【街歩き】初めて足を踏み入れた「大宮氷川神社」に隣接した「大宮公園」で大学時代の仲間と旧交を温めた春の日=たまたま盆栽の聖地「大宮盆栽美術館」も訪問できハッピーな1日だった

大宮氷川神社の「二の鳥居」は新緑と朱色の鳥居の組み合わせが美しい

こんな風景を見ると参道というより遊歩道といった趣だ

「神社の参道」はむしろ遊歩道の趣きがあった

 

■初めての「大宮氷川神社」

 

氷川神社という名前の神社は全国至るところにあるが、埼玉県さいたま市にある「武蔵一宮氷川神社」(通称大宮氷川神社)こそ、氷川神社の総本社だ。4月17日(水)午前11時前、同神社を訪れた。

休日の便利でお得な遊び予約サイト「アソビュー!」によると、大宮氷川神社は「日本で一番長い参道を持ち、敷地面積は約3万坪と広大。古くからパワースポットとして地元民から深く信仰されており、国家安泰と皇室の繁栄を祈ってきた伝統的なお宮だ」という。

大学時代の友人たちとここ10年ほど春と秋に山に登っている。最近こそ低山志向が甚だしいが、仲間の1人は3000m級の山を何度も走破した強者だ。

そんな中に、元同じクラスの女子学生が久しぶりに参加した。彼女も山ガールで、仕事の合間全国津々浦々の高山に登ってきたという。

昔の仲間5人が久しぶりに加わってどういうわけか大宮氷川神社辺りを散歩する計画がまとまった。

午前10時半に大宮駅に集合(女友だちと地元民1人、それに私の3人)し、のんびり参道を歩いて神社に向かった。あとの2人とは公園で出会う予定だ。

この日は雨天予報が見事に外れ、空はよく晴れ渡った。緑の風が肌に心地よい。暑くもなく寒くもない絶好の日和だった。桜もまだ残っていた。

私以外の4人は全員埼玉県民。うち3人は大宮市民である。彼らにとって大宮氷川神社は身近な存在だが、私にとって話には聞いていたが、訪れるのは初めてだった。

 

楼門をくぐって見える奉納舞踊などが行われる「舞殿」がある

これが参拝する拝殿だ

 

■広大な境内

 

とにかく境内は広大だ。本殿以外にもたくさんの神社があることでも有名だ。お稲荷さんを祀る稲荷神社やパワースポットの1つでもある神池に囲まれた宗像神社、酒造りの神を祀る松尾神社などがある。

境内にはいくつかの池があるが、その中でもパワースポットとして特に人気なのが神池と本殿近くにある蛇の池。

 

蛇の池

 

■現在も水が湧き出る蛇の池

 

古来、蛇は水神の化身とされ、大宮氷川神社の主祭神の1人、須佐之男命(すさのおのみこと)は大蛇を退治した伝承により、水を治める神とされている。

もう2人は稲田姫命(いなだひめのみこと)と大己貴命(おおなむちのみこと)。約2400年前に創建され、約1200年前に武蔵国一の宮に定められたと伝わっている。

蛇の池は境内の神池やその先に広がる見沼の水源の1つで、現在でも地中深くより水が湧き出ている。

この神秘的な湧水があったために、この地に大宮氷川神社が鎮座したとも伝えられ、氷川神社発祥の地と言われているという。

 

レトロな乗り物アトラクションで遊べる児童遊園地もあった

 

■市民の憩いの場「大宮公園」

 

氷川神社のすぐ隣に広がるのが憩いの県営「大宮公園」。仲間の1人はどうやら大宮氷川神社の氏子らしい。

その彼から「大宮を好きになってほしい」と渡された資料の1つがタウン誌Acoreおおみや特集「大宮公園ものがたり」(2024年4月20日発行)。それによると、「森鴎外、正岡子規、夏目漱石といった文豪たちが大宮公園を訪ねて、作品に書き残したことはよく知られている」という。

「明治・大正・昭和を通して多くの文士が逗留し、女学生の遠足地としても賑わうようになった。今は『東京の奥座敷』と呼ばれた姿を見ることはできないが、青天のまばゆい光を受け松林を歩くと、かつての武蔵野の面影を彷彿させる」と書かれている。

 

ビールを片手に集まった元山登りの猛者達

 

■5年ぶりの再会か

 

この日は実に気持ちの良い風が吹き、街歩きにはまたとない日和だった。仲間のうちには腎臓病を病んだ人もいたり、膝の病気を抱えている仲間もいて、それぞれの病気自慢に花が咲いた。

まだ笑っておれるうちはいい。これが実際にバタバタと倒れ始めるともう手遅れだ。後期高齢者になったのはいいが、他人の介護を必要とせずいつまで動けるのか。

今から80歳ぐらいまでは何とかいけるにしても、それ以降は神のみぞ知る。自分の大いなる努力と決定的な運が先行きを決めるのかもしれない。

その後は東武線大宮公園駅から大宮駅に戻り、市内の焼肉屋でランチタイム。それにしてもみんなの旺盛な食欲には敬服した。やはりまだ大丈夫か。

それよりも5人のうち2人が血圧降下剤を飲んでいたものの、他は一切服用なし。薬と縁のない生活を続けている。75年間無縁なのだ。そんなことがあり得るのか。

それに比べ自分は毎朝、血圧降下薬、不整脈・狭心症・心筋梗塞改善薬、血栓予防薬、潰瘍性大腸炎抑制剤(2種類)、コレステロール低下剤、貧血改善薬、ビタミン剤など合計8種類も飲んでいる。

