ナショナル・トレジャー

少年時代、自分にとって一番大切な物は他人に見せることなく、自分だけの秘密の場所に隠しておきたいという不思議な気持ちに囚われた。そして、それは実行された。宝物とはいうものの、それは金銀の財宝ではなく、ビー玉に毛が生えた程度のものだったりして、他人には無価値な代物だが、自分にとっては掛け替えのない大切な宝。

 自分の家のどこかに穴を掘り、その財宝を埋めた。埋めたものの、やっぱり気になって、後から場所を探して確認したり、秘めやかな行為に喜びを感じた時期が確かにあった。前栽の秘密の場所に埋めた。あれはもう40年以上も前のことだ。自分ではなく、他人の埋めた宝物を探すのはもっと、エキサイティングだ。

 宝探しは少年にとって、体内に埋め込まれたDNAのようなものかも知れない。「ナショナル・トレジャ-」(2004年アメリカ映画、ジョン・タートルトーブ監督)はテンプル騎士団の秘められた財宝をアメリカ建国の父たちが受け継ぎ、その財宝の行方を天才歴史学者にして冒険家のベン・ゲイツ(ニコラス・ケイジ)が探し出すプロセスをスリリングに描いたアドベンチャー作品だ。

 ソロモンの秘宝、ナチスの財宝、ナポレオンの秘宝、山下財宝、ロマノフ王朝の秘宝・・・。世界のあちこちには今なお、莫大な秘宝が眠っている。それもそのほとんどが未発見のままだ。それを探すのは男のロマンだ。「シャーロット」号に眠る秘宝の鍵を握るのはアメリカ合衆国独立宣言書。その宣言書の裏側に、その封印を解く”暗号”が隠されていた。映画はまるでゲームのようなスピード感で暗号を解きつつ、秘宝に迫る。

 ニコラス・ケイジの映画は1週間ほど前、テレビで「ウインドトーカーズ」(2002年)を見たばかり。「コレリ大尉のマンドリン」(2001年)も良かった。ニコラス・ケイジの魅力はそのとぼけた風貌と熱血的な演技力。宝探しに協力するアビゲイル・チェイス博士役のダイアン・クルーガーも良かった。難しく考えることなく、楽しめるエンターテインメントだ。

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