「感染拡大は持ちこたえている」ものの、「オーバーシュート」(爆発的患者急増)を警戒すべしと政府専門家会議

 

専門家会議の尾身副座長(NHKプラス)

 

新型コロナウイルス肺炎に関する政府の専門家会議が19日夜開催され、会見した尾身茂副座長は「これまでに明らかになっていることの中で一番重要だと思っているのは、本感染症が気が付かないうちに街中に広がり、ある日突然爆発的に患者が急増する、いわゆるオーバーシュートが起こりうることだ」と述べ、警戒を呼び掛けた。

2月24日の会議後会見では「今後1~2週間が急速な拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際」と述べていたが、次の3月9日の会見では「一定程度持ちこたえているのではないか」との見方を示した。

3月19日の会見では感染拡大について「持ちこたえている」としながらも、「収束に向かっておらず憂慮すべき状態が続いている」との認識を示した。

専門家会議は「オーバーシュート」(爆発的患者急増)が生じる可能性について、「人が密集し、人の出入りが多い大都市圏の方が高い」と指摘。北海道大学の西浦教授の推計によると、感染が拡大したドイツ並みに増加すると、日本では症状の出ない人や軽症の人を含めて、流行50日目には1日の新規患者数が5414人に上り、最終的に人口の79.9%が感染すると予測している。

この推定に直ちに反応したのが大阪府の吉村洋文知事。「特に兵庫県では爆発的な感染がいつ起きてもおかしくない状況だ」と述べ、大阪府・兵庫県の不要不急の往来を20日からの3連休は自粛するよう求めた。

専門家会議では北海道以外の新規感染者数は「都市部を中心に漸増している」と指摘。さらに「感染源が確認できていないケースが散発している」と注視している。特に東京都や兵庫県では、患者の集団発生(クラスター)との関連を確認できない「孤発例」が相次いでいる。

今後の見通しについて、専門家会合では「オーバーシュートが始まっていたとしても、事前にはその兆候を察知できず、気付いたときには制御できなくなってしまうというのが、この感染症対策の難しさ」だと指摘。「もし、オーバーシュートが起きると、欧州でも見られるように、その地域での医療提供体制が崩壊状態に陥りかねない」と強調した。

「オーバーシュートが起きたイタリアやスペイン、フランスといった国々では、数週間の間、都市を封鎖したり、強制的な外出禁止の措置や生活必需品以外の店舗封鎖などを行う、いわゆる『ロックダウン』と呼ばれる強硬な措置を採らざるを得なくなる事態」が起こる可能性を見通した。

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