【河津桜】2月に花見需要を生み出した「河津桜」は果報者だが、あまりに名所が増えすぎて有り難みも薄れることになるのを心配する花見客

河津桜

 

■都心からは三浦半島が便利

 

新春も2月になってすごく暖かな日差しを浴びたりすると、どうしても桜を思い浮かべてしまう。桜と言えば3月下旬に見頃を迎える「ソメイヨシノ」が定番だが、ソメイヨシノより早く咲くことで人気のある早咲きの「河津桜」も有名である。

この河津桜は伊豆半島の静岡県賀茂郡河津町が発祥の地でそれなりの希少価値だったが、今や至るところに植えられており、河津町の「河津川沿桜並木」以外にも河津桜同士の競争が激化しているのだ。

 

京急線が河津桜の中を走る

小松ヶ池公園

 

■三浦海岸桜まつりは第20回

 

今年訪れたのが神奈川県にある京急線三浦海岸駅から小松ヶ池公園までの片道約1km。線路沿いに約1000本の河津桜と菜の花を楽しめる。河津桜の淡紅色と黄色い菜の花の取り合わせはとてもよく似合っている。

小松ヶ池公園内の河津桜は、三浦海岸まちなみ事業協議会により「桜の咲く里づくり」を目指して植樹された。

「三浦海岸桜まつり」も第20回を迎えており、開花のピークとなった17日(土)は混雑のピークでもあった。あいにく曇り空の天候だったが、三浦海岸駅は出店もたくさん出店し大賑わい。

「花より団子」である。地元の食文化を堪能できる多数の露店や屋台が駅前に集合。三浦市独自の特産品が販売され、地元の味を楽しむことができた。

三浦海岸駅から小松ヶ池公園までの桜並木は毎晩、色とりどりのライトで美しく照らし出されるとか。このライトアップは、桜の深いピンク色を一層引き立て、夜の散策をロマンチックな体験に変えるのだとか。

いくら桜が咲いたと言ってもまだ2月である。外気はまだまだ低い。それも晴れていればともかく曇り空である。外的環境が整わない。ガタガタ震えるほどではなににしても、はっきり言って寒い。

 

大根抜き体験

 

小松ヶ池周辺の田畑では農家が大根抜き体験を行っていた。太っていて葉っぱ付きが良い大根をごそっと引き抜いた。

本当ならかつては三浦半島の主力品種だった白首の大根で長くて中央が太い「三浦大根」が出てくるはずだが、1980年頃を境に作付けが激減し、青首大根に主力の座を譲っている。

私が引き抜いた青首大根もそうだった。「葉っぱは油との相性がよく、ジャコとも合います」との言葉を信じて炒めてみたら見た目以上においしかった。高菜みたいにおにぎりに入れてもいいような美味でびっくりした。

 

キャベツも多く植えられている

 

小松ヶ池から京急の終点・三崎口駅までそこそこアップダウンのある道を30分ほど歩いた。駅そばの小さな坂が結構心臓に重く響き何度も止まって息を整えざるを得なかったは辛かった。

せっかくここまできて海を見ないで帰るのもシャクなので、そこから歩いて30分ほどの三戸浜海岸(みとはまかいがん、三戸海岸とも言う)まで行った。バスもないが、歩けない距離ではない。

大根とキャベツ畑が多い。富士山の噴火によって降りそそいだ火山灰が土に多く含まれている(黒ボク土という土壌)ため、水はけが良く大根が育ちやすい環境にある。

三浦大根は古くから栽培されている伝統ある大根だが、青首大根に主力は切り変わったとしても大根生産量は今も日本一である。

 

1人黙々と練習を続けるサーファーを見掛けた三戸海岸

 

アクセスが良くないこともあって、年間を通して静かな海岸だ。民宿が10件近くあり、静かな海辺で宴会をするのも趣向かもしれない。

曇っていたが、晴れていれば、富士山が真ん前にくっきりと見え、抜群の眺望を提供してくれるとか。一所懸命目の前に富士山が浮かぶ姿をイメージしようとしたが、想像力の乏しい自分では無理だった。

 

同上

三崎口駅から乗車すると河津桜並木を通過する

三浦海岸の河津桜

 

■本家本元は伊豆半島

 

今や至る所で目にするようになった河津桜だが、沖縄と並んで全国一の早咲き桜。2月にもなると開花し始め、それから約1カ月間は咲き続ける。開花期間が長い。

フラワーパークかごしま」によると、寒緋桜と早咲き大島桜の自然交配種で、つぼみや咲き始めは非常に濃いピンク色をしており、満開時はピンク色、それからだんだん色あせて散っていく。

花形は平開形で一重のやや下向き、花弁は5枚の円形で無毛だという。河津桜の名前の由来はもともと河津川の土手で1955年(昭和30年)に最初の原木が見つかり、また河津地方独特の桜であったことから土地の名前を取って1974年(昭和49年)に河津桜と命名されたらしい。

 

圧倒的な桜並木(THE GATEから)

 

■原木も残る河津町

 

さすが河津町である。本場である。河津町には約8000本の河津桜が植えられており、町を流れる河津川沿い約4㎞には800本が立ち並ぶという。私はまだ河津町には行っていない。行こうとしたこともあるが、静岡県である。東京からだと遠いのだ。

どうせ行くならのんびりしたいと思うので、神奈川県などの近場で間に合わせている。本場に行かずに申し訳ないなと思うが、仕方がない。

河津桜まつりも今年で第34回目である。

 

河津桜の原木(THE GATEから)

かじやの桜(THE GATEから)

 

河津町には町の至るところで河津桜が咲いている。訪日外国人向けの旅行メディア「THE GATE」によると、河津桜を最初に見つけた飯田勝美氏が住んでいた宅地に原木が今も大切に残されている。樹齢は約60年とされている。

河津町にある一本桜の中でも最も迫力があるといわれるのが「かじやの桜」。あまりの大きさに道路にはみ出してしまうほど。高さはそれほどないが、花の密集度が非常に高く濃密なピンク色を写真から連想させる。

 

神奈川県松田町

 

■神奈川県内の松田町でも

 

5年前の2019年2月24日に訪れたのが神奈川県足柄上郡松田町の河津桜。こちらは山裾の西平畑公園で開催されていた。

こんもりした山裾を開拓した公園を会場にしたもので、菜の花とともに春の姿を体現している。下を流れる酒匂川や下を走る東名高速、さらには近くにそびえる富士山の雄姿との一体感も味わえる景色は絵になる。

 

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