一般品種の倍大きいジャンボ落花生「おおまさり」=「ゆで豆」に最高

 

ゆで上がった落花生の「おおまさり」

 

■国産は千葉が有名

 

落花生の国内産地と言えば、千葉県が有名で、2018年の県別生産量(収穫量)は合計約1万5600トン。うち1位は千葉県の1万3000トン(シェア78%)でダントツ1位だった。2位は茨城県の1530トン(12.3%)、3位神奈川県の281トンだった。昔は「南京豆」とも呼ばれ、海外ではピーナツと呼ばれている。

千葉県では1876年に牧野萬右衛門が栽培を始めたのが落花生栽培の始まりとされている。1890年には輸出も行われていたといわれ、千葉県は戦前から落花生の産地だった。とりわけ八街(やちまた)市が生産の中心地だ。

しかし、残念ながら国内で出回っている落花生の90%は中国を中心とした外国産が圧倒的に多く、国内産は10%程度にとどまっている。日常的にわれわれが口にしているピーナツのほとんどは外国産である。

 

殻をむくと、こんな感じ

 

■「千葉半立」と比べると大違い

 

家人が絵画教室でもらってきたのがジャンボ落花生「おおまさり」。吉祥寺周辺の農家の畑に栽培されていたものだという。「40~50分ゆでると、あとは軽くつかむと割れて中身が出てくる。塩分を少し多くかけて食べると結構おいしいですよ」と言われたという。

ちょうど今年3月に新型コロナウイルスに挑戦して南房総300キロ大ドライブ旅行を敢行した際、「濃溝の滝」(のうみぞのたき、千葉県君津市)で売っていた落花生が手元にあった。缶に入れてあったが、風味はもちろん飛んで食べられなかった。しかし形は残っていた。

それと比較するとよく分かる。そこで買ったのは「千葉半立」(チバハンダチ)種。千葉県産落花生の最高級ブランドだ。食べると一番甘みがある品種で、後をひく味わいと香ばしい香りが何とも言えなかった。

「食べ残ったら必ず缶に入れてください」と店のお兄さんに言われ、その通りにしていたら、1カ月くらいは何とかおいしかった。しかし、その後は忘れてしまっていた。気付いて半年後に開けたら、味わいも香りもなくなっていた。当然だろう。

「おおまさり」は莢(さや)が一般品種の2倍程度と極めて大きい。子実(しじつ)が大粒で柔らかく、甘みがあり、ゆで豆に適しているという。既存のゆで豆用品種「郷の香」(さとのか)の約2倍。しかも収量は「郷の香」の1.3倍以上だ。

千葉県の農林総合研究センターが1700を超える系統の中から14年間にわたる選抜を経て開発し、2010年3月16日種苗登録(pvp)した。09年秋から販売が開始されたという。育成者に25年の権利が認められており、生産も「青果栽培」に限られている。

 

 

ゆで豆

 

■世界では中国産がダントツ1位

 

国内で流通しているのは中国産のピーナッツ。価格が安く手に入りやすいのが最大の特徴で、どうもそれ相応の味になっているといわれる。イメージが悪く、落花生を食べようとしない人が多い。

2018年の世界の落花生生産量国別ランキングによると、中国の生産量は1733万2000トンと2位のインド(669万5000トン)、3位のナイジェリア(288万4000トン)を大きく引き離している。ピーナッツの本場・千葉県八街市で落花生専門店を営んでいる石井進商店のHPによると、落花生の原産地は南米。海外が主流で作っていたものを明治から昭和にかけて日本の各地に持ち込まれ栽培を始めた。最適地が千葉県だったらしい。

「千葉半立」種はコーヒー同様、焙煎(ばいせん)して食べる品種で、2006年(平成18年)の調査によると、全体の64%が千葉半立で、2番目は同じく高級種のナカテユタカ27%などとなっている。ゆで豆品種の「郷の香」は4%のシェアだった。

「おおまさり」は大粒で多収・良味性のあるナカテユタカを母親に、超大粒のJenkins Jumboを掛け合わせたもので、「郷の香」の2倍の大きさで、収量も「郷の香」をしのぐ。

 

■日本には毎日食べる習慣がない

 

日本ではそもそもピーナッツを毎日食べる習慣がない。せいぜい柿ピーや居酒屋のバターピーナッツぐらいだが、低価格の中国産が使われている。

最近ではメディアで「落花生に含まれる健康・美容効果」を紹介する番組も放送されたり、存在感を高めているのも事実だ。海外ではメインはクラッシュして食べたり、塩をまぶしたり、ピーナッツバター(ピーナッツペースト)にしてパンに塗ったり、オイルとして使用したりと日常生活の1品として食卓に並ぶという。

 

 

やはり撮影のプロの手際には勝てない(NHK)

 

まぜ御飯も(NHK)

 

■NHK「あさイチ」でも紹介

 

10月14日のNHK朝の情報番組「あさイチ」の中の「おでかけLIVE」で「おおまさり」が紹介されていた。ちょうど見ていた。今が盛りの旬で千葉県八街市から「生産量日本一!旬の落花生」として中継されていた。

おおまさりは茹で豆として混ぜ御飯にもなっていた。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.