緊急事態宣言、大阪・京都・兵庫を解除=残る首都圏・北海道は25日にも
■大阪・京都・兵庫を緊急事態宣言解除、残るは首都圏・北海道のみ
政府は21日夕開いた新型コロナウイルス対策本部で、緊急事態宣言を継続している8都道府県のうち大阪、京都、兵庫の3府県の解除を16日から実施することを正式に決めた。既に14日に39県で宣言を解除しており、残るは首都圏4都県と北海道の5都道県だけとなった。
政府は宣言解除について、①感染状況②医療提供体制③PCR検査の監視体制ーの3つを踏まえ総合的に判断した。このうち感染状況に関しては「直近1週間の10万人当たりの感染者数が0.5人程度以下」であることを目安にしている。
大阪、京都、兵庫の3府県の感染状況は20日時点でいずれも10万人当たり0.5人を下回った。重症者を対応する医療機関の体制や検査体制にも余裕が出てきた。
宣言を解除した地域は外出自塾や休業要請を段階的に緩和する。解除後もマスクの着用を引き続き行うよう求める一方、クラスターが発生しやすい接待を伴う飲食店などに行かないよう自粛の要請も継続する。
感染者数が再び増えるなど「第2波」の兆候が出てくれば改めて緊急事態宣言を出す方針だ。宣言を再発令する場合は感染者数が倍になるまでの「倍加時間」や感染経路が不明な人の割合などを基準となる見通しだ。
■目に余った厚労省の動きの遅さ
新型コロナウイルスの検査は当初、熱が続くなど体調の悪い人が各地の保健所が運営する「帰国者・接触者相談センター」に電話し、必要と判断されれば、感染症指定医療機関などで検査を受けられる仕組みだった。
ただ、当初の仕組みでは、保健所に電話がつながらないケースが続発。指定医療機関が軽症者の対応に追われてしまうといった問題も各地で発生していた。
37.5度以上の熱が出ても、理屈をつけて検査要請を拒否し、1~3日くらいは何の指示のなく自宅で悶々とする事例が頻発した。保健所は保健所なりにやっていたものの、人員削減とか予算削減とかいう弱い立場を主張し、保健所の職務を放棄したと言ってもいいような状態に落ち込んだ。厚労省の動きの遅さにはあきれるばかりだが、こうした国に頼らない自治体の体制作りも決して早いものではなかった。
それで出てきたのがPCRセンター。主に全国の自治体が地元医師会と協力して設置している新型コロナ専門の検査所で、4月中旬あたりから設置。練馬区では連休明けの8日から運用が始まった。本当に検査してもらいたい人が多かった時期は既に過ぎており、感染が収まりつつ時期に開設された。個人的にはタイミングがあまりにも遅すぎると思うが、これが日本の現実である。
「医療体制の崩壊」を合い言葉に検査さえ受けられずに、助かる人も助からなかった。それに対して誰も責任を取らない。大相撲高田川部屋に所属する勝武士(28)が20代でコロナに感染して初めて死亡したのも速やかな検査が行われなかったことと関係があると指摘されている。
■PCRセンターはむしろ第2波への備えか
日経の調べによると、全国のPCRセンター設置箇所は110カ所。自治体と地元医師会が連携して設立している。東京が29カ所と最も多く、次いで神奈川県が16カ所、福岡県が9カ所だった。
特定警戒都道府県に指定されている地域でも、兵庫県のようにPCRセンターを設置していない自治体もある。一時指定されていた石川県は現時点ではセンターはないが、6月には設ける予定だという。
むしろ、PCRセンターは今後宣言が解除され、感染の再発が予想される第2波、あるいは第3波を想定しているといって良さそうだ。いまさら出来ても亡くなった人は戻らないが、これからの命を救うのが目的なのかもしれない。
20日、高血圧でかかっているかかりつけ医が言っていた。「8月、9月頃に新型コロナがインフルエンザと一緒に再発するのが怖い。気をつけてください」と。首都圏も緊急事態宣言が解除されてもすぐまた宣言が出ることだけは何とか避けたいものだ。ぬか喜びしたくはない。