富貴花」とも称され、財産、繁栄、名誉、幸福をもたらす縁起の良い花として今日も愛されている。
日本には奈良時代に伝来したとされ、平安時代に記された枕草子や蜻蛉日記にも登場している。その後、宮廷や寺院を中心に栽培されたが、多くの品種が生み出されるようになったのは江戸時代のこと。
文学では季語として多くの俳句に読まれたほか、絵画や文様、家紋のモチーフにされたことからも人気の高さをうかがえる。
そう言えば、田舎の実家(兵庫県丹波市)の花壇にも赤い牡丹が咲いていた。誰も世話をすることのなくなった花壇に毎年牡丹が赤い豪華な花を付けていた。これを切って玄関に生けると家が一気に華やぐ。
上野東照宮のぼたん苑は東照宮の敷地内にある。すぐそばには五重塔(旧寛永寺五重塔)が立っている。牡丹の原産国・中国との友好を記念して1980年4月に開苑した。
回遊形式の日本庭園に植栽された牡丹は当初70品種程度だったが、少しずつ数を増やし、現在春には110品種600株にもなっている。
牡丹は一度植え付ければ毎年花を咲かせる落葉低木。ぼたん苑のお休み処に苗木を売っていたので買ってきた。1本1500円。白い花の中心が黄色い。「紀子の舞」という。
現在、園芸用で広く普及しているのは春牡丹(春咲き品種)。ほかには早春と初冬に花を咲かせる寒牡丹(二季咲き系)がある。また春牡丹を1~2月に咲くように温室などで調整した冬牡丹もある。いずれにしても中心は春牡丹だ。
牡丹は種から育てると最初の花が咲くまでに5~10年かかるという。よって苗木から育てるのが一般的だ。市販の苗木はほとんどが同じボタン科ボタン属のシャクナゲを台木にした接ぎ木苗だ。根は牡丹ではなく、シャクナゲの根である。
植え付けに適した時期は9~10月ごろ。1月に植えても大丈夫かと思ったが、仕方がない。2月から3月頃には発芽するという。
「ボタンの育て方。コツとお手入れ、植え替えや接ぎ木のしかたを一挙紹介します」サイトによると、牡丹は寒さや乾燥に強く、本来は丈夫で育てやすい。半面高温多湿には弱い。1年目は花を咲かせず、早い時期に蕾を摘み取って、牡丹の自根をしっかり育てることが花を長く楽しむコツらしい。
園芸用の品種だけでも300~400種類あると言われ、現在も新品種が次々に生み出されているという。
■開花状況(1月5日現在HP)
冬ぼたん~たいへん見頃
寒ぼたん~きれいに咲いている
ロウバイ~きれいに咲いている