「作家・吉村昭の交遊録」

 代表作『戦艦武蔵』(1966)を書いた歴史小説作家・吉村昭(よしむらあきら、1927-2006)が生まれ、空襲で家が焼失するまでの18年間を過ごした東京都荒川区の主催する企画展「作家・吉村昭の交遊録」が区立荒川ふるさと文化館で開催されていたので、学芸員の展示解説ギャラリートークに併せてのぞいた。

 吉村昭のどこに関心があるのかというと、とにかく、執筆のための入念かつ徹底した調査力。何が彼を執拗な調査に駆り立てるのか。ノンフィクションライター最相葉月氏のコラムでそれを知ってから、モノを書く人間としてずっと気になっていた。

 徹底的に調べ、生き証人の証言を得て、真相に迫っていくノンフィクション。小説の形態を取りながら、徹底的に事実に拘っていくアプローチはジャーナリストの手法と一致する。それに加え、「吉村さんは本当に書くことが好きだったんですよ」(学芸員氏)。好きでなければ書き続けられない。好きでなければ、その仕事を続けられない。これはどの世界でも同じである。

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