夏も終わりに

 もう終わらないのかと思った今夏の猛暑もようやく峠を越えたようだ。8日に静岡市の77.5ミリや東京都心67ミリなど各地で猛烈な雨を降らせた台風9号(同日午後3時に熱帯低気圧に)のおかげだ。むのすごい雨で東京都心でも浸水騒ぎが起きた半面、猛暑は収まった。

 何が嬉しいと言っても、クーラーをかけずに眠れること。夜の安眠がこんなに嬉しかったことはない。気象庁によると、都心の大手町では8日午後に最低気温が25度を下回った。このため、29日連続と1923年の観測以来の連続記録を更新してきた都心の熱帯夜は、1日前の7日で途切れた。

 8日に全国の最高気温を記録したのは三重県尾鷲市の34.6度。35度以上の猛暑日を記録した地点はゼロだった。7月15日以来約50日ぶりに猛暑日でなかった。34度と35度ではあまり代わらないようにも思うが、言葉は魔力を持つ。「猛暑日」と聞いただけで、体から汗が流れてくる。

 気象庁によれば、8月の日本周辺海域の平均海面水温は、平年を1.2度上回り、人工衛星の観測データが利用できるようになった1985年以降で最も高かった。①太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多かった②日射で温まった③台風の発生が少なく海水が大きくかき混ぜられなかった④気温が高く海水の熱が逃げるのを抑えられた―ためだという。

 日本列島の陸上では北日本(北海道・東北)が平年を2.7度、東日本が2.2度、西日本が2.0度それぞれ上回った。いずれも1946年の統計開始以来最高だった。

 いずれにしても、今年の夏は記録ずくめ。体が覚えることだろう。問題は来年の今頃、「去年は異常に暑かった。それに比べ、今年は涼しい」と思えるのか、「去年が猛暑元年だった。これからはこれが常態だ」と思い知るのかだ。前者であることを強く願いたい。

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