エチゼンクラゲ

 先に、海づくり大会「かながわ大会」で見たクラゲが可愛かった、などと能天気なことを書いたが、26日午後9時放映のNHKスペシャル「巨大クラゲ来襲」を見たら、そんな呑気な状況ではないことを思い知らされ、愕然とした。

 傘の直径が1m超、体重200㎏に迫る世界最大級の巨大クラゲ「エチゼンクラゲ」が、今年はこれまでの10倍とみられる規模で日本に襲来し、漁業被害が拡大しているからだ。巨大クラゲの発生は過去100年で7回目、そのうち3回はこの4年に集中しているという。

 番組ではこれまで生態が全く謎だったエチゼンクラゲの研究を行う広島大学の上真一教授に密着。世界初の人工孵化に成功し、稚魚などの動物プランクトンを食料に「死ぬまで肥大化し、成長する」エチゼンクラゲの増殖・成長能力などを解明していく。

 エチゼンクラゲは中国では昔から食材にもなっており、珍しくないクラゲ。今年5月以降の豪雨の関係もあって長江河口域の水が流れ込む黄海では海水の温度が上昇、富栄養化、乱獲による魚資源の減少などの要素が相俟ってエチゼンクラゲが大量発生。それが海流の関係で、今年は太平洋沿岸に押し寄せた。

 クラゲの大量発生は日本だけではない。種類は違うものの、メキシコ湾やベーリング海、黒海など、世界のあちこちで発生しているという。「クラゲは元々、海に住む優しい生物。それが(温暖化や富栄養化など)人間が関与し、怒らせてしまった。海の環境を守る取り組みをすぐに始める必要がある」(上教授)。人間とは何と罪作りな生物なのだろうか。

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