【ウクライナ】ロシア軍が首都キエフに迫る中18~60歳の男性市民の出国を禁止する「総動員令」発動
■ロシア軍、首都キエフへ進軍
ロシア軍がウクライナの首都・キエフへの進軍を進めている。特に北部のベラルーシから侵略したロシア軍はキエフから約40キロのチェルノブイリ原子力発電所を制圧したと報じられている。
旧ソ連時代に事故を起こしたチェルノブイリ原発は稼働を停止中だが、ロシア軍は同原発を制圧することで原発稼働によるリスクをロシア側で管理することを可能にしたほか、ウクライナが同原発で核兵器の製造に乗り出していると攻撃しており、その情報工作に使用する目的もあるとみられる。
ウクライナ軍はキエフ周辺の3つの橋を爆破し、ロシア軍の進撃を阻止しようとしている。時事電によると、ウクライナ兵の1人は南部で自爆する形で橋を爆破したとされ、ウクライナ軍がこれを美談として発表している。
■18~60歳は出国禁止措置
ゼレンスキー政権は25日、総動員令を発動した。18歳から60歳の男性を出国禁止とし予備軍の動員を加速する措置だ。ウクライナ国防省はフェイスブックで「火炎瓶を作れ」などと市民に抵抗を呼び掛けている。
ただ危険が迫る中で首都脱出を図る市民も多く、奏功するかどうか不透明だ。
■「政権内に戦争を止める人は誰もいないのは恥だ」とノーベル平和賞受賞者
ロシア国内ではメディアを含めほとんどのメディアがプーチン大統領を支持しているが、反戦デモも相次いでいる。日経によると、ロシア当局が鎮静化に乗り出し、人権団体のOVD-インフォによると、現地時間25日昼までにデモの参加した少なくとも1824人が拘束された。
日経は「プーチン大統領はテレビ演説などで侵攻の正当性を強調しているが、国民の間でも賛否は割れているようだ」と報じている。
そうした中で2021年のノーベル平和賞受賞者で、ロシアの独立系紙「ノーバヤ・ガゼータ」編集長のドミトリー・ムラトフ氏は24日、プーチン大統領の命令によるウクライナ侵攻について「(政権内に)戦争を止める人は誰もいない。だからこそ、われわれは悲しみと共に恥を感じている」と心境を語った。時事電が伝えた。
ムラトフ氏は同紙サイト上の声明で、「最高司令官(プーチン氏)は手の中で高級車のキーホールダーのように核のボタンを回している」と痛烈に批判。核戦争の恐れがあると警告した。
「ロシア人の反戦運動だけが、この惑星上の命を守ることができる」と述べ、ロシア市民にウクライナ侵攻に反対するよう呼び掛けた。