知らないで怖がる「風評被害」

 

今も730万個のフレコンバックが山積している

 

農林中金総合研究所の行友弥(ゆきとも・わたる)特任研究員が第110回記者懇談会で、「福島県の農業復興 その現状と課題」について語った。

消費庁の「風評被害に関する消費者意識の実態調査」によると、消費者が「食品の購入をためらう」産地として一番多いのは福島県。2016年2月には15.7%と東北全域の4.1%に比べ格段に多かった。

基準値を超える食品が確認された市町村では同一品目が出荷・流通・消費されないことになっているものの、食品の放射能検査が行われていることを知っているのは全体の40%くらいで、35%くらいは知らなかった。要は「知らないで怖がっている」のが実態だと指摘した。

また、流通業者における福島米の位置づけについて、2010年以前は卸、小売業者の間では60~73%が高品質米・良食味米の位置づけだったが、震災後はどちらも16~29%にまで低下。完全に小売店の棚を奪われ、事前契約米の対象にもなっていない。

日本農業新聞のアンケート調査(2016年)は、青果卸業者の9割が「風評がある」と回答。「数字に表れない部分が続いている」「今でも福島産を扱わないスーパーがある」「原発事故の続報が流れると売れ行きが鈍る」「売りたくてもクレームが怖くて扱えない」と答えた。

関谷直也東大総合防災情報研究センター特任准教授は、「安全と分かっていても消費者に理解されない」という思いや「震災直後のクレームがトラウマになっている」ことが風評被害の固定化につながっているとしている。

一方、農地に滞留する除染廃棄物の「はぎ取り」を行うことによって地力低下も深刻な上、除染特別地域(国直轄除染)における仮置き場の保管個数は2017年1月20日現在、仮置き場が738万個(1個1トン)となり、中間貯蔵施設(双葉町、大熊町)への搬出は依然5万8000個にとどまっているコトが明らかになった。

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