可喜庵
東京都町田市の民家で茅葺き屋根の葺き替え作業が行われているとの新聞記事(10月15日付日経夕刊)を読んで、ひと目見たいと思い、今日現地に足を運んだ。小田急線で新宿から鶴川に着くちょっと手前の右側の車窓からも見える。
民家の持ち主は隣りで工務店を営む鈴木亨さん(61)。曽祖父が江戸時代末期の文久年間に建てた筑後150年ほどの家で、4年前まで一家で暮らしていた。その後、手作り教室やサロンに開放してきたが、9月中旬から茅の葺き替えに着手した。
10月末には葺き替えが終わるというので、その前に何とか拝みたいと出掛けたわけだが、到着すると作業は行われておらず、その代わりに鈴木さんが家の前の床机に腰掛けていた。ほぼ作業は完了し、11月4日が上棟日になるという。
鈴木さんによると、可喜庵と名づけたのは父親で、家の裏にある「禅寺丸」という柿にちなんで付けたという。京都から茅葺き専門職人を5人迎え、25年前に次ぐ今回の葺き替えでは協力者をボランティアとして募り、作業を体験してもらったという。
「自分が茅葺き屋根の葺き替えをしようとしたら、それを新聞やテレビ、インターネットなどが関心を持って伝えてくれ、今度はそれを知った人たちが集まってくれる。面白い」と鈴木さん。昔では考えられなかったことだ。バーチャルな世界とリアルの世界がつながる。ただ、「地元の人はあんまり関心がなさそうだけど・・・・・」