『どこでもオフィス仕事術』

書名:「どこでもオフィス」仕事術
著者:中谷健一
出版社:ダイヤモンド社(2010年6月3日第1刷発行)

 副題は効率・集中・アイデアを生む「ノマドワーキング」実践法。ノマドワーキングとは遊牧民(ノマド)のように移動しながら働く場所を自由に選択するワークスタイル。要は、仕事の内容に合わせてオフィス(働く場所)を自由に選びながら、より効率的・効果的に働くにはどうしたらよいかの技術をまとめた本だ。

 会社に通勤し、自分のデスクで仕事をし、終われば帰宅する。こんな働き方を当たり前のように毎日繰り返している人がまだまだ大半だが、在宅勤務など新しい働き方も出てきており、働く場所は必ずしも会社でなくなっている。

 現役時代の私の仕事は原稿書き。記者会見やインタビューで取材し、それをメモに取り、記者クラブや会社に戻って、メモを基に記事に仕立てる。ワープロや文書作成用端末が出てきてからはなるべく現場で記事をまとめ送稿した。クラブや社に戻ることにはデスクのチェックが済んでおり、配信時間が大幅に速まった。

 最近は会見を聞きながら、メモをノートではなくパソコンでそのまま打ち込んでいくスタイルがかなり定着してきたようだ。とにかく処理が格段に速くなった。時代の要請である。

 考えてみれば、これまでも自宅で原稿を書いたり、図書館で書いたり、喫茶店で書いたり、電車の中で書いたりしてきた。原稿用紙と資料やメモさえあれば、どこでも書けた。集中できた。商売上の要請でもあった。ずっとドマドワーキングを続けてきたようなものだ。

 今やモバイルPCを自在に使える時代である。広域無線LANも普及し、都市部なら、簡単にインターネットに接続できる。仕事をするために会社に行かなくても、どこでもできる。会社のほうが集中できるケースもあるが、会社でないほうが仕事がはかどることも多いのは経験から誰でも知っているはずだ。

 ただ、効率的な「どこでもオフィス」を実現するためにはそれなりの準備が必要である。著者は以下のポイントを指摘する。

①「基本ツール」を揃える

ノートPC、スマートフォン、ノートの3大ツールとクラウドを活用

②「オフィス環境」を整える

仕事の内容とサードプレイス(第3の仕事スポット)の効果的なマッチング

③「デジタル管理」を行う

いつでも、どこでも必要な資料を閲覧できるようにする情報管理

 実は個人的には既にノマドワークスタイルを実践しているのだが、どこでも仕事ができるのは嬉しいものの、どこでも仕事をし続けなければならない「生涯現役」は言葉ほど楽ではない。横文字言葉が氾濫する本書を読みながら、ついハードワークな「企業戦士」を思い出していた。

 著者はリクルートなどで情報誌の創刊やWEB事業の企画立案に携わったあと起業し、現在はマーケティングのコンサルティング会社を経営している。

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