北斎展

 北斎展(2005年10月25日-12月4日、東京国立博物館)を最終日に観た。「観た」というより、「見た」というのが正確だ。とにかく、大変な人出だった。午前10時すぎに着いたら、既に「70分待ち」。整理券をもらって、11時半から入場できた。芸術鑑賞も体力勝負である。

 葛飾北斎(1760-1849)は、世界中で最も知られた日本の芸術家の1人。浮世絵版画の第一人者で、ゴッホなど19世紀の欧州印象派に大きな影響を与えたことは有名だ。世界中の美術館に北斎の作品が収蔵されている。

▼絵師以前
 今からちょうど240年前の明和2年(1765)は多色摺りの錦絵が完成され、江戸の浮世絵界が一段と隆盛する契機をつくった記念すべき年。この頃、身辺の目につく物を熱心に写生する時太郎という、数え6歳の少年がいた。のちの葛飾北斎だった。

▼春朗期-習作の時代-

▼宗理期-宗理様式の展開-

▼葛飾北斎期-読本挿絵への傾注-
 
▼戴斗期-多彩な絵手本の時代-

▼為一期-錦絵の時代-
 文政13年(1830年)ごろから、およそ天保4年にかけて、北斎が錦絵制作に傾注した時代。代表作は「富嶽36景」

▼画狂老人卍期-最晩年-
 天保5年(1834)に画号を「為一」から「画狂老人卍」に改号する。浮世絵を描くのをやめ、動植物、宗教画に特化する。
 
 展示されている作品は初期から晩年までの代表作約500点。90歳の春、病床に臥せるまで絵筆を持ち続けた画家の多面的な芸術世界が紹介されている。とにかく、多作家だ。彫刻家・平櫛田中翁もそうだが、すさまじいまでの創作意欲。少しでも良い作品を生み出すためには少しでも長生きするしかないのかもしれない。大変な生への執着だ。凡人にはまねできない。

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