奥野JA全中新会長が会見

 

会見する奥野JA全中会長(日本記者クラブ)

会見する奥野JA全中会長(日本記者クラブ)

 

ゲスト:全国農業協同組合中央会(JA全中)会長 奥野長衛(おくの・ちょうえい)氏
日本記者クラブ@2015年10月19日

 

全国農業協同組合中央会(JA全中)の奥野長衛新会長(68)が会見した。JA三重中央会会長からの立候補で、現執行部のトップダウン方式を否定する改革派候補だった。

万歳章会長の辞任に伴う会長選挙では、全中の副課長も務め、当時の執行部の支持を受けるJA和歌山中央会会長の中家徹(65)氏の当選が有力視されていたが、事前の予想を裏切って当選した人物だ。

奥野氏はこれまでから、「農協組織はトップダウンではなく、必ずボトムアップでやらないと生き残れない」と主張しており、万歳体制に異議を唱えていた。これまでの農協組織はブロック単位や都道府県の中央会会長が決めた候補者に、単協組合長らが”右へ倣え”する投票で決まっていたが、今回の選挙ではそれが一部崩壊した。

「地域農協が独自の農産物販売戦略などで競い合う農協改革を是とする組合長がひそかに奥野氏支持に回った。守旧派にとっては想定外の票が改革派に流れたことになる」(週刊ダイヤモンド7月14日号)

「環太平洋経済連携協定(TPP)の反対運動のやり方をめぐって、地方に動員をかけて集会を開き、『反対決議』を打ち出して、デモを行うというやり方は昔の米価引き上げ運動と同じ。JAとしての考え方を一般社会に流していくやり方をしないと社会的に敗北する。JAの体質、考え方を改める必要がある」と指摘、このままでは「世間からJAは悪の集団と見なされる」と主張してきたという。

JAの中では完全に異端で、少数派だった。それが選挙で執行部の推す候補を破り、会長に当選したのは時代が改革に向かっていることを感じた地方の単協組合長が多かったことを示した。奥野氏も「皆さんに世の中が大きく変わるという予感があったのでないか」と述べていた。

時代は変わる。人の考えも変わる。鉄壁と思われた農協組織のトップも変わった。しかし、組織全体が変わるかどうかはこれからの問題だ。

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