【大雪警報】首都高など立ち往生回避のための広域「予防的通行止め」を考えなければならなくなった雪事情

今回の積雪は7センチ(5日22時46分、練馬区)

 

■2年前に買ったシャベルが活躍

 

関東地方は大体年に1回は雪がつもる。降雪があって、それが積雪となってなかなか消えないのだ。そうなると大雪で車が立ち往生するトラブルがあちこちで続発する。

去年は2月10日に東京・練馬区で3センチほどの積雪があった。それほどでもなかった。その前年の2022年は10センチ積もった。その時はシャベルを購入し、雪かきをした。

その時に1回だけ活躍したシャベルを2年ぶりに持ち出して6日の朝、自宅前の公道を雪かきをした。7センチだからそれほど積もったわけではなかったが、陽の当たらない場所もあってそういう個所は凍って滑りやすくなる。

2年前は陽の当たらない場所は1カ月ほど雪が残った。いつも気を付けながら歩いたものだ。その時の印象が深く突き刺さっていた。用心するに越したことはないのである。

今年の積雪を計測すると練馬区では7センチだった。本州の南岸を進む低気圧の影響で5日の関東甲信地方で雪が強まり、気象庁は東京23区を含む9都県の全域や一部に昨年2月10日以来初めての大雪警報を出した。

東京でも大雪警報発令

 

■立ち往生回避のために「予防的通行止め」実施

 

今回は首都高、東名、新東名、中央道などで異例の広域の「予防的通行止め」が行われた。実際に雪によって通行できなくなる前に車を止めてしまう作戦だ。

近年は大雪で車が立ち往生するトラブルが相次いでおり、それを回避する目的で高速道路会社は雪に備えて事前に入口を閉鎖する措置を実施した。

 

 

2024年1月24日=24日午前9時過ぎ、岐阜県関ヶ原町、名神高速道路下り線の関ヶ原インターチェンジ付近で、雪にはまったタイヤが空転する「スタック」状態になったトレーラー2台が車線をふさいだ。後続の10台余りが自力で動けなくなり、一時約500台が6.6キロ滞留した。立ち往生は発生から約19時間続いた。上り線でも関ヶ原IC付近でワゴン車1台がスタックし、約270台が5.5キロ滞留した。中日本高速は立ち往生解消後も、岐阜IC-栗東湖南IC間の上下線を通行止めにして除雪作業を継続した。関ヶ原町では24日午後6時までの12時間降雪量は58センチを記録、観測史上最多を更新した。(共同)

 

 

■大規模な実施は初めて

 

車の立ち往生は21年1月にも北陸自動車道で発生している。約1600台が動けなくなり、自衛隊に災害派遣を要請したものの、解消まで2日以上かかった。当時の映像が目にこびりついている人も多いのではないか。

首都高では18年1月の大雪の影響で中央環状線の山手トンネルなど計230キロに及ぶ20路線で実施した通行止めを全て解除するまでに97時間かかった。

都市部では雪道の運転に不慣れなドライバーが多い。多くの都道府県では積雪・凍結した路面を走行する際に冬用タイヤ装着などすべり止めの措置をしなければ法令違反に当たるが、雪が少ない首都圏では装着できていない車が少なくないのが実情である。

そこで国土交通省が考えたのが「予防的通行止め」。「できるだけ通行止めにしない」という従来の考え方を改め、「人命を優先して大規模な車両滞留を徹底的に回避する」方針を掲げ、道路管理者に実施を促した。

首都高速道路は東京都心で雪が降り始める前の5日午前11時までに、中央環状線などの約20カ所の入口を閉鎖した。東日本高速道路も圏央道などの一部区間、第3京浜などの路線を5日正午から通行止めにした。その後10路線以上に拡大した。

国交省によると、「これだけ広範囲にわたる予防的通行止めの実施は初めて」だという。

 

東洋経済ONLINE(佐滝教授撮影)

■「高速+一般道」閉鎖で大渋滞に

 

