【映画】未知のウイルスに最前線で挑んだDMATの戦い『フロントライン』

フロントライン

 

タイトル:『フロントライン』(最前線)
キャスト:結城英晴(小栗旬)災害派遣医療チーム指揮官
     仙道行義(窪塚洋介)同チーム実働部隊のトップ
     真田春人(池松壮亮)中核病院の救急センター救急医
     立松信貴(松坂桃季)厚生労働省医事課の役人
企画・脚本・プロデュース:増本淳
監督:関根光才/2025年日本
7月8日@ユナイテッドシネマとしまえん

 

ダイヤモンド・プリンセス号(HPから)

 

■豪華客船で新型コロナ感染が発生

 

2020年2月3日に横浜港に入港し、その後日本で初めてとなる新型コロナウイルスの集団感染が発生した豪華客船「ダイアモンド・プリンセス号」。

同船は英P&Oクルーズ社が所有し米プリンセス・クルーズ社によって運航されているクルーズ客船。2004年に三菱重工長崎造船所で建造された。航行区域は日本、アジア。

2019年12月30日、中国武漢市当局が原因不明のウイルス性肺炎が発生したと発表。日本では2020年1月15日に、国内で初の新型コロナウイルス感染症患者を確認した。

ダイアモンド・プリンセス号は2020年1月20日に横浜港を出港。1月25日に香港で下船した乗客がコロナウイルス感染症に罹患していたことが確認された。

同船は2月3日、横浜港に入港。検疫を実施。4日にはpcr陽性を10名確認。6日にDMATが活動開始、8日にはDMAT事務局管理チームが乗船した。

 

ダイアモンド・プリンセス号(パンフレットから)

 

■船内で712人が感染し船外で13人が死亡

 

神奈川県庁に「ダイヤモンド・プリンセス号に係わる新型コロナウイルス対策本部」を設置。11日、外洋での給排水のための離岸ミッション(2回目)。

18日、藤田医科大学岡崎医療センターへ搬送開始(到着は19日午前2時)。19日、隔離期間が終了。

3月1日 乗員・乗客全員の下船が完了。最後に下船したのは船長だった。当時の乗客乗員は56カ国、3711人。

最終的に船内で712人が感染し、13人が死亡した。亡くなったのは下船してからで、船内では1人も死者は出さなかった。

 

DMAT(パンフレットから)

 

■プロデュースしたのは増本淳氏

 

世界をあれだけ騒がせた新型コロナウイルスがこの世から消えて約5年。世の中はあれだけのことが起こったことを忘れてしまったかのようにコロナ以外の新たな事件が主流を占めている。

世界で何十億人もの人が感染し、数百万人が死亡した。あっという間に世界に広がった強い伝播性には驚くばかりで、肝を潰した。

高温・高熱に苦しみ、喉の痛みにひどく辛かったのは思い出すのもしんどい。自分が感染し、辛い思いを味わっている。

ダイアモンド・プリンセス号が苦しむ姿を世界に見せたのは2020年2月3日、横浜港に再入港したときだ。それから全員下船するまでの約1カ月間の出来事が対象だ。

『フロントライン』を企画、脚本、プロデュースを務めたのは増本淳プロデューサー。ドラマ「白い巨塔」や「救命病棟24時」、「Dr.コトー診療所」などで医療現場の最前線にある人間ドラマをエンターテインメントに昇華させてきた。

2019年にはフジテレビを退社し、フリーのプロデューサー、脚本家として活動。2023年には東日本大震災による福島第一原発事故を政府、電力会社、原発所内のそれぞれの視点から描いたNetflixドラマ「The Days」で企画・脚本・プロデューサーを務めた。

 

様々な局面を様々なエピソードとして見せる(パンフレットから)

 

■「事実に基づく物語」

 

本作品も増本氏が船内の複数の関係者を取材したメモを基にまとめたものがベースになっており、「事実に基づく物語」を主張している。

増本淳氏はパンフレットの中で、「映画は娯楽。資料をわざわざ読むのはキツいけれど、娯楽にしてくれるのなら観てもいいかなと思える。そして、観た後に面白かったな、泣けたなという接し方をしてもらえて、結果として情報も伝わってる、そうなっていることが映画やドラマを作る上では非常に大事だし、それがあるから多くの人に伝わるのだと思っています」と語っている。

さらに増本氏は「大事なことってなかなかみんなに伝わっていかないもの。読んだら面白いのかもしれないけれど、なかなかページを捲れない本ってあったりしますよね」と指摘。

また「映像も同じで、観たらすばらしいけれど、例えば10時間ありますとなれば、観るほうは大変でしょう。それが2時間という映画で、小栗さんたちのような求心力のある俳優が演じてくれたら『観てもらえるかも・・・』と、そんなことをエンターテインメントの作り手として計算したりはします」とも述べている。

事実を事実として提示すれば十分ではなく、その上で読者や視聴者の胸の奥にぐいぐい刺さっていく内容に仕上がっているかどうかが重要なのだろう。

ニュース記事は娯楽だとは思わないが、読ませる努力は必要だというのはジャーナリストとしても理解できる。

 

DMAT(パンフレットから)

 

■未知のウイルスに挑むDMATの戦い

 

DMAT。災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team)の略称。1995年、阪神・淡路大震災をきっかけに組織された。

医師、看護師、医療事務職で構成され、大規模災害や事故などの現場におおむね48時間以内に駆けつけ対応にあたる専門的な訓練を受けた医療チーム。

地震や洪水などの災害対応のスペシャリストではあるものの、未知のウイルスに対応できる経験や訓練はされていない医師や看護師たちだった。

 

結城(左上)など中核メンバー(パンフレットから)

 

■各人各様の災害活動

 

DMATの指揮官を務めるのが小栗旬が務める結城英晴。たたき上げの救急医。腕1本でのし上がった自負があり、医師としての腕と判断力に強い自信を持っていて、周囲からもそれを認められている。

神奈川県の医療危機対策統括官も務めていて、クルーズ船内での集団感染の際には、対策本部で全体の指揮を執ることになる。

その際に、東日本大震災で災害対応に当たった旧知の仲の仙道行義(窪塚洋介)に声をかける。仙道は実働部隊のトップ。徹底した現場至上主義。

本来なら実質トップである仙道が全体の指揮を執り、結城が最前線の船内に配置されるべきだが、2人は逆の配置で今回の災害に当たり、仙道は検疫や船長など現場の責任者たちに歯に衣着せぬ物言いで考えを主張し乗客を救っていく。自信家の結城に「天才的な切れ者」と言わせるほどの有能ぶりを発揮する。

池松壮亮が演じるのは地域の中核病院の救急センターに勤務する救急医。正確な診療技術と温厚な性格で、部下、上司共に信頼は厚い。

理解のある妻と娘の3人家族。夫の性格を知っている妻は、心配しつつも反対することなく送り出した。そんな妻の気持ちを理解している真田は、申し訳なく思うとともに、自分が船に乗ることで家族が差別を受けるのではないかと心配し続ける。

厚労省から神奈川県庁に派遣された役人・立松信貴を演じるのは松坂桃李。清濁併せ呑む性格。押しの強さと上から目線の言動で、当初は結城たちと摩擦を起こす。

ただ現実的な妥協点を見つける能力が高く、役人としては極めて有能。広範な法律知識、粘り強い交渉力、時に脅しやウソもいとわない腹黒さも合わせ、打つ手がないような状況でも時々打開策を提案する。

注:映画の内容は基本的にパンフレットの内容に準じています。

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