「陶板名画」を観る

  「陶板名画」なるものをご存知か。原画を撮影したポジフィルムから写真製版し、転写した陶板(板状の焼き物)を焼成。それらの陶板を何枚も組み合わせて作られた絵画のことだ。初めて見たのは都営地下鉄大江戸線・築地市場駅の壁面に飾られた巨大な浮世絵。片岡球子の原画から作ったものだ。

 陶板名画では、大塚製薬グループが創立75周年記念事業として徳島県鳴門市に設立した「大塚国際美術館」が有名だ。同美術館で展示されている印象派の名画28点が東京・大手町の大手町サンケイプラザで特別展示されているというので、最終日の1月12日、仕事の合間にほんの15分ほどのぞいた。百聞は一見に如かずである。

 ゴッホ、ルノワール、モネなど、世界を代表する名画がずらり。とにかく、陶板名画は変色も腐食もしない。2000年以上にわたって、そのままの色と姿で残るというからすごい。大塚国際美術館には世界25カ国、190余の美術館が所蔵する至宝の名画1074点が原寸大で展示されているとか。使われているのは大塚オーミ陶業の特殊技術だ。

 ミケランジェロの祭壇壁画「最後の晩餐」は痛みがひどく、専門家によって修復されたが、修復後の作品しか残っていない。それに対し、修復前の原画が陶板で残されており、われわれは両方を比較しながら、楽しめる。これも陶板名画の技術があってならばこそだ。世界中を探してみても、これだけの規模の陶板美術館はないとのことで、一度はこの目で確認してみたい。

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