薬学管理料

 病気を2つも3つも抱えると、病院通いが結構大変である。かつては同じ薬をもらうだけなら、都合のついた時間に受付にちょっと立ち寄って処方箋だけもらったり、代理人でもOKだったが、いつの間にやら医師の診察を受けないと処方してもらえなくなった。病気も1つ程度なら大したことないが、歳をとってくると1つでは済まない。若い頃は病気を1つするだけでも大変だった。それなのに2つも3つも持病を抱えることとなる。生活習慣病の場合、どうしてもそうなる。いつの間にかそうなってしまう。メタボは病気である。

自分では病気に罹っているという意識を深く感じないのに、いつの間にか、病人になってしまうのだ。もちろん、医者や厚生労働省などに、国民を病気にしようなんて意図はゆめないと思うが、結果的にそうである。病院経営のために、病人を創りだす営業をしているのではないかとつい疑いたくなるほどだ。

生活習慣病の場合、病状が急激に悪化しなくても、服薬を止めるわけにはなかなかいかない。血圧降下剤の場合も一生飲み続けなければならない。一生、医者に通い続けなければならない。それ1つならともかく、2つも3つもとなると-大体そういうことになるのが通例パターン-結構大変である。

2カ月や3カ月に一度でも、それがローテーションでやってくるから、結構忙しい。すぐにその日がやってくるのだ。不摂生による身から出たさびとは思っても、いまさら嘆いてももう戻らない。せっせと通うしかない。あきらめて薬を飲み続けるしかない。

薬代もばかにならない。2つも3つもとなると、悲鳴を上げたくもなる。保険診療でも3割負担である。本人負担がゼロだった時代が懐かしい。そこで、前々から気になっていた薬局の領収書をつらつら眺めてみた。いつも深く考えないで支払っていたが、どうも解せない。

「薬剤料」と「調剤技術料」はそれでも納得できるが、分からないのは「薬学管理料」。そもそも何を管理している(管理されている)のか。調べてみると、実にいろいろ管理されていた。こちらから頼んでもいないのに管理されている項目もあった。

問題なのは「服薬指導情報提供加算」。薬剤の適正使用に必要な情報文書を添付した場合に加算される。調剤報酬点数は15点。そう言えば、薬の名称や効果・効能、用い方、備考などを記した1枚の紙をもらっている。どうも、それは薬局のサービスではなく、有料だったのである。

それでも、その薬を最初に処方された場合はまだしも、毎度、同じ薬を飲み続けている場合でも、加算されている。内容が同じだから、もらっても読まないのに、そうである。これでは”ぼったくり”と変わらない。しかも、「薬学管理料」の内訳は領収書に書かれていない。薬局から、領収書の内容について説明を受けた覚えもない。

日本の医療保険制度は今でこそ制度疲労を起こしてはいるものの、世界に冠たる優れた制度ではあった。しかし、それに胡坐をかいていたうちに、国民は保険音痴になってしまった。本人負担がゼロだったから負担感覚が麻痺してしまった。保険財政の負担が個人の懐に直接響かないからである。

税金の源泉徴収と同じである。納税感覚が身に付かない。税金を払っているという感覚が薄い。徴税側からすれば、これほど有り難いものはない。納税者意識が育たなくて当然である。一種の愚民政策だが、日本の医療保険制度も、別の見方をすれば、愚民政策である。

油断もすきもない世の中である。騙されるほうが馬鹿なのだが、手口も巧妙化している。しかし、政府が国民を騙してどうなることか。薬局で服薬情報の提供を断ったら、40円返金された。3割負担だから、残り7割の93円は国が支払うことになる。国全体では恐らく、天文学的金額になるのではないか。これ1つとっても大変なことである。

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