血圧降下剤はもう30年ほども飲んでいる。大腸炎を患ってからも10年は1日3回欠かせない。

薬を食べているのと同じだ。コロナになった時はノドが痛く、薬を飲むのが辛かった。薬さえ飲めない何て地獄ではないか。それにしても仲間となぜこんなに差が出ているのか。悔しくてならない。

 

大宮盆栽村創設に尽力した清大園園主・清水利太郎を称える石碑

 

■最盛期には盆栽村には35園も

 

仲間5人との歓談の中で知ったのが「さいたま市北区盆栽町」の存在。日本屈指の盆栽郷がすぐ近くにあり、さらには市立の「大宮盆栽美術館」(北区土呂町)もあるという。

会合が早く終わったらこれは行かなくちゃと思っていた。会合が午後3時前に終わったので大宮駅から東武アーバンパークライン(要は昔の東武野田線)で大宮公園駅に戻って、そこから歩いて10分程度。

メルマガ「咲いたま、みっけ!」によると、「江戸時代後期、団子坂(東京都文京区千駄木)周辺には植木職人が多く住み、明治に入ってからは盆栽を専門とする職人が増えていった。しかし大正時代になると東京は宅地化や工業化が進み、土地や良質な土・水・空気が不足するようになった」という。

「そんな中、大正12年(1923年)の関東大震災が大きなきっかけとなり、郊外に新天地を求めた盆栽業者たちが大宮に集団移転の計画を立てます。交通の便がよく、人気の観光地である大宮公園に近く、良質な土や水が豊富、空気がよいなどの条件がそろっていたからとされる」

そこで大正14年(1925年)誕生したのが大宮盆栽村。最盛期には35軒の盆栽園があったと記録されている。

 

藤樹園

 

■盆栽界で活躍する盆栽園5軒

 

同メルマガによると、戦時中、盆栽はぜいたく品とみなされるようになり、廃業や転業も増えた。しかし、戦後間もない昭和21年(1946年)、大宮盆栽村では盆栽陳列会を再開。盆栽界の復興に向けて動き出した。

戦後の混乱期、まず盆栽に注目したのがGHQの将校たちで、その後国内外の政治家や著名人が盆栽村に訪れるようになる。

昭和20~30年代には吉田茂、岸信介、佐藤栄作など歴代の首相が来村。吉田茂は「社団法人日本盆栽協会」の初代会長。岸信介は2代目会長を務めた。

次の契機は東京オリンピック(昭和39年)の会期中に開催された東京オリンピック協賛盆栽水石展、大阪万博(昭和45年)の「日本万国博覧会盆栽水石展」を中心に「BONSAI」は国内外に大きく広まった。

現在、大宮盆栽村には藤樹園、蔓青園、清香園、芙蓉園、九霞園の5軒がある。の盆栽園がある。東大成町には1軒の盆栽園がある。

 

2階から眺めた大宮盆栽美術館の屋外風景

 

■世界初の公立盆栽美術館

 

大宮盆栽美術館は、伝統に培われた盆栽文化の調査、研究を行うとともに、盆栽文化を広く世界に発信し、多くの方に親しんでもらうことを目指して、2010年3月に開館した世界で初めての公立の盆栽美術館。

日本を代表する名品盆栽120点をはじめ、盆器、水石、絵画資料、歴史・民俗資料などを系統的に収集し、公開している。

 

山もみじ「高雅」(推定樹齢150年)

藤(推定樹齢50年)

花梨

 

■大きな自然を小さな鉢の中に再現する盆栽

 

和樂Webによると、「盆栽の要件は、樹木を鉢に植えて自然の景色を表現するために美しく仕立てること。ただ鉢に移すだけだと「鉢植え」だが、そこから手を入れて、形を入れて、形を整え、大きな自然を小さな鉢の中に再現していく作品が『盆栽』」だとか。

盆栽に使う樹木の種類にもルールはないらしい。大きな分類では、常緑の針葉樹である松や真柏などで作られたものを「松柏盆栽」、一方で花を咲かせたり紅葉する樹で作られたものを「雑木盆栽」と呼んでいる。

海外では「BONSAI」として親しまれており、その土地・その気候にあった植物で楽しまれているという。ヨーロッパにはラフランスやオリーブ、アフリカにはバオバブの盆栽もあるという。

例えば寿司でもカリフォルニアロールなどご当地に合ったネタを巻いたものもあるようで、かなり自由な発想に基づいているようだ。

盆栽で一番重要な作業が水やり。薄い鉢のため土の量が限られているため、毎日水やりしないとすぐに乾いて弱ってしまうのだ。

適切な水やりの量が分かるまで長い修行が必要なため、盆栽師の世界には「水やり3年」という言葉もあるという。

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