陽性判明者数は急増するも死亡者数は急減し「明るい兆し」見え始めたか新型コロナ=藻谷浩介氏予測

 

人口100万人当たり陽性判明者数(前後7日間の移動平均)

 

■新型コロナのゴールはどこか?

 

日本総合研究所調査部の主席研究員、藻谷浩介氏のオンライン講演会「新型コロナ後の福岡・九州の進むべき道」(第3回目)が7月24日、開催された。初回は5月、2回目が6月、今回は最終回。これからどうしたいのかヒントを得るのが目的だ。主催は福岡大学経済学部の木下敏之教授。

藻谷氏は2013年、『里山資本主義』~日本経済は「安心の原理」で動く~(角川書店)をNHK広島取材班と一緒に出版し、評判を取った。マネー資本主義が全盛を謳歌している時代に、お金に依存しないサブシステムを提案したのが目新しかった。

そもそも新型コロナの終着点はどこか?世界の感染者の状況も人口の多寡によって深刻度が異なる。どこが深刻なのか。それを知るためには人口規模に応じて死者数を知る必要がある。

単純に比較しても人口が違うのでレベル感が違う。それで人口100万人当たりの死者数を比べることとした。

①スウェーデンは560人(人口1000万人の国、100万人に560人が死亡、1万人に6人)
②米国432人(3億人)
③ドイツ110人
④日本8人(1億2000万人)
⑤中国3人
⑥タイ1人(水際作戦で止めた。おおらかな仏教国)

日本のインフルエンザ死者(2018年)は年間3325人、年間100万人当たりだと27人。これはコロナの3倍に当たる。インフルエンザは関連死が多く、それを含めると1万人くらいが死んでいるという。極端な表現になるが、「そんなに死んでないコロナをそれほど怖がるのか」という言い方になる。

日本は欧米と比較するのが好きだが、日本では欧米に比べ圧倒的に死者数が違っている。そんなに死んでいないのだ。だから欧米との比較をすると、日本は超優等生になる。しかし西大西洋地域では劣等生。インドネシア、フィリピンの次が日本。韓国やニュージーランド、シンガポール、オーストラリア、マレーシア、中国、タイ、台湾、ベトナム、モンゴルの順だ。

西太平洋地域には世界人口の3分の1の23億人が居住しており、大きなマーケットだ。西欧は5億人にすぎない。このアジアでビリから3番目は格好良くないのではないか。

 

日本は欧米では超優等生だが、アジアでは劣等生

 

■日本はアジアでは劣等生

 

日経の集計によると、新規感染者数が最多なのは米国だ。7月22日時点だと、人口10万人当たりだと米国が1199人、次いでブラジルが1048人、スペイン569人、ロシア541人、イタリア405人、フランス272人、韓国27人、日本21人、中国6人となっている。

100万人当たりに直すと、米国は約1万1990人と断然トップ。ブラジルは1万480人、スペインは5690人、ロシア5410人、イタリアは4050人となっている。フランスは2720人、韓国は270人、日本は210人、中国は60人の順だ。

米国のラスベガスではカジノが再開しているほか、フロリダでもディズニーワールドが再開している。ラスベガスでは100万人当たり270人くらい死んでいる。

アフリカは低率に抑えている。こういうことに関してはかなり真面目だ。エボラ出血熱などもあってひどく神経質だ。人権もないからド派手に鎮圧をしている。インドはかなり民主的で政府が言ってもいうことを聞かない人が多い。インドはスウェーデン並みになってきた。

日本を入れてもアジアはそれほど感染しているようには見えない状況だ。

 

ずれ始めた陽性判明者数と死亡者数

 

■陽性判明者数と死者数は連動しない

 

日本の陽性判明者数は4月初旬に一時ピークに達したのち下行し、6月19日からまた急増している。死亡者数も2週間遅れでそれに連動していたが、6月の局面ではほとんど増えていない。

同じような例はイスラエル。14日遅れで連動しているが、2回目にピークでも陽性判明者数と死者は連動している。なんでイスラエルが増えているのに、日本は増えていないのか。

感染者が急増しているのに死者が減っている現象は米国やルクセンブルグ、スウェーデンに加えて世界全体でも同様なことが起こっている。

5月までは感染者が増えると7日遅れで死亡者も増えていたが、6月に入ると死者が減ってきた。これは昨夜発見した。WHOも言わなければいけないが、あおる方向なので言わないのではないか。

木下教授。九州で最も権威のある病院長が7月6日に「現場が対応が大分分かってきたが、なぜだか最近の患者は重症化しないんだ。既に致死率はインフルエンザ以下になっていて、指定感染症に指定したのがそもそも間違いだ。指定さえしていなければ一般の病院で患者を受け入れられる。指定されているので感染症対応病院しか受け入れられない」と発言していた。

京都大学のウイルス研究者の宮沢先生が「動物系のウイルスは段々と特別変異で弱毒化していって寄生主と共存していく」と恐らく弱くなっていくと言われていた。

この2人の話と藻谷氏のデータを見ると、よく分かる。「早くもこれか」。しかし、全世界では増えている。

病院長はこうも言った。「この病気は(インフルエンザに比べ)伝染力は非常に弱い。移らない」。

ただ感染者は全世界で増えている。全人口の1%以下なので「誰も買っていないところにシェア数%採りました」というのと同じだ。

あんまり有効に対処できてない米国やブラジルなども含んだ数字がこの状態だから死者もいる。非常に鮮やかに医療を行うルクセンブルグなどは死者をゼロにできる。陽性者数と死者とは連動しなくなっている。

日本でこの数字が確認されだしたのは7月に入ってから。あと1週間あったら私はもっと断定的なことを言う。「単に高齢者への感染が遅れているだけで早晩増える」という人がいるが、既に3割くらいは高齢者だし・・・。

明るい兆しが見え始めたのではないか。

重症化するリスクは少ないものの、軽症とはいえ、かなりしんどい病気らしい。高度の発熱に加え、咳も死にそうな具合に出るとなれば辛い。それも部屋から外に出られない。そういう思いをしながら頑張っている日本人居住者も米国にいることを知って、やはり外出は自重するしかないと思った。

 

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