目に鮮やかな「百日紅」、なかなか気づかない「金柑」の花、日本で開発しながら輸出を想定していなかった「シャインマスカット」
■有に100日は咲く百日紅
このサルスベリ(百日紅)は初孫の誕生を記念して区役所から贈られたもの。その孫ももう小6なので12年前だ。いずれにしてもこの花は開花期が長い。初夏から秋まで咲き続ける。有に100日は咲いている。
サルスベリは木登りが上手なサルが登っても滑り落ちるほど、木肌がツルツルとしていることに由来しているといわれるが、実際にそうなのかどうかは分からない。
サルスベリは、その年の春から初夏にかけて伸びた枝の先に花を付ける性質を持っており、せん定は少なくても3月頃までに終えておく必要がありそうだ。早春から初夏にかけてせん定すると花を楽しめないからだ。
■金柑の原産地は中国南部
ゆっくり金柑の花が咲くのを見たのは初めてだ。これまでは家の中から咲いているなと思っただけで、じっくり外でそばに寄って眺めたことなど一度もない。ましてや写真に写そうなどとは思ってもみなかった。
それが今年は花が咲いているのをしっかり写真まで撮った。甘酸っぱい香りを放ち、黄色い実をたくさんつける金柑だが、あまりにも果物が多すぎて珍しくもなくなっている。しかし花を咲かせるのはそんなに多くはない。花が小さくよく目をこらさないと見逃すのだ。
日本の風景としてなじんでいるせいもあって原産地は日本と思っていたが、実は金柑の原産地は中国南部だといわれている。別名を「メタチバナ」といい、花言葉は「思い出」だ。
カインズ植物図鑑によると、金柑は基本的に病気にも寒さにも強く、果実はビタミンが豊富で、風邪予防の薬としても有名だ。実がたくさんなって、非常に育てやすく、初心者にもお勧めの果物らしい。
写真は2番目の孫の誕生祝いにもらった。その孫もいつの間にか小3になった。孫の育ちは早く、逆に老人の退化も早い。毎年正月前後に黄色く色づく金柑は来年も口に入れることができるのだろうか。
■日本産シャインマスカット、韓国や中国へ流出
見事にシャインマスカットがぶら下がっている。日本の農水省が所管する農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が30年以上かけて開発した広島生まれのブドウの栽培品種。2003年9月5日に「ぶどう農林21号」として命名登録した。
ウィキペデイアによると、シャインマスカットを開発した農研機構は、2006年に日本に品種登録を実施している。しかし輸出を想定していなかったため、国外での品種登録を行わなかった。
植物の新品種の保護に関する国際条約においては、自国外での果物の品種登録は自国内での登録から一定期間(ブドウは6年)以内に行うことが定められており、シャインマスカットは2012年に申請期限を過ぎている。このため国外では合法に栽培できる。
中国や韓国産のものが香港、タイ、マレーシア、ベトナムなどの市場で販売されており、日本産より価格も安く、韓国の金泉市で栽培されたものは、日本の3分の1ほどの価格で輸出されているという。
韓国の農林畜産食品部(日本の農水省に相当)は5月27日、昨年の同国のブドウ輸出額が3100万ドル(約34億1000万円)で過去最高を記録したと発表した。輸出額の88.7%がシャインマスカットだという。2016年には500万ドルだったブドウ輸出を約6倍に増やすことができたのはシャインマスカットの人気によるところが大きい。
韓国から種子は中国にも流出しており、日本産の輸出機会の損失額は数千億円に上るとも言われている。日本の損失は大きい。
また、シャインマスカットが開発された当時の日本の種苗法に穴があったことも流出を許した一因と言われている。種子が韓国に持ち込まれたのは06年のこと。当時の種苗法は、苗木や種子を国外に持ち出すことを禁じていなかった。
日本は今年4月になって、改正種苗法を施行し、品種の開発者が輸出する国や国内の栽培地域を指定でき、同法はそれ以外の国に持ち出すことなどを禁止している。違反した場合、個人や法人には罰金が科せられるが、時既に遅しだ。
何も山梨県まで行かなくてもぶどう園は都内にもある。練馬区内でも春日町や谷原周辺にも少なからずあり、ぶどう狩りも楽しめる。自宅から散歩コースの鹿島ぶどう園もその中の1つだ。
毎年日にちが違うが、今年は8月18日から開園した。散歩に出たのは19日で、その日にのぞいた。ぶどうだけではなく、ひょうたんがぶら下がっていた。鳥獣のカラス対策か。