【試写会】これが『プラスチックの海』の実態だ=海鳥の体内から234個のプラスチックの破片を発見

 

 

『プラスチックの海』のパンフレット

 

作品:『プラスチックの海』(原題A Plastic Ocean)
監督:クレイグ・リーソン
2020年11月4日@日本記者クラブ
2016年/イギリス・香港
11月13日(金)からUPLINK渋谷、UPLINK吉祥寺、 UPLINK京都で全国順次ロードショー

 

■年間800万トン以上が海に捨てられ、大半は海に沈んでいる

 

プラスチックは熱を加えると柔らかくなり、任意の形で成形できる。軽くて、丈夫で、長持ちし、今やわれわれの生活になくてはならない存在だ。

石油を原料につくられる合成プラスチックでコスト的に優位に立つのはポリ袋のポリエチレン、ペンやレンズのキャップなどで知られるポリプロピレン、使い捨てカップなどのポリエチレン、水道管などに使われるポリ塩化ビニル。これらが4大プラスチックと呼ばれ、世界のプラスチック生産量の60%以上を占める。ここのところ急増しているペットボトルの原料はポリエチレンテレフタレートだ。

これまでに生産された世界のプラスチックは83億トン(添加剤5億トンを含む)。この安価で便利なプラスチック年間800万トンが海洋に投棄され、海を汚している。

その大半は海底に沈み、海面や海中を漂うプラスッチクは永久に分解されず、マイクロプラスチックとなって植物連鎖の一部になっていく。海とともに生きる人たちに何ができるかに迫ったドキュメンタリーだ。

 

■プランクトンより多いプラスチックゴミ

 

シロナガスクジラに魅せられ、幼い頃から追い続けていたクレイグ・リーソン。ジャーナリストでもある彼が、世界中の海を訪れる中、プランクトンよりも多く見つけたのはプラスチックゴミだった。

美しい海に、毎年800万トンものプラスチックゴミが捨てられている事実を知り、海洋学者、環境活動家、ジャーナリストたちとともに、自身が監督となり世界の海で何が起きているのかを調査し、撮影することを決意する。

21世紀に入り、生産量が激増しているプラスチック。便利さの一方で、大量のプラスチックが海に流出し続け、近年は5ミリ以下のマイクロプラスチックによる海洋汚染にも大きな注目が集まっている。

調査の中で明らかになるのは、ほんの少しのプラスチックしかリサイクルされていないこと。海鳥の体内から、235個のプラスチックの破片が発見されるなど、海に捨てられたプラスチックで海洋生物が犠牲になっていること。そして、プラスチックの毒素は人間にも害を及ぼすかもしれないこと。

撮影クルーは世界中を訪れ、人類がこの数十年でプラスチック製品の使い捨てを続けてきた結果、危機的なレベルで海洋汚染が続いていることを明らかにしていく。

 

■数字が語る『プラスッチクの海』

 

・年間3億トン以上のプラスチックが生産されている。50年前の約5倍に上る。

・年間800万トン以上のプラスチックゴミが海に捨てられている。そのうち大半は海に沈んでいる。

・プラスチック製品の半数は使い捨て。平均するとプラスチック製品の寿命は12分。

・日本周辺の海に漂う量は世界平均の約27倍といわれている。

・日本のプラスッチクゴミの総量は940万トンで世界第5位。

・日本人口1人当たりのプラスチック廃棄量は年32kgで世界第2位。

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