確かに高速道路上では1台でも自力で走れない車があれば、事故や長時間の渋滞につながる恐れがある。そのために国・事業会社は早めの対応を選んだわけだが、一方で課題も指摘されている。

東名高速が通行止めになったのはいいとしても、併走して走る国道246号線も閉鎖され、東京と横浜を結ぶ第3京浜も通行止めになった。つまり東京と神奈川を結ぶ大動脈が使えなくなった。

国土交通省やNEXCO各社は高速と一般道のどちらかはできるだけ閉鎖しない方針だったが、片方閉鎖してももう片方に車が殺到するため、「近年、一般道でも予防的な通行止めを行う方針に転換していた」(佐滝剛弘城西国際大学教授「246に甲州街道、一般道も閉鎖で大渋滞に」、2024年2月10日、東洋経済ONLINE

国道246号線だけではない。中央道と並行する国道20号線(甲州街道)も世田谷区から西が5日午後から通行止めになっていた。

首都高では、天気が回復しても、路側帯がほとんどなく雪の排出の場所がないことや路線の多くが高架で地熱による雪解けが期待できないなど構造上の問題を抱えている。

このため通行止めは50時間以上続き、7日午後にようやく全面解除されたという。佐滝教授は「(大渋滞に巻き込まれた方々には申し訳ないが)この早めの判断により、高速道路での立ち往生という最悪の事態はほぼ回避された」と述べている。

 

(出所)ウエザーニュース

 

■近年、雪の降り方が激しくなっている

 

地球温暖化の影響のせいか、近年、雪の降り方が激しくなっているという。日本海の海水温が高いため、北西の季節風は大量の水蒸気の供給を日本海から受けて前例のない雪を降らす。

こんなに風や強く大量の雨が振るのは記憶がないなどとよく言われるが、たかだか100年という短期間のことである。地球の誕生は今から46億年前のことといわれている。計算できないずっとずっと昔のことである。

降雨量も降雪量も昔とは違っている。尋常ではない時代になったのである。平和で良かった時代は終わり、今や40度を超える高温すら登場し始めている。

佐滝教授によると、確かに「食材をはじめとした生活物資の多くを、手の届く範囲ではなく日本中、あるいは世界中に頼る『物資の輸送依存』体質が、これまでの常識を変えつつある」という。

「私たちは雪に挑んでどんなときにも通れるような社会を目指すのか、それとも道路が閉鎖されて数日通勤できなかったり物流が止まったりしても誰も責めない社会を目指すのか。そんなことまで考えてしまう今年の雪事情であった」と佐滝教授は語っている。

 

練馬区独立70周年記念で植樹された「未開紅」(左、石神井松の風文化公園)

 

■雪の中ですっくと花開く「未開紅」

 

雪が降り止んだ翌6日、朝雪かきを行った後、雪景色を見物に石神井公園に出掛けた。まだ寒かった。路面も凍結しており、用心のため石神井川沿いの遊歩道は歩かずバスで石神井郵便局まで行った。

バス停で降りると目の前が石神井松の風公園(石神井台1)。花と木立ちの広場は雪で覆われていたが、独りすっくと花開いていたのが早咲きの未開紅(みかいこう)。

花日記を綴る梅見人は「花名の由来には諸説ありますが、個人的には、早春に枝に多数付く鮮紅色の蕾が殊の外に美しく、開花前(未開)でも開花中の(花が咲いている)ように美しい」と書いている。

梅の原産国は中国で、未開紅はそこから日本に渡来した原種に近い野梅系(やばいけい)。若い枝は緑だが、陽に当たった部分は赤くなる。葉や花は小さめで、芳香がある。白や桃色が多いが、「未開紅」や「八重寒紅」のように赤花を咲かせるものもある。

練馬区が板橋区から分離独立したのは昭和22年(1947年)8月1日。23番目の特別区として誕生した。平成29年(2017年)は独立70周年。同年3月から翌年3月までさまざまなイベントが行われ祝った。

 

雪が残る三宝寺池

石神井公園の遊歩道

鴨たちが憩っている

石神井池のほとりに佇む鴨

 

 

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