【北関東ドライブ】群馬県の山奥にぽつんと立つ一軒家「ロックハート城」とは何ぞや=圧巻なのはやはり俳優・津川雅彦氏が世界中から集めた「世界のサンタミュージアム」
■まずは「パトリシア」で軽く食事
軽井沢からの帰り、気になっていたロックハート城(群馬県吾妻郡高山村)に立ち寄った。俳優の故津川雅彦氏(1940~2018年)が買って群馬県の石材会社サンポウ(平井秀明会長)が工事を完成させた。
スコットランドのお城を日本に移築・復元したのは初めてで、物珍しさが受けてそれなりの人気を博している。「石のテーマパーク」とも呼ばれ、群馬県の山奥にポツンと一軒家のように立っている。
立ち寄ったのはかなり遅い時間で15時。オープンテラスもありワンちゃんも一緒にくつろげるカフェテリア「パトリシア」でお腹を入れてから見学に向かった。
■ハーブティーにレモンを入れるとピンク色に変色
家内は英国料理の定番である自家製スコーンを注文したが、面白いことに紅茶にレモンを入れると、紅茶の色がピンク色に染まるのだ。
頼んだのは「バタフライピー」(Butterfly Pea)というハーブティー。一般的にブルーティーとして知られる。日本名では「チョウマメ」(蝶豆)とも呼ばれている。
ハーブの一種であるバタフライピーはハーブのほかにもスイーツやラテなどにも取り入れられていて、タイのカフェメニューとしても知られている。
バタフライピーはきれいな青色の花を咲かせるが、その中には抗酸化物質を持つアントシアニン(ポリフェノールの一種)が含まれており、そこにレモンを入れると、一瞬にしてピンク色に変化する。
アントシアニンは血栓症や動脈硬化などの予防につながるほか、眼精疲労を和らげる働きもあるという。ブルベリーやブドウ、黒豆、バターフライピーもアントシアニンが含まれているようだ。
なお、お城の正面に位置する位置には半円形の野外レストラン「カントリーレストラン」があってお城を見ながら食事をすることができるようだが、この日はクローズしていた。時間が遅かったのか、平日ということもあったのかもしれない。
■一時は宙に浮いた建設計画
ウィキペディアによると、ロックハート城は英国のウィリアム・ロックハート伯爵が1829年にスコットランド・エディンバラの南西約50キロのカールークに建設した地上3階、地下1階のカントリーハウス。
1987年に俳優の津川雅彦氏が北海道広尾郡広尾町に計画していたレジャーランド「夢の王国サンタ愛ランド」の中核施設とすべく、私費で購入した。
1988年4月から7カ月間をかけて建物を解体し、重量約600トン、個数にして約4000個の石となったロックハート城は30個の海上コンテナに詰め込まれた。このうち130.5トンの石が入った8個のコンテナはシベリア鉄道を経由して日本に運び込まれた。
しかし、コンテナは町営牧場に運び込まれたものの、資金計画をめぐって津川側と町側が対立し、宙に浮いてしまった。
そこに助け船を出したのが群馬県沼田市で総合石材業を営む株式会社サンポウ。同社は1992年、群馬県高山村に建設していたテーマパーク「大理石村」内に復元する工事を実施。約20億円弱の費用と延べ1万5000人の人員を投じ1993年4月6日に完了した。
津川雅彦氏はロックハート城の名誉城主に就任。サンポウの創業者の平井良明氏(現会長)が城のオーナーとなっている。10万㎡の敷地内には石造りの教会やギャラリーショップ、レストランが中世の町並みを再現。
石のテーマパークを運営するサンポウは石材事業(墓石や石畳、公園)や住宅事業(住宅建築)を営むとともに、観光事業(ロックハート城の運営)やブライダル事業(5会場)、ホテル事業も持っている。
■圧巻のサンタミュージアム
ロックハート城の各部屋は城の歴史など様々なミュージアムが展開されているが、圧巻は2階の何と言っても津川雅彦サンタミュージアム。
トラベルボイスによると、同氏は生涯の大半と莫大な費用をかけて世界中からサンタクロースを収集。世界中のこどもたちの幸せのために、父と子の愛の架け橋となるサンタに思いを込めたという。
津川氏はサンタクロースコレクション100体のほか、サンタクロースに関連する人形・置物。陶磁器など1000体以上をロックハート城に寄贈した。
中でも一番のお気に入りが等身の身長170cmのシェイクハンドサンタクロース。マントから差し出された手は、まるで本物のような感触だという。
数多くのサンタクロースの中でも津川氏が細部までこだわり、特注させた一番のお気に入りのサンタだという。1つ1つ調べれば面白い、ユニークなサンタに出会えるだろう。
■サンタの起源は3世紀の聖ニコラウス
サンタクロースは、「赤い服を着て白いヒゲをはやした老人。トナカイのひく空飛ぶソリに乗ってクリスマスイブにプレゼントを届けるといわれるが、実は実在の人物」だといわれる。
その紀元は3世紀後半にギリシャで生まれた聖ニコラウスだといわれている。キリスト教が迫害されていた時代に教会の教えを頑なに守った聖人として名声を得た人物だという。
「こどもまなびラボ」によると、現在サンタクロースはフィンランドに住んでいると知られている。しかし「トナカイが引くソリに乗って空を飛んでくる」とか「家の煙突から入ってくる」という話はファンタジーにすぎないかもしれない。
津川雅彦氏は「サンタクロースは父親のシンボルだ」と指摘している。また「おもちゃは遊びのシンボル」だという。津川氏は「お父さんは子どもと遊ぶことで愛を伝えてください」とのメッセージがサンタ物語を通じて世界に発信されているのだという。
2018年春には開城25周年記念としてヨーロッパの迷宮庭園をイメージした「ウイリアムズガーデン」がオープンした。2023年の今年は開城30周年記念のペンダントが飾られていた。
ロックハート城は恋人の聖地だが、すぐ側に護符・お守りの赤い石を頭上に頂くマリア様ロッサ・マリア像がある。周辺は運命学研究家・宮沢みち氏監修のパワースポット「風と光の丘」となっている。
人気の場所には新たな人気を生むためにどうしても新規の人気対象が必要になってくるものだ。ロックハート城も次から次へと次へと来場者の関心を呼ぶ物が増えている。自然な現象なのだろう。